不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Non ho rifiutato mica

2007-02-06 16:55:41 | 日記・エッセイ・コラム

Amazonのお世話になっております。
1月中には神様のDVDやらCDやらが発売になったので
ついでにアン・ルイスのCD&DVDも購入して
フィレンツェの自宅宛に配送依頼。

これまで何度もお願いしていて
一回も問題なんか起きたことなかったのにね。
Amazonからメールが届いていて
「関税支払いを拒否しているためお届けできません」って。

あの、言っておきますけど、
私は自分で欲しくて購入したものに対しての関税を
拒否したことなんか一度もありません。
早く手元に届けと願っているものを
なぜ自分から進んで拒否したりするものですか。

通常DHLが配送してくるのですが、
自宅のポストには一切通知も何も入っていない!!
それなのに何で私が拒否したことになっているわけ?
呆れてものも言えません。
しかも金曜日と月曜日に
「関税支払い拒否」したことになっているらしいです。

もう、またこれで明日やる仕事がひとつ増えたじゃないか…。
こういうシステムの周りの悪さがイタリアだとは思うし
それに慣れてはいるけれど、重なると疲れます。

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La Nativita con i Santi Lorenzo e Francesco

2007-02-06 00:18:15 | アート・文化

1969年10月18日。いつもと変わらぬ土曜日の午後3時。
パレルモのサン・ロレンツォ祈祷所に
日曜日のミサの準備のためにやってきた
二人の年老いたシスターは
大変なことが起きたことに気づきます。
1609年から祈祷所に飾られていた
カラヴァッジョの「キリスト生誕と聖ロレンツォと聖フランチェスコ」が
(「La Nativita con i santi Lorenzo e Francesco」Caravaggio作)
忽然と姿を消していたのです。
この祈祷所は長いこと管理人不在で
この年老いたシスターが信仰心だけで
掃除やミサの準備をしており、
一週間のほとんどは締め切りで人の出入りはほとんどなし。
その上入り口のドアは粗末な鍵がつけられているだけ。
盗む側にしてみれば、
あまりにも無防備に放置されたお宝だったわけです。
シスターはすぐに祈祷所の神父さんと
パレルモの美術監督局に連絡。
警察への連絡が遅れたのも
犯人取り逃がしの原因といわれています。

そのまま37年間
このカラヴァッジョの傑作の行方はわからぬまま。
途中1971年には身代金要求があったとか
1980年11月24日には
引渡しの約束が取り付けられていたものの
その前日に指定場所一帯(Laviano)が地震の被害に遭い
瓦礫の下に消えたかと言われたこともありました。
またこの傑作が盗難に遭ったのがパレルモだけに
マフィア絡みである可能性も非常に高いのは事実で
1995年にはAndreottiの裁判中に
改悛したFrancesco Marinoが自分が盗んだと供述。
盗み出した際に持ち運びに便利なようにと
額縁から外したらしいのですが
その切り離し作業に、なんと髭剃り用かみそりを使ったらしく
保存状態が悪く、買い取り先に断られたため
価値がなくなったと判断して損壊したとも供述しています。
この辺りがマフィアの仕業にしては
手落ちだと感じられもするわけですが
供述内容が正しいかどうかは判断つきかねます。
そもそも1992年に「反マフィア」法が成立してから
イタリア国家を相手に
この法の改正を巡って取引をしているマフィアが
その取引の重要な鍵である盗難芸術作品を
むやみやたらに破壊するとは考えにくく、
現在も無傷のままマフィアの掌中にあるとも言われています。
とにかくこの絵画を巡っては
さまざまな憶測が飛び交っているのです。

まだ見ぬ幻の傑作。
いつか無事に公の場に戻ってくるとよいのですが。
ただでさえ作品数の少ないカラヴァッジョ。
見ることができないと思うと、恋心が募るのですよね。

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