不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Controllori ed immigrati

2009-07-04 23:18:00 | 日記・エッセイ・コラム

今日も一日ばたばたと動き回りました。

ちょっと移動することが多かったので、
珍しく何回かバスに乗りました。

実は夏のフィレンツェの市バスほど不快な乗り物はないので
できるだけ利用しないように避けて、
歩いて移動しているのですが
暑さと荷物の重さに負けて仕方なしにバス利用。

今の季節は特に学生もいないし、
土曜日なので、イタリア人は海かプールに行ったらしく
乗っているのはほとんど外国人。

毎日乗るものじゃないので、定期もいらないけど
思ったときにすぐ乗れるように
電子チケット20回券を手帳に入れておいて使っています。

何回目かに乗ったときに
チケットコントロールの係員が乗車してきました。

コントロール係員は常に私服で、
バスに乗り込んでドアが閉まり、発車すると同時に
胸に身分証明のカードをおもむろにつけてお仕事を開始します。

こうすることで、
無賃乗車で逃げようとする人物に
検札が入っていることを悟られないようにしているわけです。

まぁ、いつものことなのですが、前後両方から攻め込まれ、
チケットもっていない人はその場で罰金処分。

いつもなら電子チケットもいちいち機械に通して
ちゃんと刻印されているかどうかチェックするのですが、
今回は電子チケット見せた人はそのままスルーパス。
これもどうかと思うけど。
電子チケットをもっているだけで
刻印していない人も中にはいるかもしれないのに。

ともかく、
彼らの標的は「絶対にチケットをもっていない人」なので
電子チケット持っている時点である意味免除されているようです。

標的に向かってずんずん進んでいき、
つかまったのはセネガル人の物売り3人組。
そのうちの2名はチケット持っていたのですが
一人が無賃乗車であることが判明。

セネガル人の物売りは身分証明書の提示もできず
検札のオヤジ2人組は怒り狂い、
身分証明ができないならカラビニエーリを呼ぶと脅し、
散々もめているうちに次の停留所に到着。

3人組のうちの一人がこっそり気づかれないように
捕まっている彼に刻印されているチケットを渡して
自分は停留所で下りていきました。
友情の証かな。

しかし、検札のオヤジは抜けているようで鋭く
そのチケット手渡しをしっかりと見ておりました。

だからなおさら怒りまくり、
人からもらったチケットを見せたところで
お前の無賃乗車には変わりないと怒鳴り
友人から受け取ったチケットを
その場で切り裂いてしまいました。

そこまでしなくてもと思ったけれど、
確かに無賃乗車はいけないことだし、
どうせ彼らは常習犯なので
たまにはきちんと処分されるべきなのです。
しかし人間として最低の権利は守られるべきだと思うので
検札のオヤジも頭ごなしに怒鳴りつけて
周りの人までいやな気分にするのはやめてほしいなぁ。

こういう光景を見て
絶対に「当然よ」というイタリア人のご婦人がいることにも驚き。
どうみても検札係員の態度が行きすぎだった場合でも
彼らは正義の味方、悪いのは外国人。

まぁね、所詮そんなものです。
夏の暑さ(ちなみに37度でした)の上に、
不快なものを見てしまったので
なんだかぐったりした土曜日。

イタリア人の無賃乗車に対しても
同じように悪態ついて取り締まろうよ、どうせなら。