映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

プライドと偏見

2007年03月31日 | 映画(は行)

この映画は、多分女性ならすごく好きだと思います。
男性は気にいるかどうか、わかりません。
はっきり言って、ハーレクインの世界です。
しかし、イギリスの代表的女流作家ジェーン・オースティン(1775~1817年)の作品。
そこらのハーレクインとは格が違います。
女性の生きる目的が結婚にしかなかった、そのような時代背景をまず承知しておくべきでしょう。
ただ、それは過ぎ去った遠い昔の話ではなく、やはり今も根強くあることですよね。
だから、今もってなお、多くの女性たちに共感を持って読まれ、また、ドラマや映画になっているのだと思います。

さて、プライドが高くて、つい、冷たい態度に出てしまう。
実は、すごく好きなのに、つい、いじめてしまう・・・、ありますよねえ、そういうの。
この作品では、どうもエリザベスも、ダーシーも、そのような性格らしい。

この一見暗くて冷たそうなダーシーが、やっと愛を告白するシーンは、いいですよお~。
はじめ、エリザベスが1人でいるところへあたふたと駆け込んでくるダーシー。
いけ、告白だ・・・!
でも、思い切りが付かず、切り出しかねているところへ、じゃまが入ってそのまま帰ってしまうダーシー。
あの人はいったい何をしにきたの?


次のトライは雨の野外。今度は言えました!
この時代、愛の告白=プロポーズです。
ちょっと付き合ってみる、なんてそんなのは無し。
ただし、そのときは、彼についてよくないうわさをいろいろ聞いていて、
実はちょっと気になりながらも、強く拒絶してしまうエリザベス。
何と、「あなたなんかこの世で一番結婚したくない相手だ」と。
その後誤解がとけ、さらには、エリザベスの家族の窮地をも救ってくれた彼にいよいよ愛を感じるのですが、自分が言ってしまった言葉を取り返しがつかなく思い、後悔に駆られるエリザベス。
この辺の悶々とした感じ、切ない感じがビンビン伝わってきます。

最後に、眠れぬ一夜を明かし、早朝1人で散歩に出たエリザベスとダーシーが、ばったり出会います。
思わず胸がきゅんとなってしまうシーン。
いい年して、やっぱりこういうのが好きなのです。

これは、イギリスはワーキングタイトルの作品。うん、やっぱりね。女心をよく分かっていらっしゃる。
あの、適度にひなびた、生活感のある、あの家がすてきでした。
犬やアヒルが庭を走り回っている。洗濯物がたくさん干してある。
堀で囲まれた家は5人姉妹を守る島。
彼は下品と称したあの家族も、なんとも温かみがあり、いい雰囲気です。
実在の、17世紀に作られた、大庭園のあるお屋敷でロケが行われたそうです。
ナイスですね。
ダーシーの大邸宅も実在するもので、観光の名所であるとか。
観光客を追い出すことも出来ないので、内部のシーンは別のところで撮影したそうです。イギリスの田園風景は以前からあこがれておりまして、やっぱり、行ってみたい。

それから、2人の出会いの場であるダンスパーティー。
気軽に男女が付き合って話をするなどということのない、この時代、重要な出会いの場であったわけですね。
2人だけで手をとって踊るあの、いわゆる社交ダンスとはまた違って
なんとも優雅で印象的なダンスです。
ちょっとテンポの速い、皆で盛り上がりそうなあのダンスもなんだか楽しそう。
ずっと雑然と人が入り乱れているシーンなのですが、そのちょっと高揚した場の雰囲気がすごくよく出ていたと思います。

プライドと偏見 [DVD]
キーラ・ナイトレイ,マシュー・マクファディン,ドナルド・サザーランド,ロザムンド・パイク,ジュディ・デンチ
ジェネオン・ユニバーサル
プライドと偏見

2005年/イギリス/127分

監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ブレンダ・ブレッシン、ドナルド・サザーランド、ジュディ・デンチ


パフューム/ある人殺しの物語

2007年03月29日 | 映画(は行)

18世紀パリ。
この、多分にロマンチックな時代背景、スチール画像に反して、思い切りグロテスクな光景から、映画は始まります。
不衛生極まりない、悪臭漂う、パリの魚市場。
主人公のグルヌイユは、その屋台の下で産み落とされるのです。
彼は、数十キロ先の臭いも嗅ぎ分けられるという鋭い臭覚の持ち主。
不幸な生い立ちの中で、ありとあらゆる臭いを嗅ぎ、あるとき、彼にとっての究極の臭いを見つけます。
それは若い女性の体臭。
何とかその、芳しい香りをとどめておくことは出来ないものかと、研究を重ね、ついには女性の体臭を香水にする方法を見つけ出します。
そのためには女性の命をも奪わなければならないのですが、彼は少しもそんなことは躊躇しません。
いつも、女性は髪を刈り落とされ、全裸の死体として発見されます。
このあたりは、映像的にはなかなかきれいです。
一人、また1人と犠牲者が増えていきますが、12人の犠牲者を出し、それらのエキスを全て混ぜ合わせて、彼にとっての究極の香水が完成するのです。

さてしかし、そのとき、とうとう彼は連続殺人の罪で捕まり、
群衆の見守る中、処刑台へ引き立てられます。
そこで、彼はその、究極の香水を解き放つのですが、そこで起こったことは・・・!
一番の話題のシーンですが、正直、私はギャグとしか思えませんでした。
ここでは感動すべきなのでしょうか・・・。
これだけエキストラを集めて、このシーンの撮影はさぞ大変だったろう、と、妙にさめて、考えてしまいました。
まあ、それはともかく、彼が自信を持って作った究極の一瓶のはずなのですが、皮肉なことに、彼にだけは、その効果が現れないのですね。
ただ、このとき、彼は群集の中で、プラムの実が転がるのを見て(というよりは多分その香りをかいで)、彼が始めて殺めてしまった女性を思い出したのです。
あのときの陶然とした気持ち。
しかし、もう帰ってこないあの香り。
そこで初めて彼は人の死を哀しみ、後悔を感じ、そしてまた、おのれの孤独を悟ったのではないでしょうか。

結局、この作品はどうとらえればよいのか、ちょっと私の手に余るようでした。

けれど、その後、またちょっと気づいたことがあります。
彼を生んだ母親。
孤児院の女主人。
なめし皮職人の親方。
香水の調合師。
彼と深くかかわった人物はみな彼と別れた直後に命を落としています。
それはまるで、誰も彼のことを記憶にとどめておくことを禁じるかのようです。
また、これは終盤になってわかることですが、彼自身には全く体臭がなかった。
彼にとっては「臭い」だけが、唯一「存在」を感じられるものだった。
自分に臭いがないというのは、存在がないことと同じなのです。
つまり、他者にとっても、自分にとっても、「無」なんですね。
それだからこそ、あのようなラストになるのだなあ・・・と、
こう考えてみると、結構深いです。
そもそも、臭いというのは強烈にあるときはあるけれど、いつの間にか薄れてなくなってしまうものですよね。

この作品の中では、ダスティン・ホフマンが唯一人間味(よくも悪くも)が感じられて、なかなかよかったと思います。

パフューム スタンダード・エディション [DVD]
ベン・ウィショー.レイチェル・ハード=ウッド.アラン・リックマン.ダスティン・ホフマン
ギャガ・コミュニケーションズ
パフューム

2006年/ドイツ=フランス=スペイン/147分
監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド、ダスティン・ホフマン


善き人のためのソナタ

2007年03月27日 | 映画(や行)

久しぶりに、「正しい映画」を観たという気がします。
ああ、やっぱり、これだから映画は止められない・・・。

この作品の舞台は1984年、旧東ドイツ。
ベルリンの壁の崩壊が1989年なのでそれより5年前ということになります。
当時東ドイツには「シュタージ(国家保安省)」という強力な反体制への監視システムがあり、その正式な役員のほかにもたくさんの密告者がいて、当時の国家体制を支えていた。
この、シュタージの実態等にふれることはこれまでタブー視されていたものが、この映画で、かなりリアルに再現されています。
主人公となるヴィースラー大尉は、要注意人物である劇作家のドライマンとその恋人、舞台女優クリスタの生活を全て盗聴し、記録に残す役につきます。

ヴィースラーは、もともとがちがちの体制派であり、反逆者の尋問が得意で、新人の指導教官を務めているほど。
しかし、この2人の会話を盗聴し続けるうちに、次第に心に変化が生じてくるのです。
ドライマンは、決して自由主義の思想化というわけではない。
でも、もともと、芸術家として、心が自由な人なのではないでしょうか。道路で子供と一緒にサッカーをしたり、反体制のレッテルを貼られて仕事ができなくなった友人を気遣ったり・・・。
こんな、ドライマンの自由な思想、そして2人の深く美しい愛が、もともと孤独なヴィースラーの心に何か希望の火を灯したのです。
この曲を本気で聴いた人は悪人になれない」というピアノ曲。
その題名が「善き人のためのソナタ」です。
盗聴器から流れるその曲に、彼は心が震える気がします。
いつしかヴィースラーは、自らの職務に背き、2人の反逆行為を養護する立場へと変わっていくのです。
それはもちろん自らの立場を危うくするものですし、当の2人は、そんなことが行われていることを夢にも思っていない。


結局、一つの悲劇は起こりますが、ドライマンの身の安全は守られました。
けれども、ヴィースラーの背信は明るみに出てしまい、閑職に回されます。
このようなことがあった事実をドライマンが知るのは、ベルリンの壁崩壊のさらに何年か後。
そして、深く静かな感動が最後に待ち受けています。
そこでつい、涙が流れ落ちてしまったのは、私だけではないようでした。
ここはぜひ、自分で味わっていただきたいので、あえて、ネタばらしはしません。

さて、これが二次大戦中というのではなく、ほんの20年ほど前のことなんですね。
映画中ドライマンは自分が盗聴されたファイルを資料館で閲覧するシーンがあります。
民主化後とはいえ、そんなにあっさりと閲覧できるのもすごいと思いますが、その分量がただ事ではない。
たった一人の監視のために費やした時間、労力、器材等の費用・・・を考えると、改めて唖然とさせられます。
そんなくだらないことのために・・・。
そんなことをしなくては国の体制を支えられないと考えるところも、涙が出そうなくらい情けないですね。
でも、多分同様のことがまだ、すぐご近所の国でも行われているのでしょう・・・。
わが国も、そんなことにならないようにと、祈りたくなってしまいます。
そうなったら、ブログなんて、真っ先に標的ですよ・・・。

主演のウルリッヒ・ミューエ自身、過去にシュタージに監視されていた経験があるそうです。そう聞くと、ぐんと現実味をおびてきますね。
彼があと20歳くらい若いときを見たかった気がします。きっと、ステキですよ。いえ、今も十分ステキなおじ様ですが。

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク,ガブリエル・ヤレド
アルバトロス
善き人のためのソナタ

2006年/ドイツ/138分
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ

「善き人のためのソナタ」公式サイトはこちら

 



 


バタフライ・エフェクト

2007年03月25日 | 映画(は行)

またまた、ついでなのでタイム・スリップで、いきましょう。

バタフライ・エフェクトとは・・・
ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる。
初期条件のわずかな違いが将来の結果に大きな差を生み出す・・・というようなことだそうです。

この作品では、意識だけが過去へ飛びます
そこでは,過去の少年の自分に,未来の大人の意識が入り込んでいる。
つまり,その時点での自分の行動で,未来,すなわち自分の意識のある世界を変えることができる,ということ・・・。
ほんの少しのチョウが羽ばたくくらいの変化が,人の生死や性格までもを大きく変えることになるります。
自分の愛する人を幸せにしたいと,何度も過去を修正するのですが,何度やってもとんでもない方向へ未来が変わってしまいます。
しかも、どれも結構悲惨。
こんな風に人生を何度もやり直せたらいいのに、と、思わなくもありませんね。
けれど、必ずしもいい方向に行かないというのも真実なのでしょう。


さて、変化して,消えてしまった「現在」は何処へ行ってしまったのでしょう・・・?
これぞ,SFでいう多元宇宙というものでしょうか。
ということは、やはりどこかで悲惨な状況は続きっぱなしということ?
それもこわい。


さて,「映画史上もっとも切ない,ハッピーエンド」というのがこの映画のウリです。
本当にその通りでした。
最後に彼が選んだ方法とは・・・?
愛する人を守るため・・・。かっこよくも切ないのでした・・・。
私は、これを劇場で観たのですが、
DVDには、別バージョンのエンディングが入っているというではありませんか
これはぜひ観なければ。
うーん、でも、この終わり方しかないでしょう、と思うのですが、どんなもんかな?

バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]
アシュトン・カッチャー,エイミー・スマート,エリック・ストルツ
ジェネオン エンタテインメント
バタフライ・エフェクト

2004年/アメリカ
監督:エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー
キャスト:アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート、エリック・ストルツ


ジャケット

2007年03月25日 | 映画(さ行)

この、題名「ジャケット」は、身体拘束衣のことです。精神病患者などに使う、体の自由を奪うためのもの。
先日の「デジャブ」に触発されまして、タイムスリップものを観てみました。
ここでは怪しげなマシンも何もなく、ただ、主人公のジャックが特殊な状況に置かれた場合にのみ15年先の世界を訪れることになるのです。
その状況というのは・・・
ジャックは、身に覚えのない殺人の罪で犯罪者専用の精神病院に送り込まれます。
そこで、ベッカー医師の実験的治療を受けることになります。
それは治療というよりも、拷問に近いもの。
身体拘束衣で、身動きも出来ないまま、地下の死体安置室の狭い引き出しに入れられてしまう、というものでした。湾岸戦争での経験や巻き込まれた殺人事件のフラッシュバックの記憶の断片が暗闇に浮かび上がり、想像を絶する恐怖。
ふと気づくと、自分はあるところにぽつんと立ち尽くしている。
何とそこは、15年先の未来・・・。
そこで、彼は、自分が後4日で命を落とすという事実を知ってしまうのです。
引き出しを出されるとまた、過去の自分に戻っている。
そんな方法で、何度か過去と未来を行き来するのですが、
その後の彼の4日間の行動が、15年後の未来を変えることになる


全体的に、暗く悲惨な状況が続きます。
それが、ラスト10分、
まるで寒く長かった冬の後にぽっかりと春の日差しが注ぎ込む、
そんな感じで、別の未来が待っています。
そういえば、舞台はずっと凍てついた冬でした。
このラストのために、この映画はあったのだ・・・。
満足、満足。

主役のエイドリアン・ブロディは「戦場のピアニスト」や、「キング・コング」でおなじみです。彼の個性的マスクは、なかなか忘れられるものではありません。
恋人役となるのはキーラ・ナイトレイ
彼にとっての「現在」では、ジャッキーという少女ですが、15年後は美しく成長した、キーラ・ナイトレイ登場、ということになっています。この2人が交互に出てくるのも、なかなか見せ場です。ジャックが少女のジャッキーを見守る視線が、なんともいえずいいんだなあ・・・。

サスペンス、ラヴ・ロマンス、SF、ミステリ融合の楽しめる作品です。

ジャケット
ジャケット [DVD]
マッシー・タジェディン
松竹ホームビデオ

2005年/アメリカ/103分
監督:ジョン・メイプリー
キャスト:エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ、クリス・クリストファーソン


デジャヴ

2007年03月24日 | 映画(た行)

ずばり、これは私の好きなタイム・パラドックスものです。


この映画の前宣伝は、「もしデジャヴが過去からの警告だとしたら」
「もし、デジャヴが未来を予知するメッセージだとしたら」
というような解説になっています。
でも、なんかちょっとイメージが違うと思いました。
だってこれって「タイム・ウィンドウ」という完璧SFアイテムのストーリーです。
ややオカルトめいたイメージの予告なんで、期待が外れたと思う方も多いのでは。
ただ、私にとっては、うれしい予想外で、タイム・トラベル、タイム・パラドックスものは、とてもわくわくさせられて、好きです。


タイム・ウィンドウは、理屈はともかく、現在から4日6時間前の映像を見ることが出来る機械。
それで、タグは自身ではっきりと死体を確認した女性の生きている姿を見てしまいます。
ただ、どうも、知っている人のような気がしてならない。
その謎が、解き明かされていきます。
何と、4日6時間前の映像に映る車を追って、現在のハイウェイを走りぬけるシーンがあります。
これは怖い!!ラッシュ時の道路を逆走していたりする。
こんなカーチェイスは今までありません!

すでに起きたフェリーの爆破事故、すでに殺された女性、これらの運命を変えることなど可能なのか??? 
何とかしたい一心で、ついには彼自身、意図的につくりあげた時間のワームホールでタイムトリップをしてしまうのです。
そこで彼のする行動が、ひとつひとつ、以前に彼が見たものの裏づけになっていくのです。
この辺の、理屈はそうだけど、そんなまさか・・・という歯がゆい、信じられない感じ。これがすきなんですよね~。

ここで、結末を言ってはおしまいなので、省きますが、
映画の中では、
「流れを変えた川はそちらを本流として流れはじめ、
元の本流は消えてしまう」
と、時間の流れを川ににたとえて説明していました。
ご都合主義、大いに結構!
そうじゃなきゃ、リスクを犯して時間をさかのぼる意味がない!。

さてこの二度目の事件後、彼がタイム・ウィンドウのスタッフに会いに行ったらどうなるのでしょう。
当然、皆初対面。
けれど、彼ら皆、強烈な既視感に襲われるに違いありません。
これが、既視感(デジャヴ)の正体というわけです。

ただし、フェリー爆破事件も未然に終わったのであれば、彼はタイム・ウィンドウは見ないことになるのではないかな。では、もちろん過去へ行くことも出来ず、行く必要もない・・・と。
不思議ですね

この不思議な感覚が好きで、
わりと最近見たタイム・トリップものでは
「バタフライ・エフェクト」(「守護神」のアシュトン・カッチャー)
「サマー・タイムマシン・ブルース」(のだめと峰くん!!)
なんかがお勧めです。

この犯人役のジム・カヴィーゼルは、「パッション」でキリスト役をしていますね。
なるほど・・・、なんとなく納得の、印象深い役柄でした。


 

デジャヴ
デジャヴ [DVD]
デンゼル・ワシントン,ポーラ・パットン,ヴァル・キルマー,ジム・カヴィーゼル,アダム・ゴールドバーグ
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント

「バッテリー」

2007年03月22日 | 映画(は行)

ちょうど本で読んだばかり(文庫の出ているⅤまでですが)で、とても好きになってしまっていたので、観ました!

この、主人公巧君が、妙にいい子になっちゃってたり、変なスポ根ものになっていたらイヤだなあ・・・と思っていたのですが、いえいえ、原作のイメージのまま、というかそれ以上。
岡山の、空気、風景、町並み、そういうのが、本で読むよりよりくっきり。(当たり前ですが。)
なので、巧君像が、よりクリアにリアルに浮かび上がった気がします。
よくこんなに、ぴったんこの少年がいましたよねえ・・・。
なにしろ、下手をするとジコチュウの、聞き分けのない、いやーな奴になるところなんですよね。彼の性格。
あまりにも青く、硬質。孤独で、危ういほど・・・。
この雰囲気が、不安定な13歳という年頃とマッチし、なんともいえない魅力となっているのです。
でも、映画では、そこまでの感じではないかな・・・。
それから、巧と豪の、微妙な雰囲気は小説ではもっとずっと続くのです。
このように、映画として楽しむためには仕方ないわかり易いアレンジはあるようでした。
思いがけずナイスだったのは、沢口君
原作では農家の息子なんだけど、ここでは、お寺の息子。
どっちもなかなかいいキャラなんだけど、映画版はまた、格別。
3枚目ではあるけれど、彼がいなかったら全然つまんない映画になっていたかもしれません。
人にはなかなか厳しい巧なのですが、彼に対してはどうも、いつものペースが保てないようです。
そして、お母さん役の天海祐希。(ひまわりさ~ん!) 
ちょっと気弱な感じの岸谷五朗演じるお父さん。
これもまた、イメージを損なわないものでした。
青波君も思い切りかわいい!! 
この、明るく賢く人の気持ちを汲み取るのに敏感というナイスなキャラ。
息子に欲しいです・・・。
巧君はちょっと難しすぎますがねえ。

でも、自分の気持ちを口で言ったりする事のほとんどない巧君の、弟を大切に思う気持ちがひしひしと伝わり、ちょっぴり涙もさそわれて、満足のいく作品でした。

原作中で、巧は豪を「友達なんかじゃない」といいます。
それは、「友達」なんて言葉でそれを呼ぶと、大切なものが壊れてしまう、
そんな気持ちの表れなのではないかと思いました。
一時代前の、夕日のグランドでピッチャーとキャッチャーが抱き合って涙する、というような、そんな暑苦しいものはありません。
野球がよくわからない方も、十分楽しめる作品ですので、是非どうぞ。
出来れば原作もおすすめ。読み出したら止められません。


 

バッテリー
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林遣都,山田健太,鎗田晟裕,蓮佛美沙子,天海祐希
角川エンタテインメント

蒼き狼~地果て海尽きるまで~

2007年03月20日 | 映画(あ行)

かの、モンゴルの英雄、チンギス・ハーンの半生を描く。4ヶ月のモンゴルロケ、モンゴルエキストラ27000人を動員という。
CGでなく、本物の迫力はありました。確かに。
このドラマのサブテーマは親子。チンギス・ハーン自身、メルキトから略奪された母から生まれ、実のところ、尊敬する父の実の子だったのかどうか、わからない。
それ故に、部族仲間の信頼さえも失うという辛い目にもあった。
ただ、自分がモンゴルの蒼き狼の末裔であることを信じ、証明するために生きぬき戦い抜いていく
ところが皮肉なことに、自分の妻が敵に略奪され、取り戻したときには身ごもっている。
運命の皮肉といいましょうか、自分の妻が産んだその子を、自分の息子と信じることが出来ずに、疎ましく思ってしまう。
華麗なる一族・・・ですねえ。
いまなら、DNA鑑定で一発かな? 
解らないほうがいいこともありますね。
今生きている自分だけが真実と思えばいいことなのでしょうが、血のつながりというのは、やはり、自己のアイデンティティに欠かせないものなんでしょうか。
鉄平さんは結局自分なんか生まれなければよかった、と、決断してしまいましたが・・・。
私は、この物語で、一番偉大なのは、このテムジンの父なのでは?と思います。
少なくとも彼は、実の子と同様にテムジンを愛し、彼をいじけさせることはなかった。
(この映画ではそのように見えたということですが。)

さて、一方女はやっぱり悲しい存在です。
略奪され、身ごもって、子供が生まれればその子を愛してしまうし、それでまた、元に戻されても、その感情はどこへ持っていけばよいのか。
男の持ち物、道具でしかない、というのは、いつも同じようです。
この映画では唯一女を捨て、兵士となった女性がいます。
けれどそれなら、最後まで兵士で通して欲しかったと、ちょっと思ってしまいました。

さて、長々書いたけど、実はどうも、食い足りないというか、すごく感動した、というには遠いのです。
なんだか、時代劇めいた台詞回しがオーバーすぎ。
もっと、素朴に雄大なモンゴルの自然の中に暮らす感じ、出なかったのかなあ、と残念。
例えば、「武士の一分」とか、自然な台詞回しの時代劇を見た後だったからかもしれませんが、あの仰々しいセリフには違和感を感じます。

蒼き狼 地果て海尽きるまで
蒼き狼 地果て海尽きるまで 通常版 [DVD]
反町隆史.菊川怜.若林麻由美.袴田吉彦.松山ケンイチ.Ara
エイベックス・エンタテインメント

「RENT」

2007年03月19日 | 映画(ら行)

アカデミー賞関連で、今、ドリーム・ガールズが話題ですが、単に好みの問題だと思いますが、私はこの、「RENT」のほうがお気に入りです。

ブロード・ウェイミュージカルの映画化。
何と、監督はハリー・ポッターもやっているクリス・コロンバスですよ。
ちょっと、ゴスペル風のテーマ「Seasons of Love」から入ります。
私、ちょっとゴスペルをかじっていたことがあり、このオープニングに魅せられて、見に行ったのですね。
中身はなんと、ホモ・レズ・エイズ・麻薬、すべてアリ。
なのに、変にくずれないで、きちんとした気持ちを持って生きていく彼らと、彼らの友情。そこがいいのです。


マーク役の彼の声が、懐かしきテッド・ニーリーの声に良く似ています。
知っている方はあまりいないでしょうねえ・・・。むか~し、ジーザス・クライスト・スーパー・スターの、ジーザス(つまり、キリスト)役をやった方です。この作品は私のミュージカル原点です。
まあ、そんなだから、ドリーム・ガールズより、こちらの、ロック・ミュージカルのほうが好きなのかもしれません。
コリンズ役の彼は、低音から高音まで、すごい音域で、その高音がまた、力強くノビがあってすばらしい!! 
ジョアンヌ役の、トレーシー・トムズは、これがまた、すばらしくうまい!!
力があって魅了される歌声です。
実は、この方、「プラダを着た悪魔」に、アン・ハサウェイの友人役で出ています。
それで、友人たちが集まって、「家賃(RENT)の払える生活に乾杯!」というシーンがある。これは、RENTファンにはにやりとさせられるシーンでした。

名シーンがたっぷりあって、わたしが好きなのは
ろうそくの火を借りにくるミミ。
タンゴを踊るロジャーとジョアンヌ。
地下鉄で歌い踊るエンジェルとコリンズ。
しかし、男性二人のラブシーンはさすがにちょっと引くものがありました・・・。
まあとにかく、映画を観て、かつDVDを買ってしまったという、私としてはまれな作品です。

「RENT」
レント(1枚組) [DVD]
ロザリオ・ドーソン,テイ・ディグス,ウィルソン・L・J・ヘレディア,ジェシー・L・マーティン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

リトル・ランナー

2007年03月18日 | 映画(ら行)

劇場で見損ねたので、本日DVDでみました。

カトリック学校に通う14歳のラルフは、とても品行方正とはいえない少年です。
タバコも吸うし、性にも大いに興味がある。学校では校則破りの要注意人物。
ある日、入院中の母親が昏睡状態になってしまいます。
医者の言った言葉、「お母さんは奇跡でも起こらないと目覚めない」
教師の言った言葉、「君たちがボストンマラソンで優勝したら奇跡だ」
このことから彼は「自分がボストンマラソンに優勝すれば奇跡が起こって、母親も目覚めるに違いない
と、奇跡を信じることにし、これまで全く未経験のマラソンの練習を始めるのです。
結果は見てのお楽しみ・・・。そうだろうな、そうでないとやはり・・・というところでしょうか。

ここでは、主人公を取り巻く人たちが、一層ストーリーを盛り上げています。
まじめで優秀だけれど道を踏み外さないタイプの友人。
ちょっと大人っぽい、同級生の女の子。
元ボストンマラソンの覇者で、コーチをしてくれる先生。
いつもラルフをからかっていた級友たち。
ラルフの品行の悪さを苦々しく思い、追い出したいと思っている校長。
皆がいつしか、ラルフの奇跡を願う真剣な様子に、引き込まれ、ゴールするのを応援しています。
そんなシーンには思わず涙です。

この主人公ラルフ役を演じるのは、500人の中からオーディションで選ばれたというアダム・ブッチャー。14歳という不安定かつ瑞々しい年頃、そのもの。良いですよね~。この先もすごく楽しみに思います!!

 

「リトル・ランナー」
リトル・ランナー [DVD]
マイケル・マッゴーワン
ギャガ・コミュニケーションズ