メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

桜と黒い雲

2006-03-31 23:55:55 | lyrics
学生が
笑っている
ルールの中で

女性教師は
高い声で
叫んでいる
いつでも
あなどられないように

このままで
ばくはつしてみたい
あたたかな
もくれんのそばで



1990.4.6記

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鏡の向こうで

2006-03-30 23:55:55 | lyrics
鏡の向こうで白い虚像が笑っている
「いつでも用意はいいわよ」といっている
血のように美しい、あかいくちびるで
それは実にしっとりと輝いている

「ちょっと出掛けてくるわ」といっている
待ってくれよ
ここにいておくれよ
行かないでくれ
置いていかないで
君を探すのに苦労したんだ

いいさ、行けば
君にとっちゃ俺なんか
どうだっていいんだろう

口づけは錆びついたにおいがする
近づくと吐き気がするんだ
今までに喰った肉の臭いで
そうさ何人もの敵(ライバル)をその口で喰ってきた
そうやってトップまでのしあがってきたんだろう


退廃が底から這いあがり
街のあちこちでゆっくり流行ってゆくのを
見ている


これが復習
物事が分かる大人になるために
繰り返さなければならない
最低限の


かつての記憶を塗りつぶしてゆく
白いペンで
つづいて黄色いペンで
つぎに青いペンで
いつか真っ黒くなるまで


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空っぽの箱

2006-03-29 23:55:55 | lyrics
ビルの間をぬける
そらの水色ライン
使いこなれた革の鞄から
秋の香りがする
丸裸にされた一頭の牛のことは
ちょっと忘れて

愛車のブレーキが地獄の叫びをあげる
ヘイヘイ、じいさんどいておくれよ
ちゃんと前見てんのかい?
みんな「俺の道路だ」ってな顔して
歩いているんだ

「独りきりの人生に何がある」とあいつは聞いた
分からないけど、こうしかできない
だからって夜の隅田川にプカっと浮かんで
迷惑かけるつもりはない
飛びこみたくなるほど
夜は光ってキレイだけど


空っぽの箱を埋めて
空っぽの箱を埋めて
100人分の葬式が一度にきたような気の重さ
あのラグタイムピアノでも聴きにいかなきゃ
やってられない



「何線で通ってるの?」
が人間関係を作るきっかけ
私が住んでいるのはそんな場所

「帰ってきなさい」
それ聞いたのって
これで10万回目だけど
結婚して近くに住んでも
結局会うのはせいぜい年2回
いっそのことアラスカに引っ越したら
よっぽど愛情深いカードでも贈れるのに


空っぽの箱を埋めて
空っぽの箱を埋めて
100人分の葬式が一度にきたような気の重さ
(想像してみてよ)
あのラグタイムピアノでも聴きにいかなきゃ
やってられない


どんなに時が経っても
変わらないものがあると思う?
地面と空とそこに吹く風
どれだけ長いこと人間が荒らしても
いつもそこに在り続ける自然の生命力


空っぽの箱を埋めて
空っぽの箱を埋めて
顔にぶら下がった現実は
なんてタフなんだろう
もし天国なんて場所があるなら
ここがそう


空っぽの箱を埋めて
空っぽの箱を埋めて
彼のラグタイムピアノの転がるビートを聴かなきゃ
まったくこれじゃやってられない


空っぽの箱を埋めて
空っぽの箱を埋めて・・・

Listen to this!!!




1994.10.28作
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あいうえおのうた

2006-03-28 23:55:55 | lyrics
【母音】

あ 赤 女性の官能 あたりを包み込む母親のぬくもり

い 黄 クルミの足で歩き出そうとする赤ん坊

う 青 誠実であろうと悩む思春期の少年

え 橙 センスある会話とオシャレを知っている若い女性

お 茶 男性の包容力 地面に立つ安定した両の足


子音は母音ほど重要でなく、個々の個性よりもまとまりで表現される。

【子音】

かきくけこ こどもが片付け忘れた 色とりどりの積み木の山

さしすせそ 頬をよぎるそよ風 乾いて風に飛ばされるまっさらなパルプ紙

たちつてと 泥んこペタペタ 素足に両手に いいきもち

なにぬねの なめらかホイップクリーム とろけたわたしの舌のうえ

はひふへほ とらえられない風船 空気がぬけて空のどこかへ消えてった

まみむめも まろやかな女のまるみ あまくてやわらかいその曲線

やゆよ   異国に住んでいる異性人 誰も彼らは解らない

らりるれろ 空気を通す無感覚 らりるれろには無関心

わをん   ここからすべてが始まる 「。」のふしぎ





1994年記
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回転

2006-03-27 23:55:55 | lyrics
45回転のドーナツ盤に乗って
海へ出よう
空は青く
レコードは回りつづける

ぐるぐるぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐるぐるぐる

まるで何も考えられなくなるまで
何ひとつ動けなくなるまで


やがて遅すぎた発見者は
床に大の字にひっくり返った私を見てつぶやくだろう
「なんでまたこのコは、こんな馬鹿げたマネをしているんだろう」


そして誰一人として同情を示すどころか
そうやって回り続けている私を
許しちゃくれないし、
放ってもくれない


ぐるぐる
ぐるぐる

回転
回転

大海原を渡る回転の旅はつづく


君らは私が海賊と戦ったり、
巨人や小人に出会ったりする話を
聞きたいのかも知れないけれど
これはそんなファンタジックな旅じゃない


ところでこんなにぐるぐる回っている気持ちが
君には分かってもらえるだろうか?

それはちょうど
脳に充分な血液と
充分な酸素がまわっていない感じ

じゃなければ
よくものが見えなくなってきた両目で
なにかを一生懸命見つめなくちゃならないときの感じ


だから当然頭の中はぼおっとするし
自分がちゃんと地面と90°に
立っているかどうかもあやしくなる

いつまでたってもお腹が空いてこないかわりに
さっき食べたやつをもどしそうな気さえする

まるで不必要なほど眠りつづけて
覚めたくない夢をいつまでも
繰り返し思い出しているみたい


当然そんな気持ちを誰も認めやしないし
いい訳ひとつも聞いちゃくれずに
早速、発見者たちは私の身体を
いろいろせっつきはじめている

LP盤に乗って
波頭スレスレに
追いかけてこようとする奴もいる

白い泡がチリチリ左右に飛んで
レコードの溝を流れると
ときどき思いもよらない
ステキな音階が生まれるよ



1993.11.23記

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life

2006-03-26 23:55:55 | lyrics
生きるとは?
生きるとは、前世の罪を償い続けているようなもの


生きるとは?
生きるとは、誰一人観客のいないステージで
声をあげて叫んでいるようなもの

ちょっとイカすメロディを歌えたところで
階下の奴にひどく怒鳴られるだけ

人生はそんな風に
ただ一方的に過ぎてゆく


生きるとは?
生きるとは、何かになろうと
あがけばあがくほど個から遠のいてゆく

寄せ集めた顔の中で
自分だけが醜く不幸に見える
生まれたばかりのサルみたいに


寄せ集めた手のひらに
公孫樹の葉や黒く光った石つぶて

突然そのうちのひとりが
「これはイイ!」
とひとつだけを選ぶと
その瞬間からある一定の価値観が流れ出す


こんな抽象論は嫌いかい?
否定によって差し引かれ続けたら
最後に一体何が残るのだろう?



生きるとは?
生きるとは、結果論の集大成

貧乏くじをひきつづけることも
我慢ならない奴と付き合ってゆくことも
すべて思いこみや推測なんかじゃなく
これは完璧に現実における結果なんだ


これは一人の小さな見方で
実際見たところ楽しんでいる奴だっている

人生とは、永遠につづくパーティーで
ちょっとばかし楽しむためにあるんだって

だけどもし私が
ちょっと粋なフレーズを歌いあげたとしても
階下の誰かが迷惑だとわめきたてるだけ


生きるとは?
生きるとは、短い夜と長い覚醒

いつだってこんな風
ただ一方的に過ぎてゆく


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ROOTS

2006-03-25 23:55:55 | lyrics
熱い吐息
空洞の身体の右から左へ流れる
日々刻々、確実に腐敗してゆく汚臭の中で
内からつくりだされる無垢な力

冷たく四角いコンクリート壁に
ぶち当たり押し黙る
甘くまろやかなスープのよう

サテンのローブを身にまとった
老いた象が言った
「この背はいまでも空いてるよ」

発情した雄猫が言った
Do you know how I feel?
Now, now, let's see the most freakiest show you've never seen before!



聖母の微笑
惑星をひとつ手に入れるための切符
いまでは足下の蚤まで
情け深いほほえみをたたえている
統制された支配下で
静寂のうちにミッションは細部にまで伝え渡る

こんな型にはめられた歌に乗せて
素敵な確率で卵子に滑りこんだ
奇跡の精子のよう

巨大な乳房をもつヤギが言った
「君はまるで地獄のような顔だな」

暗闇色の雌猫が言った
You can count on me.
Well, well, I'll give you the most freakiest show in the whole world!!!


疲れきって座りこんだ旅人は
絶望の沼の淵にとまった蝶の妖精を見た
「元気を出せよ
 君は走り回った子豚みたいに
 汗をかいているね」

あたたかな氷の結晶
そこから理論を押し出そうとするほど
馬鹿げたことはない

あみだくじで選んだ人生を歩むことが
どんなに危険かなんて
サンドストームの光線を浴びすぎた君には
もう分かるはずもない

真っ黒い煙を吐き続ける煙突が言った
「わたしにゃいっこうに関係ないね」

巨体のシロクマが六番目の指を天に立てて

「さあ!さあ!前代未聞の奇々怪々なショーのはじまりだ!」


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Stranger in the time

2006-03-24 23:55:55 | lyrics
ときとときの結ひ目は
まろやかな夕暮れより開かれる
似ているようで似ていない
霧の向こうに複数の現実を持つ





私はただ座っている人間です
貴方は星を抱える人間でしょう
彼は額の広い賢人で
彼女は紅い唇の人間だった





この世でもっとも違うのは
神と人でありましょう
人が神を作ったか
神が人を造ったか





その結ひ目は
鋭くかつ限りなく
もろいものである
月のごとくに繊細であるから
見たものは 誰もいない
とき自身にも
計れない
そのうちに
神話となって
語られるのだろう





私はどのときに属するのか
迷うものである
しかし輪廻は存在し得ず

平行するときのみ
敷かれている
まるで絹のように

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幸せの珠

2006-03-23 23:55:55 | lyrics
深い湖の底に
幸せの珠が沈んでいる

珠を取りに
さあ出かけよう

淵はとても透きとおっているが
五歩目で急な坂が始まっている

下って 下って・・・藻が指先にからむまで

雷魚がこちらへ突進してくるのが見えますか
すっと避けて
もうあの子はうしろのほうへいってしまう

足首を掴んだのは
25年前に死んだ酔っ払いの親指


下って 下って・・・藻が指先にからむまで
病に罹った見知らぬ生き物が歩いてゆく


ほら あすこ
闇の水中では珠の放つやわらかい光だけが命です


夜間の番人を務めるのは
食用ガエルの役目だから
一帯に響く轟音に波打つ彼の喉元が
囁き声をはじめた頃合に忍びこむ


柔らかい砂塵の中から
ちいさなこぶしくらいの珠をつかんで

瞬間にわたしは知る

それが大きく欠けているのを

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神出鬼没の鬼たち

2006-03-22 23:55:55 | lyrics
鬼が見ている
昨日気がつくべきだったが
あれ、確か鬼だよね

席について横を向いたら
鬼が隣りに座って私を見ている


周りを眺めると
人間は私を含めて五、六人だけで
あとは全部鬼だ
しかも鬼たちは私を見ている


ほら、鬼だよ


他の人間は真剣に本を読んでいる
彼らがよそ見でもしている間に席を立とう

けれども
“よそ見をしている鬼”だなんて
聞いたことあるかしら?


夕方になって
外の風に当たっていたら
窓の外に鬼が立ってこちらを見ている

ああ、まただ

振り返ると、部屋の中にも一匹、
テレビの前に座ってみている

ベッドの中にももぐっていて、
布団の端からあの眼が二つ
こちらを見据えているじゃないか


“最近大都市の人口の半分は鬼である。”
と言っていたあの記事を
もっと真剣に読んでおくべきだったよ

笑ったりせずに

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