お花やお祝いを贈って下さった皆様。
お客様、そして応援して下さるすべての皆様に。
本当にありがとうございました!
「何で野毛なの!?」
「何で今なの!?」
10年前。
店を始める時には、色々な人からそう言われた。
東横線の桜木町駅が廃止され、
ちょうど、
『野毛の飲み客が減少しつつある』
と、言われていた頃だ。
ただ、若い経営者の店はチラホラ出てきていて。
それは前述した理由や、
時の流れによる世代交代から、
『家賃も安く、物件が借りやすかった』
という事情も関係したと思われるが、
とにかく、立ち飲みバルの先駆者ともいえる、ある店が、
連日、超満員であることは知られていた。
我々はといえば。
前の職場を辞めたゴンザの、独立を考えたはいいが、
はて、どうしていいか、右も左もわからず。
周囲の皆さんの力を借りながら、試行錯誤の状態であった。
そして、そんな中、不動産屋が見つけてくれたのが、
今の場所だったのであるが、
当時のそこは、
隣はビデオ屋、逆サイドはラーメン屋、
二階はマッサージ店...
さらに、その他の周囲も、
古く、営業しているかどうかもわからないような店舗が多数だった。
実際、我々が紹介を受けた物件も、
トイレは古く、客席は狭く。
だが、逆にそれが、二人で始めるには、ちょうど良くも思えた。
何より資金も少なかったし、
時間もなかったし、で、
手の届く範囲であったその場所に、
ほぼ即決。
急ぎ開店することになり。
一度動き始めれば、あれよあれよと工事は進んで店は完成。
(これは、工事にあたってくれた友人知人のおかげに他ならないが)
『店に立つ』という意味で『ズブの素人』であった私も、
気持ちの準備もへったくれもないまま、
右往左往しつつ、
ひたすら、突き進むことになったのである。
ただ、
「こんなに助けて頂いたのだから、意地でも潰さないように頑張ろう」と。
...そして10年。
何で野毛だったか。
何であの時だったか。
今になってもわからないし、
ひとつ挙げるのなら、運命だったとしか言い様がない。
10年前には、
その数年後に『野毛ブーム』が起こる事も、
店が乱立することも、
そのために家賃の高騰が起こることも、
我々は、まったく予想していなかったのだから。
...さらに今。
あと何年、この店を続けられるかもわからない。
これからどう進んでゆくかも。
ただ、10年続けられた事には、ひたすら感謝だけがあって、
それだけは大きく大きく、さらに確かになってゆく、と。
お世話になったたくさんの方。
足を運んで下さるお客様。
親切に接して下さる、ご近所の方々。
遠くで、近くで、見守って下さる方。
...初めは何もなく、
何も、わからないまま始めた店。
だが、『意地でも潰せない』のには、
その向こうに、
たくさんの方々の顔が見えるから、
という確かな理由があるのだけは、
揺るぎのない事実なのである。