不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Riapertura comoleta del Palazzo Davanzati

2009-06-16 00:10:21 | アート・文化

共和国広場からやや南西にある宮殿で
1300年代のフィレンツェの
住居建築のモデルといわれるダヴァンツァーティ宮殿。
1300年代半ばにフィレンツェの富裕商人ダヴィッツィ家
(Davizzi)によって建てられたもの。
1516年には両替商バルトリーニ家に(Bartolini)売却され、
1578年に富裕商人であるベルナルド・ダヴァンツァーティ
(Bernardo Davanzati)が購入し、その名を今も残しています。

ベルナルド・ダヴァンツァーティは
当時の商人がほとんどそうであったように
裕福な商人である一方、文化保護に力を注ぎ、
自らも文学的教養の豊かな人物でした。
オリジナルの建築では中世の塔建築の趣を残し、
狭間胸壁であった3階部分を屋上テラスに改築し、
正面ファサードに
ダヴァンツァーティの紋章を掲げたのも彼でした。

1700年代の終わりにはこの宮殿に
ルイジ・ケルビーニ(Luigi Cherubini)や
ピエトロ・ナルディーニ(Pietro Nardini)も加盟していた
音楽アカデミー(Accademia degli Armonici)がおかれたため
活気に溢れていました。

1838年、ダヴァンツァーティの最後の相続者であるカルロが
自ら命を絶つまで一族の所有となっていました。
カルロの死後、
宮殿は区分され、それぞれに改装が行われました。

1800年代のフィレンツェ中心地区の
取り壊し計画から免れた宮殿は
1904年に古物商エリア・ヴォルピ
(Elia Volpi)によって買い取られ、
オリジナルに近い形へ戻す修復工事が続けられ
1300年代風に内装も整えられていきました。
1910年には初めてプライベート美術館
「フィレンツェ・アンティーク住居」として一般に公開されています。
このときから海外の収集家や旅行者に非常に愛され
この宮殿の内装をヒントに
自宅を改装する人も多くいたといわれています。

しかし1924年には宮殿の家財道具一式は再び売却され
エジプト出身の古物商ヴィターレ・ベングイャット
(Vitale Bengujat)の手に渡り、
宮殿自体も1926年に彼に売却されています。
ベングイャットの所有となった家財道具一式は1934年には
競売にかけられSpanish Art Galleryの所有となりました。

1951年にようやくイタリア政府が宮殿を買い取り
フィレンツェのほかの美術館所蔵の絵画、家具調度品や
プライベートコレクションからの寄付などで作品を集め
ようやく本格的に美術館としての機能を持たせることになりました。
1956年に個人の住居の佇まいを再現する形で
美術館としてリニューアルオープンしています。

1995年から建築構造補強のために長らく閉館となり、
2005年に地階、1階部分が公開され、
2007年に2階部分と段階的に公開され、
ようやく2009年6月11日より地下のワイン貯蔵庫や
屋上テラスも含め完全公開となりました。

外観の調和があまり取れていないため
建築物としての評価はいつの時代も低く、
観光客の目にも留まらない地味な宮殿ですが、
内部の装飾や、調度品などは1300年代から1500年代の
フィレンツェの人々の暮らしを知るための貴重な資料として
高く評価されています。

2階3階部分の階段の勾配がきつく
危険を伴う可能性があるため
個人での自由見学は禁止されています。
入場者がある程度集まったところで
10:00、11:00、12:00に係員の引率でのグループ移動となります。

Museo Palazzo Davanzati
Via Porta Rossa 13 Firenze
開館時間:8:15-13:50
休館日:第2・第4日曜日、第1・第3・第5月曜日、
             1月1日、5月1日、12月25日
入場料:無料

係員不足のため、
時に(突然)公開されない部屋などがあるようですが
入場無料なのでその辺はまぁ多めにみるということで。