映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

緑の館

2012年12月12日 | オードリー・ヘップバーン
冒険・・・? ロマン・・・?

            * * * * * * * * *
 
以前に、オードリー・ヘップバーンのシリーズを続けたことがありましたが、
その時、見そこねていた作品です。
1959年作品。


南米アマゾンが舞台です。
青年アベル(アンソニー・パーキンス)は、ベネズエラで革命を目指していましたが、挫折。
政府軍に追われ、逃亡の末、密林地帯に入り込んでいきます。
そうして、あるインディオの集落に留まることになりました。
村人からは
「この奥にある密林は危険だから入り込まないように」
と言われるのですが、好奇心旺盛なアベルは構わず密林に踏み込んでいく。
そしてそこには、噂とは違い、
森の妖精のような娘リーマ(オードリー・ヘップバーン)と、その祖父が
ひっそりと暮らしているのでした。
祖父はリーマがまだ幼い頃にこの森にやってきて、
それからずっとここに住んでいたのですが、
インディオたちが襲ってくる気配があり、
やむなくリーマの故郷の村に行ってみることになるのですが・・・。


う~ん、冒険にしては物足りず、
ロマンスにしては陳腐・・・。
どうも、ヘップバーンが出演していることにだけ意義があるという感じの作品でした・・・。
「ローマの休日」は、今見てもみずみずしい感動を覚える永遠不滅の作品ですが、
でもやはり古ければよいかというとそうでもないんですね・・・。
ただし、お相手は、あのアンソニー・パーキンス。
かの出世作「サイコ」は、この翌年1960年の作品です。
それから、インディオの酋長ルーニは、早川雪洲。
ハリウッドで活躍した日本人の元祖です。
なかなか重々しく渋い、良い感じの酋長さんでした。

ちなみに原題は「グリーン・マンション」
・・・というと、なんだかちょっと笑っちゃいますね。
(WOWOW視聴です。DVDはやはり出ていないようです)


「緑の館」
1959年/アメリカ
監督:メル・フェラー
原作:ウィリアム・H・ハドソン
出演:オードリー・ヘップバーン、アンソニー・パーキンス、リー・J・コッブ、早川雪洲

おしゃれ泥棒

2009年05月26日 | オードリー・ヘップバーン
おしゃれ泥棒 [DVD]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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トム・クルーズも真っ青

          * * * * * * * *

この作品は、オードリーらしい、おしゃれなコメディです。

シャルル・ボネは裕福な名家の当主で、美術愛好家。
・・・しかし、実は贋作の天才。
隠し部屋でひそかに贋作を描き上げては悦に入っている。
時々はその贋作を競売にかけたりもして・・・。
一人娘のニコル(オードリー・ヘップバーン)は、
こんな父が心配で仕方がない。
ある日、美術館に贋作のビーナス像を貸し出したのですが、
保険にかけるために鑑定を行うことになり、進退窮まってしまう。
そこで、ニコルが目をつけたのは、
以前ボネ家に泥棒に忍び込んだシモン・デルモット。
彼の手を借りて、美術館からビーナス像を盗み出すことにします。
つまり、自分の家の持ち物をわざわざ盗み出すという、
いかにも皮肉な顛末が楽しいですね

ビーナス像の周囲には赤外線が張り巡らされており、
そこをよぎるとたちまち大音響の警報が鳴り響き、警察が飛んでくる、
という仕組み。
され、これをどうやって盗み出すのか。
意外にもこれは人の心理をついた、心憎い方法でした。
MIシリーズのトム・クルーズも真っ青。
そういうシステムのスキをつく力業ではないところがまた、
時代色もあるかも知れませんが、
なんだかほんのりしていていいなあ・・・と感じました。
しかし、これだけ贋作がうまければ、
始めから贋作とうたっておいても、結構売れそうですが・・・。
まあ、この場合、お金儲けではなく、単に趣味ですけれど。

この原題はHow to Steal a Milion。
邦題の「おしゃれ泥棒」はちょっと違うのですが、
でも、オードリーの持ち味を生かしたしゃれた題名ですね。
近頃こういう工夫のある邦題は、とても少なくなりました。

オードリーは、マイフェアレディのイモ娘を演じても面白いですが、
やはりこのように
どこか気品に満ちてリッチ、
はかなげだけれど、元気。
こういう形が最も映えます。
まさに、永遠の妖精です。


1966年/アメリカ/125分
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘップバーン、ピーター・オトゥール、イーライ・ウォラック、ヒュー・グリフィス


マイ・フェア・レディ

2009年05月18日 | オードリー・ヘップバーン
マイ・フェア・レディ 特別版 [DVD]

ワーナー・ホーム・ビデオ

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「花売り娘」と「レディ」の違いは、どう扱うかではなく、どう扱われるか。
 
            * * * * * * * *

これは、かなり有名なミュージカル作品ですね。
私もこれは何度も見ていて、おなじみの曲もたくさんあります。
もともとは、「ピグマリオン」というジョージ・バーナード・ショウの戯曲作品。
それが、舞台ミュージカル「マイ・フェア・レディ」として、大当たり。
この時のイライザ役は、ジュリー・アンドリュースだそうです。
そして更に映画化され、できたのがこの作品。
主役はオードリー・ヘップバーンが抜擢されました。
しかし、この映画では、歌の部分はオードリーでなく、
マーニ・ニクソンという方の吹き替え。
とはいえ、この映画の成功は、やはりオードリー出演の賜物、
といっていいでしょうね。
もちろん、曲もいいのですが。


ストーリーはいまさら説明することもなさそうです。
ロンドン下町の下品な花売り娘、イライザが、
言語学者ヒギンズ教授にレディとしての言葉、振る舞いをしつけられ、
次第に真にレディに変貌してゆく。
その間、二人は知らず心を寄せていくのですが、
しかし同時に、いつまでも花売り娘としか自分を見ないヒギンズに
イライザは反発してゆく・・・。

訛り丸出しの下品な娘、英語でもそれははっきり伝わりますね。
発音を矯正するための練習の言葉に、
“The rain in Spain stays mainly in the plain.”
なんていうのがあります。
イライザはこれを
「ザ、ライン、イン、スパイン、スタイズ、マインリイ、イン、ザ、プライン」 なんていう風に発音するんですね。
これぞ、下賎育ちの発音。
eiと発音すべきところがaiになってしまっている。
それから、“H”の音の発音ができない。
これなど、江戸っ子が「ヒ」と「シ」の区別ができないのと似ていますね。
なるほど、訛りとはこういうことなのか、と、興味深く思いました。

途中経過の競馬場のシーンも印象深いですね。
白いドレスに大きな白黒ストライプのリボン、
この姿の写真は今でもずいぶん使われています。
ここは発音だけは何とか矯正できたのですが、
言葉遣いや立ち居振る舞いがもとのまま、
というギャップが楽しめるところです。

それにしても、この芋娘から、最後のレディへの変身ぶり、
あの、優雅な身のこなし。
ほう・・・とため息が出てしまうくらい素敵でした。

でも、今回ずいぶん久し振りに見て、このラストはなんだか納得できない。
結局私は自立する女性が好きみたいです。
だから、結婚してめでたし、めでたし・・・というのはダメですね。
もちろん、今時は結婚しても職業を続けるのは普通ですから、
そこは問題ないのですが。
結婚がゴールになってしまうのはダメです。
映画も、世に連れるのでしょうね。
今なら、このラストはないと思う・・・。

1964年/アメリカ/172分
監督:ジョージ・キューカー
出演:オードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン、スタンリー・ホロウェイ、ウィルフリッド・ハイド・ホワイト






ティファニーで朝食を

2009年04月19日 | オードリー・ヘップバーン
ティファニーで朝食を [DVD]

パラマウント ジャパン

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ティファニーのショーウィンドウを眺めながらパンをほおばって・・・

            * * * * * * * *

ホリー(オードリー・ヘップバーン)はニューヨークで気ままな1人暮らし。
ある日、階上の部屋に小説家ポール(ジョージ・ペパード)が越してくる。
ホリーはつまり、コールガールなんですね。
いつかティファニーのような高級でゆったりした場所で朝食をとる、
そんな幸せを夢見ている。

彼女は貧乏な家の育ちで、
今軍隊にいる兄が除隊した時に、一緒に暮らしたいと思っている。
豊かさにあこがれるけれど、手が届かない・・・。
ところがこんな生活環境にありながら、彼女の清廉さはどうでしょう。
しかし、そうかと思えば、気まぐれでとらえどころがない。
まるで妖精のよう。

こんな彼女に惹かれていくポールですが、
彼はといえば、何年も前に短編集を一冊出したきりで、
タイプライターにはリボンも入っていない。
パトロンの中年女性に頼りっきりの生活。

ニューヨークの退廃ですねえ・・・。
しかしどこかこの気品のある全体の雰囲気。
ヘンリー・マンシーニの音楽も一役買っています。

女が、裕福な生活を夢みる時、それはお金持ちとの結婚が一番の近道。
こういうところが、さすが一時代昔という気がします。
ティファニーのショーウィンドウを眺めながらパンをかじる。
この冒頭のホリーが一番彼女の真実に近い。
そして、この感覚は、現代女性でも十分に共感できますね。
いつかこんな生活を手に入れる。それを励みに、生きてゆく。
まあ、昨今の現実は厳しい格差社会。
なかなかこのような夢も実現しがたいですが・・・。


映画中では、ある時ホリーとポールがティファニーの店に入っていきます。
予算はたったの10ドル。
さあ、何が買えたのでしょう・・・?
この店員の対応が素敵でしたね。
多分これで、ティファニーの好感度がぐ~んとアップしたでしょうね。

同じアパートに住む日本人は、出っ歯でメガネ・・・。
いかにも当時の米国における日本人のイメージそのまま。
ちょっとがっかりですよ。
嫌味な役で何度も出てくる・・・。
さすがに、近頃はここまでのイメージはないようですが・・・。

そして、もう1人の重要登場人物(?)は
ホリーの部屋に住み着いている名前のない猫。
ストーリーに癒しとアクセントをくれました。

監督:ブレイク・エドワーズ
出演:オードリー・ヘップバ-ン、ジョージ・ペパード、パトリシア・ニール、バディー・エブセン




麗しのサブリナ

2009年03月28日 | オードリー・ヘップバーン
勤勉実直な長男か、遊び人の次男か

           * * * * * * * *

これは「ローマの休日」のすぐ後のオードリー・ヘップバーン作品です。
だからなんとなくその「ローマの休日」路線の
彼女の魅力を引き出すように作られていると思います。
コメディタッチのラブストーリーです。

大富豪ララビー家。
そこのお抱え運転手の娘サブリナが、オードリー・ヘップバーン。

ララビー家長男ライナスは、仕事一筋。
いまだ独身。
次男デイヴィッドは、遊び人の放蕩息子。
離婚暦3回。
サブリナは、この遊び人の次男の方に恋焦がれているのですが、
彼は、使用人の娘、しかも小さなときから見ているサブリナのことなど
これっぽっちも気にかけていない。
傷心のサブリナは、パリへ料理の修業に行き、
2年後、パリの洗練された雰囲気を身に付けて帰ってくる。
そうすると、プレイボーイのデイヴィットが早速目をつける。
エリザベスという婚約者もそっちのけ。
ところがそのエリザベスはララビー家としては政略結婚で、
婚約解消は大変まずい。
そこで長男ライナスが、何とかこの恋路を邪魔しようと乗り出すのです。


そもそも、この遊び人に恋焦がれるというのは、
恋に恋していると同じ。
このセンはないでしょう、と初めから思いますね。
・・・とすればライナスの方か・・・。
う~ん、でも、今の感覚からすると、
サブリナの相手としてはかなりのオジサマですよね。
だがしかし、なんとこの方は、
ハンフリー・ボガードですよ。
あの、ジュリーが
「ボーギー、ボーギー、あんたの時代は良かった・・・」と歌った、
カサブランカダンディ。
ちなみに、その「カサブランカ」は今作をさかのぼること10年ほど前の作品。
となればボギーも10歳若いというわけで・・・
その頃の彼なら、と納得はいきます。

まあ、それにしても当時としては超ビッグな共演なんですね。
大富豪のオジサマと、若き美女・・・。
今でもありがちではありますが、私はあまり好きではないなあ・・・。
サブリナさん、せっかくお料理の修業をしてきたんだから、
愛だ恋だという前にまず自立しなさい・・・。
な~んて、こんな映画でそんなことを言うのは、全くヤボというものですが。

とはいえ、サブリナの衣装がまた素敵です。
パーティー用のドレスもいいけど、
黒の上下、ボーイッシュな7分丈のパンツスタイルもいいですね。
・・・「サブリナパンツ」の名称は、
やはりこの映画から来ているんですよね・・・? 
このスタイルは、彼女のようにスリムな体型だからいいので、
グラマー女優ではダメですね。

モノクロの、クラシックなロマンチックコメディをどうぞ。

1954年/アメリカ/113分
監督:ビリー・ワイルダー
出演:オードリー・ヘップバーン、ハンフリー・ボガード、ウィリアム・ホールデン、ウォルター・ハムデン


Sabrina trailer



尼僧物語

2009年03月21日 | オードリー・ヘップバーン
尼僧物語 [DVD]

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神と自分はごまかせない・・・だからこその決断

                  * * * * * * *

さて、この作品のオードリーは、他の作品と少し趣が異なります。
くるくると動く大きな瞳の、元気で愛くるしい彼女は、
尼僧の制服に身を包み、ひたすら自分を押し殺そうとします。
彼女は恋人も家族も捨て、修道院に入りました。
なんとなく修道院というのは、
愛する人を失って、生きる意味を見失って入る、
そんなイメージがあったのですが・・・。
これは大変に失礼な話でした。
そこにいれば安泰の裕福で温かい家族や
将来自分で築くかもしれない結婚生活をも捨て去り、
神に一生を捧げようという、
これは大変に崇高な行為なんですね。

ガブリエルはそのような理想に燃えて、修道院に入り、
シスター・ルークとなります。
おしゃれなファッションに身を包むオードリーも素敵ですが、
尼僧服の彼女は、いっそうその清楚さがきわだちますね。
でも、あまりにも華やかな顔立ちに、かえって痛々しい感じもします。

修道院の世界は、沈黙・謙譲・没我を基調とする厳格な世界。
シスター・ルークは、
ともすると服従の教えに反してしまう自分自身をいつも反省しています。
彼女の父は医師で彼女も看護師を勤めていたため、
実は、コンゴの医療施設で看護僧として勤めることを望んでいたのです。
紆余曲折がありながら、ようやく望みの地コンゴへ派遣されました。
やっと自分の居場所を見つけたかのように、彼女は献身的に働きます。
しかし、やはり尼僧であることには変わりなく、
患者に対している途中でも鐘の合図で祈りの場に行かなければならない。
次第に尼僧でいることに疑問が生じてくるのです。

シスター・ルークは、尼僧でいるためには、
生きる力がありすぎたのではないでしょうか。
尼僧服に身を包んでも、なおあふれ出る、
人のために尽くし、前進したいという意欲。
宗教者は人に尽くすよりも、
自分を律し神に仕えることがまず第一義なんですね。
シスター・ルークの希望は、
時として分を超えたわがままや自尊心の発露として、退けられたりもする。
見ようによってはこの教会や修道院のシステムは、理不尽でもあるのですが、
第一目的が「神」にあるとすれば、
理不尽なのは当たり前でもあります。
多分、こういうことは向き不向きがあって、
このような戒律の中で生きることにこそ歓びを感じる人は確かにいるのでしょうし、
このシスター・ルークは、そうではなかった。
修道院はよそ者を侵入させない安全な砦であると当時に、
逃げ出すことができない監獄でもあるわけです。
どちらに感じるか・・・それはその人次第ということですね。

さて、ベルギーにドイツ軍が侵攻してきた時に、彼女は一つの決断をします。
人をごまかすことはできても、自分と神はごまかすことができない。
真摯な彼女の思いが伝わるラストシーンでした。

1959年/アメリカ/152分
監督:フレッド・ジンネマン
出演:オードリー・ヘップバーン、ピーター・フィンチ、エディス・エヴァンス、ティム・ペギー・アシュクロフト


シャレード

2009年03月13日 | オードリー・ヘップバーン
シャレード [DVD]

ファーストトレーディング

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信じられるのは誰・・・?

                  * * * * * * *

スキーのバカンスからレジーナ(オードリー・ヘップバーン)が
パリの自宅に戻ってみると、家は家具もなく、すっかりもぬけの殻。
おまけに夫が殺害され、発見されたと警察からの知らせが・・・。

夫の葬儀に現れた怪しげな三人の男。
実は夫は戦時中この男たちと共謀し、25万ドルを隠匿。
戦後山分けをすることになっていたのですが、
この夫が裏切ったために殺されたらしいのです。
しかし、その25万ドルの行方は分からないまま。
そこで男たちは、
レギーナが25万ドルを持っているとにらんで襲いかかろうとする。
レギーナは、スキー場で知り合ったジョシュア(ケーリー・グラント)の助けを借りるのですが・・・。

「シャレード」は映画音楽でも有名な、サスペンス×コメディ×ロマンスの名作。
好ましいと思えたジョシュアというのは実は偽名で、
彼はレギーナをだましていたということが分かってくるんですね。
一体誰が真実を言っているのか、
信じられるのは誰なのか。
そういうところが山場となっています。

そして、25万ドルは一体どこへ消えたのか・・・。

これにはちゃんとヒントもあったんですが、気づきませんねー。
なかなかおいしいミステリです。
そして最後の最後にある、またとんでもないサプライズ。
作り方によっては、もっとハラハラと怖い話にもなったと思いますが、
ここではコメディータッチで、軽妙さを楽しむ作品となっています。

ここに出てくるオードリーは、ちょっと天然っぽいところがあってかわいい。
亡くなった夫とは離婚を考えていた矢先だったのですが、
警官に、夫の何を聞かれても”I don’t know”
こんなに何も知らないで、一体どうやって知り合って結婚したのだか、
全くの謎ですが、
何しろ夫は出てくるなり死体ですから・・・。
夫は、逃亡のための隠れ蓑として、
オトリの彼女と電撃結婚をしたのでしょう・・・(多分)。

この映画の彼女のファッションが飛び切りステキです。
鮮やかな色のコートも、なんて彼女に似合っているんでしょう。
この映画の舞台はパリですから、多分ファッションにもかなり気を使って撮影されたものと思います。

1963年/アメリカ
監督:スタンリー・ドーネン
出演:オードリー・ヘップバーン、ケーリー・グラント、ウォルター・マッソー、ジェームズ・コバーン


暗くなるまで待って

2009年03月12日 | オードリー・ヘップバーン
暗くなるまで待って [DVD]

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唯一残されていた明かり                    

                * * * * * * *

これはブロードウェイ舞台劇の映画化です。
スージーの住む家の中のシーンがほとんどなので、
舞台劇、というのは容易に想像がつきます。

オードリーの演じるスージーは盲目の女性。
夫マイクと共に住んでいます。
ある日夫が旅行中、
飛行機の中で知り合った女性から人形を預かる。
ところがそれは麻薬が仕込まれた人形。
その人形を取り戻すために、悪党たちが家に侵入してくるのです。
おりしも夫は留守。
さっさと人形を返してしまえばいい訳なのですが、
その人形がなぜか見つからない。
この危機をスージーはいかに乗り切るのか・・・。

この作品は私が中学校の頃TVで見たのだと思います。
あの、淀川長治さんの日曜洋画劇場ですね。
その解説でなぜか覚えているところがあるのですが、
それが、
「男たちの動きを封じようと、彼女は部屋中の電気を消すんですね。
盲目の彼女は明かりがなくても平気。
さあ、思いつく明かりはすべて消しました。
ところが、たった一つ、消してなかったところがあるんですね。
それがなんと冷蔵庫。
盲点ですね~。
冷蔵庫の扉を開けると、うす青い明かりが部屋を照らすんです。
すっかり見えてしまっているんですね。
怖いですね~。」
・・・・というような感じ。
おお、その記憶の正しさをこのたび確認しました。

か弱い盲目の女性が1人、3人の悪党たちと対峙するのです。
彼らは初め巧みに彼女をだまして、人形のありかを口にさせようとする。
こんな女性をだますのはわけもないと思っているのですね。
ところが、彼女は盲目ゆえに人並み以上に気配に敏感で鋭いのです。
見えないのをいいことに、
彼らは彼女のいるそばで、
部屋のブラインドを開け閉めして外の仲間に合図を送ったり、
階段の手すりを拭いて指紋を消したりするのですが、
彼女にはすべてわかっている。

「あの人たちはどうして、何度もブラインドを開け閉めしていたのでしょう・・・。」
「部屋が汚れているんでしょうか。あの人は階段の手すりを拭いていました・・・。」

頭の良いスージーが、次第に彼らの嘘を追い詰めていくんですね。
しかし、ついに彼らは逆切れして・・・!

まあ、今時の映画からするとスリル・サスペンス度はそこそこですが、
悪党の1人は結構憎めない奴だったりして、
なかなかの人間ドラマでもあります。
また、この家に出入りしてスージーの手助けをしている少女、
グローリアの存在も重要です。
初め、スージーはこの子を苦手に思っているんです。
どうも、意地悪をされているような気がする。
けれど、この子のために事件はおこり、この子のために事件は収まる、
そうもいえますね。
彼女の真っ赤なセーターが印象的。

1967年/アメリカ/
監督:テレンス・ヤング、
出演:オードリー・ヘップバーン、エフレム・ジンバリスト・ジュニア、アラン・アーキン、リチャード・クレンナ


ローマの休日

2009年03月06日 | オードリー・ヘップバーン
ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 [DVD]

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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永遠の妖精

            * * * * * * * *

おそらく誰もが知っている、オードリー・ヘップバーンの名作。

ぼちぼちと、ヘップバーンを追ってみようかと思います。

彼女の生は1929年~1993年。
アンネフランクと同年の生まれだそうですよ。
その第二次世界大戦時は彼女もオランダに住んでいた。
そして終戦後、イギリスへ。


この作品は、彼女のアメリカ映画初出演。
オーディションでこのアン王女役を手に入れたそうです。
まさに、可憐な彼女にぴったりのこの役。
ストーリーはいまさら言うまでもありませんが、
ヨーロッパ親善旅行中の小国の女王アンが、
その窮屈な毎日にうんざりしてローマの大使館を抜け出す。
そのたった一日の彼女の自由気ままな休日を描いたもの。
アメリカの新聞記者ジョーは、トクダネ目当てに、
彼女を女王と気づかないフリをして連れ回します。
長い髪をばっさりと切るシーンが、
私にはずいぶん印象深く残っていたのですが、
確かに、ショートカットの彼女がまた、一段とかわいい!

スペイン広場でアイスをほおばり、
真実の口ではドッキリ。
夜の船上パーティーのロマンチックと乱闘騒ぎ。
どこをとっても楽しいシーンばかりです。

これは1953年作品なんですよ。
一応お断りしておきますが、まだ私は生まれてません!!
したがって私が物心ついてみた時点ですでに、
「往年の名作」であったわけですが・・・。
しかし、モノクロではあるものの、さほど古めかしい感じもせず、
十分以上に楽しめてしまう。
映画ってすごいですねえ・・・。

このローマの休日を現代版に焼きなおしたのが
「チェイシング・リバティ」という
2004年作品。
これは米大統領の娘アナの冒険のストーリーでした。
さがせばもっと似たようなストーリーはありそうです。
お姫様のちょっとした冒険とロマンス。
アンは王女でありながら、庶民と同じく、退屈な公務なんて大嫌いでお転婆。
ただでさえ、女の子はお姫様が好きですが、
これが等身大なんで乙女心を掻き立てるわけです。

グレゴリー・ペックの新聞記者もすてきですよ。
眠りこけているアンをやむなく自室に連れてきてしまったけれど、
ベッドは一つしかない。
そこへ倒れこんで寝てしまったアンを、
長いすの方へどけて、ベッドは自分でつかって一夜を明かす。
しかしそのあと、彼は彼女が王女だということを知るんですね。
まだ寝ているアンをいそいでベッドの方へ移しておく。
目覚めたアンは
「どうもありがとう。長いすでは寝づらかったでしょう・・・。」
これぞ欧米のユーモアセンスですねー。

1953年/アメリカ/118分
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート、ハートリー・パワー