店を始めたばかりの頃。
インターネット上には、うちの情報など皆無で、
店名を入力してみれば、
同名のシンガーさんか、
200年以上前にロシアに辿り着いた人の名をつけた道か、
アニメ映画のキャラクター、
または、行ったことのない、とある県の、
カイロプラクティック院の情報がHITするのみだった。
今となっては、もうずいぶん前の記憶だけれど、
うちの情報がかすりもしない中、
『同じ名を持つ』ということで、
頭の中にはその存在が、ずっと残ってはいたのだ。
そしたら。
今回旅をしている途上で、
こんな看板を見つけてしまった。
「なぬっ!?」
なんと、オープン当初に検索で見た、
同名の、あのカイロプラクティック院が、
目の前にあったのだ!!!
「ちょ!ちょ!ちょっと待って!引き返して!!」
後続車の関係もあって、
一度は通り過ぎてしまった道を、
Uターンして戻っては、
失礼して院前の駐車場に入らせてもらい、
ひとまず気を落ち着ける。
見上げれば、うちの看板が太陽をモチーフにしているのに対して、
こちらは虹と、
なんだか偶然が偶然とは、どうしても思えなくなってくる。
ホントに偶然?本人たちも不安になるくらいの、奇跡の出会い。
「...どうする?声をかけさせて頂く?」
日本に無数の道はあれど、
なぜ我々はここを通りかかったのか...
あまりの驚きに対処もしきれず、
院内に人影が見えるのはわかっていても、
迷って扉を叩く勇気も出ない。
そもそも、見ず知らずの二人に、
いきなりそんな事情を説明されても、
相手は困惑するだけではないのか...?
そんなことをアレコレ話しながら、
「とりあえず失礼して、看板の写真だけは撮らせて頂こう」
なんて、ゴチャゴチャやってたら。
なんと、誰かが院内から出てきたではないか!
「どうかされましたか?」
「...すみません!実は、僕たち、同名の店を横浜でやっていまして」
慌ててゴンザが名刺を出すと、
そこに印刷された太陽のモチーフに、
先方も、目の前の虹のモチーフを見上げては、驚愕を隠せない様子。
そして、その運命とも思える偶然に、ことのほか喜んで下さって、
「コーヒーでも飲んで行って」
と、ご夫婦で歓待して下さった。
「こんなこと、あるんだねぇ!
ホントに偶然通りかかったの?」
「そうなんです!本当に驚きました」
それぞれの店名の由来、
それぞれの仕事のこと。
初対面とは思えないほど、楽しくお話させて頂いて、
さらに偶然は偶然ではなくなってゆくような...不思議な感覚。
旅の神様は、今回もまた、
なんという嬉しいハプニングを下さったのか!
あちらは由緒正しきお名前。うちは新米(笑)
人、モノ、場所。
出会いで出来ているそれらは、
人生の宝だ。
人はいつも、何かに導かれている。
「ありがとうございました!
またいつか!」
お礼を言いながら再会を約束して、我々はその場を辞する。
高揚した気持ちのまま、何度も大きく手を振って。
振り返り、振り返り...
次の目的地へと。
道はいつも、照らされている。
下呂温泉の道にはこんな子が♪