メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

魔法の城 E・ネズビット/作 冨山房

2024-06-01 14:55:21 | 
1983年初版 八木田宣子/訳 H.R.ミラー/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


神秘的な秘密の花園みたいな美しい庭と屋敷を舞台に
ネズビットのイギリス式な言い回しが小気味良くて夢中に引き込まれる
ビックリしたり、ゾッとしたり、笑ったりして
没入できる作品

願かけの指輪によって、振り回される様は
以前読んだ『砂の妖精』などとも通じる
弟が急に大人になったり、身長がやたら伸びるアイデアも同じ

ファンタジーと呼ぶにはとてもイキイキとして
パラレルワールドのような世界

魔法にかかった人物に歴史が与えられ
魔法が解けた後はなにも残らない
そんなパラレルがあるなら、心底願えば
この世はなんでも叶うのかもしれないな

それぞれが思うあらゆる素晴らしいものを見る
時間と空間の際限のない世界の描写を読むと
優れた作家もまた宇宙の神秘的なエネルギーを得て書いたのだろうと思わせる

挿絵は作者がお気に入りのミラー
“詳しいことはミラーさんの挿絵を見てください”なんて文章も入ってて
作者が物語を登場人物から聞いて、読者に話してくれている体なのも面白い
こうしたいろんな試みが当時は新しくて、現在の小説の源流になってるんだな

こんなに楽しい作者だけれども、上流階級目線の差別的表現があるっていうのがビックリ


【内容抜粋メモ】

登場人物
ジェラルド(ジェリー)大人に対していつもウケがいい
ジェイムズ(ジミー)実際的な考え
キャスリーン(キャシー)

女中のイライザ
フランス人女性教師マドモアゼル

城の主ヨルディング卿
メイベル ヨルディング・タワーズの家政婦の姪
ジョンソン巡査





ジェリー、ジミー、キャスリーンのきょうだいは
イギリス西部の小さな町で学校に通っている

いとこのベティと7週間の長期休みを過ごす予定が
ベティがはしかにかかったためおじゃんになり
兄弟がキャスリーンの学校で一緒に滞在することになった


ジェリーはフランス人女性教師マドモアゼルのところに挨拶に行き
1日中森で遊ぶ許可をとる
ちょっとした花束を贈るあたりは手慣れてるなあ!







友だちに聞いた通り、小道に小さな洞穴があり
大理石のテラスのある見事な庭と魔法の城がある
池には白鳥がいて、島もある













もめん糸をたどると、大理石のベンチに旧式のドレスを着た貴婦人が寝ている
眠り姫だと思ったキャスリーンは兄弟にキスして起こすよう言う

目覚めた王女は100年眠っていたという











王女はお城に案内し、かたいパンとチーズを出して
ローストビーフなどのごちそうだと言い張る
ジミー:ゲームなんでしょ?








その後、宝蔵に案内し、羽目板からあらゆる宝石がどっさり現れる

王女:
これはみんな魔法の品々です
この指輪が私の姿を見えなくするのを見せてあげましょう










魔法など信じないたちのジミーが薄目で見ていると、王女は羽目板に隠れるのを見る
その後現れた王女はほんとうに姿が消えてしまったことに驚き嘆く
メイベル:私は魔法ごっこをしていただけなの! どうしたらいい?







叔母が女中として城に住んでいて、自分を置いて市に行ってしまったから
王女になりきって、子どもたちを騙したと明かす




メイベルは自動車に乗った女性に拾われて、船に乗ることにした、と叔母に置手紙をして
子どもたちと学校へ戻る

翌朝、女中のイライザがメイベルの衣装を見て驚き
お芝居に着るつもりだとウソをついたため
イライザにもお芝居を見せる約束をしてしまう








外を歩くと、姿の見えないメイベルの影はくっきり見えるため、見た人々が驚く
叔母を訪ねると、姪が裕福な親戚にもらわれたのならいいことだと全然気にしていない









庭はイギリスの風景画家ターナーの絵のように美しい

メイベルの食費を稼ぐために、ジェラルドは体を黒く塗ってインド人の奇術師を偽り
テントを貸してくれたら、儲けは山分けにすると女性と交渉する







リンゴが出たり消えたりする魔法を見て、女性は太鼓を叩いて客寄せする
ジェラルド:私には助手がいますが、目に見えないのです

メイベルがポケットに入れるとお金も消えるため、たちまち人だかりができて
あっという間にポケットいっぱいの儲けになる







突然、指輪が抜けて、メイベルは元に戻るが
今度はジェラルドが指輪をはめて姿が消え、取れなくなった




ジェラルドは探偵になって、事件を解決するため
交番に行き、ジョンソン巡査に犯罪はないか聞くと
銀食器などを盗んだ奴がいる









メイベルが城に戻ると、叔母は抱きしめて喜ぶ
どうやら、指輪の魔法がきいてる間は、家族が冷たくなるらしい

宝石のある部屋の窓を閉め忘れたため、ジェラルドが潜入
庭の彫像が台座から離れて自由に動き回るのを見る









恐竜の像が近づいても怖くなかったのに、石の体を触った途端、恐怖に襲われる
城の中で迷っていると、まさに銀食器を盗んでいる2人組を見つける

犯行をメモに書いて、石を包み、窓ガラスに投げて、メイベルと叔母に知らせ
ジェラルドは犯人を尾行する

ジェラルドは翌朝、指輪が取れた




子どもたちはジョンソン巡査に犯人と、銀食器の隠し場所を教えて
ジェラルドの名前を出さない代わりに祝儀に1ポンドだけ要求する










その後、ジェラルドの部屋をくまなく探すが指輪は見つからない
裏庭にイライザのフィアンセが来て、デートのはずなのに姿が見えず
見えない手で握られたと話す

キャスリーンは熱射病だから、家に帰って寝たほうがいいとすすめる
イライザは指輪をちょっと借りたことを白状する









イライザとヨルディング・タワーズに行くと
彫像たちが月光のもとで生き生きと動く様子に感動する
夜中に指輪はイライザの手から外れ、全部夢だったと思う










ジョンソン巡査はルコック氏やホームズにまさる探偵だと褒める記事が出る

マドモアゼルはメイベルに城の主ヨルディング卿について訊ねる
家族はいないし、独身で、一度も会ったことはないが来週来る予定

叔父は遺産を全部またいとこに渡し、城は弁護士の書類に載せられたため
売ることも叶わず、自分の息子に遺さなければならない
叔父が反対する女性と結婚しようとしたが、女性は修道院に入ってしまった









ジェラルドは指輪の魔法の効果は7時間ずつ短くなっていると話す

子どもたちは約束通り、マドモアゼルとイライザにお芝居を見せる
席にはステッキや古いコートでつくった見物人の人形を置く









メイベルは『美女と野獣』の王女に扮し、あの指輪をつけて
人形の観客が生きてればいいのに、と言ってしまったため
紙の顔の人形たちが動きだす!








ジェラルド:あれは願かけ指輪に変わっちゃってるんだ

人形は上あごのない口で話す
「よいホテルを紹介してもらえませんか?」(ww




ジェラルドは必死にここら辺のホテル経営者はみんなおすすめできないと説明する
代わりに下宿屋に案内するとウソをついて、夜の道を奇妙な行進が始まり
それを見た通行人は「ガイ・フォークスにちがいねえ」とつぶやく(ww









イタリア式庭園に着くと、人形たちはその美しさに感激する
暗闇の通路に案内してドアを閉めようとすると、外に出ようと押しかける

通りかかった番人風の男に手伝ってもらう
男は土地管理人で、誰にも話さない約束で事情を打ち明ける

翌朝には元に戻るから、明日、またここで会おうと約束して別れる
行ってみると、土地管理人は額に傷を負って倒れている
近くの茂みには、生きているように見える人形が覗いている










土地管理人は夢を見ていたと話す

ぼろ人形に戻った者は解体して、恐竜のお腹の空洞に隠して
1体だけは、なぜか通路の中で命が宿ったと分かる









ジミーは彼が富豪なのを羨み、自分も大金持ちになりたいと言ったため
ジェラルドの目の前でどんどん年老いて、初老の金持ちに変わり
きょうだいのことも忘れて、近場の駅はどこかと聞く(ww

ジェラルド:お願いですから指輪をください
ジェイムズ:あんたはえらく貪欲な子どもと見えるな(ww

ジェイムズは初老のぼろ人形と一緒に鉄道に乗り、ロンドンへ向かう









ジェラルドは尾行し、ジェイムズが公債証書および株券取扱人ボロ氏のビルに勤めているのを突き止める

金持ちジミーとぼろ人形に歴史と過去、事務員つきの事務所を与えた
魔法のからくりはどうなっているのかとフシギに思う

指輪は一度かけた願いは元に戻せず、新たな願いをかけるしかないため
2人が一流レストランに入り、ジミーが指輪を落としたのを拾い
「ジミーとボクはフローラの神殿にいたい」と願をかける









指輪をもとの場所に戻しに行き、メイベルは「これは4mの高さにする指輪です」と言ったため
4mの背丈に伸びてしまい、恐竜のそばに隠れなければならなくなる









恐竜のお腹に隠したぼろを回収しに行ったキャスリーンは
暑さのため、いつもひんやりしてる彫像になりたいと言ってしまい、その通りになる







ジェラルドの言ってることも分かるが、かたまって動けず
かといってずっと立っていても足腰が痛いこともなく快適だとわかる



10
フォイボスが台座から離れ、キャスリーンに話しかける
人間を“いずれ死ぬ者”と呼び、魔法が解けたメイベルも一緒に泳ごうと誘う









2人ともかなづちだが、生を得た彫像は運動競技が得意になるし
指輪に朝になったら元の姿に戻るようちゃんと願えば問題ない

フォイボス:あなたがたの多色世界においてだって、これほど本当のものはありません

泳いで島に渡ると、プールに7つの月が映っている
かれらの世界では、すべて人間界の7倍になる

神々の宴会に招待され、花環をつけて、木に手をのばすとどんな果物も手に入るし
この世のものとは思えないごちそうにうっとりする

2人を探しに来たジェラルドとジミーも彫像仲間になり
メイベルはこれまで起きた出来事をすべて話して聞かせる

彫像は月の照る晩だけでなく、収穫祭の日はすべての人の目に生きて映る
そして“いずれ死ぬ者”から質問を受けたら、答えなければならない

フォイボスが弦を奏でると、時空を忘れ
全世界が善いもの、美しいものに思われる

夜明けになると、彫像たちはたちまち台座に帰る
ヘルメス:指輪は魔法の中心です

子どもたちは泳げないのに、島に残されたと知る
指輪はプシケに渡してしまい、その彫像がどこにあるかを知らない

階段を見つけ、真っ暗闇の通路を抜けると大広間に出て
それぞれにとっての世界一美しい場所が見える
すべてを照らす光におおわれている









キャスリーンは自分のベッドに戻るよう指輪に願をかける



11
ヨルディング城の観覧日にヨルディング卿が来て
金持ちのアメリカ人が城を借りたがっている

みんなが土地管理人だと思っていた紳士がヨルディング卿で
メイベルはこれまでの冒険をすべて話すと、文学的才能があると褒められる
ピクニックに招待されて、ジェラルドはマドモアゼルを待つことにする

ジェラルド:
大人がいつ役に立つか分かりゃしない
おまけに大人たちは大事にされるのが好きなんだ
大人にちょっとした楽しみを与えてやるべきだよ
年をとるってどんなに恐ろしいことか考えてごらん、イヤになるぜ


ジミーはヨルディング卿が魔法の指輪の話を全然信じなくて頭にきて
指輪をはめて願かけしてみてと渡す

ヨルディング卿は友だちがここにいればいいと言うと
そこにマドモアゼルが現れて、2人は長年の再会を果たす
修道院に入れられていた恋人はマドモアゼルのことだった









城で金持ちのアメリカ人コンウェイ氏と会い
ヨルディング卿とマドモアゼルが結婚できるよう城を案内する

コンウェイ氏は幽霊の出ない城はつまらないと言うので
メイベルは首を斬られたルーパト卿が自分の頭を持って夜歩くと話す









子どもたちがウソをついていると疑い、その夜一緒に城で寝るよう誘う
指輪に願をかけて、コンウェイ氏は幽霊に発砲し、恐怖で早々ロンドンに帰ってしまう









ヨルディング卿は子どもたちのトリックだと思う
ジミーはたくさんの宝石を売ればいいと提案



12
メイベルが羽目板の秘密のスプリングを探すがなくなっている
指輪がないと宝石も消えてしまうと分かる

その夜、マドモアゼルが泣いていて、なぐさめるジェラルド
指輪をはめたヨルディング卿は生きた彫像を見たと話して狂ってしまったと思う

ヨルディング卿はマドモアゼルに指輪をはめてあげると
夢見たものがなにもかも立ち現れる

この瞬間が永遠で、宇宙そのもの
永遠の光が輝き、エジプトやアッシリアの神々、スフィンクス、あらゆるものが集まる
口に出さなくても理解される世界


「光だ!」


島の洞穴にも案内し、プシケの広間も見る

マドモアゼル:
あの指輪は私の家の婦人が、あなたの先祖に与えました
彼女の国にある宮殿や庭園と同じように建ててもらうためです
指輪は代償を厳しくとりたてます

マドモアゼルは最後の魔法をかける
すべての魔力を失い、2人を永久に結びつけるお守りになるように

宝石の半分は魔法で消えたが、残りで必要なお金を全部支払い
2人は結婚し、指輪はマドモアゼルの手にはまる
子どもたちは休みごとにタワーズに泊まることになる




あとがき

イーディス・ネズビット(1858~1924)
6人きょうだいの末っ子
4歳の時に父が亡くなり、一家はフランス、ドイツ、イギリスを転々とする
2人の兄アルフレッドとヘンリーとの関係は、本書の3人を思わせる

ネズビットの作品は次の3点で児童文学史上画期的とされる
1.よい子でなく、血のかよった子ども
2.ファンタジーだが、子どもの描き方がリアリズム児童文学
3.日常生活に魔法をもちこんだ

『不死鳥とじゅうたん』では空間移動、『魔よけの物語』では時間移動を描いた

その他
『アーデン家』
『ハーディングの運命』など

ユーモアも特徴
当時の中流~上流の女性として、下層の人たちや外国人などに対する
差別意識が強かったようで、そうした表現が見られる






コメント

ゲスト谷中敦さん@前田亘輝のオールナイトニッポン

2024-06-01 14:55:20 | 日記
谷中さん、いろいろ出て宣伝してるね

TUBEは兄がカラオケで歌ってたのを思い出した
カラッと晴れた夏の海が浮かぶ曲のイメージ








【内容抜粋メモ】
谷中さんと前田さんは年齢ひとつ違い
スカパラは35周年 TUBEは来年40周年
これまでニアミスがあっても、こうして話すのは初めて

「スカパラ甲子園」
TUBEは甲子園球場26回目/驚

♪風に戦ぐブルース feat.TAKUMA(10-FEET)

ま:
TUBEも初コラボやった
スカパラからフューチャリングの声がかかるのをずっと待ってる


サンドイッチマンとコント
これかな?→『垣花正 あなたとハッピー!』

や:
コントやってみたいてゆって実現
本番で大失態を繰り返したw

ま:
ラジオドラマもやる気まんまん
TUBEの曲を紐解いて作ってる
作家に4役やらせたり

や:ラジオドラマってなんでも出来る

ま:いつの間にか兄貴って呼ばれる年齢になった

や:氣志團とかフツーに突っ込んでくれるのがイイ

ま:
フェスも出ないから交流がない
世の中生きていくのに苦しさ、制限を感じる

や:
ライブでお客さんがみんな笑顔になるのが嬉しい
電車に乗ると笑顔がない
コロナ禍越えたあたりからやたら嬉しい
お客さんも声出したくてしょうがなかったでしょうね



リスナーさんからのメール
氣志團万博で初めてスカパラを観た
自分も吹奏楽でユーフォニックを担当している
サックスを吹きながらなんであんなに動けるんですか?

や:
そういう筋肉がついちゃったのかもしれない
普段から姿勢が反ってる

ま:
TUBEのサックスにもダンスしてもらったら
口中血だらけになってたw


欣ちゃんと相談してTUBEの曲リクエスト
♪SUMMER DREAM

や:
歌詞がいい
♪スリルと孤独を分かちあえたら 愛だけを抱きしめたい


カセットの時代
ま:ガソリンスタンドで売ってたカセットのほうが売れてた

や:
いろんな選曲してカセットテープに入れてスカパラのメンバーに配るのが流行ってた
インデックスつけて、これあげるよってゆって

ま:ベストヒットUSAを自分でつくってた

や:小林克也さんと初めて会った時すごい嬉しかった


リスナーさんからのメール2
前田さんに憧れて歌手を目指している
作詞作曲する時どんな感じ?

ま:
部屋中に書き留めて、1つにまとめる
今はスマホのメモ
うちは曲先 1つ書いたら、その真逆を書いて歌ってみて合うほうを選ぶ
とにかくたくさん書くこと

や:
谷川俊太郎さんも部屋中にメモを貼ってるらしい
星新一さんも銀座のバーのコースターに書いたりして
ひとつの作品を封筒に入れている

“真夜中のラブレター”を信じてるタイプだから
朝、我に返った時の自分はどうってことないと思ってる


<告知>
11.16 スカパラ甲子園 35周年記念 チケット発売中





東京スカパラダイスオーケストラ 35th Anniversary TOUR「Voyage To Paradise」
全国のライブハウスを周る


や:
前田さんは歌う時ハイトーンだけど
喋る声は男らしい低く太い声でビックリした

ま:違うラジオの時は裏返ったりしてますw




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