暑い毎日、昨日は蘇芳(すおう)を染めあげました。
蘇芳とはアジア原産の樹木だそうです。
草木染めで黒みを帯びた赤を出そうと思えば蘇芳が一番でしょう。
市販のものはチップ状になっています。
この染色剤を深みのある色にするために、いつも使う糸があります。
それがこれです。左側の糸でタッサー1500d/片という糸で柞蚕糸(さくさんし)です。
日本では長野県で飼育されていて、幼虫は緑色なんですが、糸になると黄褐色です。
右の糸は真綿糸巻スラブ糸です。真っ白でしょう?
タッサーは黄褐色です。この色の差!
精練作業をします
タッサーを40度のお湯に入れて沸騰したら火を止めて30分置きます。
洗いに入ると、ヌルヌルしていますが、もみもみしてぬめりを取り、よく洗ってから、
再び40℃のお湯に入れ、沸騰したら火を止めて30分置きます。
そこで、三度目、真綿糸巻スラブと合わせて40℃のお湯に入れて沸騰したら火を止め
30分置きます。
その間に染め液を作ります。
蘇芳(すおう)を5リットルの水に入れソーダ灰50gを入れて沸騰したら弱火で30分煮ます。
ソーダー灰を入れるのはアルカリをいれて発色するためです。
これを3回繰り返し、合計15リットルの染め液を作ります。
〇 次はミョウバンで先媒染をします。
40℃のお湯に規定の量のミョウバンを熱湯で溶かし入れ、タッサーと真綿糸巻スラブを入れて、
沸騰したら火を止めて30分置きます。
15リットルの半分の量の染め液のphを測ります。ph5~6を目指します。ph11ありました。
そこで酢酸を入れ、またphを測ります。
酢酸を入れることにより 酸で中和して液を弱くするのです。
これがph6です。
この色になったところで、糸を入れて染め出します。
沸騰したら火を止めて翌朝まで置きます。
〇 後媒染は銅媒染します。
残った染め液に真綿リング2綛を入れて沸騰したら火を止めて翌朝まで置きます。
さて、翌朝です。
先媒染のタッサーと真綿糸巻スラブを洗って干し、本日 乾いたものがこれです。
タッサーは下ですが、深みを帯びた赤です!
上の真綿糸巻スラブとは違うでしょう?
〇 後媒染をします。
前日染めた真綿リングを洗って規定の量の酢酸銅を熱湯で溶かしたものを
常温の水に入れ、20分置きます。
洗って、元の染め液に戻して10分おき、洗って乾かしたものがこれです。
銅が活きて、くすんだ赤が染め上がりました。
「オレオレ詐欺」など、いろいろありましたが、蘇芳を染め上げました。
染色は あとひとつです。
そして なんとなくあこがれていた染色の世界 まあこれは 今の私にはとてもムリだと
分かりました。
でも このようにして染められた糸を使って 編み物をすることは可能なので
なんとなく 方向性を見せていただいたようで 力がわいてくるような気がしました。
私は個展で染めた糸を展示して即売も致します。
染めた糸を買ってくださるのは同じ織りをやっている方が多いですが、
編み物の方もいらっしゃいます。
編み物の糸の量が分かりませんが、展示には1綛の長さを書いておきます。
それで判断してお買い求めいただいています。
「作品を通してよいご縁をいただけますように」
と、これは染色仲間の作品展の言葉です。
私も、いつもこのように願っています。