映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

チェンジング・レーン

2021年01月31日 | 映画(た行)

最悪の一日

* * * * * * * * * * * *

若手敏腕弁護士ギャヴィン(ベン・アフレック)は、その日、
担当している裁判に出廷するため急いでいました。

一方、アルコール依存症で妻子と別居中のギプソン(サミュエル・L・ジャクソン)は、
子どもの親権を巡る裁判に遅れないようにと急いでいます。

そしてギャヴィンが強引な車線変更をしたため、
二人は接触事故を起こしてしまいます。
時間を気にするあまり、ギャヴィンは一方的に走り去ってしまいます。
そして、ギャヴィンが落としていったファイルをギプソンが拾いますが、
それはギャヴィンの担当している裁判に必要な重要書類だったのです・・・!

 

調停裁判に遅刻し、家族の絆を失ってしまったギプソン。
そして、ファイルをなんとしても取り戻したいギャヴィン。
二人の激しい駆け引きが始まります。

 

ギャヴィンもギプソンも基本的には悪人ではないのです。
しかし、お互いにタイミングが悪すぎた。
このアクシデントで、自分の人生の転落が始まるかもしれない・・・。
そういう焦りに囚われた二人は、過剰な攻撃を相手にし始めてしまうのです。
相手の銀行口座をロックしたり、
車に仕掛けをして事故を起こさせてしまったり。

しかし二人は時に我に返る。
こんなことをしてもどうにもならない。
自分の破廉恥な行動自体にまた後悔させられる。

アルコール依存症のためしばらく禁酒を続けていたギプソンですが、
混乱した気持ちを抑えようと酒場へ入り、アルコールを注文してしまいます。
・・・が、彼は持ちこたえた。
グラスを目の前にしながら、彼は手を付けなかったのです。
そして彼は途中で何度もファイルを返そうと行動を起こしかけるのですが、
その都度ギャビンがまた嫌がらせを仕掛けてくるという具合。

まさに、悪意には悪意しか返ってこない。
でも、善なる物はきっと潜んでいるものだ・・・と思わせるラストは、好きです。

互いに破滅してもおかしくないストーリーだけに、
安直なハッピーエンドと言う人もいるかもしれないけれど、
私はこれでいいと思う・・・。

 

<Amazon prime videoにて>

「チェンジング・レーン」

2002年/アメリカ/98分

監督:ロジャー・ミッシェル

出演:ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、トニ・コレット、
   シドニー・ポラック、リチャード・ジェンキンス

 

最悪の一日度★★★★★

満足度★★★★☆


キャスト・アウェイ

2021年01月30日 | 映画(か行)

孤島で生きるときに必要な物

* * * * * * * * * * * *

トム・ハンクスのほとんど一人舞台、印象深い作品です。

速さを誇る宅配便“フェデックス”のシステム・エンジニアであるチャック(トム・ハンクス)。
一秒も無駄にしないことを信条としています。
恋人ケリー(ヘレン・ハント)とのデートも秒刻み。
そんなチャックが飛行機事故で、無人島に流れ着きます。
文明から切り離された孤島でたった一人。
しかしなんとか4年を生き延びて・・・。

 

孤島での暮らしがリアルに描写されていきます。
聞こえるのは波の音ばかり。
音楽もありません。

ここで彼は原始の人がたどった道をなぞります。
まずは、椰子の実をどうやって割るか。
石でたたいても割れない。
が、そのうちに石が割れて、鋭い切片ができます。
これがナイフの代わりにならないかとチャックは気づく。
うむ、これぞ石器ですね。

そして必要なのは火。
これにはチャックも苦労します。
以前何かで見た火を作る方法、細い棒を両手の平でこすって回転させ摩擦熱を起こす。
しかし相当頑張ってもこれでは火はおこりませんでした。
幾度も試行錯誤。
彼は空気が大事であることに気づきます。
そうして初めて炎が上がったとき彼は狂喜乱舞します。
マッチ一つあればあんなに簡単に手に入る火だけれども・・・。

そしてもう一つ。
実はこれがいちばん大事。
もしかするとそれは宗教のような物であるかもしれません。
島には事故機に積み込まれていた荷物もいくつか流れ着いていました。
チャックはお客様の荷物だから、あけずにおいたのですが、
背に腹は代えられず、ついに荷をほどいてみる。
その中にあったのが、フィギュアスケートとバレーボール。
スケートの刃は唯一の金属として、主にナイフ代わりにずいぶん役に立ちました。
そしてチャックはバレーボールに顔の絵を描いて、
ウィルソンと名付け、彼に話しかけることにしたのです。
それは友人のようでもあり、彼自身のようでもある。
この地で生きるために、彼には彼自身を俯瞰する存在が必要だったのではないでしょうか。
それは神とは違うかもしれないけれど、彼の「思い」を受け止めるただ一つの存在。
何か原始的な宗教の芽生えのようなものを感じました。

最後に筏で海へ乗り出したチャックは、
もちろんウィルソンも連れて行くのですが、ついには波にさらわれ、いなくなってしまいます。
でもまるでそれと入れ違いになるように、
チャックはようやく貨物船に発見されて救われる。
何か象徴的な物を感じます。

ところで、チャックは荷物を一つだけ開けずに取っておきました。
それは、いつかきっと生還して、この荷物を正しい受取人に送り届ける、
そういう決意というか希望のようなものだったのですね。

 

さて、文明社会に戻ったチャック。
しかし4年を経て、彼の恋人はすでに他の男と結婚をして子どももいた・・・。
夢見たはずの心地のよいベッドで、ただ一人孤独の夜を迎えるチャック。

ここのところが凄いと思うのです。
めでたし、めでたしではなく、孤島にいても都会のビル街にいても、
変わらぬ孤独・・・。

 

良い物語ですね。
これも以前見てお気に入りの作品でしたが、何度見てもよいと思います。

 

<Amazon prime videoにて>

「キャスト・アウェイ」

2000年/アメリカ/144分

監督:ロバート・ゼメキス

出演:トム・ハンクス、ヘレン・ハント、ニック・サーシー

 

孤独度★★★★★

満足度★★★★.5


「金曜日の本」吉田篤弘

2021年01月29日 | 本(エッセイ)

「おじさん」の効用

 

 

* * * * * * * * * * * *

仕事が終わった。
今日は金曜日。
明日あさっては休みで、特にこれといった用事もない。
つまり今夜から日曜の夜まで、
子どものころの「放課後」気分で心おきなく本が読める!

――小さなアパートで父と母と3人で暮らした幼少期の思い出を軸に、
いつも傍らにあった本をめぐる断章と、
読書のススメを綴った柔らかい手触りの書き下ろしエッセイ集。

* * * * * * * * * * * *

 

吉田篤弘さんのエッセイです。
金曜日、仕事が終われば明日あさっては休み。
子どものころの「放課後」の気分のように、心置きなく本が読める!

放課後気分で、他に心置きなくやりたいことがある方も多いでしょうけれど、
子どもの頃から運動は苦手でインドア派の私には、
とても納得のいくたとえなのです。

本巻には、著者の子どもの頃のちょっとしたエピソードがいっぱい。
特に、ご両親の兄弟、「おじさん」との思い出が楽しい。

以前から私は思っていましたが、
子どもにとっての「おじさん」という存在は、
親のように義務感も責任感もなく、
個性豊かな「おじさん」が好意を軸として子どもに向き合うので、
子どもはその言動を正面から受け入れることになるのですよね。
だから子どもの視点から描かれた「おじさん」の話って、すごく面白いものが多い。

今時の子どもにはおじさんもおばさんもそう多くはないと思うのですが、
私くらいの年代だとまだ多いのです。
それは、幸運な経験だったと思います。
親でも教師でもない大人とふれあうことは結構大事だと思うのですが・・・。

 

この本の読後、なぜか私も「おじさん」たちのことを思い出し、
すると自分の子どもの頃のことも、
次から次へと些細なつまらないことまで思い出されてしまいました・・・。
昭和の時代の、ちっぽけなおとなしい女の子のことを・・・。
変な効果のある本です。

 

「金曜日の本」吉田篤弘 中公文庫

満足度★★★★☆

 


劇場版 弱虫ペダル

2021年01月28日 | 映画(や行)

ヒメなのだ!

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今頃なぜこのアニメなのかと言いますと・・・、
「鬼滅の刃」全26話を見た後、何か面白そうなのはないかなあ・・・と思い、
時期遅れも甚だしいですが「弱虫ペダル」をシーズン4まですべて見たところで、
この劇場版視聴となりました。
(しかし、TVアニメシーズン4は、2年目のインターハイ最終日、
スタート直後で終了しているのにはショックを受けましたが・・・)

 

それにしても、見始めたらやめられないこのアニメ、実に面白い。
自転車ロードレースについては近藤史恵さんの小説や
以前「茄子、アンダルシアの夏」というアニメを見たくらいで、
あまり詳しくは知らなかったのですが、
本作を見てその面白さ、チームワークの大切さがよ~くわかりました!

 

主人公小野田坂道は、アニメオタクの高校一年。
スポーツは全然得意ではないけれど、アニメグッズが大好きなものだから、
毎週千葉の自宅から秋葉原までママチャリで通っていたという・・・。
そして学校への急な坂道を、アニソンの鼻歌交じりで
すいすいと楽しそうにママチャリで登っていく・・・。
以前から自転車競技をやっていた同じく高1の今泉クンがそれを見て、
坂道を自転車競技部に誘います。

そんな坂道が、この年夏の3日日程のインターハイで、
最終日のゴールをトップで駆け抜けるという快挙!! 
胸が熱くなります・・・。

それで本作は、そのインターハイの後、
「熊本 火の国やまなみレース」の出場招待を受けて、
レースに臨むというストーリー。
TV版にはなかったオリジナルストーリーです。

頼りになる3年の先輩たちにとっては、引退を前にした最後のレース。
しかし坂道は、周囲から「インターハイの優勝者」として見られることに緊張を高めます。
さらにその上、最も敬愛する巻島先輩がイギリスへ行くことになってしまい、
このレースには出場していないのです。
その気落ちと緊張感で、全く力が発揮できない坂道ですが・・・。

おなじみの個性豊かな総北高校やライバルの箱根学園のメンバーたち。
坂道と巻島さんのエピソードなど、レースばかりでなくその他のことも抜かりなく、
まさに「弱虫ペダル」ファンのためのおいしさ満載。
また、熊本が舞台ということで、ご当地感もたっぷり楽しめます。

本作でいちばんいいのは、御堂筋がレースに出てこなかったこと(!)と、
みんなでアニソンを歌いながらのスピード追撃が見られたこと。
やったーって感じです!!

それにしても、どこまで巻島先輩が好きなんでしょうねえ、坂道。

 

愛すべき総北高校の6人


どーんと安定感と頼りがいのあるキャプテン、金城。
高校生にしては老けている(by坂道母)

 


がっしり重量級。パン屋の息子、田所。
彼がうたうラブヒメがナイス!

 


ひょろりと長身、髪の毛は玉虫色。
極めて独自のクライミングフォーム。
「~っしょ」というのが口癖の巻島。
坂道が非常に信頼している。
そして私もいちばん好きなキャラ。

 


つり目気味ですが、チームの中ではいちばんのイケメンかな?
クールな今泉。
鳴子は彼を「スカシ」と呼ぶ。

 


派手なことが大好きの浪速っ子、赤い髪の鳴子。
坂道と同じくらいの小柄。
負けず嫌いで今泉とはどちらも引かないライバル関係。

 


そしてアニメオタクの坂道。
気持ちの優しい頑張り屋さんのクライマー。
自分のためよりも、誰かのため、チームのためという方が力を発揮できる。

<Amazon prime videoにて>

「劇場版 弱虫ペダル」

2015年/日本/90分

監督:鍋島修

原作:渡辺航

声:山下大輝、鳥海浩輔、福島潤、安元洋貴、森久保祥太郎、伊藤健太郎

 

成長度★★★★☆

チームワーク度★★★★★

満足度★★★★★(あくまでも個人的にです・・・)


THE INFORMER 三秒間の死角

2021年01月27日 | 映画(さ行)

組織になんか踏みつけにされない

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模範囚として服役していたピート(ジョエル・キナマン)は、
自由の身と引き換えに、FBIの情報屋として麻薬組織への潜入を任されます。


そんな中で、ニューヨーク市警の潜入捜査員を見殺しにせざるを得ない出来事が。
そのことがきっかけで、ピートは組織のボスから刑務所内での麻薬取引を仕切るよう命令され、
再び刑務所へ・・・。

また、NY市警はピートの動向を不審に思い捜査を進めます。
そんなことからFBIはピートを切り捨てようとし始め・・・。
ピートはFBI、マフィア、NY市警すべての組織から命を狙われる危機的状況に・・・。

ピートには愛する妻と娘がいて、その2人が人質のような意味合いになり、
刑務所に入っても麻薬組織の命令は裏切ることができない・・・。
まさに四面楚歌。

表題の「三秒間の死角」というのは、
ラストシーン、ピートが刑務所長を人質に取り、
刑務所の最上階、機械室に立てこもる状況から来ています。
ピートは他所から自分が狙撃されることを計算に入れて、
あることを計画するのです。

起死回生の策。
スリルたっぷり。

自分と自分の家族が、組織に踏みつけにされようとすることへの命がけの抵抗。
うん、そこがいいのですよね。

<WOWOW視聴にて>

「THE INFORMER 三秒間の死角」

2019年/イギリス・アメリカ・カナダ/113分

監督:アンドレア・ディ・ステファノ

原作:アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム

出演:ジョエル・キナマン、ロザムンド・パイク、コモン、アナ・デ・アルマス

 

サスペンス度★★★★☆

満足度★★★.5


オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁

2021年01月25日 | 映画(あ行)

陰謀渦巻くエベレスト山中で

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日中合作、ほとんどが氷雪のエベレスト山中が舞台。
役所広司様、ご苦労様、とまず言いたくなってしまいます。

ヒマラヤ周辺国家の平和のため、地域会議が開催されることに。
その会議開催前に、機密文書を積んだ飛行機がエベレスト南部に墜落します。
その機にはヒマラヤ地区の平和的局面を脅かす文書が搭載されていた。
インド側から2名の特別捜査官が訪れ、
ヒマラヤ救助隊「Wings」に機密文書回収の手伝いを依頼します。
隊長ジアン(役所広司)は、隊の深刻な財政難のため、この依頼を受けることにしますが・・・。
裏では世界規模の陰謀が・・・。

標高8848メートル、氷点下50度。
過酷なエベレスト、デスゾーンの死闘が繰り広げられます。

舞台も内容もいかにも殺伐としていますが、
そこに花を添えるのがシャオタイズ(チャン・チンチュー)の存在。
彼女は恋人を山で亡くし、その遺体は今も山中にあります。
彼を探し出すために、彼女はWingsに入隊したのです。
そして、この度の墜落飛行機の地点は彼を亡くした場所に近い。

そしてまた、隊長ジアンも、最愛の娘を山で亡くしています。
そこで隊長とシャオタイズの間には父娘のような親愛の情が芽生えていくのです。

時にはファンタジーのような映像も交えられ、
アクション以外のところでも意外に楽しめました。

それにしてもこんな山中で、信じられないほどの頑張りぶり・・・って、
まあ、これは山岳ドラマではお約束ですもんね。
私は好きでしたよ。

<WOWOW視聴にて>

「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」

2019年/日本・中国/110分

監督・脚本:ユー・フェイ

制作総指揮:テレンス・チャン

出演:役所広司、チャン・チンチュー、リン・ボーホン、ビクター・ウェブスター

 

酷寒度★★★☆☆

満足度★★★.5

 


「玉瀬家、休業中。」まさきとしか

2021年01月24日 | 本(その他)

家族だって、しょせん他人

 

 

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澪子は41歳、バツイチ。
"人並み”の幸せを夢見ていただけなのに、もろく崩れる。
家財道具は旦那に持っていかれ、お金もない。
そんな中、姉の香波が金の無心にやってくる。
香波は澪子の状況を知り、久しぶりに実家で暮らすことを提案する。
そして10年ぶりに母親が一人で住む家に戻ったのはいいのだが、
娘たちの出戻りを笑い飛ばす始末。
がさつな母に傷つく澪子。
そしてある日、家で怪しい人影を発見するのだが?!

* * * * * * * * * * * *

お見事に情けない家族の様相が描かれます。
澪子41歳。
北海道の右上の方の町(!?)に住む。
ある日突然、夫が離婚を言い渡して出て行ってしまった。
ずっと専業主婦で職もない。お金もない・・・。
呆然と何をする気もなく日々を過ごしているところへ、
東京へ行っていた姉・香波が現れ、お金を貸してほしいという。
貸すお金などあるはずもなく、
姉の提案で、この町を引き払い、札幌の実家へ帰ることに。

実家にいるのはもう70を過ぎた母親一人のみ・・・と思っていたら、
彼女ら2人が戻る少し前に、兄ノーリーが戻って来ていた。
しかし彼はずっと部屋に引きこもっていて・・・。

人生にしくじって実家へ戻ってきた兄妹3人を、母親は笑い飛ばす。
いや、笑い事ではないのだけれど・・・。

 

これでもかというくらいにどん底に思えるそれぞれの状況。
でも、とりあえずこうして「帰る」場所があってよかったね、と思ってしまいます。
もっとも、澪子は母親を苦手に思っていて、
二度と戻りたくないと考えていたようなのですが。
というのも、母はがさつで人が気にするようなこともズバズバと口に出してしまう。
それでどれだけ自分が傷ついたか・・・。
しかしそんな母が、自分がいると皆(澪子)が嫌がるから・・・と思い、
日中、特に用事もないのに出かけて夜まで時間を潰していたりするのです。

改めて澪子は考える。
自分は母親を嫌いだったのだろうか・・・? 
ちょっと苦手ではあったけれど、嫌いというわけでもないのだ。

そして母はいう。
「家族だってしょせん他人。だから好きでも嫌いでもいい。」

家族だって、しょせん他人。
・・・うむ、そうですね。
家族という血のつながりがあったとしても、それは自分ではない、他人。
そう割り切ることで救われることはありそうです。

こんなバラバラの人々が、読んでいるうちに
「でもやっぱり家族でしょ」と、思えてきてしまうのがおかしい。
そして私はここのお母さんがとても好きです。
仕事が見つからずぶらぶらしているいい年した3人の子どもたちを見ても、
決してうろたえず、小言も言わず、
「そのうちどうにかなるっしょ」と気にしない感じ。
北海道の母としては、そうあるべきという感じがします!

 

図書館蔵書にて

「玉瀬家、休業中。」まさきとしか 講談社

満足度★★★★☆

 


多十郎殉愛記

2021年01月23日 | 映画(た行)

純愛で殉愛

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日本映画界のレジェンド・中島貞夫監督、20年ぶりの長編映画とのこと・・・
ですが、お恥ずかしいことに、私にはよくわからない。
私がせっせと映画を見始める以前なので・・・。

しかし、チャンバラのチャンバラらしい重厚さ・・・、
そんな片鱗は確かに感じました。

時は幕末、京都。
対立する薩摩藩と長州藩。
新撰組と見回り組。
混沌として抗争がうず巻いています。

長州を脱藩して京都にやって来た多十郎(高良健吾)は、
居酒屋・満つやの用心棒をしながらなんとか糊口をしのいで暮らしています。
満つやを切り盛りするおとよ(多部未華子)は、
多十郎に好意を寄せているのですが、多十郎は意に介しません。

新撰組や見回り組にとっては、尊皇攘夷をうたう長州の脱藩志士は取り締まりの対象。
町方からの注進で多十郎の存在を知った見回り組は、多十郎襲撃を企てますが・・・。

多十郎は故郷で食うや食わずの生活に見切りを付け、京に来ていました。
天下国家を論ずる気などもとよりありません。
藩では名うての剣豪だったため、
同じく上京した脱藩志士たちに助力を頼まれるのですが、きっぱり断りもする。

しかし、なぜか巻き込まれてしまう・・・。

結果、彼はお金のためでも天下国家のためでもなく、
女、つまり、おとよのために命を懸けることになるのです。
すなわち殉愛。
そしてそれは純愛でもあるのです。

しかしいくら何でも、多勢に無勢。
壮絶で悲惨な死闘が繰り広げられるのでした。

高良健吾さんの浪人姿、決まってました!!

 

<WOWOW視聴にて>

「多十郎殉愛記」

2019年/日本/92分

監督:中島貞夫

監督補佐:熊切和嘉

出演:高良健吾、多部未華子、木村了、寺島進、永瀬正敏

 

チャンバラ活劇度★★★★☆

満足度★★★


きみに読む物語

2021年01月22日 | 映画(か行)

純愛は続く

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療養所で暮らす初老の女性のもとへ、一人の男性が訪れてきます。
彼は彼女にある物語を読み聞かせます。

 

それは、1940年代、アメリカ南西部の田舎町。
良家の子女アリー(レイチェル・マクアダムス)は、
地元の貧しい青年ノア(ライアン・ゴズリング)と知り合い、恋に落ちますが・・・。

 

アリーは、一夏のバカンスを過ごすために家族とこの町を訪れていたのです。
その後、大学への進学を予定していました。

ノアは材木職人。
日銭を稼ぐ仕事です。
二人の間がどれだけ親密になっても、それをアリーの両親が許すわけがない。

作中、アリーとノアは濃密なキスを交わし体を密着させますが、最後の一線は超えない。
というか、あともう一息、というところで、
夜中の2時になっても帰らない娘を心配した親が、
警察に捜索願を出し、大騒ぎになってしまっていたのです。
さすがに今では考えられないような話ではあります。

ノアは、崩壊寸前の古い家を買い取り、自分でリフォームすることが夢でした。
どんな家がいいか、アリーも夢を口にする。

数年後、2人は別れ音信不通になるも、
戦争から戻ったノアは夢を果たし旧家を買い取って、自分でリフォームを始めます。

白い壁、青いドア。家を取り巻くポーチ。
それはアリーが語っていた夢のマイホーム、そのままなのです・・・。
まことにロマンティック、純愛ですなあ・・・。

さて、老婦人に物語を読み聞かせていた男性とは・・・?
まあこのあたりは、見ているうちに少しずつ想像が付いてきますが・・・。

 

たとえ幸せな恋のことを忘れ去ってしまったとしても、愛は変わらない。
こんな美しい結婚を見習いたいものです・・・。
(すでに手遅れ?)

以前見たはずなのですが、内容はほとんど憶えていませんでした。
若くチャーミングなライアン・ゴズリングを改めて楽しみました。

 

<Amazon prime videoにて>

「きみに読む物語」

2004年/アメリカ/123分

監督:ニック・カサベテス

原作:ニコラス・スパークス

出演:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、
   ジェームズ・ガーナー、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・マースデン

 

純愛度★★★★★

満足度★★★★★


アバウト・ア・ボーイ

2021年01月21日 | 映画(あ行)

サイテー男の大人への道

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ヒュー・グラントが続きます。
おそらく、私がヒュー・グラントを知って彼の出演作を見まくったのが、
当ブログ開始以前の出来事だったようです。
今また改めて見るのも、楽しいものです。

 

親の遺産で暮らす38歳・無職の独身男、ウィル(ヒュー・グラント)。
女性は好きなのですが、結婚で責任を負うのはまっぴら。
気ままに1人で過ごす方が良いと考えています。
ところが、情緒不安定なシングルマザーと、
その息子12歳・マーカス(ニコラス・ホルト)と出会い、
人生観が変わっていきます。

 

シングルマザーは、恋人はほしいと思っているけれど、結婚には懐疑的。
そんなところにつけ込んで、ナンパ目的で「一人親の会」に出入りするようになったウィル。
もちろん彼に子どもはいないわけで、大嘘つきの最低な男です。

でも、マーカスは、情緒不安定で自殺未遂まで犯した母を、
自分一人では支えきれないと考えます。
とりあえず身近な男、ウィルと親しくなろうと思う。

マーカスは学校ではいじめられっ子。
でも家庭教師を雇うお金などないし、イヤでも学校には行かなければならない、と思う。
12歳にして人生を達観している。
一方ウィルはこれまでまともに就職したこともない、大人になりきれない男。
この二人のマッチングがなんともいい味出しているわけです。

 

で、本作の最後は結局ウィルが誰かと結婚するようにはならないのですが、
いつしか数人の人の輪ができあがっている。
そう、先に見た「フォー・ウェディング」や「ノッティングヒルの恋人」で見た、
ステキな友人たちの輪です。

結婚していようとも、そうでなくても、子どもがいてもいなくても、
仕事仲間やご近所さん、付かず離れず、それぞれの個性のままに、
バカをいったり、助け合ったりしながら生きていく。
そういうのがいいなあ・・・と、また思ってしまいました。
こういうのは老後の生き方としても参考になります。

 

マーカス役なのはニコラス・ホルト。
無事子役を経てからも、いい感じの俳優になりましたよね。
先日見た「エジソンズ・ゲーム」にも出てました。

 

<Amazon prime videoにて>

「アバウト・ア・ボーイ」

2002年/アメリカ/102分

監督:ポール・ワイツ、クリス・ワイツ

出演:ヒュー・グラント、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト、トニ・コレット

 

ダメ男度★★★★☆

満足度★★★.5

 


「雪の階」奥泉光

2021年01月19日 | 本(ミステリ)

ミステリであり、幻想小説であり・・・

 

 

* * * * * * * * * * * *

昭和十年、秋。
笹宮惟重伯爵を父に持ち、女子学習院高等科に通う惟佐子は、
親友・宇田川寿子の心中事件に疑問を抱く。
冨士の樹海で陸軍士官・久慈とともに遺体となって発見されたのだが、
「できるだけはやく電話をしますね」
という寿子の手による仙台消印の葉書が届いたのだ――。
富士で発見された寿子が、なぜ、仙台から葉書を出せたのか? 
この心中事件の謎を軸に、ドイツ人ピアニスト、
探偵役を務める惟佐子の「おあいてさん」だった女カメラマンと新聞記者、
軍人である惟佐子の兄・惟秀ら
多彩な人物が登場し、物語のラスト、二・二六事件へと繋がっていく――。

* * * * * * * * * * * *

 

みっしりとボリュームのある一冊でした。
文庫本だと上下2巻になっています。

本作は一応ミステリといえますが、幻想小説でもあり、
日本の取り返すことができない悲惨な戦争へと
突き進む時代を表す物語でもあります。
奥泉光氏真骨頂ともいうべき作品。

 

昭和10年。
笹宮伯爵令嬢・惟佐子が一応の主人公。
眉目秀麗、囲碁の名手で数学好きというので、
その頭脳明晰さもうかがわれます。
でも、そう言って連想するいかにもな令嬢かと思えば全く違う。
彼女の思考は一般社会を超越しています。
何もかもを見通すようなその目。
最も令嬢らしくないところは、彼女が男と男の性の探求のため、
貪欲に男性との関係を持つところ。
一見清楚な令嬢の意外な面ですが、本作を読んでいくとそう意外でもなく、
これが本質というのにどんどん納得させられていく。
これぞ著者の筆力というものでありましょう。


さて事件は、この惟佐子の親友・宇田川寿子の心中事件。
富士の樹海で陸軍士官とこの寿子の心中と思われる死体が発見されるけれども、
その前日付け仙台消印の葉書が惟佐子のもとに届くのです。
心中のことも、その相手も、寿子の向かった先も、
何もかもが納得できない惟佐子。

しかし、深窓の令嬢でありますから、自身はそう簡単に出歩いて捜査はできない。
そこで彼女の「足」となるのが、かつて惟佐子の「おあいてさん」だった牧村千代子。
おあいてさんというのは、令嬢にあてがわれた遊び役のようなもの。
千代子は、当時には珍しく雑誌社の女性カメラマンとなっていました。
そして千代子は自分一人では心許ないので、知人の新聞記者蔵原にも応援を頼みます。
重苦しくなりがちな本作の中で、この千代子と蔵原のやりとりが明るく、救いとなっています。
互いに惹かれ合っているようなのだけれどなかなか近づかない・・・
そんなロマンスがまた興味深い。

きな臭い時代背景の涯てに起こる2.26事件。
その裏に描かれる陸軍士官の「恋愛」。
しかもそれは同性愛だったりするのが、また、萌えるのです・・・。

あちこちにツボがあるので、油断なりません。

 

また、日本の太古の昔から純粋な日本人として、
連綿とその血を引き継いでいる一族がいる・・・。
その者から見れば天皇家でさえ後に「外」から入ってきた
「外敵」に過ぎない・・・という、夢のような筋書きが出てきます。

そんな話は、単なる狂気から生まれた幻想なのか、それとも・・・。
作中では一応の結論めいたものがありますが、
それでも不思議に余韻の残るストーリー。

そして、日本の平和、伯爵の名声、人を恋う気持ち・・・、命。
何もかもが雪のようにはかなく崩れて消え去っていく・・・。

 

昭和初期の列車の運行状況の具体的なことに驚かされ、
また、令嬢の身にまとう着物の詳しい描写にも驚かされます。
そもそも、私は着物のことなど全くわからないのですが、
その種類や模様の描写は、着物のことを熟知していなければ表現できないことはわかります。
すばらしいです・・・。

 

図書館蔵書にて

「雪の階」奥泉光 中央公論新社

満足度★★★★★

 


殺さない彼と死なない彼女

2021年01月18日 | 映画(か行)

あなどれない

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SNS上の漫画家・世紀末さんのコミックを原作としています。

何にも興味を持てず、退屈な日々を送る男子高校生・小坂れい(間宮祥太朗)。
そんな彼が、教室で殺されたハチの死骸を埋めているクラスメイト
鹿野なな(桜井日奈子)に興味を持ちます。
本音で憎まれ口をたたき合う二人ですが、
いつしか二人で過ごすことが当たり前に・・・。

れいは「殺すぞ」というのが口癖。
人に何か言われて少しでも気に入らないことならすぐに「殺すぞ」と返します。
一方ななは、ネガティブで、リストカット常習犯。
口癖は「死にたい」。
「殺す」「死にたい」とすぐに口にする二人ですが、
実際は「殺さない」し、「死なない」。
だからこういう題名なんですね。
なるほど、しゃれています。

本作はこの二人が、少しずつ心を接近させていく様子と、
恋をしては破れるきゃぴ子、きゃぴ子を見守る地味子の二人、
そして冷静沈着な男子・八千代と、彼に「好きよ・好きよ」といつもまとわりつく
撫子の二人のことも平行して描かれます。

変に多感な高校生男女の群像劇???と思いながら見ていたのですが、
終盤、驚きの展開がありました。

驚愕の出来事、そして、時間軸のずれ。
ぼんやり見ていると足下をすくわれる感じの、あなどれない一作なのでした。

ところで、少女たちのセリフに少し引っかかりが・・・
というか本作に限らないのですが、
女言葉として「~わ」「~わよ」「~よ」と語尾に付くことがありますが、
道外の方は本当に日常会話でそのような言葉使いをしているのでしょうか?
私はがさつな北海道生まれ・育ちなので、
日常生活で女性がそんな言葉使いをするのを聞いたことがありません。
本作は女子高生がはすっぱな言葉使いと、この女言葉を取り混ぜて使うのが
どうにも違和感があって、いちいち気になって仕方ありませんでした。

今時女言葉を使うのは「おネエ」くらいなのでは?と思っていたもので・・・。

どうなのでしょう・・・。

<WOWOW視聴にて>

「殺さない彼と死なない彼女」

2019年/日本/123分

監督・脚本:小林啓一

原作:世紀末

出演:間宮祥太朗、桜井日奈子、恒松祐理、堀田真由、ゆうたろう

驚きの展開度★★★★★

満足度★★★★☆

 


黒い司法 0%からの奇跡

2021年01月17日 | 映画(か行)

BLACK LIVES MATTERなストーリー

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冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士、ブライアン・スティーブンソンの実話です。

黒人差別の根強い1980年代、米アラバマ州。
犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)を助けるため
新人弁護士ブライアン(マイケル・B・ジョーダン)が立ち上がります。

ウォルターは白人女性殺害の罪を問われ、死刑判決を行けていました。
ブライアンはその時の調書を見て愕然とします。
事件の証拠となったのは、白人男性、しかも受刑者の目撃証言一件のみ。
司法取引でいい加減な証言をしたとすぐに気がつくレベルです。
犯人は黒人であれば誰でも良かった。
ろくな調査もしないまま仕組まれた証言と白人ばかりの陪審員で、
すぐに死刑判決。
そして今回ブライアンが事件を調べ直そうとすれば、
証人はもちろんブライアン自身にも嫌がらせや脅迫が・・・。

作中、ウォルターはいいます。
「俺たち(黒人)は、生まれながらに有罪。証拠など関係ない。」

 

本作は1980年が舞台ですが、今もあまり変わらない、
まさにBLACK LIVES MATTERな出来事なのでした。

差別も問題ですが、人を拘束し、
死にまで至らせることができる国家権力の恐ろしさも思います。
そんな中で、こんなふうに弱者の味方になってくれる人がいてくれて良かった・・・。

<WOWOW視聴にて>

「黒い司法 0%からの奇跡」

2020年/アメリカ/137分

監督:デスティン・ダニエル・クレットン

原作:ブライアン・スティーブンソン

出演:マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、
   ブリー・ラーソン、オシェア・ジャクソン・Jr 、ロブ・モーガン

正義度★★★★☆

理不尽度★★★★★

満足度★★★★☆


ノッティングヒルの恋人

2021年01月16日 | 映画(な行)

セレブに恋した男

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ロンドンのノッティングヒルで小さな書店を営むウィリアム(ヒュー・グラント)。
ある日、彼の書店に誰もが知るハリウッド女優・アナ(ジュリア・ロバーツ)が訪れます。

その後、ウィリアムは街角で偶然アナとぶつかり、
ジュースをかけてしまったことから、2人の交流が始まります。
ウィリアムは、アナが大女優というだけでぽ~っとなりますが、
次第にその飾らない人柄を好きになっていきます。
そしてアナは、不器用だけれど誠実なウィリアムに惹かれていきますが・・・。

 

いろいろな物語の別バージョン、という感じがします。
王子様と出会ってしまった庶民の少女の逆パターンであり、
王宮から抜け出したお姫様の冒険譚のようでもあり・・・。
ラストで、新聞記者などに混じってアナにインタビューを試みるウィリアムは、
明らかに「ローマの休日」を意識していますね。

例によって、ヒュー・グラントの回りはナイスな友人たちが取り巻いています。
何かといえば集まって、愚痴を言い合ったり励ましたり。
こういう交友関係は宝です。

特に本作ではウィリアムとルームシェアしている男が、
いかにもクレイジーな感じで、でも根はいいやつ、非情に印象深い。

それから先に見た「フォー・ウェディング」では、ゲイの友人、ろうあ者の弟、
本作では車椅子の友人、
マイノリティの人々が登場して、ごく当たり前に人々の中で生活しているのです。
もちろん映画なので、あえてさりげなく描写しているとは思いながらも、
この姿勢は好きです。

 

ヒュー・グラントの代表作。
やっぱりいいわあ・・・。

 

あ、それとウィリアムの友人の一人が、「ダウントン・アビー」の伯爵を演じた
ヒュー・ボネビルだったんですね。
少し古い作品はこういう出会いがあるので面白い。

 

<Amazon prime videoにて>

「ノッティングヒルの恋人」

1999年/アメリカ/123分

監督:ロジャー・ミッシェル

出演:ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、ヒュー・ボネビル、エマ・チェンバーズ、
   ジェームズ・ドレイファス、リス・エバンス、ジーナ・マッキー

 

ラブコメ度★★★★☆

ヒュー・グラントの魅力度★★★★☆

満足度★★★★★

 


フォー・ウェディング

2021年01月15日 | 映画(は行)

ナイスな友人関係

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ヒュー・グラント主演のラブ・コメディ。

32歳独身男チャールズ(ヒュー・グラント)。
彼は女性にはモテるのですが、
相手と本当に生涯を共にすることができるか自信が持てず、
結婚には踏み切れないのです。

あるとき、友人の結婚式でアメリカ人女性キャリー(アンディ・マクダウェル)に一目惚れ。
アタックに成功して彼女と一夜を共にするも、
翌日、彼女は帰国してしまいます。

そしてその後また、別の結婚式で2人は再会しますが、
チャールズはキャリーに婚約者を紹介されるのです。

 

ハンサムでカッコイイのだけれど、どこか押しが弱くてトホホな感じ。
やはり、こういうヒュー・グラントの魅力満載の作品です。
本作はとにかく結婚式が舞台。
様々な英国の結婚式のスタイルを垣間見ることができるのも、楽しみの一つです。
そして、チャールズはいつも寝坊して式に遅刻。
この反復とラストのオチもお楽しみ。

 

チャールズは、恋人との付き合いは長く続かないのですが、
よい友人関係を持っています。
いつも集まっては本音で話し合える友人たち。
こういうのを見ていると、わざわざ結婚せずとも、
こんな友人がいれば孤独ではないし、
こんな独身生活も悪くはないのではないかという気がしてきます。
けれどその友人関係の中の一人の女性が
密かにチャールズを愛していた・・・ということがわかるのですが、
だからといって2人の関係が深まったりはしないのです。
う~ん、微妙ですね。
友人関係と肉体の関係はやはり別物なのか・・・。

とにかくやきもきさせられるチャールズとキャリーの恋の行方をお楽しみに!!

 

そうそう、ローワン・アトキンソンが新米神父役で笑わせてくれます!!

 

えと、本作が1994年作品。
「ノッティングヒルの恋人」が99年なので、それよりも前の作品なんですね。
本作も以前見て好きだったのだけれど
ブログ開始以前なので記事になっていないものなのですが、
そういえば「ノッティングヒルの恋人」もそうだということに気づきました。
ということで、次はこれですね!!

 

 

「フォー・ウェディング」

1994年/イギリス

監督:マイク・ニューウェル

出演:ヒュー・グラント、アンディ・マクダウェル、クリスティン・スコット・トーマス、
   ジョン・ハナー、ローワン・アトキンソン

 

ラブコメ度★★★★★

理想の友人づきあい度★★★★☆

満足度★★★★.5