不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Michelangelo in moda (Battaglia di Cascina)

2004-09-23 13:23:45 | アート・文化
まだ若かったミケランジェロは
しばらくのローマ滞在のあと、
ようやく政権が安定したフィレンツェに戻ってきて
「ダヴィデ」像の依頼を受けています。
この作品が完成した1504年に
次の大きな作品依頼が彼の元に舞い込んできます。
これが「Battaglia di Cascina」。
Palazzo Vecchio(ヴェッキオ宮殿)に
描かれる予定のフレスコ画。
しかも、この「カッシナの戦い」と一緒に描かれるのは
「アンギアーリの戦い」で
そちらは前年に
レオナルドに依頼が出されていたもの。
当時レオナルドは既に有名な一流画家であり、
それに比べてミケランジェロはまだまだ駆け出し。
この二人の間にも確執が生まれたようですが、
まぁ、とにかく、そんなわけで
ミケランジェロは大先輩と張り合うような
大きな仕事を手にしたのです。

残念ながら、どちらの作品も完成せずじまい。
レオナルドはこの作品で
新たなフレスコ画手法を試していたのだけれど
それがうまくいかなかったために断念。
(まぁ、彼の場合は
軍事機器とかの開発にも明け暮れていたので
ほとんど未完成の作品ばっかりですけど)
ミケランジェロはカルトン(下絵)を
完成させてはいるものの
1505年にユリウス二世に召喚されて
ローマに行ってしまうので、結局本作を描かずじまい。

この下絵を描くにあたり
レオナルドには先にサンタ・マリア・ノヴェッラ教会付属の
教皇の部屋(Sala di Papa')が与えられていました。
それに対して、作品を描くときには
常に外界との接触を絶って
広い空間で孤独に描きたがったミケランジェロには
人通りの少ない、街外れの
ある建物の部屋が貸し出されることに。

その部屋がまさに今回”発見”された文書にある、
Via Malcontentiにあった建物の一室。
「染物組合信心会教会付属病院内の大部屋」。
貸し出しの許可が下りているのは
1504年9月22日。
おそらくその日から
ミケランジェロはそこで作業をはじめているわけです。

ところで、毎年2月2日の重要なお祭の際には
信心会ではキャンドルの配布サービスを
この大部屋を使って行なっていたのだそう。
ただし、
「1505年2月にはこの部屋での
キャンドル配布をとりやめる」
という文書も確認されています。
つまりその時期には
まだミケランジェロがその部屋を使用していたのですね。

古文書って読み解いたら
面白い事実がいっぱい隠されているんでしょうね。

今年はミケランジェロついている年。
(なのでタイトルはMichelangelo in moda)。
ダヴィデ像の完成から500周年。
ミケランジェロ作と確定された木像キリスト磔刑の公開。
そして今回の古文書の発見。
500年という時の流れは
短くもあり、長くもあり。
この街では、まだまだ我々の知らない事実が
これからも発掘されるのでしょう。
フィレンツェってやっぱり面白い街だ。


Michelangelo in moda

2004-09-23 12:48:56 | アート・文化
「1504年9月22日、
染物職人組合(信心会)の組合長より
ミケランジェロ・ブオナロッティ殿へ
同信心会教会付属の大部屋の
貸し出し許可が出される」

この文章、たいしたことないのですが、
こんな文書が今頃(500年経って)見つかったのです。

文書自体はずっとこの染物組合の信心会が
保管していたものらしいのですが、
度重なる引っ越しの際に重くなり、
ある日とうとう売り飛ばしたらしい。
で、変遷を経て、
フィレンツェで美術史の教鞭をとりながら
古美術品の収集を続けていたイギリス人・ホーン氏が
どこぞやの競売で落札。
現在のホーン美術館のある建物の
1階部分に保管していたらしいのですが
1966年のアルノ洪水の時に浸水。
紛失の難を逃れた古文書の山は乾かされて
1974年になって
当時のホーン財団会長の要望で
美術史研究家にその研究調査の依頼が出され
初めてこの文書を含んだ
約800冊の古文書ノートが日の目を見ることに。

それから月日は流れ。
500年前の文書に
なにか大事なことが記載されていると発覚。

1504年9月22日付の文書。
ということで
記念すべき500年後の2004年9月22日に
ホーン美術館にて
この調査結果の会見が開かれました。
某スローフーダー兼美術史研究家の友人が
この会見に招待されていたのですが、
のっぴきならない用事で出席できないので、
代わりにいってこいということになり。

あまり大きな会見ではなかったけれど、
3人の研究者筋の方からの説明。

最初の二人の話はとても面白かった。
一人目はこの文書自体に触れて事実の確認、
二人目は建築家で建築的側面から
その「貸し出された部屋」の説明。
で、三人目はたぶんきっと偉い人だろうけど、
非常に聞きづらい口調であるのと
その上、発表途中でこのおじさま
興奮のあまりマイクを握り締め
そのスイッチを切ってしまったので、全く聞こえず…。
その時点で会見に出席していたほとんどの人が
彼の演説に興味を失ったのは言うまでもなく
マイクのスイッチが切れているのではという
美術館館長の指摘に会場はどよめき、
後ろのほうではブーイングも。
マイクのスイッチが入れられても
会場が熱くなりすぎていて集中できないし…。
ということで悪いけれど、
3人目のおじさまの話は
ほとんど聞いておりませんでした、私。

続く



Gelato(こうさぎ)

2004-09-23 03:14:42 | インポート
きょうalbero4の、情報は更新した。
きのう、フィレンツェに鼻水がタバッキするはずだったみたい。
きのうJellyFishが、久しぶりもタバッキするはずだったの。
JellyFishは、albero4の鼻水とか許可したかったの♪
きょうJellyFishは天気は申請するつもりだった。
albero4は、
フィレンツェはひと雨毎に涼しくなってきています。
もうすっかり秋の気配の漂うこの

といってました。

*このエントリは、こうさぎの「JellyFish」が書きました。