信じられないようなことが起こっています。昨日、東京板橋特別支援が学校で起こったことを見れば、誰だって都教委は常軌を逸していると思われることでしょう。しかし、それでもやる、そこに、この「君が代」強制問題の本質が表れているように思います。何が何でも「君が代」を歌わせる、「君が代」に疑義をつきつける教員や支援者はなりふり構わず弾圧する、「君が代」装置を利用して市民を多数派秩序に取り込み、少数者の声を抑え込めば、確かに、そこに秩序は生まれますが、必ずや少数者は排除されます。私たちは多くの人とこの問題を共有していかなければならないとますます感じています。以下、根津公子さんからの報告をレイバーネットHPより再掲します。背筋が凍りつきました。
田中さんへの強制研修もうやめて!~市民の申し入れに警察官23人
6月10日、田中聡史さんに対し都教委が学校に押しかけての「服務事故再発防止研修」強行した。当日の様子を報告する。(根津公子)
今日は、驚き呆れた、いや、ぞっとすることが2つありました。そのことを含めて時系列で報告します。
河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会と板橋の市民8人は、7時少し過ぎから出勤する職員にチラシを手渡した。
8時を少し過ぎたころ、副校長が主幹と連れ立って、私たちのところにやってきた。手にはビデオカメラと三脚を持って。案の定、主幹はそのカメラを私たちに向けて設置し、録画を始めた。今年の卒業式からすでに3度目のこと。私たちへの脅しのつもりなのか、それとも、都教委にあげる資料とするつもりなのか。
副校長は私たちに、「生徒には配らないでください」と、これも決まり文句。私たちは「なぜ、生徒には配ってはいけないのですか。」「生徒にも知る権利があります」と訊き返したが、返事はせず。目も合わさず。副校長は、私たちの質問には一切答えず、終始、「生徒には配らないでください」を言い続けた。
8時50分頃、校長に面会を申し入れるために、私たちは玄関を入ってすぐの経営企画室・受付窓口に行った。受付名簿に名前を書き、企画室長に、「田中さんの『服務事故再発防止研修』にかか わり、校長にお会いして、要請書を渡したい」と、私たちの一人が言っている横で、副校長が「校長は会わないと言っている。入ってはいけない。出なさい」とわめいている。主幹も一緒にいる。
企画室長は、隣の校長室に行き、すぐに戻って、「校長は、今日は会わないと言っています」。理由を訊いても、「理由はありません」。「理由くらい、訊いてきてください」。そのやり取りをしているにもかかわらず、副校長は「不法侵入、不法滞在です。私は 宣言しました。」と言い、携帯電話を取り出して警察に電話を入れた。「8人が不法侵入、不法滞在」だと電話口で言った。
9時8分、警官がこちらに向かってきた。玄関の中に入った警官は、静かな状態に事態が呑み込めないような様子だった。外にいた人には、制服警官の一人が、躊躇しながら訊ねてきた。「何をしにきているのか」と。「今日ある研修について要請書を渡しに来ている」と答えると、「研修って何のですか」と言う。
「君が代不起立で、同じような研修を5回もこれから毎月やるというので、嫌がらせの研修を辞めてほしいと言う要請書を渡しに来た」と答えていると、私服の警官らしき人たちが、10人ぐらいぞろぞろと入ってきた。その中の女性の私服警官(?)がメモ用紙を持って近づき、同じことを聞き出した。
「あなた、誰ですか?」と聞くと、「警官です」。「先ほど話しました」と言うと、制服警官が「何度も聞きますよ」と言う。また繰り返し同じ説明をする。
*写真=執拗に市民に対して監視ビデオを回す主幹
玄関内では、私服警官の実行部隊トップらしき人物が、「管理者が出ろと言っている。ただちに出なさい。」と威圧するような口調で言った。
玄関の中にも外にも保護者がかなりの人数、居たので、私たちは、門の外に出た。今日は、学校公開日で、保護者や見学者がすでに来校しはじめていたのだった。
外に出て、数えると、制服警官11人、私服(公安かな?)が12人であった。外には、パトカー、警察のワゴン車がそれぞれ2台。
副校長は私たちを監視し続けるためか、一緒に正門前に出てきたが、この事態をどうにかしようとは考えていないよう。
「要請書をお出しになるそうですね。」と今頃になって言い出した。きっと私服警官から、受け取るように言われてきたのだろう。
そうすると、副校長は警察に電話を入れた時点で、私たちが受付に行った理由を知らなかったということなのか。企画室長と私たちが話をしている内容も知らないままに、「追い出せ」という校長の 指示実行に全力を挙げたということだろうか。
「警察に帰ってもらったらどうですか。学校公開日にこれでは、保護者はどう思うでしょうね」「警察に相談してきたらどうですか」と私たちが言うと、副校長は2メートル中にいる私服警官のところに行った。そして、すぐに、制服警官は帰って行った。私服警官は居続ける。副校長は、私たちの指示にも従う人物なのだ。
私たちが副校長に、「校長宛要請書を読み上げるから校長の代わりに聴き、その要請書を校長に渡してほしい」と言って読みあげると、副校長はそれに応じた。
警察に通報するなどという大そうなことをしないで、初めから「校長の代わりに私が受ける」と頭を使えばいいものを、副校長には状況判断もできず、先のことも見えなかったのだろう。
長いこと、校長の指示通りに動くことにしか、神経を使わないできた結果なんだろうと思った。
校門の中にいる私服警官は、私たちがここにいる限り、退散しないだろうと考え、私たちはいったんこの場所を離れることにした。そして、10時半、私たちは再び戻り、校長室で行われている「再発防止研修」を、校長室から1メートルほどしか離れていない公道で監視した。監視と言っても、カーテンが引かれ、中の様子はまったく、分からない。
同「研修」が始まる予定時刻の10時半少し前にも、終了予定時刻の11時半少し前にも、誰かが校長室のカーテンをわずかに動かした。私たちがいることを確認したようだ。プラチナの指輪をした左手がわずかに動いたのを、私は見逃さなかった。校長室にいたのは、田中さんの他には、管理主事ら、都教委4人と校長だ。
11時20分、また、制服警官3名がワゴン車で来て、私たちの近くに停車した。管理主事らが帰るために呼んだのだろうかと思ったが、12時になると、車は立ち去った。
私たちは管理主事らに抗議文を手渡したいと思い、待っていたが、それは果たせず仕舞いで、今日の行動を終えた。
冒頭、驚いたこと2つ、と書きました。警察を呼んだことが一つ。 もう一つは、学校公開日にもかかわらず、「再発防止研修」を最優先したこと。あるいは、都教委が通知してきたこの日の設定に、変更を申し出なかった無責任さ。
学校公開日には、廊下を歩き、授業を見回ることが校長や副校長の仕事のはず。保護者との交流も、そこですべきことでしょう。そのことに専念すべきでしょう。
「君が代」不起立処分「ゼロ」にかける都教委の執念と焦りを、ここに見る。
一つとっても嬉しかったこと。
それは、一人の保護者が「不起立を続ける田中聡史先生がどういう人なのか、インターネットでよく確かめた。この学校に田中先生がいらして、とっても心強いです」と、おっしゃったことです。
その方は、「あのたくさんの人だかりは警官だったのですか?」驚かれていた。この方と出会えて、私たちにとっては、学校公開日が幸いしました…。
田中さんに対する、都教委が押しかけての「再発防止研修」、次回は7月28日(月)14時から15時まで。その間に、校長による同「研修」が毎週のように課せられます。
皆さま、これからでも結構ですので、都教委に●「君が代」不起立処分をやめよ。●「服務事故再発防止研修」をやめよ。と抗議を寄せてください。
*都教委の総務部教育情報課(都民の声を聞く担当):電話 03-5320-6733 FAX03-5388-1726
*人事部職員課:電話 03-5320-6792