不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Correggio e l'antico

2008-09-02 10:09:56 | アート・文化

Antonio Allegri(アントニオ・アッレーグリ)は
エミリア・ロマーニャ州の小さな街Correggio
(コッレッジョ)で生まれた繊細な画家で
通常は生地の名を冠してコッレッジョと呼ばれています。
彼の特に若いころについての詳細の記録は少なく、
実際にどのような修行を積んでいるのか
明らかになっていない部分も多いのですが
叔父や従兄弟も画家であったこと、
晩年のMantegna(マンテーニャ)に
従事していたことがわかっています。
師匠の死に際し
Mantova(マントヴァ)のChiesa Di S.Andrea
(サンタンドレア教会)のマンテーニャの墓碑を祭る
礼拝堂の絵画も手がけています。
また当時の画家たちにとって
欠かせないといわれたローマへの旅にも出かけており
そして、かの地での古典の研究と
技術の習得をしたといわれています。
このローマでの古典とのふれあいをテーマにした展覧会が
ローマのボルゲーゼ美術館で9月14日まで開催されています。

当時の「古典」といわれる
古代ギリシャや古代ローマの彫刻などだけでなく
ラファエロやミケランジェロなどが確立していた
新しい絵画技術に触れることも
当時の画家にとっては、ローマへの旅の意味するところでした。
ローマでそうした作品に触れ、
コレッジョも自分の画風に新しい技術を取り入れていきます。

女性の柔らかでたおやかな表情、
今にも揺れそうな軽さをもった髪の表現など
彼の作品はどれも非常にやわらかく、繊細で、
光線の扱いが特別にうまく
「空気(アリア)を描く画家」と評されるほど、
その空間の表現力に長けています。

そうした彼の代表作の絵画、デッサン、
そして関連する古典作品を約60点集めた
ローマで初めてのコレッジョ展となります。
マントヴァのFederico Gonzaga
(フェデリコ・ゴンザガ)の命で作製された
コレッジョ晩年の作品であり、
傑作といわれる「Amori Di Giove」の4点も
一堂に集められているので必見です。

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ダナエと金の雨に姿を変えたゼウス

Danae(ダナエ)、Leda(レダ)、
Ganimede(ガニメデ)、Io(イオ)を相手に
それぞれ姿を変えて愛を表現するGiove(ジョヴェ:ゼウス)。
この4作のうち「レダと白鳥」のみはコピーの展示となっています。

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レダと白鳥に姿を変えたゼウス

実はコレッジョがローマに旅したという
はっきりした記録は残っていません。
しかし、ローマを訪れたからこそ起こったであろう
彼の作風の変化や成熟性が展示作品の中に見られるように
昨今の美術評論家はほぼ1500年代初めの
コレッジョのローマ訪問を確信しています。
このボルゲーゼ美術館でのコレッジョ展は
改めてそうした流れを確証するものとなっています。

Correggio e l'antico
会期:2008年9月14日まで
会場:Galleria Borghese(ボルゲーゼ美術館) ローマ
開館時間:9:00-19:00(2時間毎の完全入れ替え・完全予約制)
入館料:13,50ユーロ(通常展示・特別展料金含む)
詳細インフォメーション: http://www.correggioelantico.it