夢地蔵

田舎の映像作家の備忘録

草子の散文詩

2020-08-15 16:32:29 | Weblog
「草子の散文詩」という曲をご存知ですか?
羽仁進監督の 午前中の時間割り という1972年に公開された映画のテーマソングでタイトルバックに流れる元気な曲です。これを聞くと青春時代が鮮明に蘇ります。
私が「午前中の時間割り」を新宿の今はなき蠍座で観たのは1975年2月、26歳の血気盛んな頃。その常識破りの映画に出会い、あまりの衝撃に翌日も観にいきました。
こんな映画もあるんだ!

ストーリーなんてあって無いようなもの、ほとんどが女子高生たちが一切の制約なしで撮った8ミリ、それを35ミリにブローアップし、つなぎの部分を35ミリのモノクロで撮ってまとめた映画で、演劇とは全く無縁で「セリフ」は棒読み。カテゴリー分けに意味はありませんが、いわゆるセミ・ドキュメンタリーに近い作品でで羽仁監督の得意な分野。商業映画に毒された人には絶対理解不能です。私はエライ監督の作品を押しのけてこの作品が最高だと思っています。

自身、映画を作ろうと考えていた時期だったのでこの映画は私に大いに刺激になりました。これなら自分にも作れる、と単純に考えたんです。75年夏、8ミリの自主映画作りに没頭しました。
私の映画は完成し、仲間を集めて公開しましたが結果は押して知るべし、「よくわからない」と言われたときはカッとなりました。言葉には出しませんでしたが「じゃあお前には何がわかるんだ」。

それはともかくあのとき手にいれた "アートシアター" 97号は今でも保管してあります。


覚えてないけど巻末に定価200円とあるので買ったんですね。


日本アート・シアター・ギルド、略してATGは実験的な映画作りを支援して数々の名作を残しました。今は解散して活動を停止しましたが残念なことです。

この97号は午前中の時間割り特集号で様々な記事が載っています。


羽仁監督は当時40代半ばでした。(今もご御健在ですが車椅子が必要とのこと)


メインキャストのお二人は個性が強いようで映画にそのまま現れています。


レンタルテープの時代、VHS版があってコピー(違法)したテープが残っていますがデッキが不調で内部で絡んでしまいました。以前DVD版がリリースされた気がするので手に入れたいところです。

もう一人重要な登場人物がいました。彼の棒読みの「セリフ」は最高。


シナリオもありますがこれはあらかじめ書かれたものじゃなく完成後まとめた採録シナリオです。


このお二人も今は60代半ば。羽仁進監督は90歳を超え私は71歳。


「午前中の時間割り」を凄まじいゴミ映像と評価した人がいます。彼にとって素晴らしい映像とは何なんでしょう。まさかハリウッドの馬鹿映画じゃないと思いますが如何かな。

朝のうちにウォーキング、自転車の手入れをしていたらギラギラの日差しで家に逃げ込みました。
メープルリーフの歌を聞いていたらあの映画が無性に懐かしくなって今日はこんなブログになりました。
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