不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Lettere da Iwo Jima

2007-02-26 06:33:00 | 映画

アカデミー受賞ならず、残念でしたね「硫黄島からの手紙」。

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イタリアでは通常海外の映画は全編イタリア語吹き替えですが
この作品は日本語オリジナルのイタリア語字幕付
それを知らずに観に行った一回目はちょっと驚いた。

イタリア語と日本語の文法的構造の違いで
字幕を見ているイタリア人のほうが早く反応するという
微妙なタイムラグを楽しんだり、
字幕と日本語を比べたりしているうちに
詳細をつかめなくなって、一回目の鑑賞は終わり。

それでも一回目に観た時の
なんとも言えない心の苦しさと衝撃は相当なものでした。

日本で暮らす日本人が観るのと
海外で暮らす日本人が観るのとでは
かなり違う印象になるだろうなというのもあるし、
私自身「天皇万歳」に大いに賛成できない部分があり
アメリカ艦隊がサイパン沖を出て進軍してきたのを受けて
士気を挙げるために栗林中将が指揮をとる
最初の天皇万歳のシーンで一人大きく首を振ってしまい
あとで隣のイタリア人に説明を請われたりもしました。
そのほかにも日本人であるからこそ
素直に受け入れられないシーンはいくらでもあり
それにいちいち反応している映画館の中の日本人を
周りのイタリア人は相当不思議に思ったらしい。

圧倒的不利の中、負ける戦いとわかっていて
二度と帰ることがないと承知していて戦い続ける日本兵の
本当の意味での心の機微は
日本人以外の人にどこまで理解されるのかな?
日本人でありながら遠い戦争の時代を生きた彼らの
本当の気持ちが私にはもう理解できないのだから
イタリア人にはなおさら難しいことのように思います。

戦争映画ではなくヒューマン映画であるのは確か。
ひたむきさに感動するだけでなく、
日本人であることを再度考えさせられるいい機会でもありました。

2回観ても今なお疑問点がいくつか。
本当にこの手紙って発見されたの?
発見されたのだとしたら本当はいつ発見されたの?
映画の冒頭では2005年ってことになっていますが。
ずっと栗林中将に反発していた林の最期ってどうなったの?
戦場で「ジョニー・ウォーカー」って飲んでよかったの?

一番理解できなかったのは伊藤中尉の最期なんだけど。

まだまだ奥深くて理解しきれないので
もう一回くらい劇場で観るような気がします。

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