猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

日伊、夫同盟。

2015年08月04日 16時57分27秒 | イタリア見聞録。

 

あれ?ゴンザが?? 

 


「お前はイタリアにいったい何しに来たんだ!?」

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会を出て、
さて宿に帰ろうと、
拾ったタクシーの運転手がそう叫ぶ。

「さっきからiPhoneばかりにらみつけて。ここはイタリアだぜ!」

「もっと見るものがあるじゃないか!」と。

彼は、助手席に座ったゴンザにそう投げかけたのだが、
確かにゴンザは、自分たちが戻る宿の位置を確かめようと、
iPhoneとにらめっこの最中だった。

なるべく正しく住所を知らせようと、
『日本人らしいきまじめさ』で。

我々が乗り込む際、やや定員オーバーであるのを快く許し、
「おい!そこのピッコリーノ。ココに乗れ!」と、
後部の収納スペースを空けては、一人分の席を確保してくれた彼は、
「日本人か?」と陽気に尋ね、
そうだとわかると、そのままお喋りを続ける。

「ナガトモはジャパニーズキングだよ!」

「ホンダ?ありゃダメだ!バカだな、バカ」

(これは私の意見ではなく、あくまで運ちゃんの申し立てですので悪しからず)

ご贔屓のチームの関係からか、サッカー話に日本を絡め。

こちらはといえば、五人も揃って、さすがに長友の名は知ってはいても、
サッカーに詳しくない面々。

ようやく持っている乏しい知識から、
知っている名前を挙げて、彼との会話を試みる。

「ガットゥーゾは?」

「ガットゥーゾ!?ありゃバカだな!
   ガウガウいってボールを追いかけてるだけの犬だから!」

「まるでうちの女房だよ。ガウガウ!ガウガウ!」

私以外は全員男の車内で、異様に盛り上がる日伊の夫軍。

「さっきiPhoneばっかり見てるなよって言ったけど、
   俺も実は女房に食事中、同じことを言われるんだ。
   アンタ!それじゃ何食べてるかわかんないじゃないの!
   iPhoneばっかり見てさ!ってね」

「まったく、ガウガウガウガウ!犬みたいだよ!」

またまた盛り上がる日伊の夫軍。

私たちが想像するような、陽気なイタリア人像には、
実はそれまで、ほとんど出会うことがなかったが。

彼はその想像のような、楽しいイタリア人だった。

(あとはソレントのノンノね!)

さらにどのタクシーもがそうであったように、
正確に丁寧に、目的地まで送り届けてくれる、誠実な。

最後に、「あなたのオススメのピッツェリアは?」

私がそう尋ねると、彼はいつ書いてくれたのか、
丁寧なメモ書きを降車の際、手渡してくれては、
陽気にさよならを言った。

「チャオ!」

「チャオ!」

今回のミラノ旅の、良い思い出のひとつである。
 
 
 

大事なものはいつもココにある ~ 吸ちゃんが教えてくれたこと ~

2015年08月03日 13時23分41秒 | 吸虫顛末。

 

肺癌と疑われていたあの頃、すべてが大きな意味を持っていた。

 

 

実は、ゴンザの横浜マラソン出場や花見の頃は、
ちょうど『肺癌であろう』と言われていた時期なのだが。

そのことを知っていた友人たちは、
各自が、仕事にプライベートにと忙しい中、連日駆けつけてくれ、
一種、異様な活気を持って、私たち夫婦を励ましてくれていた。

ゴンザの同級生である彼らは、ゴンザに対するのと同じように、
常に私に気さくに優しく接してくれているが、
その時も何くれとなく親切にしてくれては、
笑いやユーモアも交え、支えてくれたものだ。

 

「これが最後なのかな」と、友人M君主催の屋形船から見た桜。

 



私の好物を携えて、毎日のように様子を見に来てくれたTさん。

家族ぐるみで「助けられることがあればなんでも言ってくれ」と、
そばにいて励ましてくれたY家。

息子のYTは、マラソン観戦中、
咳き込む私の背中を優しくさすり続けてくれては、
「大丈夫?」と、気遣ってくれた。

その母のYちゃんは、中国出身だが、私を『日本のお姉ちゃん』だと。

Mくんはただでさえ少ない睡眠時間を削って様子を見に来てくれた。

他にも、Kさん、Sちゃん、Nさん、Hさん、Kちゃん、Mちゃん、Cちゃん、Hちゃん。

同級生たちだけではなく、励まして下さったたくさんの人たち。

 

 

私の大好物、シャンパンやチョコを携えて、
毎日のように様子を見に来てくれたTさん。
忙しいのに...本当にありがとう。

 


今回の『肺癌騒ぎ』の中で、
私は、多くの不安や苦しさに晒されもしたが、
同時に多くのことを学んだ。

これまで、自分がどれだけ恵まれた環境にいたか。

健康がどれだけの宝なのか...
どれだけ自分が幸せか。

『人間嫌い』を自称する、偏屈で狭量な私が、
たくさんの人に囲まれ、優しくして頂くのは、
本当に申し訳なく、心苦しい限りだが、
考えれば、だからこそ、この『騒動』は、私の身に降りかかったのかもしれない。

忘れっぽく、傲慢な私に、『その感謝を、いつまでも忘れないように』と。

 

 

横浜マラソンに前後して、お店の五周年も。
一方では深刻なはずなのに、友人たちやお客様のおかげで、
本当に不思議な活気に満ちてもいました。



癌と言われ、蓋ならぬ、胸を開いてみたら、
あらまあびっくり、寄生虫騒動。

吸ちゃんとはもうすぐお別れだけど、
大事なものは、いつもココにある。

この胸に棲む、吸ちゃんが教えてくれた、たくさんのこと。

3つの傷跡と共に、ずっと残る。

みんなみんなありがとう。

...そして吸ちゃん。

退治しなくちゃならなくて、本当にごめんね。

 

吸ちゃん退治、いよいよ始まりました。

 


世の中には、今も病と闘う人がたくさんいて、
その、誰もの家族や友人が、それぞれ、完治と幸せを祈っている。

みんなが、私にしてくれたのと同じように。

明日も、あなたの家族や友人が、笑顔でありますように。

私も、心から祈っています。

ねぇ、吸ちゃん。