映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

湖の女たち

2024年05月28日 | 映画(ま行)

世界は美しいのだろうか

* * * * * * * * * * * *

滋賀県、琵琶湖にほど近い介護施設で、100歳の老人が何者かに殺害されます。

捜査に当たった西湖署の若手刑事・濱中(福士蒼汰)とベテラン刑事伊佐(浅野忠信)は、
施設関係者の中から容疑者・松本(財前直見)に狙いを付けて、
執拗に取り調べを行います。

そんな中、濱中は捜査で出会った介護士・豊田佳代(松本まりか)に対して、
ゆがんだ支配欲を抱くように・・・。

また一方、事件を追う週刊誌記者・池田(福地桃子)は、
署が隠蔽してきた薬害事件を追い始めます。

本作、旧満州での731部隊のこと、薬害エイズ事件、人工呼吸器事件、障害者施設殺傷事件など
過去実際にあった事件のこと、そしてほとんど警察の故意と思える冤罪のことを絡めつつ
描かれていますが、なんといってもショッキングなのは濱中と佳代の関係。

 

それはまず冒頭で指し示されるのですが、夜明け前の早朝、
濱中は湖に釣りに出かけ、
佳代は勤務の合間に湖畔へ出て車の中で自慰を始めるのです。
それを濱中が見てしまう。

次に会うのは、施設の殺人事件の関係者への聞き取りの時。
濱中は豊田をあの時の女だとすぐに気づき、
その後、密かに彼女を呼び出してはやたら高圧的な態度に出るのです。

警察官としては普通に正義感も持つ濱中。
どうも松本は犯人とは思えないのですが、
先輩の伊佐は、ただ誰でも良いから犯人を上げたいと思っており(つまりそれが警察の総意)、
それに躊躇する濱中を罵倒する有様・・・。
濱中のどうにもならない上下関係のストレスの矛先は、佳代に向けられます。

不毛でアブノーマルな2人の行為。
しかし佳代はそれで燃えている・・・。

いやあ・・・息をのんでしまいます。
こんなダークな福士蒼汰さんを見たことがないし、
松本まりかさんは「向こうの果て」というドラマですごいとは思っていましたが、
こんな役までもこなしてしまうなんて・・・!

そしてまた、この本筋の殺人事件とは少し離れた場にいるように思われた
週刊誌記者の所から真相が浮かび上がってくるのも、見事でした。

作中で「世界は美しいのだろうか」という問いが何度か投げかけられます。

どこもかしこもイヤな事件だらけ。
美しいものなんかどこにもないと思いたくなるけれど・・・
でも不思議と視聴後感はそんなに悪くない。
したたかに生きようとする湖の女たちは、
琵琶湖の夜明けに馴染んで十分に美しいかも・・・。

 

<TOHOシネマズ札幌にて>

「湖の女たち」

2024年/日本/141分

監督・脚本:大森立嗣

原作:吉田修一

出演:福士蒼汰、松本まりか、福地桃子、浅野忠信、財前直見

 

アブノーマル度★★★★☆

満足度★★★★☆


マッチング

2024年02月26日 | 映画(ま行)

二転三転する人物像

* * * * * * * * * * * *

本作、Snow Manのさっくんが狂気のストーカー役という
情報が出てから、公開の日までがすごーく長くて、
まさしく待ちわびていました。

 

ウェディングプランナーの輪子(土屋太鳳)は、恋愛に奥手で、
友人に勧められてマッチングアプリに登録します。
そしてマッチングした相手・叶夢(佐久間大介)と実際に会ってみると、
意外に暗くてちょっと不気味ですらあります。
それで、この人とはムリと思うのですが、
しかしその後叶夢はストーカーと化してまとわりつき始めます。
恐怖を感じた輪子は、取引先のマッチングアプリ運営会社のプログラマー、
影山(金子ノブアキ)に助けを求めます。

またその頃、世間ではアプリ婚した夫婦が惨殺されるという連続事件が起こっていて・・・。

さてさて叶夢は、初デートの水族館に、黒いコートになぜかゴム長靴、
そして死んだ魚のような目をして現れます。
実は彼の職業が、特種清掃・・・ということで、
つまり孤独死などで汚れた部屋の清掃をする仕事・・・で、
ゴム長は彼の仕事着であり普段着でもあるという・・・。

まあいきなり初デートでそんな仕事のことは言わないでしょうけれど、
この暗さはさすがに輪子でなくても引きますわねえ・・・。

 

しかし、この絶対に怪しい叶夢の印象が、
ストーリーの進行と共に少しずつ変わっていくのです。

まさに、本作の面白さはそこにあって、
人物像が二転三転、え?なに??なに???と思っているうちに
結末にたどり着くという、ナイスな物語なのでした。

実は輪子の父親(杉本哲太)が抱えている秘密というのが
大きな根っこになっているのです。

人の心の残酷さに震えます・・・。

 

結局、さっくんはこんな役でありつつ、そして死んだ目をしていつつも、
やっぱりカッコ良かったのです。
ラスト、お見逃しなく。

でも本作は別にSnow Manや佐久間くんのファンでなくても
十分楽しめると思いますので、オススメです。
残虐シーンも思ったほどどぎつくはないので・・・。

 

 

<シネマフロンティアにて>

「マッチング」

2024年/日本/110分

監督:内田英治

原作:内田英治

脚本:内田英治、宍戸英紀

出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、杉本哲太、片岡礼子、斉藤由貴

 

不気味度★★★★☆

人物関係入れ替わり度★★★★★

満足度★★★★☆


ムービング・オン 2人の殺人計画!?

2024年02月05日 | 映画(ま行)

過去のトラウマに立ち向かうために

* * * * * * * * * * * *

クレア(ジェーン・フォンダ)は、学生時代からの親友の葬儀に出向きました。
彼女はそこで、亡き親友の夫・ハワード(マルコム・マクダウェル)に対して、
いきなり殺人予告をします。
それほどにクレアは彼を憎んでいたのです。

そしてまたクレアは、その葬儀の場でもうひとりの親友、エヴリン(リリー・トムリン)と再会します。
エヴリンもまた別の理由でハワードを憎んでいて、
クレアの殺人計画に協力することに。

ふたりは、再び自分の人生を取り戻すため、
トラウマや過去の秘密に向き合っていきます・・・。

愛と性。
同性愛や、性加害、性の多様性。
クレアたちが若かった約50年ほど前と現在の考え方の違いが
テーマとなっていると言っていいと思います。

クレアはハワードのある行為によって、深く傷つき、
当時の結婚生活も捨てなければならなかった。
その後、それは大きなトラウマとなって、心からの幸福を感じたことがない。
しかし、その妻である親友を傷つけたくなかったので、
ひたすら沈黙を守り続けていたのです。

そんなクレアの気も知らずに、ハワードは過去のことを「互いに同意の上の過ち」などという。
これですよこれ。
性加害の認識の違いというもの。

確かに今はそういうことについて、マスコミなどいろいろな場面で言われていて、
被害者側も声を上げることが増えている。
でも実態としては、個々のその捉え方は旧態依然として昔と変わらないですね。

そうした事情は、日本もアメリカも同じのようです。

加害者側では過去の取るに足りない出来事、
場合によっては武勇伝とさえ思うような出来事が、
被害者側にとっては一生の心の傷となってその後の人生にも影を落とす。

だから、軽く扱ってはなりません。

 

<Amazon prime videoにて>

「ムービング・オン 2人の殺人計画!?」

2022年/アメリカ/85分

監督・脚本:ポール・ワイツ

出演:ジェーン・フォンダ、リリー・トムリン、マルコム・マクダウェル、
   サラ・バーンズ、リチャード・ラウンドトゥリー、キャサリン・デント

 

性の問題度★★★★★

満足度★★★★☆

 


百瀬、こっちを向いて。

2024年01月22日 | 映画(ま行)

恋愛か、打算か

* * * * * * * * * * * *

新人文学賞を受賞し、母校から講演を依頼された30歳の小説家、相原ノボル(向井理)。
15年ぶりに帰郷し、高校生当時のことを回想します。

さえない高校生だったノボル(竹内太郞)。
尊敬する先輩、宮崎(工藤阿須加)から、
ショートヘアの美少女・百瀬(早見あかり)を紹介されます。

宮崎には学校のマドンナ的存在の神林(石橋杏奈)という交際相手がいるのですが、
百瀬と付き合っているといううわさが流れて困っていました。
そこでそのうわさを打ち消すために、
ノボルと百瀬に期間限定で付き合っているフリをしてほしいというのです。
ノボルは気が進まないながらも、嘘の恋愛関係を始めますが・・・。

実は百瀬は本当に宮崎のことが好きで、
でも宮崎の幸福を願う彼女は宮崎と神林のことも応援してしまうという、
なかなか複雑で切ない事情を抱えているのでした・・・。

 

さて、本作の原作者・中田永一さんというのは、乙一さんの別名なんですね!!
私はミステリ好きなので乙一さんならばわかるのですが、
別名で恋愛小説を書いていたなんて、この度まで知りませんでした。
お恥ずかしい。

でもなるほど、始め単にアイドル作品と思ってみていたのですが、
微妙に複雑でこじれた百瀬の感情が、単なるアイドル作品を越えていると思いました。
そこで原作が乙一さんと来ればなるほど~と、納得です。

宮崎は結局のところ本当は百瀬の方を好きのように思えます。
けれど、まだ高校生でありながら、彼は打算の方を優先するのです。

でも、対する神林も、学校のマドンナ的存在というだけあって美人で頭もよく、
思いやりがあって家も資産家。
否定すべき理由など一つもない。
打算なのか、選べないのか、これもまた微妙なところです。

しかし、本作の15年ぶりに帰郷しノボルが神林と再会するというところの意味が、
最後にわかるというのが心憎い。

ひたすら心優しく無垢であったような神林が実は・・・というところもまた
本作のキモでありましょう。
げに、人の心というのは計り知れず、少し恐い。

ノボルの高校の友人くんはイイ奴だったなあ・・・。

 

 

「百瀬、こっちを向いて。」

2014年/日本/109分

監督:耶雲哉治

原作:中田永一

出演:早見あかり、竹内太郞、石橋杏奈、工藤阿須加、ひろみ、向井理

恋愛と本心の微妙度★★★★★

満足度★★★★☆


見えざる手のある風景

2024年01月20日 | 映画(ま行)

エイリアンをある「人種」に置き換えれば、ありそうな未来

* * * * * * * * * * * *

一風変わった近未来SF。

 

近未来の地球。
あるエイリアンの種族に占領されています。
武力ではなく、官僚主義的支配と高度なテクノロジーによって、
彼らは圧倒的な経済力を持ってこの世を支配。
地球の人々の大半が貧困と失業にあえいでいます。

そんな中、二人のティーンエイジャーがあることを思いつきます。
単性生殖のエイリアンに、人間のロマンチックな愛の姿を提供しようというのです。
二人が恋に落ちてゆく様子をリアルタイムで中継を始めます。
そうすると見た人の人数によりお金が入る仕組みなのです。
二人の狙いどおり、エイリアンの間でバズって
二人は多少のお金を得ることができます。

ところが、そもそもリアルタイムの中継というのには抵抗があります。
元々二人には良い雰囲気が流れていたのですが、次第に初々しい気持ちも冷めていって、
その様子を見たあるエイリアンが、
これは契約違反だと言って多大な賠償金を請求しようとするのです・・・。

 

 

このエイリアンというのがいかにもユニークな姿をしていまして・・・。
彼らはヘラのような手をこすり合わせることによって音を出し、
それが言語なのです。

知性も感情も地球人とよく似ているけれど、何しろビジネスライクで、
瞬く間に地球上の富を支配するようになって、
彼らにうまく取り入って彼らの元で働くようになった人々が成功者。
空中に浮くリッチな街に住むステータスを得ます。

大半の落ちこぼれた人々は、
地上にへばりついて惨めな生活を続けるしかない・・・。

と、つまりこれはSFチックに描かれているけれど、
すでにこの地球上にある「経済格差」のことを例えて描いているに過ぎない
ということに、どなたも気づくことでしょう。

 

結局主人公らは、このエイリアンを追い払うことも世界をひっくり返すこともできないけれど、
でも心の自由は誰にも奪うことはできない、と。

まあ、せめてそう思うほかないですかね・・・。

 

<Amazonプライムビデオにて>

「見えざる手のある風景」

2023年/アメリカ/105分

監督・脚本、コリー・フィンリー

原作:M・T・アンダーソン

出演:アサンテ・ブラック、ティファニー・ハディッシュ、カイリー・ロジャーズ、ブルックリン・マッケンジー

 

格差度★★★★★

ユニークなエイリアン像度★★★★★

満足度★★★☆☆


名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

2023年09月22日 | 映画(ま行)

嵐のベネチアの夜

* * * * * * * * * * * *

ケネス・ブラナーが監督・制作・主演を務める名探偵ポアロシリーズ。
「オリエント急行殺人事件」、「ナイル殺人事件」に継ぐ第3作で、
今回はイタリアのベネチアが舞台です。

もう探偵は引退しようと思っていたポアロは、ベネチアに滞在しています。
ある日、死者の声を話すことができるという霊媒師のトリックを見破るため、
子供の亡霊が出るという謎めいた屋敷で行われる降霊会に参加することに。

嵐のその夜、集まった者の1人が非常に不可解な状況で殺害されるという事件が起こり、
ポアロがその謎の事件の真相究明に挑みます。

もとより古い陰気な屋敷。
その屋敷ではかつて陰惨なできごとがあったといううわさ。
嵐の夜。
ということで、前2作とは雰囲気が異なり、終始陰鬱。
ときおり鳴り響く大きな音にドキッとさせられます。

幽霊などという非論理的なものを信じないポアロではありますが、
どうもここでは勝手が違って、
不可思議なモノが見えてしまったり聞こえてしまったりする・・・。
実はそのことには理由があったワケなのですが。

ベネチアといえば穏やかな水辺を連想してしまうのですが、
確かに、こんな嵐の日だってあるわけですね。
しかも歴史ある町、建物。
その暗がりに何が潜んでいてもおかしくないような・・・。

時期は第二次世界大戦が終わった数年後というところ。
その影も、この物語には落ちていて、
この雰囲気だけで、私は十分楽しめた気がします。

まあやっぱり、恐いのは幽霊よりも人ですね。

 

<シネマフロンティアにて>

「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」

2023年/アメリカ/103分

監督:ケネス・ブラナー

原作:アガサ・クリスティ

出演:ケネス・ブラナー、カイル・アレン、カミーユ・コッタン、ジェイミー・ドーナン、ティナ・フェイ

 

陰鬱度★★★★★

満足度★★★.5


ミステリと言う勿れ

2023年09月19日 | 映画(ま行)

血塗られた狩集家の秘密とは?

* * * * * * * * * * * *

人気漫画を実写化したテレビドラマの劇場版。
人気のエピソード「広島編」です。
私は原作漫画もテレビドラマも大好きで、
かねてから「広島編」は映画向きと思っていたので、
公開を首を長くして待っていました!

広島の名家、狩集(かりあつまり)家を巡る遺産相続事件の顛末です。

広島の美術館を訪れるため広島へやって来た整(ととのう)くん(菅田将暉)が、
ガロくんの知人であると言う女子高生・狩集汐路(しおじ)と出会い、
あるバイトを持ちかけられます。

それというのは、狩集家の莫大な財産を、当主の孫に当たる4人の誰かが相続するために、
遺言書に従って謎を解いていく、その手助けをしてほしいというのです。
時には死者さえ出るというこの家の遺産相続に隠された衝撃の真実とは・・・!?

ということで、広島、旧家、遺産相続。
整くんも思わずつぶやいてしまうのですが「犬神家の一族」めいた、
おどろおどろしさを予感します。

けれど、時代は現在。
若い人が多く登場する本作、物語は軽快に進んでいくのですが、
この狩集家自体に隠された秘密が解き明かされるにつれて、
実際、おどろおどろしい状況が見えてくるのでした。

本作の秘密の一つが、狩集家の人々の髪の毛。
直毛のさらさらヘアの人と天然パーマでくるくる髪の人がいます。
天パがコンプレックスの整くんだからこそ気がついた視点。
そんなところがまた面白い。
ストレートパーマをかけているが実は天パという役柄の
町田啓太さんのくるくる巻き毛も見たかったな・・・。

他人の家に泊まるのもお風呂に入るのも嫌いという整くんに
「めんどくさいな」とはっきり言う汐路ちゃんの
サバサバした性格(でも実はナイーブ)も可愛くて大好き。

 

また、遺産相続候補の4人の配役というのが豪華でステキです。
町田啓太さん、萩原利久さん、柴咲コウさん、そして汐路役の原菜乃華さん。
そしてこの家の顧問弁護士に松下洸平さん。
この役は特に重要なので、この配役には納得。

ときおり挟まる整くんの蘊蓄も健在。
ここはなくてもいいと思う人がいるかも知れませんが、
これこそが整くんなので、これがなければタダの推理ドラマ。
推理ドラマの枠を越えた本作を、じっくり向き合って楽しんでもらいたいです。

整くんが広島を去るときに、いつものマフラーではない!
衣装あわせのミスか?などと思ってしまったのですが
その理由は、エンドロール後に分かるという仕組みになっていますので、
どうぞ最後の最後までご覧ください。

 

次作は、「富山編」で。
よろしくお願いします!!

 

<シネマフロンティアにて>

「ミステリと言う勿れ」

2023年/日本/128分

監督:松山博昭

原作:田村由美

脚本:相沢友子

出演:菅田将暉、原菜乃華、町田啓太、萩原利久、鈴木保奈美、松下洸平、柴咲コウ、滝藤賢一

ミステリ度★★★★★

蘊蓄度★★★★★

満足度★★★★★


宮松と山下

2023年09月01日 | 映画(ま行)

宮松の秘密と真実

* * * * * * * * * * * *

エキストラ俳優の宮松(香川照之)は、いつもその他大勢、
斬られたり撃たれたりして死ぬ役ばかり。
それだけでは生活できないので、ロープウェイのメンテの仕事もしています。
そんなある日、宮松の前に現れた男が、彼に「山下」と呼びかけます・・・。

本作、宮松は分かったけれど、では山下は誰なんだろう、
なかなか登場しないなあ・・・などと思って見ていて、
いきなり宮松のはずの男が山下と呼ばれるのにビックリです。

さて、実は数年前、宮松は記憶を失っていて今の生活を始めました。
その彼を知る男が現れて、宮松の本当の名前、山下と呼びかけたのです。
それでようやく宮松は本当の自分の身元が分かり、
妹とその夫が暮らしている実家へと帰ります。

さて、本作に登場する人物たちは皆、言葉少な。
彼らは本当の自分の思いを決して口にしません。
だからわたし達は、せっせと想像力を働かせて
彼、彼女たちの本当の思いを推測しなければなりません。

すると疑問が湧いてくるのです。
本当に宮松は記憶を無くしているのか・・・?

宮松は以前、タクシー運転手をしていて妹と2人暮らし。
その妹への感情がどうも微妙なところ。
彼はその頃の生活から逃げ出したかったようではある。

何もかも捨てて忘れ去ってしまいたかった・・・?

最後のタバコのエピソードも謎が多いです。
私は過去も今も、宮松には喫煙習慣はなかったのでは?という気がしたのですが・・・。
見ようによってはどうとでも採れるシーンばかり。

エキストラの仕事は、ちょい役でも映画に出れば、
誰か自分を知っている人が気づいて現れるかも知れない、と思ったからかも知れないし、
もしくは、死人ばかりを演じることで、今までの自分を殺し、
これからも死んだように生きるという気持ちの表れなのかも知れない。

とても奥深い作品です。

監督・脚本は関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦という
監督集団「5月」の初作品ということで、力の入り具合がよく分かります。
しかーし!!。
香川照之さんの不祥事が取り沙汰されるようになったのが2022年8月。
本作は2022年11月公開。
というかむしろよく公開中止にならなかったなあ・・・と思うくらい。

本来ならもっと評価されるべき作品なのではないかと思いました・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「宮松と山下」

2022年/日本/87分

監督・脚本:関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦

出演:香川照之、津田寛治、尾美としのり、野波麻帆、中越典子

謎度★★★★☆

寡黙度★★★★★

満足度★★★★.5

 


ミセス・ハリス、パリへ行く

2023年08月12日 | 映画(ま行)

自分らしく輝くこと

* * * * * * * * * * * *

1950年代、第二次世界大戦後のロンドン。

夫を戦争で亡くした家政婦、ミセス・ハリス(レスリー・マンビル)は、
勤め先の家でディオールのドレスを目にします。
ため息が出るほどの優雅な美しさ。

その美しさに魅せられた彼女はコツコツとお金を貯めて、
フランスへドレスを買いに行くことを決意。
そしてようやく資金ができて、ミセス・ハリスはパリへ。

でも実のところディオールの店は、彼女には場違い。
威圧的な支配人コルベール(イザベル・ユペール)に、追い出されそうになりますが・・・。
店の会計士やモデル、サシャーニュ侯爵ら、彼女は出会った人々の心を動かしていきます。

ミセス・ハリスがドレス代を稼ぐくだりも色々あって楽しいのです。
何しろ家政婦で稼ぐだけでは生活するのにやっと。
そう簡単にはお金は貯まらないのですけれど・・・。
イチかバチかの大勝負に敗れてすっかり絶望してみたり、
でも幸運の女神はやっぱりいたようで。

それにしてもクリスチャン・ディオールは庶民にはあまりにも敷居が高い。
お金持ちの夫人らが集まるホールでファッションショーが繰り広げられ、
その中で気に入ったものを注文することになります。
それから採寸と何度かの仮縫い。
まさに、その人のためだけの一品に仕上がるのです。

わがままなご婦人ばかりを相手にしている店の従業員たちは、
現金を抱えてやって来たこの風変わりの客、
ミセス・ハリスを好きになっていきます。

ドレスができあがるまで、こんなに日にちを要するとは思わなかったミセス・ハリスは
宿泊費の用意もなく、あきらめて帰ろうとするのですが、
会計士の青年が自宅に招いてくれるのです。
そして、妻を亡くしているサシャーニュ侯爵も、
彼女に好意を寄せてくれているようで・・・。

さて、ここで侯爵が本気でミセス・ハリスに言い寄ったりしなかったのがよかった。
彼女はほんの少し、期待してしまったのですが。

ここで大金持ちに見出されて結婚などしたら、目も当てられない。
本作はそんなシンデレラストーリーではなく、
あくまでも自らの力で歩む一庶民の女性の物語なのですから。

そんな豪華なドレスを持っていたって、いつ、どんなときにそれを着るのか?
全くムダだろうと、人は言う。
けれど彼女に取ってこのドレスこそが自分の生き様であり矜持であるわけで。
人にはそれぞれ、このドレスのような「何か」が必要なのかも知れません。

 

 

それから、ミセス・ハリスが憧れのパリに着いてみれば、街は薄汚いゴミの山。
ちょうど労働者のストライキが行われていて、
ゴミの収集がストップしていたのです。

お金持ちのためだけのドレス、
お金持ちにばかり都合のよい支払いの慣習。

ミセス・ハリスは結局ディオールの店の営業改革にまで貢献してしまった・・・。
ちょうど時代が少しずつ変わっていく所でもあったわけですね。

 

さて念願叶って、美しく豪華なドレスを手に入れ、帰国したミセス・ハリス。
しかし、物語はそこでは終わらない。

最後のひねりがまたスバラシイ。
まさに、尻尾の先まであんこが詰まったたい焼きみたいな・・・、
おいしい一作でした。

<Amazon prime videoにて>

「ミセス・ハリス、パリへ行く」

2022年/イギリス/116分

監督:アンソニー・ファビアン

原作:ポール・ギャリコ

出演:レスリー・マンビル、イザベル・ユペール、ランベール・ウィルソン、
   アルバ・バチスタ、リュカ・ブラボー

女性自立度★★★★☆

自分らしさ度★★★★☆

満足度★★★★★


ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE

2023年07月27日 | 映画(ま行)

恐るべし・・・

* * * * * * * * * * * *

ミッション:インポッシブルシリーズ第7作にして初の2部作。
そのPART ONE。

と言うかつまりその前編だけでこの164分。
超大作ですね・・・。
でも、それほど長くは感じません。

IMFエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)の新たなミッション。

全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出す
・・・と言うとあまりにもザックリしていますが、説明すれば長い。
つまりはハッキングにより本当の情報をニセ情報にすり替えてしまうという、
現代ならではの究極の「力」を発揮することができるための鍵。
まさに、その「鍵」を探し出し入手することが使命であります。

これは悪の組織以前に、どの国でも喉から手が出るくらいにほしい。
そのため今回は、ハントは自分のチーム以外すべて敵という状況になってしまいます。
世界各国を巡り、あらゆる敵と命がけの攻防が繰り広げられます。

いつもながら、ドキドキハラハラの連続。
カーチェイスはもちろんのこと、
断崖絶壁からバイクで空中にダイブ、
疾走する列車の上での格闘、
鉄橋から滑り落ちていく列車からの脱出等々・・・。
最後のほうは、もういいってば、やめて~と言いたくなりました・・・。
命がいくつあっても足りなさそう・・・。

これを    スタントなしで撮っているというのは本当にスゴイ・・・。
先日、バイクで崖からダイブするシーンのメイキングを見ました。
本人がやっていることはもちろんですが、
バイクのジャンプやスカイダイビングなど事前の練習もたっぷり。
本番も一度きりではなくて、何度も何度もあの崖からジャンプ。
トム・クルーズの体力と執念、恐るべし・・・。

まあこれは、とにかく見るしかないという作品で、あまり記すべきことはないのです・・・。

<シネマフロンティアにて>

「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」

2023年/アメリカ/164分

監督:クリストファー・マッカリー

出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ビング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン

 

ドキドキハラハラ度★★★★★

満足度★★★★☆


MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

2023年07月12日 | 映画(ま行)

何度も繰り返せば、自ずと・・・

* * * * * * * * * * * *

小さな広告代理店に勤める吉川朱海(円井わん)。
憧れの人のいる大手広告代理店への転職を目指しながらも、仕事に追われる日々。

ある月曜の朝、後輩2人組から
自分たちが同じ一週間を何度も繰り返していることを知らされます。
他の社員たちにも、1人ずつタイムループのことを説明し理解してもらいますが、
ループ脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)だけが
いつまで経っても分かってくれません。

どうにか部長に気づかせてタイムループから抜け出すべく、悪戦苦闘する社員たち・・・。

とても特殊な設定のタイムループ。

何度も同じ一週間を繰り返していることは、本人が特に意識しなければ、
まるで夢を見たように前の一週間のことが記憶から消え去り、忘れてしまうのです。
だから同僚にいきなり自分たちが「同じ一週間を繰り返している」と言っても、
何をバカなことを・・・と思われて、信じてもらえない。
それを信じてもらうために、先に起こることを言い当てたりして、
証拠を示していきます。

回りくどく、1人ずつこの状況を理解してもらうのは、
最終的に部長にもの申すことのできる人に順番にたどり着くため。

というと、部長は頑固で融通の利かない人物かと思えば、
そうではなく、部下思いのまっとうな上司。

まあとにかく吉川たちは、仕事の締め切りを抱えててんやわんや、
家にも帰らず泊まり込んで仕事をし続けるような一週間を繰り返していたのですが、
何度も同じことを繰り返すうちに、
クオリティの高い仕事を素早く仕上げるようになっていきます。
そして何よりも、チームワークができあがる。

タイムループというSF的テーマでありつつ、
しっかりとしたお仕事ドラマになっているのがなんともシャレているのです。

部長が持っているタイムループ脱出の鍵が、二重仕掛けになっているのも、うまい!!

 

面白いです!!

 

<WOWOW視聴にて>

「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」

2022年/日本/82分

監督:竹林亮

脚本:夏生さえり、竹林亮

出演:円井わん、マキタスポーツ、長村航希、三河悠冴、八木光太郎

 

タイムループ循環度★★★★☆

お仕事ドラマ度★★★★☆

満足度★★★★☆


耳をすませば

2023年07月06日 | 映画(ま行)

アニメのその後のストーリー

* * * * * * * * * * * *

ご存じ、ジブリの人気アニメの原作である、柊あおいの名作漫画を実写映画化したもの。
アニメで描かれた中学時代の物語に加え、
主人公2人が大人になった10年後のオリジナルストーリーが語られます。

松坂桃李さん出演ということで、興味はあったのですが、
いまさら「耳をすませば」の続きの話と言われてもなあ・・・と、
余計な物を作ってしまったのでは?という疑念が浮かび、
公開時には見ないで終わっていました。

この度は、それでもまあ、見なくてはなんともいえないわけで、その検証です。

天沢聖司くんが目指していたのは、アニメではバイオリン職人だったのが、
本作ではチェロ奏者に変わっています。

中学時代のストーリーは・・・

読書好きな中学生・月島雫(安原琉那)は、
図書貸出カードでよく名前を見かけていた天沢聖司(中川翼)と出会います。
はじめの印象はよくなかったものの、彼に大きな夢があることを知り、
次第に惹かれていきます。
そして、そんな聖司に背中を押され、雫自身も夢を持つようになります。
やがて聖司は夢をかなえるためにイタリアへ旅立ちます・・・。

そして、離ればなれになったまま10年が過ぎたところから本作が始まります。
中学時代の出来事は本編の合間合間に挿入される形です。

出版社で働きながら夢を追い続ける雫(清野菜名)。
イタリアで奮闘する聖司(松坂桃李)を思うことで、自分を奮い立たせていましたが・・・。
夢である児童向けの物語はうまく書けず、そしてまた仕事もつまずいている、
自信喪失している雫。
聖司は確実にチェロ演奏家としての地位を固めているのに・・・。
そんな雫の焦りの姿を描いています。

とはいえ、小さいながらも出版社で、
自分の好きな児童文学分野の編集者となっているなんて、
願ってもないことじゃん、と私などは思うのですが。
その割に、あまり仕事熱心でなさそうなのがなんともナサケナイ。
第一彼女の児童文学観というのが、
「子供に夢を与えるもの」というのがあまりにも浅薄。
私はそんなんじゃないと思うのだけど・・・。
そんなだから、いくら書いても入賞しないはずだわ。
・・・と、なぜか私は辛口になってしまう。

遠距離恋愛10年。25歳。
あまりにも2人ともピュア過ぎないかなあ・・・と、物足りなくも思う。

そして15歳に持った夢に、そこまでこだわらなくてもいいのではないか、
と思ったりもします。
それが変形していく道だってあってもいい。
やっぱり本作は蛇足に思えてなりません。

 

ところで少年時代の天沢聖司を演じた中川翼くんは、
まさに長じたら松坂桃李さんになりそうな雰囲気で、これはよかった♡

 

「耳をすませば」

2022年/日本/114分

監督・脚本:平川雄一朗

原作:柊あおい

出演:清野菜名、松坂桃李、山田裕貴、内田理央、松本まりか、田中圭、安原琉那、中川翼

夢を追う度★★★★☆

満足度★★★☆☆

 


水は海に向かって流れる

2023年06月23日 | 映画(ま行)

恋愛不信女子と

* * * * * * * * * * * *


高校に入学した直達(大西利空)は、通学のために叔父・茂道(高良健吾)の家に居候することになります。
そこは、シェアハウスで、その住人は・・・

いつも不機嫌な顔をしている会社員の榊さん(広瀬すず)

女装の占い師・颯(戸塚純貴)

海外を放浪する大学教授・成瀬(生瀬勝久)

そして、親に内緒で会社を辞め、漫画家となった叔父・茂道

ここで新しい生活を始めた直達ですが、いつも不機嫌な榊さんは、
気まぐれにおいしいご飯を振る舞ってくれたりするので、
直達はいつしか榊さんに淡い気持ちを抱くように・・・。
しかし、彼と榊さんには思わぬ過去の因縁があったのでした・・・。

榊さんは、10年前に不倫をして出て行ってしまった母親に怒りを持ったまま、
もう自分は恋愛なんかしないと思い込むくらいに怒りが凝り固まっていたのでした。
しかしここへ来てその10年に決着をつけるような大きな出来事が・・・。
あくまでも夫婦間の「不倫」という出来事ではありますが、
そこに子供がいると、問題は大きくなりますね。
でも、人の世にそういう出来事がなくなることはないでしょう。
となれば、どのようにそれを乗り越えるのか、ということが大事になります。


変な住人たちが住むシェアハウスがステキでした。
直達クンの同級生、楓ちゃんはすごくいい子だったのですが、残念でした・・・。

<シネマフロンティアにて>
「水は海に向かって流れる」
2023年/日本/123分
監督:前田哲
原作:田嶋列島
脚本:大島里美
出演:広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、北村有起哉、生瀬勝久

青春度★★★★☆
不倫騒動度★★★★☆
満足度★★★.5

 


MEMORIA メモリア

2023年06月07日 | 映画(ま行)

音と記憶

* * * * * * * * * * * *

タイの名匠、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督による、コロンビアを舞台とした作品。

南米、コロンビアのメデジンに住む農園家のジェシカ(ティルダ・スウィントン)。
入院している姉の見舞いにボコタを訪れます。
そんな明け方、ジェシカは大きな爆発音のようなもので目を覚まします。
それ以来、彼女は自分にしか聞こえないその音に悩まされるようになります。

そんな中で、ジェシカは建設中のトンネルから発見された
人骨を研究する考古学者と知り合います。
そして発掘現場近くの町を訪れます。
そこでジェシカはエルナンという風変わりな男と出会い・・・。

 

カメラを固定し、長ーいワンシーン、というところがとても多いのです。
それも、セリフの応酬のようなシーンではなく、
ほとんどセリフもアクションもないという。
近頃はちょっとした映像なども早送りで見る方が多いそうで、
私はそういうことはほとんどないのですが、
本作はつい早送りしたくなってしまいました・・・。

しかし、この長さも間も、それこそが監督の意図なのだから、
と自分を納得させつつ見ていきました。

本作は音と記憶についての物語。

「音」自体は、どうかよく分かりませんが、
「音楽」と記憶が結びついているというのは割とありますね。
昔聴いた音楽を今聞くと、当時のことが思い出される。
時にはそれを聴いていたシチュエーションまでが思い起こされたりもする。

そうだ、歯医者で聞く歯を削る音・・・、
これで恐怖感が蘇ったりもしますけどね。

さて、ではジェシカにしか聞こえない爆発音のような音は、いったい何なのか?

もしかするとこれは未来の記憶なのか。
それとも、人類が聞いてきた太古からの記憶なのか・・・?

ラストを見ながら、そんなことを思ったのでした。

 

<WOWOW視聴にて>

「MEMORIA メモリア」

2021年/コロンビア、タイ、イギリス、メキシコ、フランス、ドイツ、カタール/136分

監督・脚本:アピチャッポン・ウィーラセクタン

出演:ティルダ・スウィントン、エルキン・ディアス、ジャンヌ・バリバール、フアン・パブロ・ウレゴ

 

じっくり見よう度★★★★★

満足度★★★☆☆


もっと超越した所へ。

2023年05月24日 | 映画(ま行)

ふがいない男たちと、往生際の悪い女たち

* * * * * * * * * * * *

2020年。
4組の男女の話がそれぞれに展開していきます。

デザイナーの真知子(前田敦子)と、バンドマン志望の怜人(菊池風磨)。

もと子役で、今はバラエティタレントの鈴(趣里)と、アザとかわいいゲイ男子・富(千葉雄大)

金髪ギャルの美和(伊藤万理華)と、フリーター泰造(オカモトレイジ)

風俗嬢・七瀬(黒川芽以)と、もと子役で、今は売れない俳優・慎太郎(三浦貴大)

それぞれ、なかなかいい感じに進行中なのですが・・・。

 

途中から時は2年前に遡り・・・
なんとこの4組が実は別の組み合わせだったことが分かります。
しかしそれは、主に男達のダメさのために破局していたのでした。

 

そして、2年後の今、男達のダメさはそのまま変わらず、
やはりまた破局に向かうようで・・・。

本作はもともと、同名の舞台劇だったのですね。
それなので、本作も主に舞台はこの4組のペアの暮らす室内。
それが舞台劇ならではのラストの演出となっていまして、
この映画に於いても、その演出をうまく活用してあります。

素晴らしく面白くて見応えのある作品でした。
オススメです!

 

<WOWOW視聴にて>

「もっと超越した所へ。」

2022年/日本/119分

監督:山岸聖太

原作・脚本:根本宗子

出演:前田敦子、菊池風磨、三浦貴大、趣里、千葉雄大

 

構成度★★★★★

展開の意外性★★★★★

満足度★★★★★