最近めっきり読書から遠のいている私にもようやく読書の秋。(苦笑)
あの作家新田次郎の妻であり、「国家の品格」の著者藤原正彦の母である「藤原てい」さんの書かれた、
「流れる星は生きている」!
ブログ友達の間でも何度か話題となって登場した本でもある。
終戦間近、敗戦濃厚な日本国満州に突然ソ連軍が攻め入ってくる。
当時ソ連と日本の間では不可侵条約が結ばれており、ソ連軍の侵攻は、約束違反。卑怯としか言いようが無い。
私は以前、このソ連軍侵攻による悲劇を「浅田次郎」の「終わらざる夏」で深く知ることにもなった。
「流れる星は生きている」の物語は、1945年8月9日の満州新京(長春)から始まる。
当時新京で観象台勤務だった夫(新田次郎)と3人の子供たちと幸せに平凡に暮らしていた藤原ていさん。
突然のソ連参戦で夫と引き裂かれ、幼い三人の子供を連れ、1年間にも及ぶ凄惨で過酷な逃避行。
満州引揚者の話は聞いたことはあったが、正直ここまで凄まじいものであったとは知らなかった。
最初は団結し、助け合っていた同胞日本人同士も次第に分裂、いがみ合い、騙しあい、人間の醜さが表に出てくる。
子供の命を護るために、また自分自身も生き延びるために、母親、いえ人間は何だってできるのだ。
母親、強し!もし私が同じ境遇にあったら、藤原ていさんのように強くいられるだろうかと思った。
今、折りしも「山崎豊子」さんの「大地の子」が再放送されている(10月10日より毎週土曜日全11話)。
あれからもう20年たったのかしら。涙なしには見られないドラマだったが、私はその前に原作を読んでいた。
「大地の子」は人生で最も涙を流した小説だったと思う。読みながら我ながら呆れるほど嗚咽した覚えがある。
そして今回の「流れ星は生きている」。
感受性が乏しくなったのか、読書やドラマで滅多に涙腺の緩むことの無くなった私だか、この本には泣かされた。
特に最後ふるさと諏訪で親弟妹と再会、命の消え入りそうな幼い子供達が暖かく抱かれ、救われる場面ではティッシュが何枚も。
そしてこの本を読みながら、満州引揚者と今まさに進行形であるシリア難民の苦境がだぶった。
日本は平和であるが、まだまだ世界には70年前一部の日本人が体験したと同じ過酷な逃避行が続いている。
きっとそこにはこの本にも描かれているような人間の愚かさ、エゴ、また優しさ尊さ、それらが交錯し、
複雑な人間模様が繰り広げられているであろうことは、容易に想像できる。
戦争とはなんと悲しく残酷なことか。
私はこの本を平和な日本に生きる中学生、高校生に是非読んでほしいと思う。
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