超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">ヘッセのわがままの美徳、光の見える場所</span>

2013-07-23 20:58:24 | 無題

ヘルマン・ヘッセの「わがままこそ最高の美徳」読み終わる。
監禁された荒野のおおかみの寓話、
隣人の競泳選手のところへ来た手紙が誤送されていた話、
同時代のナチスへの熱狂に対する強烈な違和感を書き綴った日記など読む。
続いて同じくヘッセの「地獄は克服できる」読み進める。
この場合地獄は創作のスランプであったり、不眠症であったりする。
無為の術では千夜一夜物語の無尽蔵の時間感覚を味わうとよい、
とか埃が舞っているのを見つめるとよいとか、
何もしないで過ごす工夫が書かれている。
全体にゆったり過ごすことの大切さが説かれている。
また、眠れぬ夜は自分自身と向き合う効用もあると説く。
眠れぬ人へ共感しつつ、
他人にこの上なく親切な人は多くの苦難を経た人だと言う。
内面の困難に打ち克つヒントが知恵を絞って書かれている。
内面の困難=地獄は克服できると言うヘッセは
人一倍繊細で悩み抜いた人だ。
そのヘッセが小さなことに悦びを見つけようとか
時間を掛けて味わおうと現代人への処方箋を書く。
孤独なヘッセの温かい人間性が感じられる一冊である。
その同じヘッセの「ガラス玉遊戯」角川文庫上下巻を取り寄せる。
ヘッセの最後の長編小説で、それまでの要素が全部入った総決算的な作品。
ヘッセの代表作のひとつなのに、しばらく入手困難だったとは驚きである。
最近はウェストミンスター・レガシーのシューベルト室内楽を聞き、
読んだ本の抜き書きをして、最後にヘッセのエッセイを読むことにしている。
ヘッセの一筋縄ではいかない複雑な精神構造が魅力的である。
私もヘッセを読み進めて心の道行きの友として愛読したい。
内面の地獄が克服できるなら光の見える場所に行きたい



コメント
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