Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(6)ー

2015-05-07 01:00:00 | 河村姉弟2<西条編~おかしな子供>


西条和夫はその日も、苛立ちながら廊下を歩いていた。

あの宿敵、青田淳のことを考えながら。

まぁ良いさ‥。いくら青田といっても、先輩達にまで手は出せねーだろ。

どうにかして俺も‥


 

先日見掛けた、淳と城崎が親しそうに会話をしていた場面‥。

そのことを考える度に、西条の心は焦りと苛立ちに歪んだ。



どうにかして青田淳を出し抜ける方法はないものか‥。

そんなことを考えている最中、西条は後ろから声を掛けられる。

「西条」



気配もなく名を呼ばれ、西条は思わずビクッと震えた。

振り返ると、あの男が自分の方を見ている。



西条はジャケットを整えると、眉を寄せて淳と相対した。

「何だよ?」

「担任の先生から雑用言い渡されたんだ。行こう」

「はぁ?」



突然の淳の申し入れに、西条は顔を顰めて言い返した。

「んだよ、何で俺がお前と?」

「さぁな。お前と俺の仲が良くないってこと、知ってるんじゃない」



淳はそっけなくそう言って、そのままスタスタと歩いて行った。

西条はその疎ましい背中を、煩わしさと共に睨んでいる。



「その前にお前に話がある」と西条は淳に言った。

淳は頷いて、二人はそのまま外へ歩いて行く。



河村亮は淳に声を掛けようと片手を上げかけたのだが、

西条が一緒に歩いているのを見てそれを止めた。

「あれ?」



なんだ?どうして二人が‥雑用?つーかなんでよりによって西条?

てか外出の許可取ったってこと?


 

亮の頭の中に、こんな方程式が思い浮かんだ。

先生からの用事で外出



トッポギ食べに行ける




亮の頭に浮かんだ、そんなサボリの方程式。

亮は淳を追いかけながら、一目散に駆けて行った‥。

「おいっ!一緒に行くっ!てかソイツじゃなくてオレを連れてけっつーの!」








西条と淳を追いかけて、亮は裏口の近くまで走り出た。

やがて彼らの背中を見つけた亮であったが、一つの疑問が頭の中に湧く。

あれ?何でそっちに?裏口もう過ぎてっぞ?

 

あちらの方向には特に何も無いはずだ。

なぜあんな所へ二人して消えて行くんだろう‥。



すると二人が向かった辺りから、何やら言い争う声が聞こえて来た。



亮はハッと思い当たる。

ケンカか?!



亮は、西条を殴る淳の姿を想像した。

だよな、淳もいい加減我慢の限界‥



そう思いながら亮は、踵を返そうとした。

我慢を重ねた幼馴染の爆発を、そっと知らぬふりしてやろうと。

しかし次の瞬間、ハッキリと西条の声が聞こえてきたのだった。

「お前一体何企んでんだよ?!」



亮は建物の陰から、二人の会話にそっと耳をそばだてる。

「ガキみてぇな真似は止めろ!男のくせによぉ、人をからかってー‥」



「どういうこと?」



西条の主張に、淳はまるで身に覚えがないというかの様な態度でそう返した。

西条は続ける。

「お前がわざと俺の前で先輩達と仲良さそうにしてっこと、

気づかないとでも思ったんか?」




ムカつく、と言いながら西条はずっと思っていたことを口に出した。

しかし淳はそれを聞いて動揺することなく、ケロッとした顔でこう聞き返す。

「ダメなのか?」



「俺が先輩達と親しくしたらダメなのか?皆で仲良くした方が良いじゃないか」

「お、俺とお前が?!頭大丈夫か?!



淳のその言葉に、むしろ西条の方が動揺してしまった。

淳はケロリとした体で、小首を傾げながら言葉を続ける。

「ふぅん‥一緒に遊んだらいいじゃないか。

明後日、◯◯区にある店に皆が集まることは知ってるよな?」


「◯◯区‥?明後日‥?」



淳の口から出たどこか聞き覚えのあるそのワードを、西条は反復した。

淳は西条のことを真っ直ぐ見つめながら言う。

「あれ?知らない?」



「あそこにある焼肉屋に来いって、先輩達からメールが来たろ?」



西条の鼓膜の裏に蘇るのは、つい先日その話をしていた城崎達の会話だった。

んじゃ◯◯区の店行くか。 いつにする? 後で決めよーぜ。 誰呼ぼっかなー。



決まったら連絡下さいねと、西条はあの日城崎達にそう言ってその場を後にした。

けれど今現在、彼らから連絡はまだ来ていない‥。


「西条は呼ばれてないの?」



思わず絶句した西条に向かって、淳は核心を突く言葉を無邪気なトーンで続けてくる。

「それじゃあ、西条も行く?行きたいならさ」



ピキ‥



まるで誘われなかった自分を憐れむかのようなその淳の態度に、西条は苛立った。

ふざけるなと声を上げながら、思わず淳の肩を強く叩く。

「んな汚ねぇ手に乗るかよ!お前何様のつもりだ?!」

「どうしたの?気を使ってあげたのに怒るなんて」



西条の口元がヒクヒクと引き攣った。

「は?怒る?誰が?



西条からの質問に、「あ、そうだ」と言って淳が切り返す。

「どうやらお前は口が軽いらしいから言っとくけど」



「はぁ?!

「あそこは先輩達が前から飲酒してた店だから、無闇に人に喋るんじゃないぞ。

どうせお前も後で遊びたくなるだろうしな。変に口を滑らせたら店も営業停止になっちゃうし、

良いことなんて何も無いだろう?」




淳はそう一息で言うと、サッと西条に背中を向けた。

「雑用、行きたくないんなら一人で行くよ。それじゃな」

 

そして淳は去って行った。

西条は今起こった出来事を思い返し、腸が煮えくり返る思いがする。



「クソがっ!!」



その一連のやりとりを、河村亮は建物の陰から全て見聞きしていた。

しかし胸中はモヤモヤと曇り、どこか腑に落ちない思いでいっぱいだった。

んだぁ?三年のヤンキー達と仲良くねーんじゃなかったのか?



亮は一人思案に暮れる。

ぜってーそんなとこに行くようなヤツじゃねーのに‥

今になって遅咲きの思春期突入?あ、でも親同士が知り合いなんだっけ?




フム、と考えてみる亮。

しかしやはり考え直し、そのままくるりと背を向けた。

まぁ‥オレが口出す問題じゃねーわな。

自分で決めたらいいさ。会長には内緒にしといてやんよ




頭ではそう決めたものの、やはり気になるのが人の常‥。

亮は何か割り切れない思いを抱えていた。

いやでも‥うーん‥



暫くその場でもう一度考えたが、考えれば考える程まとまらない。

最後には亮の大きな声が、木々の間に響いて消えた。

「あーもう!知るかっ!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(6)ーでした。

少し長めの文量になりました。

着々と淳が西条を罠に嵌めていきますね。

しかし亮さん、サボってトッポギ食べに行くとか‥笑

韓国の高校生の間では買い食い=トッポギなんでしょうかね。

日本で言うとなんだろう‥屋台で買い食い‥たこ焼き的な?

文化の違いが面白いですね^^


次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(7)ーです。

西条のエピソード、いつまで続くのか‥。



人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!