映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

犬ケ島

2018年08月31日 | 映画(あ行)

ユニークな世界観

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ウェス・アンダーソン監督によるストップモーション・アニメ、
しかも日本が舞台ということで気になっていた作品です。



近未来日本、メガ崎市。
犬に“ドッグ病”が蔓延し、市長は犬をごみ処理場の島に隔離することにします。
そしてすべての犬が、ゴミの島・犬ケ島へ送り込まれてしまいます。
12歳少年小林アタリは、愛犬スポッツを探し出し連れ戻すため、
単身で小型機を盗んで犬ケ島へ。
アタリは5匹の犬たちと出会い、ともにスポッツを探すことになります。

なんともユニーク。
日本が舞台と言ってもそれは西洋人がイメージする日本そのもの。
洋服を着ていても、どこか着物めいたその服装、
ゲイシャ・フジヤマ・・・といった感覚です。
それは監督の認識が誤っているのではなくて、敢えてそうしているわけで、
日本でありつつ、日本ではありえないその世界観が面白い。
でもゴミの有り様は世界共通なのではないかな。
それこそどこの国にもありそうな、ゴミでできた島、
これもまた見ていて飽きません。
犬と人との友情を描きつつ、環境問題や独断暴走する市長についてもチクリ。

でも少し違和感を覚えたのは、アタリとチーフの関係で、
親しくはなるのだけれど、あくまでも主従関係なのですよね。
あくまで主人と、主人を守る下僕。
まあ、人と犬の関係は本来そういうものなのでしょうけれど、
少なくとも物語上で、私の感覚としては、
もっと互いに尊重し合う友人のような関係を期待してしまうのです。
あくまでも自然を屈服させようとする西洋の感覚と、
自然とともにあろうとする日本の感覚の違いなのか・・?
いや、日本の感覚なのではなくて単に私個人の感覚なだけなのか・・・、
そこのところはよくわかりませんが・・・。



そんなわけでなんとなく、どこに感動すべきなのかよくわからず、
私にとってはその世界観のユニークさを楽しむだけの作品でした。



犬ヶ島 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]
ブライアン・クランストン,ランキン・こうゆう,エドワード・ノートン,ボブ・バラバン,ビル・マーレイ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン



<J-COMオンデマンドにて>
「犬ケ島」
2018年/アメリカ/101分
監督:ウェス・アンダーソン

世界観のユニーク度★★★★☆
満足度★★.5


検察側の罪人

2018年08月30日 | 映画(か行)

「アイドル出演作」というくくりは忘れていい

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キムタクとニノ。
特別のファンではない私ですが、本作の内容には興味があったので拝見。
しかし、意外にも引き込まれ、圧倒されてしまいました。
アイドル出演作などというくくりを完全に超越しています。

都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった東京地検刑事部エリート検事の最上(木村拓哉)。
彼とともに事件に当たることになったまだ駆け出しの沖野(二宮和也)は、
新人研修のときから、最上に憧れていたのでした。
さて、この事件の容疑者として、過去に時効を迎えた未解決殺人事件の容疑者・松倉(酒向芳)が浮上。
ところがまだ決定的な証拠も上がらないうちから、
最上は執拗に松倉を今回の犯人に仕立て上げようとするのです。
始めは最上に同調していた沖野も、次第に疑問を持つようになりますが・・・。

実のところ、以前の未解決殺人事件の被害者と最上ガ知り合いだったということで、
最上は検事としての立場よりも個人的感情を優先させるようになっていくわけで・・・。
改めて考えると時効という制度も理不尽なものですね。
時効を過ぎてしまえば明らかな犯人が現れても、もうどうすることもできない。
いかに敏腕な検事でも法の力ではなんともし難いのです。
となれば、あくまでも正義を貫こうとすれば法を無視するしかない・・・。
法の力の限界を知る敏腕検事だからこその思考かもしれません。
とすると、まだ若く法の正義を信じている沖野にはそこがまだ理解できないということか・・・。



それにしても、ヒリヒリするような迫力に満ちた取り調べのシーンや
二人の検事の対立シーン、これがすごい。
思うに松倉役の酒向芳さんの演技がまたすごいんですよ。
そのネットリしたいやらしさというか・・・。
今回はキムタクもニノも彼の演技に触発されたのではないか
などと私は思ってしまうのですが・・・。
最近TVドラマのキムタクさんを見ると「劣化が目立つなあ・・・」などと
失礼ながら思ってしまっていた私ですが、
本作ではそんなことを思うゆとりがなかったといいますか、
マジでその役柄の人物をスクリーンに見ていました。
映画力あり。
オススメです!

(もろにジャニーズなのに、写真が公開されていました!
太っ腹~。
もっともこの作品で、この二人の写真がなかったらどうにもならない・・・)

<シネマフロンティアにて>
「検察側の罪人」
2018年/日本/123分
監督:原田眞人
原作:雫井脩介
出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、八嶋智人、酒向芳、音尾琢真
対決度★★★★★
満足度★★★★★


「水曜日の凱歌」乃南アサ

2018年08月29日 | 本(その他)

戦後立ち上がる女性たちの凱歌

水曜日の凱歌 (新潮文庫)
乃南 アサ
新潮社

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昭和20年8月15日水曜日。
戦争が終わったその日は、女たちの戦いが幕を開けた日。
世界のすべてが反転してしまった日―。
14歳の鈴子は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになった母とともに各地を転々とする。
苦しみながら春を売る女たち。
したたかに女の生を生き直す母。
変わり果てた姿で再会するお友だち。
多感な少女が見つめる、もうひとつの戦後を描いた感動の長編小説。

* * * * * * * * * *

何故か私、これまで乃南アサさんを読んだことがなかったのです。
しかし初めてがこの本でよかった。
すっかりファンになって、また読書の幅が広がりそうです。

さて、大抵の戦争ものは昭和20年8月15日でおよそのストーリーが終了するものですが、
本作はそこが出発点です。
14歳少女鈴子は、3月10日の午後、郊外の勤労動員から戻ってきた駅で、
変わり果てた東京の姿を目にします。
すっかり焼け野原となってしまったわが町。
家も焼け落ちていましたが、かろうじて母だけが逃げ延びていて、無事に会うことができました。
幼い妹は行方不明・・・。
父は事故で亡くなっており、他の兄や姉も出兵や空襲で亡くなっていて、
大勢いたはずの家族が、今は母と鈴子の二人きり。
そんなドサクサのうちに8月15日。
ようやく戦争が終わりました。
しかしいよいよそこからこの母娘は、女ふたりだけで生きていかなければならないのです。
そこで登場するのが、「特殊慰安施設協会」。


特殊慰安施設協会とは・・・
日本が進駐軍の性暴力に備えるために女性を募り、
東京・大森海岸や静岡県・熱海などに慰安施設を日本各地に作った実在の組織。
5千人を超える女性が売春や娯楽を提供したとされる。
通称RAA。


これまでほとんど表には出なかったことなのですが、
なんとアメリカから要求があったわけでもないのに、
日本側が「忖度」して(?)わずか数日でこの施設設置が決められた・・・。
英語ができた鈴子の母は、その施設で通訳として働くことになります。
しかし、何しろ14歳の鈴子ですから、男女の性のこともはっきりとはわかっていない。
純粋で多感な彼女は、想像もつかない悲惨な現実を知ることになってしまうのです。
本作はそういう鈴子の視点で描かれているので、みずみずしい驚きに満ちています。


そもそも彼女は自分の母親のことをなにもわかってはいませんでした。
それまでは父に頼りっきりで、自分ではなにもできない人と思っていたのです。
しかしそれはあくまでも母が、家長の立場を守ろうと虚勢を張る夫を立てるためで、
実は女学校も出ている意志の強い女性だったのです。
彼女は生活を成り立たせるために、このような際どい職に付きながらも、
その立場を足場にして、地位を固めていきます。
それに引き換え、男どものなんとふがいないこと。
こんな無謀な戦争を始めたのも男たちだし、
この特殊慰安施設にしても、始めるときばかりでなく閉めるときも、
どれだけの女性が絶望のどん底に沈んだことか・・・


日本の戦後史の暗部に触れながらも、
力強く運命に立ち向かい生きていこうとする母娘の姿には圧倒されます。
そしてやはり戦後は、女性たちが自立していく時代の始まりなのですね。
力強く素晴らしい物語でした。

「水曜日の凱歌」乃南アサ 新潮文庫
満足度★★★★★

 


今夜、ロマンス劇場で

2018年08月28日 | 映画(か行)

純愛

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映画監督を目指す青年健司(坂口健太郎)は、
古いモノクロ映画のヒロイン・深雪(綾瀬はるか)に心を奪われてしまいます。

毎夜、スクリーンの中の彼女に会うため、映画館に通っているのです。
そんなある日、その深雪が映画から抜け出し、実体となって健司の前に現れます。
健司はモノクロの彼女にカラフルな服を着せ、ドーランを塗って化粧を施し、
町を案内します。
そして彼の家に同居することに・・・。

二人は次第に心を通わせていきますが、
深雪には、人のぬくもりに触れると消えてしまうという悲劇的な秘密を持っていたのでした・・・。

映画作品では深雪はお姫さま役なので、
映画を抜け出しても“お姫さま”なんですね。
いつも上から目線で、健司のことも「おまえ」呼ばわり。
健司がそれでも全然かまわないというのは惚れた弱みか、それとも多少Mっ気ありなのか。
まあ、言葉遣いはそんな調子ですが、実は優しい女の子なわけで・・・。



映画から出てきた彼女がモノクロ、というのはいかにもユニーク。
このフィルム上の彼女ではなく、実際の女優としての深雪の人生がどこかで絡んでくれば面白いのに・・・
などと思ってしまいました。
本人はとっくに亡くなっているとしても、その孫娘と知り合うとかね・・・。
ま、それをやるとファンタジーじゃなくなってしまうのか。



それにしても、キスどころか手を触れ合うことさえもできない二人・・・というのはあんまりではありませんか。
それで良しとする健司の深い愛・・・ということなんですけどね。
せつなすぎるラブストーリーでした。


今夜、ロマンス劇場で DVD通常版
綾瀬はるか,坂口健太郎
ポニーキャニオン

<J-COMオンデマンドにて>
「今夜、ロマンス劇場で」
2018年/日本/108分
監督:武内英樹
出演:綾瀬はるか、坂口健太郎、本田翼、北村一輝、中尾明慶

切ない愛度★★★★☆
満足度★★★☆☆


ヒトラーを欺いた黄色い星

2018年08月27日 | 映画(は行)

長き潜伏生活に耐えた人々、そして支えた人々

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ナチス政権下、ベルリンで終戦まで生き延びたユダヤ人の実話です。
ベルリンでは7000人のユダヤ人が潜伏し、1500人が生き延びたといいます。
本作ではその中の4人にスポットを当て、ご本人のインタビュー映像を交えながら、
当時の出来事をたどっていきます。

ツィオマはドイツ兵になりすまし、ベルリン市内の空室を転々としていましたが、
やがてユダヤ人を救うための身分証偽造を行うようになります。



ルートは友人とともに戦争未亡人を装い映画館に出かけたことがきっかけで、
ドイツ国防軍の将校の家でメイドとして雇われます。



16歳のオイゲンはヒトラー青年団の制服に身を包み、
やがて半ナチスのビラ作りに協力します。



ハンニは髪をブロンドに染め別人になりすまし、
映画館で知り合った男性の母親に匿われるようになります。

ユダヤ人は、外見だけではそうとはわかりませんよね。
だから彼らはアンネのように秘密の部屋から一歩も出ずに隠れ住み続けるわけではなく、
時には外出もするのです。
が、それにしてもそれを一人で続けることはできません。
部屋を提供してもらったり、食料を手に入れたりする協力者がどうしても必要なのです。
組織として、反ナチス立場でユダヤ人に救済の手を差し伸べる場合もありますが、
全く個人の立場でそれを行う人もいたわけです。
1500名の生き延びたユダヤ人の影に、どれだけの善意の人々の存在があったのかと思うと、
胸が熱くなります。
中にはドイツ軍将校がユダヤ人を見て見ぬふりなどというのもあって、これはすごいですね。


しかし、以前読んだ「あのころはフリードリヒがいた」のように、
当たり前のようにユダヤ人を追い詰めていった人々がいたことも確かです。
このような極限状態で人間性が出ます。
恐ろしいことです・・・。

でも当のドイツの人々さえも、
収容所に送られたユダヤ人の本当の運命を知る人はほとんどいなかったのでしょう。
それを知っていれば、もっと本気で反ナチスを唱える人はいたのかもしれません・・・。


<シアターキノにて>
「ヒトラーを欺いた黄色い星」
2017年/ドイツ/110分
監督:クラウス・レーフレ
出演:マックス・マウフ、アリス・ドワイヤー、ルビー・O・フィー、アーロン・アルタラス、ビクトリア・シュルツ
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★.5


「錆びた滑車」若竹七海

2018年08月25日 | 本(ミステリ)

不運すぎるタフな女探偵

錆びた滑車 (文春文庫)
若竹 七海
文藝春秋

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女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。
ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、
交通事故で重傷を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、
なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼する―。
大人気、タフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。

* * * * * * * * * *

若竹七海さんの、女探偵・葉村晶シリーズの文庫書き下ろし。
なんとも嬉しい企画です!
待ってました! 
この文庫の帯についた葉村のキャッチフレーズが「不運すぎるタフな女探偵」。
まさに。

それからこの文庫本の初期限定として、葉村晶シリーズのガイドパンフレットがついているのですよ。
ファンにとってはウレシイおまけ。
その中に著者の文章もありまして、
そもそもが葉村晶を初めに登場させたときは、
サラ・パレツキーのV・I・ウォーショースキー、
スー・グラフトンのキンジー・ミルホーンなどの女性私立探偵が続々と日本に上陸したときで、
自分でも書いてみたいと思ったそうなのです。
私はウォーショースキーしか知らないのですが、
葉村晶を読むたびにウォーショースキーを思い出していたのは、的外れではなかったということですね。
そして、作者に13年もほったらかしにされながらもしぶとく生き延びてきた葉村晶は、
不運どころか、とんでもない強運の持ち主なのではないか、とも著者は言っています。

そうではありますが、やはり本作でも、
人の喧嘩に巻き込まれて怪我をしたり、
いつも寝不足で、膝が今にもだめになりそうなのを駆使し、
引っ越しをしなければならず、とりあえず荷物を運んだ先では火事に会う。
またついには、留置場に・・・? 
そしていよいよラストでは思いがけない人物から襲撃を受けて・・・!!
相変わらず、タフで不運なのでした・・・。
でもいつもブツブツいいながらも、真実を突き止めるために
知力と体力の及ぶ限り頑張ってしまう葉村晶が大好きです!

この度は痛みを和らげるのに用いる医療用麻薬のことが底流のテーマとなりますが、
少しとっつきにくいけれども、次第に愛着のわく登場人物、
青沼ミツエとその孫ヒロトの悲運があって、
なかなか辛いストーリーとなっています。


本巻の葉村晶語録。

★目的のためでも手段は選ぶが、許される手段の上限も下限も自分で決めたい。

★ぬくぬくとした環境にながくいるとえぐみが出る。コーヒーも、人も。

★飛べなくてもブタはブタだが、歩けない探偵は探偵ではいられない。

「錆びた滑車」若竹七海 文春文庫
満足度★★★★☆


Uターン

2018年08月24日 | 映画(や行)

Uターンしたいのにできない

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マフィアに追われるボビー(ショーン・ペン)は、西海岸へ向けて急いでいたのですが、
車の故障のため、やむなく砂漠の果ての町にやってきます。
その分かれ道にあった標識が「Uターン可」。
これはつまり、「よそ者は引き返せ」という意味なのですね。
はじめから嫌な予感がいっぱい。


その町でボビーはまさによそ者として注目を浴びてしまうのですが、
強引に代金を釣り上げる自動車修理工や、
互いに殺したいと思っている不似合いな夫婦、
恋人に思い入れの強すぎるクレイジーな男等、
出会う人物はおかしな者ばかり。
そんな奇妙な人間関係の渦にボビーは巻き込まれてしまいます。
おまけに強盗に有り金をすべて取られてしまい、にっちもさっちも行きません。
「Uターン可」どころか、この街を出ること自体が困難な状況になっていきます。
もがけばもがくほど、戻れない、まるでアリ地獄にはまってしまったかのような・・・。
そんな中で唯一まともに思えた保安官さえもが・・・。

ボビーは前の町で、闇社会でのイザコザを起こし逃亡途中です。
そのときに指2本を切り落とされているのです。
そこでもう、彼は常とは違う「自分」になっていたのかもしれません。
または、町の人々が彼の包帯の指を見て「特殊な人物」という無意識での刷り込みをしたのかもしれない。
彼の一部「欠落」した体が、本作の悲劇を呼び起こす必然になっている・・・と、
そんな気がしました。

およそ20年前の作品。
ホアキン・フェニックスがしょーもないアンちゃん役。
そんなところも興味深いです。

Uターン [DVD]
ショーン・ペン,ジェニファー・ロペス,ニック・ノルティ,ジョン・ボイド,クレア・デーンズ
パイオニアLDC



<WOWOW視聴にて>
「Uターン」
1997年/アメリカ/125分
監督:オリバー・ストーン
出演:ショーン・ペン、ジェニファー・ロペス、スキート・ウールリッチ、ニック・ノルティ、クレア・デーンズ、ホアキン・フェニックス

心の闇度★★★★☆
満足度★★★☆☆


オーシャンズ8

2018年08月23日 | 映画(あ行)

オシャレでゴージャス!

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ジョージ・クルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹、
デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)を主人公に据えた「オーシャン」シリーズの最新作。
デビーが犯罪プロフェッショナルの7人の女性と共に、
ニューヨークで開催される世界的ファッションイベント「メットガラ」の会場から
1億5000万ドルの宝石を盗み出す計画を実行に移します。

ファッションデザイナー、宝石職人、天才ハッカー、天才的なスリ等、
集まったのはその道のエキスパートの女性たち。
それぞれを適材適所に配置して、運命の夜が始まります。
今どきは会場のいたるところに監視カメラが配置されていて、
けれどももちろんそれも計画のうち。
盲点もちゃんと把握してあります。
さすがに女性たちが主役なので、なんともオシャレでゴージャス。
きらびやかなパーティ会場の裏で行われるスリル満点の犯罪。



「オーシャンズ」のシリーズで男どもの犯罪ロマンを繰り広げるのも楽しかったけれど、
その男ばかりという伝統が、逆に本作のような有り様を盲点にしていたのかもしれません。
いいですよ、女性版オーシャンズ。



犯罪のダシに使われるだけのはずだったセレブ女優のダフネ(アン・ハサウェイ)が、
意外にもクールな面をのぞかせる、転んでもただでは起きない人物だったというのが面白い。
実はその時点まで人数が足りないのでは?と思っていたのですよね・・・。
しかし、意外なのはそれだけではなくて、
私達観客にもヒミツの、もう一つの計画があった・・・というのもミソです。



<ディノスシネマズにて>
「オーシャンズ8」
2018年/アメリカ/110分
監督:ゲイリー・ロス
出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、オークワフィナ、ヘレナ・ボナム・カーター

ゴージャス度★★★★☆
満足度★★★.5


「だから見るなといったのに」恩田陸他

2018年08月22日 | 本(その他)

禁を破れば一変する世界

だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)
恩田 陸,芦沢 央,海猫沢 めろん,織守 きょうや,小林 泰三,澤村 伊智,前川 知大,北村 薫,さやか
新潮社

* * * * * * * * * *


あのとき、目をそらしていたら。
でも、もはや手遅れ。
あなたはもとの世界には二度と戻れない。
恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、
おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身…。
背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。
作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。

* * * * * * * * * *

「見るな」と言われれば、余計見たくなるもの。
しかし、その禁止を破れば待っているのは破綻・・・。
そうした話は古今からいろいろありますね。
本巻はそういう短編を集めたアンソロジー。
なかなか興味深い企画です。
9編が収められていますが、著者は・・・

恩田陸、芹沢央、海猫沢めろん、
織守きょうや、さやか、小林泰三、
澤村伊智、前川知大、北村薫。

恥ずかしながら私は、最初と最後の大御所しか存じませんで・・・。
まあ、こういう機会に未知の方を読むのもいいですよね。

そもそもこうしたストーリーというのは、
秘密を持つものとその秘密を知りたいと思うもの、
2者の緊張関係が拮抗している間は平穏で、
その秘密が明かされたときに不条理に世界が一変する・・・そういう構造なのだと思います。
でも残念ながら私のそうした期待に答えてくれる作品はありませんでした。
起承転結でいえば面白いものはありつつも、
私の期待値が高すぎたというか・・・。
このテーマのくくりでないところで読んだほうが面白いと感じたかもしれません。

「だから見るなといったのに」恩田陸他 新潮文庫
満足度★★☆☆☆


予兆 散歩する侵略者 劇場版

2018年08月21日 | 映画(や行)

概念の喪失とは・・・?

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映画「散歩する侵略者」のスピンオフとして制作された全5話のTVドラマを
劇場版として一本にまとめたものです。

映画「散歩する侵略者」についてはこちらをどうぞ。
→「散歩する侵略者」

「家に幽霊がいる」という同僚・みゆきの精神状態を心配した悦子(夏帆)は、
夫の辰雄(染谷将太)が勤める病院の心療内科へみゆきを連れていきます。
そこで医師は、みゆきの「家族」という概念が欠落しているというのです。
また同じ頃、悦子は夫の様子がおかしいことに気づきます。
どうもそれは、夫と同じ病院で働く新任外科医・真壁(東出昌大)と関係がありそうなのですが・・・。



人の心の「概念」を収集する侵略者。
単に宇宙人の地球侵略の話なら他にいくらでもあるのですが、
「概念」を盗むというのは本作ならでは。
「家族」の概念を盗まれてしまえば、家に一緒に住んでいる男が誰だかわからない。
それは父親で、生まれたときから一緒に住んでいるにもかかわらず、
見知らぬ人で、なぜ自分の家に我が物顔でいるのかがわからない。
まるで幽霊のような存在に思えてしまう。
う~む、なるほど、そういうことか。



不気味に笑いながら人を支配しようとする侵略者、東出昌大さんが、コワイ・・・。
真壁は他に「死の恐怖」などという概念を収集し、自らそれを味わい、楽しんだりもします。
が、彼はあくまでもここでは異端者。
人類と共存の兆しはありません。



そこで本編「散歩する侵略者」の方を改めて考える。
そちらでは「愛」の概念が鍵になっていました。
愛の概念は複雑で、さしもの侵略者も簡単には理解できない。
しかしそのことで、いつしか関係者たちの間に一種の共感が芽生えていく。
つまり、こちらの「予兆」があって、更に本編が際立つという作りになっていたのですね。
なんだか納得してしまいました。

私は思う。
「戦争」という概念を人類から取り去ってしまえば、世界は平和になるのだろうか・・・?

予兆 散歩する侵略者 劇場版 [DVD]
夏帆,染谷将太,東出昌大,渡辺真起子,中村まこと
ポニーキャニオン

<WOWOW視聴にて>
「予兆 散歩する侵略者 劇場版」
2017年/日本/140分
監督:黒沢清
原作:前川知大
出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの
地球の危機度★★★☆☆
満足度★★★.5


カメラを止めるな!

2018年08月19日 | 映画(か行)

ノンストップ撮影の裏で・・・

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映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」第7弾として制作された作品。
当初都内2館の上映だったものが、口コミで評判が広まり、全国に拡大。
札幌でも現在2館で上映されていましたが、賑わっていました! 

自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたのですが、
そこへ本物のゾンビが来襲。
スタッフが次々と襲われ、ゾンビ化していきますが、
監督はこれをチャンスとして、なおも撮影を続行します・・・。

・・・といった映画作品が、37分ワンシーン・ワンカットで撮られているのです。
ワンシーン・ワンカット。
私、以前三谷幸喜さんの「大空港2013」(100分!!)というテレビドラマを見ているので、
そういう技法については理解しておりました。
ドラマをカメラを止めずにワンカットで撮る。
場面を移動したければ俳優とともにカメラも移動しなければなりません。
俳優のセリフや動きはもちろん、スタッフも
はじめから最後まですべての内容・手順を把握していなければこんなことはできません。
しかもこの映画作品中の設定として「生放送」という縛りまであってスリル満点。

まあそんな理由からでありましょうか、
途中で妙な「間」があったり、意味不明のシーンがあったり、長すぎるシーンがあったり、
疑問を感じる部分が少なからずあるのです。



ところが、それこそが本作のキモなのでした!!



本編は、この37分ワンシーン・ワンカットの後にあると思ったほうがいい。
最後まで見れば、日頃「ゾンビ映画なんて・・・」と思う方も納得の作品になっています。
(他でもない、私がそうなので・・・)
有名俳優が出ているわけでもない、自主上映として誕生した本作ですが、
そのチャレンジ精神こそが、大手プロの作品にはないものなのかもしれません。
評判に違わない、興味深い作品でした。
何よりも面白い!というのも大事ですね。




<ディノスシネマズにて>
「カメラを止めるな!」
2017年/日本/96分
監督・脚本:上田慎一郎
出演:濵津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学

アイデア度★★★★★
満足度★★★★☆


セブン・シスターズ

2018年08月18日 | 映画(さ行)

人口爆発による産児制限の果てに・・・

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2073年、世界は人口過多となり食糧難が起こります。
そこで政府が厳格な一人っ子政策を発令。
二人目以降の子供は親から離され、冷凍保存されるのです。
そんな中で、密かに育てられた七つ子がいました。
彼女らはカレン・セットマンと言う名で、週に一度ずつ順番で外出。
共通の人格を7人で演じ続けて30年暮らしてきたのです。

ある日、そのうちの一人マンデー(月曜日)が帰宅しません。
残りの6人はなんとか彼女を探し出そうとしますが・・・。

SFサスペンスですがこれが思いの外面白かった。
食糧難のため少しでも多く農作物を収穫しようとDNA操作による品種改良が行われたのですが、
結果、それを食べ続けた人類は多産系となってしまった。
そこで厳しい産児制限。
中国の一人っ子政策どころではありません。
二人目以降の子供は否応なく取り上げられてしまいます。
その子供は冷凍睡眠箚せられ、来るべき人口減少のときにまた目覚めさせようという・・・。
しかし、私はここで一つの嫌な予感にとらわれるわけなのですが・・・。

この七つ子の母は彼女を産み落として死亡。
彼女らは祖父(ウィレム・デフォー)に育てられます。
この祖父こそが、家をアンネ・フランクの家みたいに改装し彼女らの隠れ家として、
七つ子を一人の女性として世間を欺き通すプランを立て、鉄の意志で実行したのです。

七つ子の名前は月曜、火曜、水曜・・・と一週間の名前。
すべてノオミ・ラパス一人で演じています。
七つ子で顔はそっくりでも性格はかなり異なります。
優等生。アクション派。エンジニア。お色気担当など・・・。

このそれぞれの得意分野が本作での彼女たちの武器となります。
しかし、通常映画ではヒロインは死なないものですが、
7人もいるからいいんじゃないか?というわけかどうかは知りませんが、
次々と命を失ってしまうのですよ・・・(T_T) 
誰がサバイバルするのか、そこが肝心となってきます。

主人公が七つ子という特異な設定がユニークで、予測不能。
ステキでした。

セブン・シスターズ [DVD]
ノオミ・ラパス,グレン・クローズ,ウィレム・デフォー,マーワン・ケンザリ,ポール・スヴェーレ・ハーゲン
Happinet



<WOWOW視聴にて>
「セブン・シスターズ」
2016年/イギリス・アメリカ・フランス・ベルギー/123分
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ノオミ・ラパス、グレン・クローズ、ウィレム・デフォー、マーワン・ケンザリ
サバイバル度★★★★☆
満足度★★★★☆


「サラバ! 上・下」西加奈子

2018年08月17日 | 本(その他)

あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない

サラバ! 上
西 加奈子
小学館

 

サラバ! 下
西 加奈子
小学館

 

* * * * * * * * * *

1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。
父の海外赴任先だ。
チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。
後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに―。(上)

父の出家。母の再婚。
サトラコヲモンサマ解体後、世間の耳目を集めてしまった姉の問題行動。
大人になった歩にも、異変は起こり続けた。
甘え、嫉妬、狡猾さと自己愛の檻に囚われていた彼は、心のなかで叫んだ。
お前は、いったい、誰なんだ。(下)

* * * * * * * * * *

直木賞受賞作。
以前から読みたいと思っていたのものを、このたびようやく読むことができました。
圷(あくつ)歩が自身の半生を語るというストーリーです。

海外赴任の多い父の仕事のため、歩はイランで生まれます。
父母と姉がいる4人家族。
イランから帰国の後しばらくしてエジプトへ。
そしてまた大阪へと一家は移り住んでいきます。
海外にいるときはそれなりに平和な家族。
しかし、日本に帰るなり、彼ら一家には大きな嵐が吹き荒れるのです。
それというのも、姉・貴子が変わり者というか、
幼いときには自分が気に入らないことには徹底して反抗。
長じても、あくまでも自分のやり方を貫くので、
学校ではいじめを受けやがて学校には行かなくなり、
ろくに食事も取らずにやせ細り、次第に不可解な宗教のようなものにはまっていく・・・。
そんな姉と母は徹底して反りが合わない。
母は母で、ひたすら身勝手でもあるので、
しまいにこの母と姉は互いを無視するようになっていきます。
歩はといえば、母と姉の諍いが恐ろしく、
ひたすら見ないように、口を挟まないようにしているのみ。
・・・まあそれも仕方のないことではあります。
そうすることが彼が自分の身を護る方法だったのだから・・・。
そして父親もひたすら我慢の人であったようなのですが、ついに離婚。
姉弟と母を残して家を出てしまいます。

歩の少年時代のことで特に印象に残るのが、エジプトでの出来事。
ほとんど一心同体と思えるほどの親友・ヤコブとの最後の別れの日。
別れがひたすら悲しく、泣きながらナイルの河畔に座る彼らは、信じられないものを見るのです。
しかしそんな出来事も、彼が帰国し、長じるとともに記憶の底に沈んでいきます。
大学を出てフリーのライターになる歩。
ところが彼はどんどんと人生を持ち崩していく。
こんなはずではなかった・・・、どうしてこんなことに・・・。
そんなときに彼に光を投げかけるのが、あの嫌い抜いた姉だったとは・・・。

この物語を読む途中では、これはなにかの「宗教」についての物語なのかと私は思いました。
でもそうではなかった。

「私は私を信じる。私が私でい続けたことを信じている」

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」。

自己を肯定すること。
そのことにたどり着くまでの壮大なストーリーなのでした。
最後の方で、この家族がこんなふうになってしまった根幹の理由が明かされます。
誰が悪いというわけではない。
大きな心の傷を負いながらもなお生きていかなければならない私達。
この一家は、結局はそれぞれが影響を及ぼしながら三十数年をへてようやく一つになったような気がします。

なんとも力に溢れた作品。


図書館蔵書にて
「サラバ! 上・下」西加奈子 小学館
満足度★★★★★


劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

2018年08月16日 | 映画(か行)

経験を積んで、頼もしいスタッフ 

* * * * * * * * * *


2008年から連続ドラマとして3シーズン製作されたものの劇場版。
と言っても私は一番最近の3シーズンしか見ていなかったのですが・・・。
しかし、TVドラマでその世界観や登場人物をよく知っているので、
全然ストレスなくストーリーに入り込んでいける。
これが利点ですよね。

本作は、17年に放送された3rdシーズン、地下鉄トンネル崩落事件から3ヶ月後のストーリー。
まず、藍沢センセの登場シーンがなんともカッコイイ。
成田空港での事故。
白石らのチームが出動中、藍沢が旅客機から負傷者を抱き上げて降り立つのでした。
藍沢は、トロントの病院へ移る事になっていたのですが、
この度その下見に出かけていて、戻ってきたところだったのです。
緋山の周産期科への移転、
森川の結婚などを控えた中でのストーリーが始まります。



折り合いのつかない親子のこと。
不治の病に苦しむ者の結婚のこと。
怪我や病と向き合う様々な人々のドラマを語りつつ、ついには重大な事故が起きて・・・。



テレビドラマファンはもちろんですが、
そちらを見たことのない方にも十分楽しんでいただけると思います。
今更ですが、手術シーンはかなりきついです。
特に本作は病気でなく事故が多くて、
今回の車の中でパイプが腹部を貫通した事故なんて、
その措置を聞いただけで怖気づいてしまいます。
もし私が実際にそんな場に遭遇したら卒倒してしまいそう・・・。
実に厳しいお仕事ですねえ・・・。

10年前のはじめのシリーズを私は見ていませんが、
本作の冒頭でちらっとその紹介があります。
みなさん、若いわ~。
なるほど、今のコード・ブルースタッフはそれぞれがベテランで安心してみていられますが、
けれども、当然ながら駆け出しの時代があったわけなのですね。
シーズン1・2見てみようかしら・・・。



<シネマフロンティアにて>
「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」
2018年/日本/127分
監督:西浦正記
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、成田凌
チームワーク度★★★★★
満足度★★★★☆


マークスの山

2018年08月15日 | 映画(ま行)

青年は山を目指す

* * * * * * * * * *


高村薫さん原作の本作、20年以上前の作品です。
これ、西島秀俊さん出演作であるにもかかわらずまだ見ていなかったので、この度拝見。
原作は読んだのですが、ストーリーなんかすっかり忘れていたわ~と思いきや、
合田刑事を見た途端に思い出したのは、彼の別れた妻の兄、加納との怪しい関係・・・。
そんなことだけはちゃんと覚えている、さすがのミーハーな私でした。


さて、本作は直木賞を受賞した合田警部補シリーズの第一作目。
ある連続殺人事件の捜査にあたる合田刑事(中井貴一)ですが、
その関係者が、ある大学の山岳部の同期の関係であることがわかってきます。
そしてその時代といえば大学紛争の只中・・・。
彼らの裏に潜む過去の出来事とは・・・?
そしてまた本作では、精神病院から出て
病院で馴染みだった看護師(名取裕子)のもとに転がり込む水沢(萩原聖人)という青年の動きも描写されます。
本作の主役は彼の方。
彼の行動は狂人ゆえなのか、はたまた人並み外れた純粋さゆえなのか・・・?
ラスト、一人山を上り詰める水沢が切なくも心を震わせます。


暴力シーンやセックスシーンが結構生々しい。
最後に水沢が受ける暴力シーンには過去の様々な暴力シーンも重ね合わせて描写されます。
結局、暴力は暴力を生む。
暴力は新たな暴力に連なって勢いを増してゆくばかり・・・、
そんなことも訴えているようです。


力のある作品。
そしてこれが20年以上を経た今見るのも興味深いものでした。
まあ、当然ではありますが、中井貴一さんが若い! 
西島秀俊さんは合田とコンビを組む森刑事で、
確かこの人物はちょっと軟弱なタイプだったのではなかったでしょうか・・・?
でも映画ではぜんぜんそんな事はありませんでした。
若々しい西島秀俊様、ステキです♡


しかし本作では楽しみにしていた加納は登場しません・・・。
バッサリ切られました。
まあ、直接ストーリーには関わりませんもんね。
(というか原作でもこの話には登場していなかったのでしたっけ・・・?)
でも合田がスニーカーを洗うシーンがあったのは良かった。
ここがとても合田さんっぽくって、欠かせませんよね。


ところで私はどうも合田に中井貴一さんはイメージが合わないと思う・・・。
もう少し野性味のある感じの方にしてほしかった・・・。



<WOWOW視聴にて>
「マークスの山」
1995年/日本/138分
監督:崔洋一
原作:高村薫
出演:中井貴一、萩原聖人、名取裕子、西島秀俊、小林稔侍
暴力爆発度★★★★☆
満足度★★★.5