おなじみの渡部秀清さんが、橋下教育改革が大阪の教育をいかに歪めたか、『週間 東洋経済』の特集を報告されています。2回に分けて掲載します。
『週刊 東洋経済』9月20日号の【第1特集】学校が危ない、が話題になっています。
ここでは、以下、とくに大阪の教育に関わるところを一部紹介しておきます。
<ルポ1 先生が辞めていく>から
「大阪府さん、ありがとう」
関西地方に住むある現役教師は、最近、大阪の隣接府県の教育関係者が、こんな本気とも冗談ともつかない「感謝の言葉」を口にしていると聞いて驚いた。
・・・関西地方では、大阪を忌避して隣接府県に流れる現役教師や学生が増えている。
大阪府が教師の“供給源”になっているというのだ。
「始業式で担任の先生を発表できない」
「教師の手当がつかず、2ヶ月間、理科の先生がいない」
大阪の現状は、店員が逃げ出し店舗閉鎖に追い込まれた牛丼チェーン「すき家」を彷彿とさせる。
府内の校長や教頭らから成る大阪府公立学校管理職員協議会が今年2月に実施したアンケート調査結果は衝撃的だ。府内1100校の校長らに尋ねたところ、府内の現役教師が仕事を辞め、他府県で新たに教師になるケースが急増しているという。
2011年度からの3年間で兵庫の15人を筆頭に、奈良、徳島県の各7人など少なくとも39人に上る。しかも、他府県に流出するのは若手教師が多い。28歳(9人)、27歳(8人)、33歳(7人)と、20代後半から30代前半の若手教師ばかり。
・・・大阪府内で勉強時間の取れる非常勤講師を続けながら、大阪府・市の教員採用試験を受験せず、他府県の教師を志望する「教師の卵」も増えている。
実際、大阪府の教員採用試験の志願者数、受験者数は減少。受験倍率も低迷している。
・・「数字は未公表だが、試験合格後の辞退率が上昇し、議会でも問題になった」(同教育委員会)。
・・・「大阪独特の教育の自由のなさが原因だ。
何か事が起こるとすぐに処分、処分と綱紀粛正が図られる。
本来、教育は自由な発想でやるものなのに、・・・。このままでは現場の教師が疲弊してしまう」府内の元中学校長は嘆く。
橋下徹・大阪市長の進める民間人校長の起用策も現場とのあつれきを生んでいる。
「民間人校長を起用するというので、次は校長、と考えていた現場の教頭がかなりやる気をなくした」(元校長)。しかし、2013人4月に起用された11人中6人の民間人校長がすでに不祥事を起こしている。
教育委員会内部にも、吹き荒れる嵐をとりあえずやり過ごそうという雰囲気が漂っているという。「いまは一応、上からの指示に従っておこうという面従腹背の姿勢。次の選挙でトップが変われば、政策も変わるとおもっている」(元校長)・・・・
「降格を望みます」
大阪市では昨年、自らヒラ教員への降格を願い出る教頭が10数人も出た。今年2月にはついに教頭を追加募集する事態に発展。
「こんな例は過去にない」(同市教委)。・・・・・
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これを読んだだけでも、いかに大阪の教育が橋下市長によって破壊されてきたかがわかります。すでに教育委員会も管理職も「やる気」を失っているのです。