以下、大阪市小学校採択のまとめより
大阪市の小中学校採択制度の改悪には5つの特徴がありました。
第1に、選定委員の人選に橋下市長の介入する根拠が制度化されたことです。今年の5月の教育委員会議で「教科書選定委員会規則」を新たに設け、選定委員について「次にあげる者のうちから教育委員会が市長の意見を聴いて任命」と明記し、選定委員の任命に市長が深く関わることとなりました。また、選定委員に区担当理事=橋下市長が選んだ公募区長も含まれることになりました。
さらに採択後に公開された資料を見れば、学識経験者3名のうち2名が、「企業経営の観点からの人材育成」を専門とする人物でした。どのような基準で学識経験者の人選が行われたか、全く明らかにされていません。
これらは、選定委員の人事を通した政治介入そのものであり、教科書採択における教育委員会の独立性を侵害する全国に例を見ない事態です。
第2に、教科書の調査研究の観点(「調査の観点」)が、全面的に大阪教育条例、大阪市教育振興基本計画に従属することになったのです。大阪教育条例と大阪市教育振興計画は、どちらも橋下・維新の会の政治介入の産物です。教科書の評価は、どのような「調査の観点」を設定するかで大きく変わります。教科書の評価を左右する「調査の観点」までが、橋下市長の意向を反映することになったのです。例えば今年の社会科の「調査の観点」には、「我が国の郷土の伝統と文化を尊重し、国や郷土に対する理解と愛情を深めることができるように配慮されているか。」などが追加されました。これが来年もそのまま「調査の観点」となれば、育鵬社の評価が高くなることは必至です。首長の意向を反映して作成された教育振興基本計画に教科書採択を従属させるのは、新手の政治介入方式です。
第3に、学校調査会を完全に空洞化させたことです。大阪市の2010年採択時には、すべての学校に学校調査会を設置し、すべての教員が調査員となり、すべての教科に渡って調査研究していました。学校調査は採択資料の中でも重視されていました。しかし、今年からは学校に学校調査会を設置するものの全教員が参加する必要が無く、全教科について調査する必要もなくなりました。しかも、各教科書会社ごとに文章で「特に優れている点」「特に工夫・配慮を要する点」を報告するだけであり、学校としての採択希望が分からないあいまいな報告となっていました。
第4に、選定委員会「答申」についても候補の教科書を絞ったり順位付けすることをやめました。これは全国的な傾向です。このような「答申」では、教育委員による独断採択に道を開くことになります。
第5に、橋下市長の意向により、次々公募で教育委員が任命され、ついには6名全員が橋下「教育改革」への支持者で占められる事態となったことです。選定委員会「答申」や審議過程を独自に分析すると、評価の高い教科書を読み取ることはできました。しかし、6名の教育委員は、それらの資料とは無関係に、最も高評価の日本文教ではなく、3番手の教育出版を恣意的採択したのです。特に社会については、領土問題と国旗・国歌記述を重視したことが明らかとなっています。
大阪市では、選定委員会の人選についても、選定過程の「調査の観点」についても、最終的に採択を行う教育委員のメンバーについても、橋下市長の意向が強く反映する体制が作り上げられていました。選定委員会「答申」は教科書の優劣を比較したものではなくなり、教育委員のフリーハンドが強まりました。そして実際の採択でも、教育委員は「答申」さえ無視して恣意的に採択を行ったのです。
ご存じですか?橋下市政において、大阪の教科書問題は、黄信号から赤信号へ。政治が決める教科書体制ができつつあります。どうか多くの方々へお願いします。ぜひとも教科書問題に関心をお寄せください。
危ない教科書を子どもたちに渡すな!大阪の会のIさんからのメールを掲載します。
「資料集」は、PDFファイルで約3メガあります。A4で16ページです。以下からダウンロードできます。ご活用ください。また、ご意見、アドバイスなどもお聞かせください。よろしくお願いします。
https://www.data-box.jp/pdir/5dc594ca1f0f4a86a117bc8ceff03421
グループZAZAは、新メンバーである井前弘幸さんを含め12名になりました。
さて、その井前弘幸さんの処分撤回署名ですが、大阪ネット事務局長から進展状況についての報告がありましたので、掲載します。
「日の丸・君が代」
~学校は今、どうなっているか~堺市民集会
◆10月4日(土)18:15~20:45
◆サンスクエア堺 B棟ホール
(JR阪和線堺市駅より徒歩2分)
☆「国旗、国歌、日本を考える 中川村の暮らしから」(お話)
長野県中川村村長曽我逸郎さん
☆処分された教員からのメッセージ
・井前弘幸さん(府立高校教員)
・菅平和さん(元堺工科高校教員)
過去の歴史を見ても、教科書が時の政権に委ねられたとき、教育から自由が失われていきます。教育から自由がなくなったとき、戦争への道はあまりにも簡単に用意されます。これも過去の歴史が物語っているではありませんか。「あぶない教科書を子どもに渡すな!大阪の会」の伊賀さんからの呼びかけです。
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2015年「つくる会」系中学校歴史・公民教科書の採択を阻止するために!
「戦争のできる国民づくりのための教科書はいらない!教科書シンポジウムin大阪(仮称)」実行委員会参加の呼びかけ
「平和・人権・共生」社会実現のために日々奮闘しておられるみなさんに呼びかけます。来年2015年は中学校教科書採択の年です。
2001年から登場した「新しい歴史教科書をつくる会」(「つくる会」)は、分裂後も育鵬社と自由社から歴史と公民教科書を発行してきました。なかでも育鵬社(フジ・産経グループ)は、安倍を先頭とする右派政治家・財界・マスコミ・宗教界の支援を得て、2011年には4%前後の採択を獲得し、2015年には10%(約12万人)の採択を実現すると息巻いています。
今年2014年には小学校教科書採択がおこなわれましたが、「つくる会」系教科書はないにもかかわらず、政府文科省の圧力によって「領土」問題をはじめとして内容が悪化しました。毎年採択の高校教科書は、実教出版日本史教科書を排除する動きが今年も各地でありました。
過去の侵略戦争における加害の事実を否定し“日本人の誇り”を刷り込む歴史教育は、アジア諸国との対立を煽り、いじめ・ヘイトスピーチの温床をつくることにしかなりません。そのうえ個人の権利より国民の義務を優先すべきと教える公民教育によって、「お国のために命を捨てる覚悟」を植えつけられた若者たちが戦場へと送られてしまうのです。この大阪は維新系の首長が多く、しかも教育委員会制度が改悪されて首長が教育行政に介入する条件が整えられた中で、2015年は東大阪市のみでなく「つくる会」系教科書の
採択が大幅に伸びることが予想されます。
11月29日(土)午後、「戦争のできる国民づくりのための教科書はいらない!教科書シンポジウムin大阪(仮称)」を開催したいと思っています。そこには、これまで種々の運動を闘ってこられたみなさんに「平和・人権・共生の精神に反する教科書は許さない」という一点で教科書問題に結集していただき、危機的な状況を突破していきたいと思います。またこの力が安倍政権による憲法改悪と戦争への本格参戦を阻止する大きな力にもつながると確信しています。
多くの団体・個人の皆さんと一緒に「教科書シンポジウム」を作り上げたいと思います。下記の内容で実行委員会を行いたいと思いますので、是非、参加をお願いいたします。
■■■第1回「教科書シンポジウム」実行委員会■■■
□日時:9月29日(月) 19:00~21:00
□場所:エルおおさか 研修室4(6階)
地下鉄谷町線・京阪「天満橋」下車7分
□内容:シンポジウムの内容、運営等
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
メール:text2015@mail.goo.ne.jp