都教委は、例年不起立教員を処分すると共に「再発防止研修」と称して、思想転向の「研修」を強要してきたが、それも、2012年の累積加重処分を原則違法とした最高裁判決までは年に1~2回だった。しかし、2012年3月に「再発防止研修」の要綱を改定し、今年、田中さんに対しては、研修センターでの研修が3回、研修センターや経営支援センター(ともに都教委の出先機関)の統括指導主事が学校に出向いての「訪問研修」が4回、さらに学校長の研修が毎週1回(通産20回程度)と、6ヶ月間に計25回にも及ぶ「研修」が課せられた。その内容も、今までは「地方公務員法(服務規律)について」だけだったが、「再発防止研修」の要綱改定後は、「教育における国旗掲揚及び国家斉唱の意義と教育者の責務について」が加わり、思想転向をさらに強要するものになっている。
この「研修」は、また、都教委が、不起立を続ける田中聡史さん、井黒豊さんたち4名に対し、「『反省』の機会を与えたのに『反省』がなく、職務命令違反を繰り返した」と、すなわち、「不起立前後の態度」がよくないとして、さらに重い処分をするために「再発防止研修」を行っているとも考えられる。最高裁判決は、不起立を繰り返すだけでは「懲戒を超える重い処分は違法」としたところ、都教委は2013年以降、田中聡史さんに対し、最高裁判決が違法とした「減給十分の一、一ケ月」処分を発令していることを見れば、それは明白である。また、井黒豊さんに対し行った「減給十分の一、六ケ月」処分を発令したことは、「再発防止研修」とは関係ないが、「不起立前後の態度等」を悪用したものであり、許すことのできないことをここに改めて表明する。