夕方。
ららぽーと内のイトーヨカドーでのことだった。
ふと、懐かしい匂いが漂ってきたのは。
エスカレーターで、衣類売り場の横をすり抜ける際、
一瞬鼻をかすめた、あの匂い。
夏.....ですね。
畑のきゅうりは瑞々しく、トゲトゲ。
あれは.....
昔、母の郷里で嗅いだ、
懐かしい匂いそのままだった。
父の浮気や、
頭のおかしい祖父との同居にまつわるいさかいで、
母が家を出たり入ったりしていた頃。
田舎の小さなデパートで嗅いだ匂い。
そういえばヨーカドーで、こんなものを見つけました。
この箱、この笑顔、懐かしくありませんか?
あの頃母は、働いていたキャバレーの寮に入っていて、
私と妹もそこで一緒に暮らしていた。
母の実家からそう遠くない、小さなアパートで。
彼女が仕事に行く際は、私と妹も一緒についていき、
店の階上にある託児所のような場所で過ごすのが日課だった。
出来上がりは少し色の薄い、ほんのりしょっぱい懐かしいカレー。
具には、畑でとれた野菜をごろごろと。
一旦眠りについて、夜中に起こされ、
母と同じような境遇のホステスと、その子供たちと、
小さなバスで寮まで送られる生活。
または、タクシー代を渡され、妹と二人、子供だけで、
祖父母の家へ行く生活.....。
畑の帰り。
夕陽が川面に映ってきれいでした。
私の思い出には、いつも川。
こんな風に、静かにきらきら。
ときどき母か祖母が、川沿いにあるプールに連れて行ってくれて、
田舎の強烈な暑さの中。
子供用の小さな浅いプールで妹と遊んだ。
たまにはデパートにも連れていってくれて.....
そこで嗅いだのが、あの匂いだ。
エスパー妹と買い物に行って、
一緒に色違いの靴を買いました。
妹は紫、私はピンク。
.....あれは、新しい衣類の匂いだろうか。
今ではもう、デパートとは呼べないほどの小さな建物の中に漂っていた、
清潔で、それでいて、生活と繋がっていたあの匂い。
夏の.....
切ないような、甘いような匂い。
こちらは焼き魚をたんまり食べてご満悦。
この寝顔!よっぽど美味しかったんだね(笑)
歳をとり、記憶が薄れ、
思い出せなくなることも多い中で。
ふと。
こんな風に何かが、ときどきはじけることがある。
いや。
歳をとったから、それは急にはじけるのか。
きっかけは.....
一瞬漂う匂い。
たったそれだけなのに。
様々な記憶が呼び起こされる。
五感と記憶は
膨大な情報量を恐ろしいほどの力で
結びつけてくれるようです。
楽しいことも、そうでなかったことも、
今まで思い出せなかったことも…
で、ワンタッチカレー。
このおっさん顔、懐かしいですね。
昔のカレーって、おっさんがパッケージを飾るタイプって
多かったような気がする。
インドカレーとか、オリエントカレーとか…
懐かしいカレーです。カレーはご馳走だったなー。じゃがいもがゴロゴロしていて、人参も色鮮やかで、サラサラとルーが薄めのカレーでした。
ちゃあこちゃん ホントいい顔して寝ているね。見てる方も幸せにさせる顔だね。
五感というのは脳にかなり直接繋がっているのだなぁと、こんな時に思います。
逆に、あまりに辛すぎる過去は記憶から消し去ったり...
ホント、うまく出来てるような、そうでないような。
人間はやっぱり、本能もかなり頼りにしているのですよねぇ。
で、ワンタッチカレーですよ(笑)
この頃のパッケージって、ホント、考えたら外人さんのおっさんが多いんですよねぇ。
ポッカコーヒーとかもそうですし。
これってなんでなのか、調べてみたら面白いかも♪
そうなんですよね。
例えばそれがかすかでも、匂いって一瞬にして記憶を引き戻すパワーがあって...
脳に隠れた記憶の中で、季節や人や思い出に綿密に結びついているのもすごいですよね。
...カレーも懐かしい匂い。
今ではルーの種類もいっぱいあって、贅沢原料のものも増えましたが、昔のカレーはあまり辛くなくって...
大人も子供もみんなで一緒にワイワイ食べるご馳走というイメージだったような気がします。
そういえば男の人に「おふくろの味は?」と聞くと、「カレー」と答える人も多いと聞きましたが、きっとそこに家族団らんの楽しいイメージが結びついているのもあるのかもしれないですね。
普段はわがまま猫のちゃあこですが、こんな顔で寝ているのを見ると、「うちの子で幸せと思ってくれているのかなぁ」とホッとします。
いなひこ様、いつもありがとうございます。