映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

タクシー運転手 約束は海を越えて

2019年06月29日 | 映画(た行)

真実を伝えたい

* * * * * * * * * *


1980年5月韓国で起きた光州事件。
そのときに、ドイツ人記者を現場まで送り届けたタクシー運転手の実話をもとにしています。

韓国で民主化を求める大規模な学生・民衆のデモが起こりました。
光州では市民を暴徒とみなした軍が厳戒態勢を敷きます。
そんな中、通行禁止時間までに光州に行けば大金を支払うというドイツ人記者を乗せて、
光州を目指すことになったタクシー運転手のマンソプ(ソン・ガンホ)。
道路はすでに封鎖されていましたが、適当に言い逃れてなんとか光州に到着。
ところがマンソプは学生や民衆が軍から発砲を受け、
多数の死傷者を出しているという思いがけない光景を目にします・・・。

 

マンソプは政治に無関心、学生運動なんて親からお金を出してもらっているくせにけしからん
・・・というような、せこい中年男。
この光州行きも本当は他の運転手が受けた話だったのに、
抜け駆けして客を横取りしてしまったのです。
ドイツ人記者ピーターは韓国語がわからず、
マンソプとは片言の英語でやっとなんとか通じるくらい。
そんなわけで行きはギクシャクとした道行きだったのです。
マンソプというダメ男を前面に出して、コミカルに話は進んでいくのですが、
光州に入ってからは知らず知らずに深刻な状況に陥っていき、
今は忘れかけられた過去の悲惨な事実を私達に突きつけていきます。



無抵抗の学生や街の人々に向けて、同じ国の軍隊が銃を向けるなどと言うことがあるとは・・・。
それを目の当たりにしたマンソプは愕然としてしまうのです。
ピーターにこの事実をぜひ全世界に発信してもらいたい。
そう思うマンソプと地元のタクシー運転手たちは
力を合わせてピーターに取材させようとするわけです。



重くなってきた話の中でも、思いがけないカーチェイスまであったりして、
視聴者へのサービス精神も、私達を置き去りにはしません。
感動作でした。

タクシー運転手 約束は海を越えて [DVD]
ソン・ガンホ,トーマス・クレッチマン,ユ・ヘジン,リュ・ジュンヨル
TCエンタテインメント

<WOWOW視聴にて>
「タクシー運転手 約束は海を越えて」
2017年/韓国/137分
監督:チャン・フン
出演:ソン・ガンホ、トーマス・フレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジョンヨル
歴史発掘度★★★★☆
義侠心度★★★★☆
満足度★★★★☆


ザ・ファブル

2019年06月28日 | 映画(さ行)

変人ぶりを楽しむ

* * * * * * * * * *


超人的戦闘能力を持つ伝説の殺し屋ファブル(岡田准一)。
育ての親でもあるボス(佐藤浩市)から
1年間殺しをせず、普通の人間として生活をするようにと命じられます。
「休業中に誰かを殺したら俺がお前を殺す」、とも。
そこでファブルは佐藤アキラと名前を変え、
相棒のヨウコ(木村文乃)を妹として
大阪で「プロの普通」を目指して暮らし始めます。
ところが、親しくなった女性ミサキ(山本美月)が事件に巻き込まれたことから、
裏社会のいざこざに深入りせざるを得なくなってしまうファブル・・・。

ヤクザ映画は守備範囲外ではありますが、
本作、なんだか楽しそうなので見てみました。
ファブルは子供の頃から殺人者になるべく育てられたので、
普通の生活を知らないというところがミソ。
それでちょっぴり天然系で何故か真面目なので、一般の人から見るとちょっと変人。
枝豆を皮ごと食べたり、聞けばスイカも皮まで食べるという。
自室では素っ裸で過ごす。
大阪でついた仕事は時給800円・・・。



こんななんだかトホホな変人・佐藤アキラくんにも
優しく思いやりがあるミサキちゃん、良い子だわ~。

そして彼を付け狙う面々がまた、豪華キャストで洒落ている。
向井理さん、柳楽優弥さん、福士蒼汰さん。
いかにも「悪人」の顔で恫喝する彼らがすごく楽しんでいるように見受けられるのです。
殿方なら一度はこういう役をやりたいと思うのだろうなあ。
俳優をやっている限りは一度では済まないでしょうけれど。

柳楽優弥さん、この間の「泣くな赤鬼」の腑抜け男より
こっちのほうがずっといいですよ~。



そして岡田准一さんは重い役柄が多いので、
今回のようなトボけた役はどうなのかと思いましたが、いやいやそれは杞憂でした。
常に生真面目な役だからこそ、ボケが面白いということか。
アクションはスタント無しで、全てご自身だそうで、
建物の外壁をひょいひょいと登っていくあたりには見惚れました・・・!
殺人マシンでありながら、一切それを封じるということで、
人が死なないというところもいいですよね。
続編があればまたみたいです。

<シネマフロンティアにて>
「ザ・ファブル」
2019年/日本/123分
監督:江口カン
原作:南勝久
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、井之脇海、安田顕、佐藤浩市
アクション度★★★★☆
天然度★★★★☆
満足度★★★★☆


「絶叫委員会」穂村弘

2019年06月27日 | 本(エッセイ)

インパクトのある言葉の数々

絶叫委員会 (ちくま文庫)
穂村 弘
筑摩書房

* * * * * * * * * *

町には、偶然生まれては消えてゆく無数の詩が溢れている。
突然目に入ってきた「インフルエンザ防御スーツ」という巨大な看板、
電車の中で耳にした「夏にフィーバーは暑いよね」というカップルの会話。
ぼんやりしていると見過ごされてしまう言葉たち…。
不合理でナンセンスで真剣だからこそ可笑しい、天使的な言葉の数々。

* * * * * * * * * *

最近なんとなく「ちくま文庫」にはまっていまして、
書店に行くと、ちくま文庫の棚の前につい足を運んでしまいます。
そんな中で見つけたこの本。
歌人・穂村弘さんが日常の生活の中で見聞きしたインパクトのある言葉が集められています。

 

例えば巻頭付近にあるのが
「俺の靴どこ」
全然何ということのない言葉なのですが、これが、剣道の試合の後倒れてしまった少年が、
最後にこう言ったあと、亡くなってしまったのだというのです。
"意識を失った少年がこの世で最後に口にした言葉としての凄まじいリアリティと輝きに満ちている。"
なるほど。


「出だしの魔」というところでは
ある結婚式のお祝いのスピーチ。
「ケイスケさん、ユミさん、ご結婚おめでとうございます。」
これも別になんともないように思われるのですが、
実はこのときの新郎新婦はケイスケでもユミでもなくて、似た名前でも全然なかったという・・・。
凍りついたような会場の雰囲気が目に浮かびますね。
なぜこんなことになったのかは、実際に読んで確認下さい・・・。

言い間違いであれ、天然系であれ、
言葉を紡ぐ歌人なればこそ、「アレ?」と思う言葉に、
常の人以上に引っかかりを覚えるようです。
いえ、歌人でなくても十分に面白いですけれど。


私が思わず吹き出してしまったのは最後にあった
「でも、さっきそうおっしゃったじゃねえか!」
仕事の打ち合わせでクライアントから理不尽なことを言われたときに、
つい出てしまった言葉だそうです。
使わねばならない敬語と本音がステキにごっちゃになって、お見事!!

楽しめます。


「絶叫委員会」穂村弘 ちくま文庫
満足度★★★★☆


ペンギン・ハイウェイ

2019年06月26日 | 映画(は行)

なんてステキなイマジネーション

* * * * * * * * * *


森見登美彦さんの日本SF大賞受賞作が原作。
もともと森見登美彦さんのストーリーはアニメ向きなので、
本作も原作のイメージをますます鮮明に蘇らせてくれました。

小学4年生の研究熱心なアオヤマくんは、通っている歯医者のお姉さんと仲良し。
ある日、街に突然ペンギンが現れ始めるのですが、
どうやらこのペンギンはそのお姉さんが作り出しているらしいことに
アオヤマくんは気が付きます。
また、ちょうどその頃、アオヤマくんのクラスメートであるハマモトさんが、
森の奥に水のような不思議な球体が浮かんでいるのを発見します。
その「海」とペンギンとお姉さんの関係は・・・?

本作の感想については、原作本の感想と全然変わらないので、
そちらを御覧ください・・・。
→「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦

いずれにしても、未知のワクワク感と、
まだ初恋にもならないくらいのみずみずしい感情が溢れていて、
とても楽しい作品です。

コーラの缶がペンギンに変身なんて、
一体そんな発想がどうやったら湧いてくるものやら・・・。
そして、このペンギンたちは空をも飛んでいる。
なんてステキなイマジネーション!

私、アオヤマくんのお父さんの声が西島秀俊さんであることには
すぐに気が付きました。
西島秀俊さんは声もハンサムなんですよねー♡

ペンギン・ハイウェイ DVD スタンダードエディション
北 香那,蒼井 優,釘宮理恵,潘 めぐみ,福井美樹
東宝



<WOWOW視聴にて>
「ペンギン・ハイウェイ」
2018年/日本/119分
監督:石田祐康
原作;森見登美彦
出演(声):北香那、蒼井優、釘宮理恵、西島秀俊、竹中直人

 


劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

2019年06月25日 | 映画(は行)

旅してみたい、ファイナルファンタジー世界

* * * * * * * * * *

原作者マイディさんが実話をブログにして大評判となったものが
書籍化、テレビドラマ化され、ついに映画化に至ったという作品です。
でもそんなことも何も知らなかった私ではありますが、
ファイナルファンタジーと坂口健太郎さんにつられて見てみました。

仕事一筋だった父(吉田鋼太郎)がある日突然仕事を辞め、
単身赴任先から家に帰ってきました。
そして父は何をするでもなく一日中ぼーっとテレビを見ています。
これまで父とまともに話したこともなかったアキオ(坂口健太郎)は、
父の本音を聞きたいと思い、あることを思いつきます。
父をオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の世界に導き、
自分は正体を隠したままで父と共にゲームの世界で冒険の旅に出ようと。



ゲーム機のつなぎ方もわからない父に、アキオは実際に手助けをしながら、
ゲーム世界ではマイディー(父はメーデーと呼ぶ)として
親しく会話を交わすようになっていきます。
そして、アキオはこれまで知らなかった父の意外な一面に気づいたりする。
しかし父にはある秘密があったのでした・・・。

私がドラクエやファイナルファンタジーにはまっていたのは
せいぜいがスーパーファミコンの時代までなので、
オンラインゲームのことはよくわかりません。
けれども、桁違いに美しく緻密になったゲーム世界をたっぷり楽しませていただきました。
アキオが仕事に行き詰まっていたときに父からアドバイスを貰ったりするのもいいですね。



実際に会ったこともないどこの誰かもわからない人とつながるのは、
そう悪いことではありません。
けれど現実世界を置き去りにして、ゲームの中だけが自分の居場所になってしまうのは怖い。
本作は現実とゲーム世界のバランスが絶妙にうまく釣り合っています。

光の戦士、ならぬ光のお父さんとして、現実世界に踏み出す勇気を、
チームの皆が与えたのでした・・・。
そしてこの家のお母さん、夫がいきなり仕事をやめても
どーするの!!とヒステリーを起こしたりもせず、鷹揚なのがいいです。
アキオくんの人の良さはお母さん譲りだなあ・・・。
意外と楽しめました。
ゲームなんかくだらないと思っている方も、
本作で少しその世界観に触れてみるのも良いかもしれません。

<シネマフロンティアにて>
劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん
2019年/日本/114分
監督:実写パート 野口照夫  ゲームパート 山本清史
原作:マイディ
出演:坂口健太郎、吉田鋼太郎、佐久間由衣、財前直見、佐藤隆太
ゲーム世界の美しさ★★★★★
満足度★★★★☆


「坂の上の雲 四」司馬遼太郎 

2019年06月23日 | 本(その他)

バルチック艦隊の苦難の航海

新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋

* * * * * * * * * *

明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。
豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。
少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。
また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。
緒戦から予断を許さない状況が現出した。

* * * * * * * * * *

坂の上の雲 第四巻です。
前巻から、正岡子規や秋山兄弟の個人的な事柄から日露戦争の戦況に話が進んできて、
私としてはやや興味が薄らぎ、この先読み続けられるか
不安になってきたところではありますが・・・。


本巻で興味を持ったのは、バルチック艦隊のこと。
日本海の決戦でバルチック艦隊は日本の艦隊に敗れるということは知っていましたが、
それ以上のことは何も知りませんでした。
バルチック艦隊は1904年10月にバルト海を出港。
そこから南下してアフリカ大陸を大きく迂回し、インド洋を経て南シナ海に出ます。
日本海海戦があったのが翌年5月。
当時のことですから仕方ないとはいえ大艦隊が半年以上もの航海で、
日本付近までたどり着いていたのですね。
本巻では出港してからまだマダカスカル島までしか進んでいません。
この艦隊の燃料は石炭です。
そのため度々途中の港によって石炭や水・食糧などを積み込む必要がある。
しかし、途中のアフリカ諸国はイギリス領やフランス領となっていて、
特にイギリスは当時日本と同盟を結んでいることもあって、ロシアには非協力的。
港に停泊さえもさせてもらえません。
フランス領なら良いかと思えば、フランスもイギリスに忖度して、非協力的。
長い船旅、燃料は入手が難しくしかも粗悪品。
船は故障も多くて青息吐息・・・。
日本海にたどり着くまでにどんな事になっているやら・・・と、思うわけです。
こんな大変な思いまでして戦争しなくても・・・と思ってしまいます。

さて同時に進行するのは、陸軍の戦い。
旅順での攻防戦です。
日本は旅順の港を見下ろすことができる203高地をぜひ手中にしたかった。
しかしこの作戦を阻んだのが、無能な指揮官。
頑迷に同じやり方を繰り返すばかりで戦場は日本兵の死屍累々という惨状が繰り広げられる・・・。
著者は、乃木の怠慢なやり方に業を煮やした児玉が来て、
彼が指揮をとるやいなや反撃が成功し、ロシア軍降伏に至る
・・・というように本作では描いているのですが、
それについてはいろいろと異論もあるようです・・・。

日本人にも有能な人、無能な人、いろいろあるように、
相手側ロシアにしてもいろいろ。
まあ、お互い様なんですね。


本巻中では、旅順の戦いが終わり、黒溝台の戦いに入ります。
いよいよ秋山好古、騎兵の登場。
しかしこれがまた熾烈です・・・。

明治における「戦争」の姿。
それは私の知る太平洋戦争とはまた少し違う、古風な感じがします。
が、ほとんど無駄死によのような日本兵の死に方には憤りを感じざるを得ませんが。
ともあれ前巻で心配したほどには、興味を失わずに読むことができました。

図書館蔵書にて (単行本)

「坂の上の雲 四」司馬遼太郎 文藝春秋
満足度★★★☆☆

 


はじめてのおもてなし

2019年06月22日 | 映画(は行)

こじれた家族も単純に考えれば・・・

* * * * * * * * * *


ミュンヘン郊外の住宅地に暮らすハートマン夫妻。
夫リヒャルト(ハイナー・ラウターバッハ)は大病院に勤務する医師で
まだまだ自分は若いと思い、引退などとんでもないと思っています。
しかしその実、独善的で頑固。
若干周りからは煙たがられている・・・。
一方妻アンゲリカ(センタ・バーガー)は長年勤めた教師を定年退職。
息子、娘もすでに家を出ていて、時間を持て余しています。
そこでアンゲリカは、難民を一人受け入れることを決意。
ナイジェリアからきた亡命申請中の青年ディアロ(エリック・カボンゴ)がやってきます。
彼はとても真面目で気立ての良い青年。
どうやら問題はこの青年ではなくて、家族の方にありそうで・・・。

ドイツ作品ですが、今の夫婦・家族とか社会の有り様はどこの国も同じだなあ
・・・とつくづく感じました。
気持ちの離れかけた夫婦。
離婚して子供を育てているけれど、仕事中毒の長男。
いつまでも自分探し(?)を続けていて、30代にしてまだ学生の長女。
地位にしがみつく父。
空の巣症候群の母。
都会のこんがらかった人々の関係性を、
ディアロが単純明快な目線で見つめていきます。



どんな悲惨な経験を積んだ後にディアロがここまでたどり着いたのか、
という話もちゃんと入っているところもいいですね。
難民一人ひとりが持つこうした経験を私達も共有すれば、
もっと世界は彼らに優しくなれるかも・・・。
というよりも国を捨てなければならないという状況自体を
なんとか支援して解消できればいいのに・・・と思います。



仕事に追いまくられてついに倒れてしまう長男は精神病院に送られてしまいます。
ちょっとハッとしますね。
よくあるシーンではありますが、実はこれはすでに「精神の病」なのかもしれない。
家族との生活と仕事と、本当に大切なものは何かということを忘れてしまっている状態というのは。



またお約束ではありますが、サイドストーリーとして発展する一つのロマンスもまた、嬉しいところ。
大変楽しめた作品でした。

はじめてのおもてなしDVD
センタ・バーガー,ハイナー・ラウターバッハ,フロリアン・ダーヴィト・フィッツ,パリーナ・ロジンスキ,エリヤス・エンバレク
ポニーキャニオン


<WOWOW視聴にて>
「はじめてのおもてなし」
2016年/ドイツ/116分
監督・脚本:サイモン・バーホーベン
出演:センタ・バーガー、ハイナー・ラウターバッハ、エリック・カボンゴ、フロリアン・ダービト・フィッツ、パリーナ・ロジンスキ

世界の同時性★★★★☆
満足度★★★★☆


泣くな赤鬼

2019年06月21日 | 映画(な行)

ピンとこない・・・

* * * * * * * * * *


城南工業高校野球部監督・小渕(堤真一)は日焼けした赤い顔と熱血指導のため、
「赤鬼」と呼ばれていました。
甲子園出場まであと一歩というところまで行きながら、夢破れてしまいます。
そしてそれから10年。
小渕は50代、疲れた中年男となっています。
ある時、病院の待合室でかつての教え子、斎藤(ゴルゴ)(柳楽優弥)と再会します。
ゴルゴは優れた野球センスを持ちながらも努力を怠り、
高校も中退してしまってその後会うこともなかったのです。
今はきちんとした仕事があり妻と幼い子供がいて幸せそうなゴルゴ。
しかし彼は末期がんに冒されていたことがわかります。
赤鬼はそんなゴルゴのためにあることを企画します・・・。



なんだろう、本作はどうも「ピンとこない」のです。
結局何を言いたかったのかよくわからない。
どこが感動点だったのか・・・?


小渕の率いる野球チームに、ゴルゴと同じポジションを競う和田(竜星涼)がいました。
10年後に小渕と再会した和田は言います。

「監督は自分の夢のために俺たちを利用しただけ。
自分はゴルゴを奮起させるためのエサにされただけ。」

私にはまさにこれが真実に思えるのです。
小渕が現任である進学校の弱小野球部には
全く指導する意欲を失っているあたりを見ると・・・。


しかも小渕は、ゴルゴが野球部に復帰することを期待してはいましたが、
戻らない彼が高校もやめると聞いてもそっけなく、
その後の心配をしようともしません。
そして実際その後の彼のことを知ろうともしていなかった。



今考えてみると、本作はこのダメ男が自分のダメさに気づいて再起する物語であったわけです。
ところが、本作はどうもその筋が通っていない、
というかわかりにくくなってしまっている。
それはゴルゴがあまりにもいいヤツで、しかも死に向かうという重大問題を抱えているから。


チームのレギュラーから外されて、高校をやめると言っても
引き止めもしない監督、しかも担任を、普通なら恨むのではないでしょうか。
でもゴルゴにはそういう気配がまったくない。
病院で小渕に会ったときもひたすら懐かしんでいましたもんね。
ひょっとしてこいつバカ?と私などは思ってしまった。
でも現に彼はその時、並の人以上に充実した人生の途上にあったわけだから、
かすかにあったわだかまりのようなものも消えていたのかもしれない。
実のところゴルゴが今、不遇な状況にあってしかも病に冒されていて・・・
そして赤鬼をずっと恨んでいた、ということなら「物語」としてすごく納得できるのですけれど。

なんだかストーリーとしてちぐはぐに思えてしまいます。
しかも小渕が実際にやったことというのがどうにもしょぼい・・・。
名優を揃えながらも、ストーリー自体がしょぼいので、
これはもうどうにもなりません・・・。
え、重松清さん原作? 
じゃ、これを映画化しようとしたことがそもそもの間違い・・・。


<ユナイテッド・シネマにて>
「泣くな赤鬼」
2019年/日本/111分
監督:兼重淳
原作:重松清
出演:堤真一、柳楽優弥、川栄李奈、竜星涼、

満足度★★☆☆☆


蜘蛛の巣を払う女

2019年06月20日 | 映画(か行)

姉妹の確執

* * * * * * * * * *


「ドラゴン・タトゥーの女」に続くシリーズ。
メインスタッフとキャストは一新。
「天才ハッカーで背中にドラゴンのタトゥーがある暗い過去を持つ女」
というくくりさえあればなんでもあり、という感じですが、
この設定がいかにも今様で面白いのです。

バルデル教授が図らずも開発してしまった核攻撃プログラム。
リスベット(クレア・フォイ)は、教授からそのプログラムを
アメリカ国家安全保障局(NAS)から取り戻してほしいという依頼を受けます。
リスベットがその任務を進めるうちに、16年前別れた双子の妹、
カミラ(シルビア・フークス)の存在が浮かび上がります。
カミラの仕掛けた罠にはまっていくリスベット・・・。

リスベットは前回のストーリーのあと、「闇の仕事人」のような仕事をしていたようです。
男性に虐げられた女性たちを救うような・・・。
これもまた一つ一つ作品にすれば面白いのに、とも思いますが。



リスベットが今のような境遇にあるのは、少女時代の父親に原因がある。
闇の帝王的存在の父親は、娘たちを自分のものとして支配下に取り込もうとするのですが、
リスベットは断固拒否して命がけで父親の元を逃げ出したのです。
しかし妹カミラは逃げることができなかった・・・。
父親から本当は愛されたかったリスベット、
逃げ出したかったのに置いていかれたカミラ、
そんな姉妹の葛藤や愛憎が背景となったストーリー。



ではありますが、実はそのへんの表現が少し物足りなかったかも、という気はしました。
しかし、いかにもスウェーデンという白く凍てついた世界。
黒ずくめの服装をしたリスベット。
真紅のコートを着たカミラ。
こうしたコントラストがスタイリッシュです。

クレア・フォイのリスベットは、大きな瞳がいつも潤んでいるようで、
何かと戦っているというよりも、なにかから逃げているという感じがします。
まあ、それも悪くはありません。

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クレア・フォイ,スヴェリル・グドナソン,レイキース・スタンフィールド,シルヴィア・フークス,スティーヴン・マーチャント
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント



<J-COMオンデマンドにて>
「蜘蛛の巣を払う女」
2018年/イギリス・ドイツ・スウェーデン・カナダ・アメリカ/115分
監督:フェデ・アルバレス
出演:クレア・フォイ、スベリル・クドナソン、ラキース・スタンフィールド、シルビア・フークス、スティーブン・マーチャント
スタイリッシュ度★★★★☆
満足度★★★☆☆


「人はなぜ物語を求めるのか」千野帽子

2019年06月19日 | 本(解説)

物語を生きようとする、私たち

人はなぜ物語を求めるのか (ちくまプリマー新書)
千野 帽子
筑摩書房

* * * * * * * * * *


人は人生に起こる様々なことに意味付けし物語として認識することなしには生きられない。
それはどうしてなのか?
その仕組みとは?

* * * * * * * * * *

「人は人生に起こる様々なことに意味付けし物語として認識することなしには生きられない。」
紹介文にもある通り、私達は身の回りのことを「物語」として理解しようとします。
自分の子供を虐待死させたり、包丁を持ち出して通行を切りつけたり・・・。
私達はその人が「なぜ」そんなことをしたのか、その意味を考えずにいられません。
そして報道もそれを探りたくて、様々な角度から犯人の実像に迫ろうとします。
起こった出来事に原因・理由をみつけて何らかの「物語」を作らないと、
自分の中に落とし込めないのですね。
本作はそんな私たちの心のメカニズムを説くとともに、その危険性をも言っています。

私達は本当のことを知りたいというよりも、
未知のできごと(異なるもの)をすでに知っているパターンの形に押し込めて
消化(同化)してしまいたいと思う。
だから、ストーリーを作り上げようとするのですが、
そのストーリーを作る上で、「私たちは**に違いない、のはずがない」というような「一般論」や、
「**すべきである、してはならない」という「べき論」に強く縛られてしまっているのです。
それだから、例えば今の自分の状況が本来あるべきストーリーとずれてしまっていることに、
悩み、苦しんでしまう。


著者は最後のまとめでこんなふうに言っています。

「従来の生きる指針(ライフストーリーメイキング)を捨てるのは先の保証がなく、
崖から落ちるくらい怖いが、そうする自由は常にある。」

悩み苦しんで煮詰まり、自ら命を落としてしまう人すらある人生というもの。
でも本来私たちは自由なのだから、一般的に当たり前とされるストーリーではなく、
別のストーリーに乗ってみることもできるのではないかな・・・。
そんなふうに私は思いました。


図書館蔵書にて
「人はなぜ物語を求めるのか」千野帽子 ちくまプリマー新書
満足度★★★.5


パパは奮闘中!

2019年06月17日 | 映画(は行)

まずは現実を受け入れよう

 

* * * * * * * * * *

本作の題名を見ると、コメディっぽい感じがするのですが、
作品のトーンはもう少し沈んでいます。

ネット通販サイトの倉庫でリーダーとして働くオリヴィエ(ロマン・デュリス)。
ある日突然妻が姿を消してしまいます。
オリヴィエは仕事をしながら二人の子どもたちの世話をしなければならず、
一杯一杯になってしまいます。
さあ、どうなる?!

オリヴィエの妻は若干心の病に陥っていたようです。
共働きの生活。
時間にもお金にもゆとりはなく、夫も仕事で早朝から夜遅くまで仕事。
そんな中で自分を見失っていくというのはわからないでもないですが、
まあ、彼女のことは本作では詳しくは描かれません。
ある日急にいなくなってそれっきり。



問題は残された夫と、小学生の息子と娘。
料理などしたこともなさそうなオリヴィエの用意する食事は
いつもシリアルに牛乳をかけるだけ・・・。
何しろ仕事があるので、子どもたちの学校の送り迎えや放課後の時間のことがまず大問題。
それで彼の母親や妹が助けに来てはくれるのですが、
彼女たちにも生活があり、いつもというわけには行きません。
しかもこれまで共働きでやっとの暮らしだったので、
妻の収入がなければこの先家賃も払えなくなるかも・・・と、
オリヴィエの悩みはつきません。



けれどオリヴィエは、あまりにも自分の大変さにとらわれているので、
子どもたちの気持ちを思いやることを忘れていた。
一番寂しいのはやはり子どもたちなんですよね。
妹の方はついに失語症に陥ったりします。
本当は、母親がいなくなってしまったというこの状況と今後のことを、
子供だからと適当にあしらうのではなくて、
しっかり向き合って話をすべきだったのかもしれません。
とはいえ実際自分自身が混乱している最中ならそれも難しいですけれど。



結局のところ本作では、子どもたちが「自分たちで母親を探しに行った」
ということが解決のきっかけだったような気がします。
それは無謀で、そしてムダで、騒ぎになっただけのことではありますが、
本当に母親はいない、帰ってこない、ということを自分で理解した。
そのことが大きいのです。
それで初めてこの家族は、新しい道へ向かうことができるのですね。


家族の問題でありながら、同時に今の社会問題をも言っているのでした。
もう少し、ゆったりと家族の時間を楽しめる生活が、誰の上にもあるといいのですが・・・。

<シアターキノにて>
「パパは奮闘中!」
2018年/ベルギー・フランス/99分
監督:ギョーム・セネズ
出演:ロマン・デュリス、ロール・カラミー、レティシア・ドッシュ、ルーシー・ドゥベイ
家族問題度★★★★☆
満足度★★★.5


悪と仮面のルール

2019年06月16日 | 映画(あ行)

煙すぎる・・・

* * * * * * * * * *


久喜文宏は10歳の時、父から衝撃的なことを聞かされます。
久喜家は代々「邪」の家系で、文宏も純粋悪となることを望まれて生まれた存在なのだ、と。
父は、悪になるための教育として「お前に地獄を見せる」と宣言。
それは久喜家の養女・香織を損なうことであるという。
その後、思いを寄せる香織を救うために、文宏は父を殺害。
香織の前からも姿を消し、新谷弘一(玉木宏)という別人として生まれ変わり、
密かに香織(新木優子)を見守ります。
そんなところへまた、久喜家の本質である「巨悪」が現れて・・・

原作が中村文則さん。
ということで、本作は多分この映画よりも本を読んだほうが
もっと楽しめるのではないかと感じました。
というのも、この久喜家のこと。
「邪」とか「巨悪」とか・・・、どうもそのへんの描き方が弱い気がするのです。
もっと底知れない恐ろしさ、闇、残虐さ等が描かれなければ物語全体に説得力が出ません。
原作本であればおそらく、イヤというくらいそのへんが
底しれない感じに表現されているのではないかと・・・
まあ、勝手に私が想像しているだけですけれど。
とはいえ、ちょうどその時、テロ組織による連続殺人事件が起こっていたり、
また、文宏が身を入れ替えた新谷が犯した過去の罪を暴こうとする刑事が現れたり、
話が絡み合っているのは面白い。
吉沢亮さんもワイルド風味でカッコよかったですし!

 

もう一つ気になったのが、新谷、つまり玉木宏さんのタバコを吸うシーンが多すぎる、ということ。
私は特別に嫌煙権論者ではありませんが、
昨今、テレビでも映画でも喫煙シーンがほとんど出てこないので、
そうしたシーンがでてくるだけで、「アレ?」と思うのです。
しかるに本作、玉木宏さんが出れば必ずタバコを吸い始める。
いくらなんでも多すぎる。
しつこい。
玉木宏さん自身のイメージダウンにもなってしまいそうだ・・・。

ということで、なんだかなあ~という作品。
ところで、このストーリー、たまたまですが先日見たTVドラマ「インハンド」の
一つのエピソードを思い出してしまいました。
ある地域で、代々凶悪な人物が生まれるという・・・。
「人の性格を決定するのは遺伝子なのか、環境なのか」というテーマを扱っていて、
本作と似ています。
おまけにどちらも柄本明さんが出演していて、
今思い出そうとするとどっちがどっちなのか、よくわからなくなってくるくらい・・・。
全く個人的な、「たまたま」なんですが。

<WOWOW視聴にて>
悪と仮面のルール
2018年/日本/138分
監督:中村哲平
原作:中村文則
出演:玉木宏、新木優子、吉沢亮、中村達也、光石研、柄本明

悪と仮面のルール [DVD]
玉木宏,新木優子,吉沢亮,中村達也,光石研
キングレコード

喫煙頻度★★★★★
満足度★★☆☆☆


「春はそこまで 風待ち小路の人々」志川節子

2019年06月15日 | 映画(は行)

江戸の商店街スタンプもあり

春はそこまで 風待ち小路の人々 (文春文庫)
志川 節子
文藝春秋

* * * * * * * * * *

芝神明宮のほど近く、「風待ち小路」には小さな店が集まっている。
絵草紙屋の旦那は不甲斐ない息子に気をもみ、
生薬屋の内儀は夫の女遊びに悩む日々だ。
しかも近所に新しく商店街ができ、客足が遠のいている。
そこで若い跡取り連中は、町のためにあることを企てるが…。
直木賞候補にもなった、時代小説の逸品。

* * * * * * * * * *

志川節子さん、私にははじめての作家さんですが、
直木賞候補作品の中から選んでみました。


本作は小さな店が集まる「風待ち小路」に暮らす人々の日常を連作短編小説で描いています。
一つ芯になっているストーリーが、仇討ち。
もともと藩の内部抗争に巻き込まれて亡くなった男の親族が
町人に身をやつして敵討ちの相手を探し出し、本懐を果たそうとしているのです。
そんな真相が現れるにつけ、虚しくなっていく仇討ちの有様を描き出します。
また、引退間近の大旦那たちと跡継ぎの若い衆の
かすかなわだかまりのようなものもあって、芝居対決になっていくのが興味深い。


またこの商店街の近くに別の商店街ができ、お客を取られ始めている。
そのため再びお客を呼び戻すための工夫を考え始める・・・と。

仇討ち以外は、現代と共通の課題を追っていくところが面白いと思いました。
それから私がこれまで読んでいた時代小説の中では
最も艶っぽいところへ踏み込んでいるような・・・。
読後感も良くて、楽しませていただきました。


図書館蔵書にて(単行本)
「春はそこまで 風待ち小路の人々」志川節子 文藝春秋
満足度★★★.5

 


町田くんの世界

2019年06月14日 | 映画(ま行)

クラスに一人、いてほしい町田くん

* * * * * * * * * *

運動も勉強も苦手、見た目も地味な高校生、町田くん(細田佳央太)。
彼は困った人を助け、接した人々の心を癒やします。
必死で頑張ってそうしているのではない。
彼にとってはそれが自然体なのです。
そんな彼の前に現れた猪原さん(関水渚)は、孤独で周囲と馴染めずにいたのですが、
町田くんと関わるうちに、心を開いていきます。
町田くんはそんな彼女に、自分でも「わからない」感情が湧き上がり・・・。

町田くんにしても、猪原さんにしても、
今どきこんなにウブで純情でまっすぐな高校生なんてありえないー!
と思ってしまうのですが、確かにその通り。
これはラブコメというよりも、ある種のファンタジーなのでした。



こんな思いやりに満ちた町田くん、そりゃあ誰だって好きになりますよ。
これで彼が成績優秀だったりスポーツ万能だったり、
はたまた、泣く子も黙るイケメンだったりしたら、ものすごくイヤミになるところです。
でもいかにもおっとりしていて、どんくさかったりすらするのがまた好感度高いですよね。
彼と関わった友人たちは皆彼のファンになって、彼が困っていたらすぐに助けようとします。
クラスに一人、我が家にも一人いてほしい、町田くん。



さてところが、こんな町田くんに恋する女の子がいたとしたらどうでしょう。
誰にでも優しくて親切な町田くん。
果たして自分に向けられた優しさや親切は、彼の好意の現れなのや否や・・・、
悩んでしまいますよね。
誰にでも優しいのは嬉しいけれど、やはりただ一人特別な存在でいたい・・・。
そしてまた、恋という感情に全くウブな町田くんは、自分の感情にも気づけないでいます。
全くヤキモキする純情な二人・・・。



虐待だの無差別殺人だの、気持ちの落ち込む事件ばかりが報道される昨今ですが、
こんなふうな「善なるもの」だって確かに存在するはず。
そう信じたくなりますね。

主役二人は、初々しい新人を起用。
そしてその友人たちを岩田剛典さん、高畑充希さん、太賀さん、前田敦子さんがしっかり固めています。

しかしこの人達が高校生の役なんて、いいのだろうかと思ってしまいますが、
実際に作中で見るとさほど違和感はありませんでした・・・。
特に、冷めた目線と口調の前田敦子さんがナイス。
しっかりこの二人を見守るおねーさまでした。
(同級生なんですけど・・・)


<シネマフロンティアにて>
「町田くんの世界」
2019年/日本/120分
監督:石井裕也
原作:安藤ゆき
出演:細田佳央太、関水渚、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮
純情度★★★★★
善良度★★★★★
満足度★★★★☆


タナー・ホール 胸騒ぎの誘惑

2019年06月13日 | 映画(た行)

女子高生の青春物語

* * * * * * * * * *


全寮制の女子校、タナー・ホール。
フェルナンダ(ルーニー・マーラ)はそこで普通に暮らしていましたが、
ある時、少し苦手な幼なじみヴィクトリア(ジョージア・キング)が入学してきます。
彼女は奔放で、学校の規則もなんのその。
次第にフェルナンダや他の友人たちもヴィクトリアに引きずられるように生活が変わっていきます。

本作は、2009年作品なのですが、
今活躍中のルーニー・マーラやブリー・ラーソンがまだ無名時代で出演しているということで、
逆に最近注目された作品ということのようです。



実際、内容は単に大人ぶりたい女子高生たちの青春物語で、特筆すべき物はありません。
でも若きルーニー・マーラとブリー・ラーソンを拝見できるというのは、
確かに魅力ではあります。



私、本作では、ヴィクトリア役のジョージア・キングが素敵だなあ・・・と思ったのだけれど、
この方はその後さほど注目は浴びなかたわけなのですね・・・。
俳優というのも厳しい職業でありますね・・・。

「タナー・ホール」は、かなり年季の入った大きなお屋敷の名前。
昔は有力者のお屋敷だったものか、もしくは公共の建物だったのを、
女子校として利用しているという感じでした。

タナー・ホール 胸騒ぎの誘惑 [DVD]
ルーニー・マーラ,ジョージア・キング,ブリー・ラーソン,エイミー・ファーガソン,トム・エベレット・スコット
TCエンタテインメント


<WOWOW視聴にて>
「タナー・ホール 胸騒ぎの誘惑」
2009年/アメリカ/95分
監督:フランチェスカ・グレゴリーニ、タチアナ・ボン・ファーステンバーグ
出演:ルーニー・マーラ、ジョージア・キング、ブリー・ラーソン、エイミー・ファーガソン、ショーン・パイフロム

女子寮度★★★★☆
満足度★★.5