不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Morale di una persona

2005-10-27 23:38:00 | 日記・エッセイ・コラム
うちの下の階に住むイタリア人女性は
かなぁリきつい性格。
でも動物愛護の精神は篤く
うちの下に引っ越してきて早々、
保健所に引き取られていたという
メスのシェパードを自宅に迎えていた。
そのとき既に高齢だったそのシェパード、
今では階段の上り下りも億劫なくらい足腰が弱ってしまった。

ビリーと散歩の時間が重なるので
朝に晩に階段ですれ違ったりするけれど
おばあちゃん犬は恨めしそうな顔で
休み休み階段を進んでいく。

ここ二週間くらい階段のあちこちに水溜りができていて
どこかから雨漏りしているのかと思ったりしたけれど
到底雨漏りの可能性のないようなところにも水溜り。

今朝は下の大扉の前のポスト周辺に
大きな水溜りができていて
モワッと異臭を放っていた。
それで確信。

おばあちゃんシェパードのおしっこなのだ。
大型犬だけに量も半端じゃない。

きっと我慢しきれずに階段で粗相してしまうのだろうけど。
結構臭うのに、そのまま放置されている…。

件のシェパードの飼い主である性格のきつぅい女性は
かつて他のワンコ(やはり老犬だった)が
粗相をしたとき
犯人がわかる前には、ビリーを徹底的に疑い
その飼い主である私を罵倒して
近所の人にも結構ひどいことを言ってくれた。
一瞬人種差別によるものかと思ったくらい。
しかし、その粗相の犯人がビリーではないことが判明したら
ビリーにも私にもごめんなさいの一言もなく
更にめちゃくちゃ怒りまくって真犯人に抗議して、
飼い主のおばあちゃんに階段掃除まで言い渡したのだ。

何でそこまでと思った。
一方で保健所から身寄りのないシェパードを引き取り
もう一方ではおばあちゃんに階段掃除を言い渡す。
二重人格なのかなぁと思うくらい、
彼女には裏と表の顔がある。
それは普段の何気ない挨拶でも感じられるのだけど。
気分のいいときはにこやかな女神のようで
ご機嫌斜めのときは
他人の存在さえ認識する気のない仏頂面。

数年経った今
実際彼女自身がそのおばあちゃんの立場にあるわけなのだ。
しかし、近所の人は誰も文句を言わないし
(文句を言いたくても、ここ数日
彼女は不規則なシフトで働いているらしく
あまり見かけないのだけど)
当の本人は水溜りをまるきり無視しているようなのだ。

自分が被害者だったときには猛烈に抗議していたのに。

ワンコが年をとって粗相をすることは仕方のないこと。
誰もそれを責めるわけじゃない。
問題はそういう状況にあるワンコを
きちんと面倒見て
粗相しないくらいの間隔で
きちんとトイレに連れ出してあげるようにするのが
飼い主の役目だし、
万が一階段で粗相しても責任もってきれいにすれば
誰も不快な気持ちにならなくてすむのに。

夜遅く戻ってきてビリーの散歩に出かけたら
彼女が老シェパードと一緒に外から戻ってくるところだった。
そこで一言、
「今日下の大扉のところでお宅のワンちゃんが粗相しませんでした?
雨の季節で空気がこもって結構臭うし、
不衛生だし、掃除したほうがいいんじゃない?」といってみた。

彼女の答え。
「今朝私は4時からシフトに入っていたから
朝の散歩はドッグシッターに頼んであったの。
ドッグシッターからは何の報告も受けていないし
万が一うちのワンコの粗相だとしても
私じゃなくてドッグシッターが掃除するべきだわ。」

呆然。
誰が飼い主なのさ・・・。

ビリーが年老いて粗相するようになっても
きちんと面倒見て、
ビリーも近所の人も
嫌な思いしないように気をつけようと思ったのでした。

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