映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ながたんと青と-いちかの料理帖-

2023年05月13日 | テレビドラマ

15歳の年の差結婚で

 

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WOWOWのオリジナルドラマです。

戦後間もない京都。

いち日(いちか)(門脇麦)は、一度結婚しているのですが、
夫は戦死したため、老舗の料亭を営む実家に戻って来ています。
いち日は、元々ここの料理人になりたいと思っていたのですが、
女は料理場に足を踏み入れることさえタブーとされていて、
やむなく某ホテル内のイタリアンレストランで料理の腕を磨いています。
しかし実家の料亭は経営の危機を迎えており、
いち日は資産家の3男、15歳年下の周(あまね)(作間龍斗)と政略結婚をすることに。
ふたりは、反発し合いながらも、料亭の再建を目指します。

 

いち日と周は、
「お互いに別に好きな人がいるので、“そういうこと”はなしにしよう」
と、寝室を別にして過ごします。

周は、幼馴染みの兄嫁のことが好きで、忘れられずにいるのです。
そしていち日は、イタリアンレストランのシェフ・田嶋(中村蒼)が
気になっているようでもあるのですが・・・?

いち日は、まだ学生で自由な未来が開けているはずの周を、
料亭などに縛り付けておくのはよくないと思い、
なんとか料亭を建て直して、周を解放してあげようと決意しているのです。

 

どうにもよそよそしい二人が、次第に心の距離を縮めて行く当たりがなんともキュンキュン。

周は、いかにも若く、言いたいことをストレートに言ってしまうタイプなのですが、
それでも年上のいち日に対しては、若干の遠慮と引け目がある。
そしてまた19歳男子の硬質な真面目さと青い欲望も併せ持つという
なかなか複雑な役どころ。
それを、リアル19歳の作間龍斗さんが見事に表現してくれています。
19歳でも決して「かわいく」はなく、少年と大人の間、
いち日言うところの「青と」すなわち、青唐辛子のイメージそのまま。
よき、よき。

門脇麦さんも、私はすごーい美人とは思わないのですが、
でも彼女がいる場にはどこかほんのりとした味が出るというか・・・、
なかなかステキな女優さんなのであります。

 

ところで、作間龍斗さんは、ジャニーズJr.内のHiHi Jetsというチームの一員。
HiHi Jetsは、ローラースケートで踊ったりもするグループですが、
まだCDデビューはしていません。
でも近頃それぞれのメンバーがいろいろなドラマや映画によく顔を出しています。
今後の成長株。
ということで、先日「ヴィレッジ」の映画にも出ていた作間龍斗くんは、
また私の推しの一人となりました・・・!

 

<WOWOW視聴にて>

「ながたんと青と-いちかの料理帖-」

※TVドラマ 30分×10回

監督:松本壮史

原作:磯谷友紀(コミック)

出演:門脇麦、作間龍斗、中村蒼、戸川恵子、久間田琳加、白石隼也

胸キュン度★★★★☆

戦後の女性成長度★★★★☆

満足度★★★★★


「消えた初恋」と「チェリまほ」

2023年04月01日 | テレビドラマ

胸の高鳴りがとまらない

 

「消えた初恋」と「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称チェリまほ)」。
双方、深夜枠で放送された30分モノの連続テレビドラマです。
私は、どちらもリアルタイムでは視聴していなかったのですが、
やはり目黒蓮さんつながりで「消えた初恋」を見てみました。
そして「チェリまほ」の方は、近頃朝ドラですっかりおなじみの
赤楚衛二さん出演ドラマをみたかったので。

それで今回わざわざ合わせてご紹介するのは、
この二つの物語は双方BLコミックの実写ドラマ化ということで、
極めて相似形にあるからなのです。

 

「消えた~」は、高校生男子・青木(道枝駿佑)と同級生の井田(目黒蓮)のピュアなラブストーリー。

きっかけは、ひょんなことから井田が、
青木が自分に好意を持っていると誤解してしまうというところから。
しかしこれまで恋愛経験もない真面目な井田は、
戸惑いながらもその気持ちに真剣に向き合おうとします。
そして井田に誤解され、焦ってしまう青木ですが、
彼と話をするうちに、次第に本当に井田のことが好きになってしまうのです。
おずおずと距離を縮めていく2人のピュアな思いに、思わず胸キュン。

特に井田くんは、男でなくても(?)惚れてしまう、ものすごーくイイ奴なんです。
自分の思うことは教師に対してでもきっぱりという。
いつも相手の身になって考え、優しい。
ちょっとぶっきらぼうで、でも時々微笑めばもう、
すっかり虜になってしまいます

 

「チェリまほ」の方は、社会人の2人。

安達(赤楚衛二)は、30歳になってもいまだに恋愛経験がない、
ちょっと自分に自信がない青年。
「30歳でまだ童貞の男子は魔法が使えるようになる」という都市伝説を耳にするのですが、
安達の30歳の誕生日に、なんとその通り、魔法が使えるようになってしまいます。
その魔法というのが、触れた相手の心を読むことができる、というもの。

そして安達は、混雑したエレベーターの中で、
職場の同期である黒沢(町田啓太)の心の声を聞いて、知ってしまうのです。
彼が、自分のことをとても好きだと言うことを。
黒沢は、イケメンで仕事ができて人付き合いもよく、
できすぎていて、逆に安達はちょっと苦手と思っていたのですが・・・。
黒沢は、同性の相手に対して、告白しても叶うわけがないとあきらめ、
これまで片思いに甘んじていたのでした。

・・・という、これもまたおずおずと接近していく、胸キュンのふたりの物語

 

 

イケメンのふたりが、恥じらいを持ちつつ接近していって、やがて気持ちが結ばれていく、と。
まあ、BLもののお定まりではありますが、
どうしてこういうストーリーが女子の心をぎゅっとつかむのでしょう?

たまたま同性同士の話というだけで、
普通の女子の初恋物語と結局は同じだからなのかもしれません。
同性同士の方がハードルも高いですしね。
男性はこういうストーリーをどう思うのか、伺ってみたいところではあります。

 

さて、このようなときに、同性間で、「好き」と思うことと、友情は違うのか?
と少し疑問に思うのですが、両作品とも、そこはきっぱりと線引きがされています。

というのも、青木にも、安達にも、
きわどいところまですっかり打ち明けることができる親友がいるのです。
その親友とは、ふれあいたいとか、相手のことを思うとドキドキするとか、
そういうことには全然なりません。
一定の相手にしか感じないもの、それこそがLOVEなんですね・・・。

恋心を伝えたい、伝えられない、
受け入れたい、だがしかし・・・
迷い逡巡する男達にたっぷり胸キュンしましょう・・・。

それにしても、彼らの住む世界は意外と理解のある心優しき人ばかり。
本当に、こういう人ばかりならいいんですけどね。
せめてドラマの中だけでも・・・という願望を描いているわけでもありましょう。

 

とても心に残っているシーン。
「消えた~」のなかで、青木が教育実習生と親しくなります。
しかし、青木が同性の井田のことが好きだということが分かると
急によそよそしくなってしまうのです。

青木は言います。
「僕は、始めから変わっていない。」
「誰でもいいってワケじゃない。」
この言葉こそがテーマそのもの。
誰かを好きということは、相手がどうであろうと
それはその人そのものの内面が表出したものだし、
同性であれば誰でもいいってわけじゃなくて、
ちゃんと相手その人を見ているのだ、と。
まずはその人らしい「個人」であることが重要なのであります。

 

つい、熱くなって長く語りたくなってしまう

 

ちなみに、双方のテーマソングの始めの方に「胸のたかなり」という言葉が出てきます

 

「消えた初恋」

2021年10月

出演:目黒蓮、道枝駿佑、福本莉子、鈴木仁、田辺誠一

脚本:黒岩勉

ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子

 

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」

2020年10月

出演:赤楚衛二、町田啓太、浅香航大、ゆうたろう、草川拓弥

脚本:吉田恵里香

監督:風間太樹

 

うわ、それで今気づきましたが、風間太樹さんは「silent」も監督されてるじゃないですか!!

 


silent

2022年12月26日 | テレビドラマ

われても末に・・・

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私、当ブログでは連続テレビドラマは扱わないことにしているのですが
(かなり多く見ているので、のせ始めるとキリがない)、
この度最終回を迎えた「silent」には思い入れがありすぎて、
書かずにいられなくなってしまいました。

始め、あまりにも純粋でキレイすぎるラブストーリーに思えて、若干半信半疑で見ていました。
ところが次第にのめり込んで、最終回にはガ~ンと打ちのめされました。
ごく稀なことに2回見てしまいました。
また見るかも。

 

あらすじも何もすっ飛ばして、最終回についてのみ記します。

高校時代の紬と想、そして現在の紬と想、
同じ教室の黒板前のシーンが重なり合います。

ほとんど逢うのはもうこれが最後かと思われる二人が、
黒板にチョークで文字を書いて語り合い始めます。
なかなか本心を語ろうとしない想。
・・・というか、なんと言っていいのか分からないというのが本当のところなのかも知れません。
でも、そんな想から言葉を引き出すのも紬の力ですね。

ここのシーンではもう、泣けて泣けて・・・。
2回目を見ても同じでした。

「声を出さない」「笑わない」・・・
想がイヤならもうしないと、黒板に書き始める紬。
想はそれを手でこすり消していきます。
(黒板ふき、そこにあるのにー、と私は一人突っ込んでしまいましたが。)

なんという名シーン。
結局、「声」でなくても、文字でも手話でも、
伝えようという気持ちと、分かりたいという気持ちがあれば
気持ちは通じるのです。
けれど、それを放棄してしまったら、いくら心で思っていても伝わらない。
言葉は大事ですね。

 

それにしても、こんなに手話に感情がこもるものなのか。
目からうろこが落ちた気分です。
出演者さん達の演技が素晴らしすぎる!!

目黒蓮さんは、プライドの高すぎる「柏木」よりも、やはりこちらの「佐倉想」ですよねー。
ほんの少し哀しみを帯びたような優しい笑顔にキュンです。
これからもついていきます!!

 

本作放送中に、想と湊斗ではどっちがタイプか?みたいなことを何人かに聞かれました。
その質問、はやってるの?と思ってしまった。
その時はどっちも純粋すぎて、もっとバカっぽい方がいいなんて答えたのですが、
いやいや、今ならやっぱり想君だわ・・・。

あ、もちろん湊斗くんもいいけれど、あまりにもいい人過ぎますよね。
彼には何が何でも幸せになってほしいです!!
「そんなこと言ったら、今幸せじゃないみたいじゃないか」、と湊斗くんは言っていましたが。

 

過去も現在も、二人はいいムードになったところで、キスするのでは?と思ったのも裏切られて、
なんと耳元に口を近づけてのひそひそ内緒話。
その内容は、明かされません。
でもコレがまたなんとも新鮮で、その親密度もうかがえて、
素晴らしいシーンです。

特に最後の場面、これまで想は紬の前で言葉を発することを避けていたのですよね。
そこをいきなり、耳元で「声」を発するなんて、反則過ぎです!!
紬はその時、涙をこぼしていましたから、
きっと「紬、大好きだ、ずっと一緒にいたい」くらいのことを言ったのでは・・・?
・・・などと夢想して楽しむ私。

ラストのかすみ草のエピソードもナイスで、もう、いうことなし。

 

おまけ。
高校時代の教室の黒板。
授業の板書がそのままになっていたのですが、そこに書かれていたのが

「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢わむとぞ思ふ」の歌。

まさに、われても末に出会ったふたり。
やられました。

 

「silent」
フジテレビ 2022年10月クール 木曜よる10:00~
脚本:生方美久
出演:川口春奈、目黒蓮、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子