不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Trattamento all'Ufficio pubblico 2

2009-07-23 09:43:40 | 日記・エッセイ・コラム

会社の手続きでなかったら
もうとっくに挫折しているか
大喧嘩しているような状況。

前回のお話はこちら

目的の部署に行き着くまでにかなりのダメージを受け
へとへとになりながらも
また「2階の左の秘書室」をめがけて階段を上り
列に並んでいる人々の非難の視線を浴びながら
秘書室を探すと、ありました。
扉も開いていて、列もなく
だがしかし、部屋に鎮座していたのはマントヒヒ。
入ってもいいですか?
「どうぞ。」
マントヒヒの威圧的な態度に恐縮したせいか
私もなぜか入り口で躊躇い、
変な足の踏み出し方をしたのだけれど
目ざとくそれを見咎めて
「何か躓くようなものでもあったわけ、入り口に?」と。
いえ、なにも、えへへ。
ここでもゼロから事情を説明しアポをとりたい旨伝えると
スカートを履いて、夏だというのに厚化粧のマントヒヒは
「はっはっははぁ。アポがすぐ取れるとでも思ってんの。」
へ?取れないのですか。
「取れるわけがないじゃないの。
あんた自分が持っている書類がなんなのか
ちゃんとわかって喋ってんの?」
はい、一応。
弊社の弁護士に説明を受けてきていますので。
「なにが弁護士よ、弁護士が何様よ、何も知らないくせに。」
すごいなマントヒヒ。こわっ。
歯向かうのもバカらしいので会社に電話して
アポはすぐに取れないって、
手続きには60日間必要で書留で送るって言っているよ。
どうしたらいい?
その電話の間にも
マントヒヒはヒステリックに叫び続けていたので
電話の向こうで同僚が
「なに、おまえ精神病院にでも間違って行ったのか。
誰だ、後ろで叫んでいるのは。」といったほど。

しかしやはり会社の指示は今そこでアポを取れということで
私ではどうも埒が明かないから直接話してみてと
電話をマントヒヒに渡すと
「私は秘書のxxxxxxよ。
ここでアジア人が訳わからないこといっているけど
あんたたち、イタリアの法律わかって手続きしてんの?」と。
どうも私の勤める会社には
アジア人しかいないと思い込んでいたらしく
電話の向こうにいるのがローマ方言を喋る同僚だと気づくと
「あら、失礼。ちゃんと話のわかる人もいるんじゃないの。」
ふざけるな、ヒステリックなマントヒヒ。
「あ、いや、あなたの同僚もちゃんとイタリア語で問い合わせて
内容はわかったのよ。
でも手続きの方法が違うから。」
私に説明したことをそのままそっくり同僚にも説明し
「でも念のために上司にも確認してくるわね。
改めてあなたの同僚から電話させるようにするから。」
2重人格のマントヒヒ。最低。

実際にイタリアの公的役所で
「外国人」であるというだけで
不当な扱いを受けている人は多いと思います。
特にフィレンツェはその度合いが高いようで、
今回ローマの同僚も相当腹を立てておりました。
そして、相手によって態度が思いっきり変わる職員も
本当に山のようにいるのです。

このお役所に辿りついてからここまでわずか30分足らず。
あまりにもドラマチックで疲れます。


Trattamento all'Ufficio pubblico

2009-07-22 00:14:29 | 日記・エッセイ・コラム

毎回お役所などに行くとうんざりします。
仕事が悠長だとか、的確でないとか
そういうこと以前に
人間的な扱いをしてもらえないことに
神経をすり減らすので、イヤなのです。

会社の手続きの関係上
先日仕方なくお役所に行ってきました。
フィレンツェ県が管轄する労務局(労働局なの?)。
Direzione Provinciale del Lavoro。
立派な名前ですが、午前中しか仕事しません。
火曜日と木曜日は午後もちょっとだけ営業しています。
しかし、夏の間は(暑いから)午前中だけ。

今回の私の任務は
とある書類を手渡しし、
その場で召集日時のアポを取ること。
いたって簡単なことじゃぁないですか、日本なら。

しかし、ここはイタリア。
家を出たら7人以上の敵が待ち伏せているのが普通です。
ということで闘いモードで仕方なく出かけていきました。

まず、入り口を入ってささっと確認したら
「Prima Informazione」という表示。
「最初のインフォ」って…。
これからいくつインフォメーションを通り越すのかと
既に不安になります。
殺風景に意味もなく広い部屋には
ぽつんと机が一つ。
その上に古いタイプの大型の電話が一台。
その脇によれよれになった内線電話番号表。
机の対面にはずらりと自動販売機。
机の前には、ほら見たことか、誰もいません。
想像していたので驚きません。

ひたすら待つこと約10分。
その間ひっきりなしに自動販売機で
同僚とおしゃべりしながらおやつ買ったり
携帯電話で通話しながらコーヒー買ったり。
職員のためにある多種多彩な自動販売機。
こんなところに無駄金使っているなら、
少しは市民に還元しろと腹の中で叫びながら
おとなしく待っていると
外のバールでおいしいクロワッサンを買って
頬張りながら帰ってくる男性職員一名発見。
むさぼりながら机に座りこちらを一瞥。
すぐに向かっていくと
口からぽろぽろとかすをこぼしながら「Dica」。
どうぞって、とてもお役所の対応とは思えませんが。

まぁ、このヒラ職員に怒っても仕方ないので
落ち着いて事情を説明、対応部署がどこなのかを確認。
「え、初めて聞いたな、そんな懸案。
そこの部屋にいる人に聞いてみて。」
殺風景な部屋の1面に扉が3つ。
一つはトイレ、あとの二つはナゾの部屋で
どちらも閉まっている。
そこって扉閉まっているけど?
「え、誰か中にいるからノックして。」

ノックしてみましたとも、素直に。

すると後ろから即座に甲高い声で
「私が待っているのに見えないの?」
知りませんって、
あなたがこの部屋に用事があって
待っているかどうかなんて。
だって自動販売機の前で
ずっとおしゃべりしてたから、てっきり職員かと。

ごめんなさい、わからなかったし、
ノックしろといわれたからノックしただけで…。

まもなくノックしたドアの向こうから
めがねかけた小さいねずみのような女性が出てきて
「誰よ、ノックなんかしたのは。
順番待っていればいいのよ。
扉はこちらが開けるのよ。」
といきなり。
思わず言いそうになりましたよ。
あなたの同僚がノックしろといったのですよ!と。
しかしぐっと我慢。

私の順番がきたので中に呼ばれていくと
先ほどのねずみおばさんは同時に出て行き
中には若い気の弱そうな
オットセイみたいなおねぇちゃんが一人。
ここでもまたさっきと同じように事情説明して
担当部署を聞くと、オットセイ姉ちゃんは
「何でここに来たの?誰がここに来いって言ったの?」
そりゃぁないよ。
うちの会社の弁護士がここに行けと言い
あなたの同僚がこの部屋で問えと言ったのです。
オットセイ姉ちゃんの前にもよれよれの内線番号表。
それをじっとにらみつけているので
ちょっと視線を動かして部屋の中を見てみると、
コンピューターの置いてある脇に貼紙。

<<インターネットへの繋ぎ方>>
デスクトップにあるeマークを触る
と書いてありました。
ステキな役所です。

とそのとき、ねずみおばさん再登場。
「なにしているの?まだここにいるの?」
えぇ、どこに行けばいいのか誰も指示してくれないもので。
「何しにきたのよ。」
また同じことを最初から説明すると、
「2階の左」と暗号みたいな指示がでてきました。

私もこの辺りで半ばおかしくなっており
2階の左、2階の左とぶつぶついいながら
階段を上って2階へ。
踊り場の辺りからいやな予感がしたのだけれど
案の定そのフロアは人で溢れかえっていました。

2階の左ってどういう指示だよと改めて考えながら
なんとなく左のほうに向かってみると
ずらっと長い列。
しかも廊下には右にも左にも無数の部屋。
これってどの部屋に行くのかわからん。
と思ってその辺の人を捕まえて聞いてはみたけれど、
無駄であることにすぐに気づき
仕方ないのでまたねずみおばさんの部屋に。

2階の左っていくつも部屋があるし、
列ができているんですけど。
私が行く部屋はどれですか。
「2階の左って言っているのに、何でまだここにいるのよ。」
だから部屋が多すぎてどの部屋が該当部署かわからないし
列を押しのけて前に進もうとしたら
列を乱すなと怒られたんですけど。

「秘書室に行くに決まっているでしょ。」
決まっているのか、知らなかったよ。
最初からそういってくれよ。

再び2階の左へ。
もう疲れました、この辺りで。


Michelangelo censurato

2009-07-21 07:26:10 | アート・文化

ファルネーゼ家出身の教皇パオロ3世が
寵愛するミケランジェロに
ヴァチカン宮殿内のパオリーナ礼拝堂
(Cappella Paolina)の
2枚目の壁画の依頼をしたのは1546年3月29日。
当初教皇は既に完成していた1枚目の壁画
「Conversione San Paolo
(聖パオロの改心/もしくは改宗)」の
対面を飾る作品として
「Consegna delle Chiavi a San Pietro
(聖ピエトロへの鍵の引渡し)」を
考えていました。
しかし、ミケランジェロは別の提案をしています。
現在でもシスティーナ礼拝堂よりも
更にカトリックの髄をなすといわれる
パオリーナ礼拝堂は
建設当時も大きな意味合いを持っていました。
信仰の深いミケランジェロは
信仰の中心となる礼拝堂にふさわしいのは
その身をかけて信仰を表明した
サンピエトロの殉教のシーンであると考えたのです。
ミケランジェロの虜になっていて
しかも自分の名声を上げるためにも
どうしても彼の作品を必要としていた教皇は
この提案をすんなり受け入れ、製作を促しています。

ミケランジェロは当時70歳で
この「Crocifissione di San Pietro
(聖ピエトロの逆十字架磔刑)」が
生涯の最後のフレスコ画となりました。
ミケランジェロはこの作品を描くにあたり
聖ピエトロの信仰の深さが彼を殉教に導いたのだという
非常にカトリック的な考えをベースにしており
そのためにくいで打ち込まれずとも
信仰の力のみによって
聖ピエトロの身体は十字架に括りつけられた
という表現をしています。
ミケランジェロは「鍵の引渡し」という
事実上の権力の受け渡しによって
カトリック教の正当性を表現するのではなく
「殉教」という純粋な信仰の力のみによって
教会が正当化されていると
絵画作品の中で強く訴えているのです。

しかしながら彼が製作を行っている頃には
宗教改革運動も台頭してきており
トレントでは宗教会議が行われていました。
彼が主張していたような神学的な考え方は否定され
やがて彼の作品にも検閲が入ることになります。

649pxmartyrdom_michelangelo
現在礼拝堂に飾られる壁画は検閲された状態であり
ミケランジェロが描いたオリジナルではありません。
ピエトロの両足と左手にくいが打ち込まれ、
下半身に白布がつけられています。
実際には3本のくいはなく、
完全な裸体で描かれていたというのは
当時の模写版画でも確認することができます。

2009年7月4日に長い修復が終わり、
一部研究者などに公開になりました。
この修復の際に、
オリジナルに戻すべきであるという動きもありましたが、
最終的にはヴァチカンの、そして現教皇の意向により
検閲後の作品がそのまま残されることとなりました。
製作当時、世間の逆風の中にあっても
ミケランジェロの考えとその表現の自由を許し
大いに彼の作品の出来具合を評価したパオロ3世は
ある意味非常に先進的だったのかもしれません。

専門家の一部では
ミケランジェロを侮辱しているという声もあがっており、
芸術作品としての意味合いが半減していると
酷評する人もいますし、
実際現在の技術を持ってすれば
描き足された部分を取り除くことはまったく問題がなく
オリジナルを傷つける心配もないといわれていますがが、
またしばらくはこの状態で保存されることになりそうです。


Maglietta regalata

2009-07-18 22:55:11 | 日記・エッセイ・コラム

友人に「プレゼント魔」が一人(爆)。
彼女は誕生日もクリスマスも欠かさず
忘れず心のこもったプレゼントを用意してくれます。
私だけでなく、彼女のまわりにいる人は
みんな彼女からのプレゼントの恩恵に授かっています。

今年も誕生日にプレゼントをいただいたのに、
先日またプレゼントもらっちゃいました。

「これ観たときに絶対!!」と思ったからという理由。
彼女が日々の生活の中で
モノを観るときに必ず誰かのことを考えているのだなぁと
感心したのです。
小さな日常の1シーンで
私のことを思い出してくれたことにも感謝。

ということでいただいたのはこちら。

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Aivyというフィレンツェ発の若い会社の取扱商品。
ちょっと前まで我が家の近所にもあったのですが、
いつの間にか撤退して
先日Pratoに新規オープンしたそうです。
でそのときに見かけて「絶対!!」と思ってくれたようで。

確かに私にぴったりなのですよ。
エリザベスカラーをつけたいたずらワンコ。
まさにビリー。

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嬉しくて、もらった翌日
すぐに着て街を歩き回りました。
もちろん彼女の誕生日のプレゼントを探しに。
でもねぇ、なかなかいいもの見つからないんだよね。
普段からいろんな友人のことを考えながら
街の中散策しなくちゃダメですね。

元々プレゼントも買い物も得意じゃないので
なんかこう気のきいたものが見つけられません。
彼女へのプレゼントはもうちょっと考えよう。

でも1日中ビリーを胸に着けているみたいで
とてもハッピーでした。


L'acqua del rubinetto

2009-07-17 13:46:00 | 日記・エッセイ・コラム

最近、ランチを自宅で摂るようになりました。
今日は知り合いからピッツァをプレゼントされたので
持ち帰って家で食べ、
さて洗い物でもしようかと
キッチンの蛇口をひねったら
お湯が出てきました。

暑いんです。今週は、マジで。
朝の天気予報では
平気でフィレンツェ最高気温37度とか言っています。
下手すると体感気温は42度くらいです。

我が家の水道管も
一日中陽に当たってよく熱されているのでしょう。

蛇口からは1分ほども温かい水が出てきていました。

朝からお鍋にお水ためておいて
夕飯時にはその生ぬるい水でパスタを茹でると
夏はガス代節約になります。
ガス代節約というより、
無駄な熱気を家の中に溜め込まないためにも
ガスコンロは出来るだけ使いたくない!
というのが本音です。

で、ふと見ると暑そうな生き物が。

Dscf7406
毛むくじゃらだからねぇ。

Dscf7405
顎乗せるんだ、敷居にね。
その体勢なら少しは涼しいのか。