2月19日、再任用「否」の結果を校長から聞きましたが、納得いかず翌20日に大阪府教委を訪れました。応対した教職員室教職人事吉岡参事からは、「勤務実績、勤労意欲、心身の状況等から総合的に判断した」と説明を受けましたが、到底納得できませんでした。志水(辻谷)博子
再任用にあたって、校長は府教委に内申書を提出します。内申書は大きく分けて4つの要素で構成されています。<人事評価>、<懲戒処分の履歴>、<病気休暇・休職の履歴><勤務実績等>の4つです。
吉岡参事が再任用「否」の理由としてあげたのは、校長が記載した内申書の4つ目の項目つまり<勤務実績等>でした。
しかし、校長は日頃から私の「仕事」について評価していると言っていましたので、校長がマイナス評価を記載したとは思えませんでしたが、しばらくは疑心暗鬼にとらわれました。
2月28日再任用審査会議事録のうち私の個人情報に関する部分の開示請求を行いました。
3月14日下記内容が開示されました。これを見て愕然としました。
平成25年度再任用教職員採用審査会議事録
平成25年1月29日(火)開催
◆出席者:教育監(会長)、教育次長(副会長)、教職員室長(委員)、教育振興室長(委員)、市町村教育室長(委員)
案件⑦志水博子
(審査結果)
平成24年度入学式における国歌斉唱時の不起立により、平成24年4月25日戒告処分。この件にかかる研修終了後の意向確認において、今後上司の職務命令に従う意思を示さず、意向確認書の文言を『教育公務員として、日本国憲法を遵守し、その精神に則り、今後も精進を続けていきます。また「子どもの権利条約」をはじめとする国際条約に鑑み、自らの人権、子どもの人権が侵害されることのないように努めます』と修正して提出。
上司の職務命令や組織の規範に従う意識が希薄であり、教育公務員としての適格性が欠如しており、勤務実績が良好であったとみなせない。
以上により総合的に判断して、再任用選考結果を「否」とする。
「意向確認書」初めて聞く言葉でした。しかし、それが、あの折の怪文書を指すのだとピンと来ました。
2012年4月25日、大阪府教育委員会は入学式不起立であったことで、戒告処分をくだしました。その処分伝達が終わり、20分ほどの研修を受け、校長ともども、別室に案内され、そこで奇妙な文書が差し出されました。
A4版1枚の次のような記載内容のペーパーでした。
今後、入学式が卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令には従います。
平成 年 月 日
所属
職・氏名 印
そして、担当官吏は間違いなくこう言ったのです。
「これは提出しても提出しなくても、また文言を変えて提出してもかまいません。どうされますか。」と。
宛先すら記載のない、誠に奇妙は文書であり、そして奇妙なやり取りでした。
次の日から旅行に出る予定をしていた私は、とりあえず持ち帰ることにしました。
そして、旅行から帰ってしばらくして、出すか出さないかの確認がありました。
たとえ職務命令であったとしても国歌斉唱時の起立斉唱をここで誓うことはできません。
しかし、研修を受け、府教委になんらかの態度表明が必要とあらばと、それに文言は変えてもよいと聞かされていましたので、次のように書き校長に提出しました。校長はそれを受け取り府教委に提出しました。
教育公務員として、日本国憲法を遵守し、その精神に則り、今後も精進を続けていきます。また「子どもの権利条約」をはじめとする国際条約に鑑み、自らの人権、子どもの人権が侵害されることのないように努めます
提出後、校長からも府教委からも指導や書き直しを指示されるようなことは一切ありませんでした。
ところが、その1枚の文書が再任用「否」の理由になっていたのです。
率直な気持ちを言えば、これはだまし討ちです。ペテンと言ってもいいでしょう。詐欺と言っても構わないかもしれません。初めから巧みに仕組まれた罠だったのです。こんなことが許されていいものでしょうか。
まず、「意向確認書」とは銘打っていませんでした。おそらく府教委はそれを記載すれば、何の意向を確認するのか?と質問されることを恐れたのでしょう。
そして、出しても出さなくても文言を変えて出してもよいと任意であることを強調しました。これには二つの理由が考えられます。一つは、これを強制すれば「思想改造」を迫る、つまり憲法に違反が後々問題になることを避けたかったのではないでしょうか。もう一つは、それはあまりにも倫理に反することなので考えたくはありませんが、下世話な言葉で言えば「はめる」為に任意であることを強調し出させないように仕向けたとも考えられます。
私は文言を変更しただけで「職務命令は組織の規範の従う意識が希薄」と判断されたわけですが、提出自由と言いながら提出しなければ、同じように判断されたと思われます。つまり、任意と言いながら、不提出や文言を変えた場合の結論は、再任用「否」等予め用意されていたわけです。
こんな詐欺まがいの行為を、苟も大阪の教育行政をつかさどる教育委員会がするなどとは、信じられない思いでいっぱいですが、あまりにも情けない行為だと言わざるを得ません。私たちに必要なのは「対話」なのです。「命令」や「強制」の行く着く先にはこのようなことが起こるのです。
3月19日、再度大阪府教育委員会教職員室教職人事吉岡参事のもとを訪れ、真意を問いたいと思います。