不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il concerto alla Piazza Signoria

2005-07-08 22:35:50 | アート・文化
夏のフィレンツェはイベントが山盛り。


今年の夏は2割くらいのフィレンツェ人が
ヴァカンスを断念してフィレンツェに残るのだそうだ。
みんな貧迫した生活を送っているのだ・・・。

そんなわけでというわけではないけれど、
無料コンサートイベントも目白押し。
その中でも目玉中の目玉が
ズービン・メータが指揮を執る
マッジョ・ムジカーレ(Maggio Musicale
の「ベートーヴェン交響曲第9番」。

ランツィのロッジャ(修復中なのがいただけない)を
バックに組まれた舞台。
素敵なシチュエーションでメジャーなクラシック音楽。
そして、観光都市には人がいっぱい。
ヴァカンスにいけないフィレンツェ人もいっぱい!
人が集まらないはずがない!

21:00開始予定のコンサート。
もちろん時間通りに始まるわけがないのですが、
20:30過ぎに会場となるPiazza Signoriaに行ってみると、
すでにかなりの人出。
準備のいい人はちゃんと折りたたみ椅子持参!
みんな場所取りに必死。
そんな人々を気にもせず
普段着で椅子に半分腰掛けて
ラフに指揮棒を振るおっさん発見。
あれが世界に名だたるズービン・メータか。
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「豚に真珠」、「馬の耳に念仏」と同じくらい
「オマタにクラシック音楽」な状態の私は
ズービン・メータ(Zubin Mehta)が
1936年4月29日にインドのボンベイで生また指揮者だ
ということくらいしか知らない。
彼の華々しい経歴など、まったくわからないのですが
この日ラフな姿を見て
妙に親近感のもてるおっさんだと思ったのでした(笑)。

重要人物でもあるので、
彼の楽屋はPalazzo Vecchio内。
そこに移動するのもあまり警備もされないまま、
ふらぁと歩いていきました。
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しばらくPalazzo Vecchioの前でお知り合いの皆さんと
親しげに話をしていたのですが
やがて宮殿内に姿を消し、
次に現れたときはフィレンツェ市長(Domenici氏)と共に。
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とてもいいタイミングでいい場所にいたのに、
写真ぼけました。(泣)


舞台上で市長挨拶。
前日のロンドン市内テロを受けて
彼の挨拶の中にもテロに対する怒りが滲んでいました。
それを聞きながら、感動すると共に、
今その瞬間に、どこから狙われてもおかしくない
自分たちの状況にはっとしたのでした。

屋外の明け広げられた空間に山のような人。
そして、フィレンツェ市庁舎は目の前、
ついでに美術品の宝庫ウフィツィも目と鼻の先、
フィレンツェ市長は世界に有名な指揮者と
イギリス領事と共に公衆の面前にさらされている。
そして、あまりにも無防備…。
厳戒に警備されているという感じがまったくない。
今狙われたら終わりです、という状況。
いいのかな…。

No al Terrorismo! No alla Violenza!
シラーの喜びの歌が
その場に適しているのかどうかという話も含めて
観衆をあっという間にひとつにして
感動させた市長、偉い!
そして当然のごとくこのコンサートは
テロの犠牲となったロンドンと
ロンドン市民に捧げられたのでした。

コンサート自体も非常にすばらしいものでした。
石造りの広場と周辺の建物は自然の音響装置としても十分。
ただ力強いだけだと思い込んでいた第九のやわらかさも
感じられて、私には大収穫。
音楽的に何もベースがなくても、本物に触れた感じが残る音楽。
感動する音楽というのはそういうものなのですね。

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ponnoかずちゃんのイタリア・フィレンツェ日記
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