不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Tonno di Chianti

2004-09-14 02:13:49 | Squisito!
tonno_chianti01

さて、ぱっとみて、何に見えますか?

「シーチキンのタマネギ和え」。




私もそうだと信じていたんですけど。
先日、友人とつるんで出かけた
キアンティの小さな街Panzanoでお目にかかったもの。
この一皿を出してくれたのは
トスカーナでは相当有名なお肉やさん。
このお肉やについては次のエントリに書く予定ですが
とにかく芸術・文学に傾倒した肉屋で
その日は若い日本人彫刻家の個展を、
なんと、肉屋で開催中だったのです。

オープニングの料理として出されていたのが上記の一皿。
どう見てもツナなのです。
サーブしてくれたおじさんに尋ねてみたんですよ、私も。
曰く。
「たまになぁ、海からさ、
川を上ってくるのがいるんだよ、マグロ。
でな、その辺の湖で、
ごくごくたまぁに釣れるんだよなぁ。」
湖なんてないじゃん、その周辺にと思い
ちょっと突っ込みを入れたい気分にもなったのですが
まぁね、イタリア人は
池や水溜りくらいのモノでも湖と称すので
その辺は考慮にいれるにしても…。
マグロは川を上らないでしょう。サケじゃあるまいし…。

でもおじさんの目を見ていると
マジでいっているとしか思えないし
それに、目の前にあるのは見るからにツナだし
口にした友人は「ツナだよ、これ」といっているし。
うーん、ツナなのか。

そんなわけはないのです。
トスカーナの山の中、
キアンティでマグロが釣れるわけがない!
それにここは肉屋だ。目を覚ませ!

実はね、ブタさんなのでした。
実際にキアンティのツナ
(Tonno di Chianti)と呼ばれるもので
トスカーナ州でもこれを扱える肉屋さんは
数限られているのだそうで
さすがに超有名な肉屋だけあります、
こんなものまで扱っているとは。感服。
あまりに驚いたのと気恥ずかしいのとで
詳しい製法を尋ねずじまいだったのですが
どうもハムの一種らしいのですけどね。

私もそう聞いてから一口試しに食べてみました。
普段お肉を食べない私ですが、
ハムの一種と訊けばまだ食べられる。
見た目はツナだし!
言われてみればブタさんかもしれないけれど
言われなければツナだと思って食べつづけると思う。
そういうお味でした。美味しかったですよ。
ちょっと赤身のところはブタさんっぽく
白身のところはまさにツナです。

きっと高級食材だったんだろうなぁ。