不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Progetto Firenze Card

2009-06-23 07:00:46 | アート・文化

ローマに数年前から導入されている「ローマ・パス」や
他のヨーロッパ各都市で導入されているような
美術館共通入場券と市内交通を組み合わせた
お得なカードはフィレンツェには存在していません。

フィレンツェには世界的にも有名なウフィツィ美術館や
アカデミア美術館をはじめ国が経営管理を行う美術館と、
パラッツォ・ヴェッキオをはじめとする
フィレンツェ市が管理する美術館、
そしてサンタ・クローチェやサンタ・マリア・ノヴェッラなど
教会付属の美術館、
それからストロッツィ宮殿やスティッベルト美術館など
単体で運営を行うものまで
形態の異なる数多くの美術館が散在しています。

観光都市フィレンツェの重要な観光資源である
こうした美術館の季節的な入場者数のバランス調整をはかり、
また入場者数の著しい偏りによる
長蛇の列を解消することを目的に
有名な美術館の陰に隠れてしまいがちな
小さな良質の美術館にも足を運んでもらえるような工夫を、
ということで始まったプロジェクト。

プロジェクト自体は2005年から討議され、
様々な検証が続けられていますが、
ようやく2009年年内中にフィレンツェ・カード(名称未定)が
導入される運びとなったようです。
当初のプロジェクトでは国立美術館も含まれる予定でしたが、
とりあえずウフィツィ美術館などの
国立美術館抜きでのスタートとなります。

カードは2タイプあり、48時間有効のツーリスト用は
市内36箇所の美術館への共通入場と
期間中の市内交通機関乗り放題で20,00ユーロ。
一方在住者・市民用は1年間有効で
交通機関利用を含まない
対象美術館入場のみで50,00ユーロ。

ヴェッキオ宮殿、ダンテの家、スティッベルト美術館、
科学博物館、アリナーリ写真美術館、ストロッツィ宮殿、
サンタ・クローチェ教会、
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、ブランカッチ礼拝堂などが
対象美術館となります。

のちのちは国立美術館が賛同して
名を連ねることが期待されていますが、
そちらはそちらで別の共通入場券を導入する
プロジェクトも進んでおり
実際には一枚のカードで
フィレンツェのすべての美術館を網羅するのは
難しいのではないかと思われます。

インフォメーション・オフィスや
主要ホテルでの販売が予定されています。

改善点もまだまだあり、
実際の導入までにはもう少し時間がかかりそうですが、
こうした動きが古い体制で縛られている
フィレンツェの観光業に
一石を投じる結果となればよいのではないかと思います。

Matteo Renziがフィレンツェ新市長に当選したことだし、
ちょっとづつフィレンツェが変わりそうなほのかな予感。