夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「しんしんと・・・―聡―4」

2007-02-28 23:48:06 | 自作の小説

手筈通り カシム一行は帰る(あくまでフリだ)

仁慶・美智留夫婦は自分達の寝室 栄三郎と珠洲香さんも同じ棟

俺は酔い潰れて一人寝

てなふうに見せる

そして午前二時

きっちり罠にかかった襲撃者を待っていたのは 早智子さんのフリした軍人

早智子さんと史織さんは 俺の隣りの部屋で グレートデンに守られていた

どうカタをつけたものか 後日カシムは 言い逃れなどできない証拠と人間押さえ きっちり脅し付けた

それだけ言って笑った

何がどうなったか細かいことは分からない

ただ 多分もう安全なのだろうということ

こんなにあっけないほど

しかし裏では巨大狸 狐の駆け引きが 百万回はらわたがねじれるほど 行われたのだろう

「原爆をうちこんでさしあげる」

非公式の話だが―とカシムが愉快そうに笑う そうカシムの父が お食事会で陰険笑顔で言ったそうな

あの夜の襲撃チームは全員 アジトまでもパーフェクトに押さえられた

「だから あとは あなただ」 そうカシムが笑う

「なん?」

「絶対安心てワケじゃない 史織ちゃんと早智子さん 僕が国へ連れていってもいいのかな」

それは ただでさえ少ないチャンスが無くなる―ゼロになるということか

「俺は ただの肉屋なんだよ」

「好きか嫌いか 簡単な問題だと思うな」 カシムは クスクス笑うのだ

「僕が頑張ってイイ男になっても それで好きな子に 同じよに思ってはもらえない でも 何らかの行動起こさなきゃ 相手に気持ちも通じない

ね あなた ほんと手がかかるオッサンだね」

「まったく」力なく笑うしかない かなわない11才だ カシムは

「励ましの言葉感謝 玉砕の覚悟で行ってまいります」

そう言うと「骨は蹴飛ばしてやるからね」と全く 憎たらしい

しかし今まで女性を口説いたことなく 女心に響くシチュエーションなんて考えつかない どうしよう?!

デートに誘うにも 史織ちゃんを一人にするわけには いかないんだ

保育園へ史織ちゃんが行っている時間なら 早智子さんは一人だ

朝なら早智子さんは史織ちゃんを保育園へ送っていく

唐突でもストレートに ぶつかってみよう

早速 次の日の朝 保育園近くの道で 早智子さんを待った

車が停まる 史織ちゃんを送って 早智子さんが降りてくる

不安そうに辺りを見回しながら

いつも あんな怯えた目を あの人はしていたのか

一人なんだ あの人は 俺は あの人を守れるか せめて怯えず歩けるように してやりたい

一歩 彼女に近付いた 史織ちゃんを見送っていた早智子さんが俺に気付く

少し表情が明るくなった気がする

その事に勇気づけられ 俺は言った 「お茶飲みに行きませんか?」


夕食のおでん そして明日も続く(笑)

2007-02-27 23:55:05 | 食・レシピ

夕食のおでん そして明日も続く(笑)
月末近いので 神棚用に榊 お仏壇に花など買うつもりで ご近所の銀ビルへ

じゃがいも ひと袋 も 大根も 百円

その時 夕飯のおかずは決まりました

おでん です

帰ってから 卵茹でて こんにゃく 灰汁抜きし 大根剥いて 鶏肉 昆布 スジ肉 入れて じゃがいもの皮むいて 竹輪 平天 牛蒡天 がんもどき もち巾着 結び白滝

こんなにイッパイ作ったから 数日は おでんが おかずです

明日ははんぺんや タコも入れよう

すりおろした生姜入れた醤油かけ 芥子など添えます

お店によっては 小さく刻んだ葱のっけて出すところも

生姜醤油で食べるおでんが 姫路名物なのだそうですが

い いつから 名物よ?!と思う「名物」多いです

昨日も飾磨で ごくごく最近できたはずのお店が「姫路名物」として蓮根コロッケなる商品を

ああ 名乗ったモノ勝ち なんでしょうか

西飾磨 今在家あたりは かつては蓮池の多い所でした 今は埋め立てられ随分減りましたが それでも ここかしこ残っており お盆の頃には すっとした蕾 ふわりと開いた花など楽しめます

白鷺も飛んでくるんですよ

それに蓮池には 牛蛙もいるのです ぐぁおっごうぉっ という合唱は なかなかに凄まじいです

加古川では居酒屋さんで 蛙の唐揚げなど出すお店もありましたっけ

いや 私は食べたことないのですけど

食べた方によれば クセになる味!?なのだとか

う~~~ん 原形(爆)を考えると・・・ねぇ


「しんしんと・・・―聡―3」

2007-02-27 21:17:20 | 自作の小説

意外な事実を知った為の知恵熱か 鬼の攪乱か 俺は倒れた

なんか だる~と思いつつ店に降りて ばたっと倒れて救急車

気がついたのは三日目で インフルエンザだったらしい

栄三郎と仁慶には 「心配かけやがって」「自分の体調 気付かないのか あんぽんたん」 と 殴りたくなるよな見舞いの言葉を貰った 栄三郎が言う「早智子さんが心配して廊下に詰めてる 優しい言葉の一つもかけるように」

「チャンスは最大限にいかすように」頭を光らせて仁慶も言った

少し緊張して 病室へ早智子さんを呼んでもらう

早智子さんは一人だった

「史織ちゃんは?」

「カシムちゃんのお家」

「そっか 心配かけてごめん」

「いいえ 気がつかなくて 助けていただくばかりで して欲しいことがあれば おっしゃって」

では結婚を―と言いたかったが我慢して 「こっちこそ すまなかった 俺は大丈夫だから 有難う」

「あたしは・・・」言いかけて ちょっと唇を噛み「聡さんは大きくて明るくて 優しい太陽みたいな人だと ずっと思ってました

そりゃ太陽って夜は見えなくなるけれど

倒れたって妹さんから聞いて・・・

本当に早くお元気になって下さいね」 そう言って頭をさげ 病室を出て行った

自分に都合よいふうに解釈しようとする心を 抑える

あれは見舞い相手に誰もが言う言葉だ

都合三日ほどの入院だったが 珠洲香さん 美智留さん 家族みんな交互にやってきて 賑やかなものだった

おかしかったのは巨大なマスクをしたカシムと史織ちゃん

「史織ちゃんを病原菌に汚染させてはいけないからな ほら近寄るな どうだ具合は 史織ちゃんが会いたがるから 見舞いに来てやったぞ」と カシムは全く可愛くない態度だが そこが何故か笑えた

「大丈夫?肉屋のお兄ちゃんは 史織のパパ代わりなんだから いなくなっちゃヤよ」 そうだった なんだったか父親がいない事で泣いてた史織ちゃんに 父親がわりになろう― そう言って慰めた事があったんだ

あれを覚えていたのか 今よりずっと小さかったのに

「死なないよ 史織ちゃんが お嫁にいくの見るんだから」

「ほんとね?ほんと?」

「指切りだ それ」 小指をだすと 可憐な花のように白い手を出してきた

「史織ちゃんが心配する 早く元気になれ」

そして少年は例によって黒服従え 史織ちゃんと帰っていった

むっつ違いだカシムと史織ちゃんは 大人になったら丁度良いバランスかもしれない

案外なつっこい性格なのか 退院して三日め 店にカシムがやって来た 「おお仕事してるな
ミンチカツ揚げてくれ 今から史織ちゃんに持っていくんだ」 黒服の護衛つき美少年に両親は目を白黒させていた

「はは・・・今飛び切り美味しいの揚げてやる」 なんとなく判ってきた こいつカシムは 偉そうな態度の割に 子供として 時に男として対等に扱われたいのだ 孤独なのだろう

「ほれ特製ダンゴ オマケだ 食べてみろ あ 御付きの武官さん達もどうぞ 毒は入ってない」

ぱくっと一口「うまい 初めて食べる」

カシムが満面の笑顔になる

「蒸した里芋潰し鶏ミンチと合わせ 味付けした蓮根のみじん切り合わせ 後は企業秘密な調味料混ぜ 卵白加え くるっと こう揚げるんだ」

「人気ある肉屋さんなわけだね」

「早く持っていくといい」

「うん!」 カシムは子供の顔に戻っていた 車に向かうカシムに「カシム」と呼びかけ 振り向いた所へ「お買い上げ有難うございました 又のご来店をお待ち致しております」そう言ってやった

実に無邪気な笑顔を見せたね カシムは

子供って可愛い いいものだよな~

たった三日の入院であったのに

栄三郎と仁慶は全快祝いに―と 何故かお寺で席をもうけてくれた 料理学校で教えてる珠洲香さんが中心に 美智留さん 早智子さんも腕をふるってくれたのだそうだ

「あの海水浴を思い出すなぁ」 昔 栄三郎が珠洲香さんと付き合い始めた頃 みんなで海水浴へ行った

あの時 初めて早智子さんに会ったのだ

女性三人は無茶苦茶豪華美味な弁当を作ってきてくれた

懐かしさ

みんなの気持ちが嬉しかった

栄三郎も仁慶も笑ってる

カシムや史織ちゃんも

そして黒服武官達も心なしか 寛いでいた

暫くしてカシムがすっと寄ってきた

「事後承諾になってすまないが 罠を仕掛けた」

「!」

「僕はいつまでも この国にいられない 相手が手を出しやすいように 今夜勝負をかける

橋本さん仁慶さんのご家族にも了解して頂いています」

カシムは大人の表情になっている

だから 少し人家離れた寺なのか

仁慶の両親は孫連れホテルで保護されている 栄三郎とこの子供達は 珠洲香さんの実家

「今後手出しできないように脅しをかけるつもりです」

カシムはその凄さの片鱗を見せた

「暗殺の危険もあり二重の意図で日本で暮らしてきました けれどいつまでも国を離れていては 暗殺者に負けたままだ 父の妻は母一人でないし 子供も僕一人ではない

数名の競争相手に勝てない男でいるつもりはないのです

僕は王になってみせます 王になって次は日本へ来る

だから史織ちゃん 早智子さんが脅かされないように しておきたい」

真剣な目で覚悟を述べる

大人の男になったカシムが見たい 肝(はら)の底から思ったね

「きっちり罠にかかってくれる事を祈る!」言えるのは それだけだった

ニコッと憎めない笑顔を見せるとカシムは言う 「僕の犬に会ってください」

その犬と言うのがさ 子牛くらいはあろうかっていう巨大なグレートデン五頭だったんだぜ

「史織ちゃんに子犬をプレゼントする約束なんだ」

訓練済みのグレートデン 実に迫力がある

一定の時間後 カシム達は 引き上げるフリをする

勿論犬は残して

早智子さんと史織ちゃんは離れで泊まる部屋割りだ

襲撃か拉致か

やりやすい環境を整える

身が引締まるのを感じた

この計画に乗り平然としてる悪友達とその妻 そして早智子さん

別の意味での感動だった

俺は本当に何て凄い人間達に囲まれているのだろうね


「ヒミツの花園」

2007-02-27 17:52:24 | 本と雑誌

「ヒミツの花園」
脚本 永田優子 作画 めぐみ京香

ドラマコミックスなんだそうで 病院の売店にあり つい買ってしまいました(笑)

上巻なんですけどね

少女漫画家 花園ゆり子は 実は男4兄弟が正体で
でもその秘密はだんだん・・・ほころびかけてきている?!

就職して以来 誕生日すら会社で過ごし 祝ってくれる人もいないのに 雑誌が廃刊に~~~

で新しい仕事は漫画家の編集者

月山夏世は 男四人とベテラン編集者に 振り回されるうち 意外な人間関係 彼等の孤独 それぞれの抱える問題に気付き 下巻が店頭にあれば買いそうな自分がコワいです

真矢みきさん好きなのですよね


「しんしんと・・・―聡―2」

2007-02-25 16:16:30 | 自作の小説

それぞれに家族を持つ不思議 また持てずにいる事

その境界線は何なのだろう

妹などは 死ぬの生きるの大騒ぎして一緒になった

三才違いの妹は小学六年の女の子かしらに 実に四人の子持ちだ

翌日凝りもせず様子を見に行くと 先客がいた

しかも日本人じゃない 随分整った顔をした男の子が 史織ちゃんの枕元にいた

カシムという名前で近所に住んで 史織ちゃんを可愛がっているそうだ

「大山をご両親が知っていたらしいの 日本暮らしなのは ちょいとワケありでね」 カシムの母親は日本女性で 派手な夫婦喧嘩の末の里帰りが数年・・・・・ でもって石油王か何かの大々富豪の亭主はたまに 会いに来るらしい

実は裏に事情がある事まで気付かず 聞き流したが

カシムは史織ちゃんが気に入り いっぱしのナイト(騎士)を気取っているらしい

「見せてあげたいな 悪者は入ってこれない 美しい庭園

一緒においでよ いつか」

その様子は リトル ラブ ロマンス

あの調子で成長したら どんなプレイボーイになるんだか

「だいぶ 元気になったみたいだね」

早智子さんも嬉しそうだった

「高倉さんのお陰です 有難うございました」

非常に嬉しい~っと 財津一郎さんみたいに叫ぼうか 気でも変になったのかと思われるのが落ちだな 自重しよう

底知れぬ深い美しさを湛えたこの女性が欲しい! 堪らなく―

そんな気持ちは小学五年生の子供にすら 見透かされるモノだったらしい

「言葉は気持ちを伝える為にあるんだよ」 そうカシムに言われた 日常生活に複数のボディガードを連れ歩く子供って 一体何なんだ?!

どっかの国の王子様か?

どうやってせせこましい日本の道を走るんだ?! そんなデカイ車がカシムに近付く カシムの用事が済むまで 近所で待機していたらしい

物々しい警備 それに慣れている子供 怪訝な表情に早智子さんが言う

「あれでね ガードしてくれてるらしいのよ」

「?」

「結局 大山の死って ヒーローの死 みたいに扱われたでしょう? その会社 業種の横取りを狙っていた国は それが許せない らしいの

だから 何かしでかしてくるのでは?と 守ってくれてるみたいなの」

「あの常識と良識と謝罪が死んでる国の事か? 国ぐるみで泥棒かっぱらいを正当化している?」

「そう」

こともなげに早智子さんは微笑むが そりゃ~大変じゃないか

「大丈夫よ」

十年 大山が帰国できなかったのも その辺の事情が関係していたのか キナ臭い動きとは無縁な呑気な人生を送っているから 難しいことは判らないが

あの お気楽そうだった大山隆史は どれだけのものを内に抱えこんでいたのか 妨害者を罠にかけ 捕まえようと 失敗しても自分の命と心中にしようと

その男が愛した女性なのだ 早智子さんは

どうするよ?自分に尋ねる

平凡な男にすぎない 勝てる点は生きてるってだけの

「おかしな事があれば 気のせいなら 笑い話ですむ いつでも呼んでくれ」 それだけしか 言えなかった


高村薫著「地を這う虫」文春文庫

2007-02-25 00:34:51 | 本と雑誌

高村薫著「地を這う虫」文春文庫
「愁訴の花」殺人現場に花一輪 リンドウの花が飾られていた 荒らされた部屋の中

現場検証が終わり片付いた部屋の中

変わらずに咲いていた 若い刑事の妻が殺され その放埒な私生活 過去が浮かぶ

そして夫は妻を殺したのか ただ それだけの事件だったのか 月日は流れ 刑事は刑期を終え かつての上司は死にかけていた 反転 鮮やかな幕切れ 人はみかけによらないのだ 主人公はあらためて思う

「巡り逢う人びと」元刑事は今は取り立てや だが 過去に関わりあった人間達に出会い

その中で自分を見つめ直す

人は いつでも変わることができる生き物なのだ たぶん

「父が来た道」父が逮捕され刑事を辞職し 政界の大物の運転手をする男 この先は分からないが 何かを悟った主人公は 無事に人生を泳ぎきっていくだろうか

「地を這う虫」二つの職を持つ元刑事は その勘と地道な調べで 自作自演の事件に気付く

仕事変わるとも 自分という人間の本質は変わらないのだと 見失っていたものを再発見し 自信も ささやかだが取り戻す


「生きるに値(あたい)せざる身なれば」

2007-02-24 13:48:15 | 自作の詩

人生が私の掌をすり抜けていく

捕まえようとしても 掴まえようとしても

沈んでいく

痛みは うなじ ぼんのくぼから 全身に拡がる

うなだれ 頭はあがらず 瞼も落ちる

それが望みでは ないはずだのに

いや それこそが ねがいであったのか

なんらかの形での解放 されど暴発する強さもなく

ただ消えるのみか

あとは なんらかの引き金待ちか

いっそ すべて はじけてしまえよと


高村薫著「レディ・ジョーカー」毎日新聞社

2007-02-23 22:57:15 | 本と雑誌

高村薫著「レディ・ジョーカー」毎日新聞社
高村薫著「レディ・ジョーカー」毎日新聞社
先に小説を読むべきだった 今は そう思う

物井清三 渡哲也 半田修平 吉川晃司 松戸陽吉 加藤晴彦

合田雄一郎 徳重 聡

にて 映画化されております

本を読みながら 既に頭の中では 映画の配役さんが 動いているのでした

終盤 映画ではよく判らなかった展開も ああ そうだったのかと

しかし映画は時間の関係か 細部も多く削られており 小説とは 別物だと思います

薬局店主 物井の孫が交通事故で死んだ 彼は就職に失敗していたのだが 恋愛相手の父は そのビール会社の重役だった

物井の娘婿である歯科医は ビール会社に抗議の手紙と ある人間の手紙を朗読したテープを送りつけ 自殺する

物井は そのビール会社により 年の離れた兄が解雇され それについて 昔 手紙を出していたことを知る

自分が首になる時 出されて 腹を壊した古いビールのこと

様々なことが 物井に ある行動をとらせるのだ

競馬場での顔見知り

彼らは犯罪に走る

ビール会社 社長誘拐 みせかけの解放 偽装の身代金

目指すは20億

そう これは 燻り達が 引き起こした事件とも言える

黒川博行作品に よく姿を見せる燻り

それを思い出したのです

長い長い物語です

小説は終わっても 物語は終わらない

むしろ これからも続いていく

刺されたあと 合田が アトピーが治った刑事の話をします

他の作品に出ていた刑事さんの消息なので 少し嬉しい記述でした

書きも書いたり
けれど文庫化する時は また大幅な加筆 修正があるのでしょうね


トイレ洪水

2007-02-22 13:05:46 | 子供のこと身辺雑記

食事の支度 母の食後の注射の後 気分が悪くなり 目眩がひどく部屋で横になっていた 父が階下から呼ぶ

何事と降りると廊下まで 大混じりの汚水が溢れていた 母は覚えがない―というが何か詰まらせたのだろう

ボロ布を山のように廊下へ敷き まず母を他の部屋へ 着替えさせ それから廊下を拭き トイレさんの詰まりと格闘

幾度か流れ確かめつつ仕上げにパイプマンも使用

ビニール袋いっぱいのボロ布 バケツ トイレ詰まり用のすっぽんさん

ビチャビチャの足拭きマット3枚

しかし母に悪いことした自覚なし まるで被害者の如く振る舞う

短気な父が切れかかり 相手は病人と思い直す様子

―自分のことしか見えない―のだ 母は

私の心配は食が細く顔色も悪い父が倒れはしまいか ということだ

勿論自分の体調の悪さもあり

両親と私で死んだほうが いっそ残る家族にもいいか とも思う

私だけ死んでも 残る家族の負担を考えると

吐き気 肩腕の痛み 目眩 絶えずの気分の悪さ 胸への時々の痛み

騙し騙し動いている けれど

もうギブアップしてしまいたい


高村薫著「照柿」上下 講談社文庫

2007-02-22 11:29:35 | 本と雑誌

高村薫著「照柿」上下 講談社文庫
高村薫著「照柿」上下 講談社文庫
あの合田刑事が女に性的刺激を覚える

電車の中から見たホームからの転落事故

死んだ女は男に追いかけられていた

その転落場所近くに立っていた女

その女は現場から逃げ去った男の妻だと言う 何故か その姿に別れた妻を重ねた合田

その頃 合田はある事件の為に 身銭を切っていた

殺人事件の犯人とおぼしき男が自殺未遂

大阪へ行くことになった合田は 幼馴染みと駅で再会する 画家の父が死に野田はその葬儀に 大阪へ行くところだった

連れが来て先に店を出た合田は ガラス越しに 野田が あの人妻と親しげに話している様子を見て 嫉妬にかられる

大阪で野田の父の葬儀にも顔を出す合田

ひょんな事から野田と殴り合いに

底には共通する女への妄執があっただろうか

夏 暑い夏 やがて 悲劇が訪れる

筋だけ追えばダブル不倫の男女

稼ぎもある美しい妻に飽きた男が 過去に関係あった女と焼けぼっくいに火がつき 刑事である男も同じ女に性衝動を覚える

殺人がある種のタイミングの悪い狂気の発作なのだとしたら

笑うと印象の変わる合田 その存在ゆえに 俗に流れない おちない作品になっているのかもしれない


高村薫著「マークスの山」上 下 講談社文庫

2007-02-21 15:09:37 | 本と雑誌

高村薫著「マークスの山」上 下   講談社文庫
高村薫著「マークスの山」上 下   講談社文庫
暗い山を彷徨った少年は 山から逃れることは できなかった

同じ凶器による 一見繋がりがない殺人

見当たらぬ動機

増える死体

捜査陣にかけられる圧力

合田雄一郎は刑事として 一人の人間として 過去や事情を抱えながら 事件と犯人に向き合う

ある男の遺書が見つかり事件の真相は 鮮やかに浮かび上るが―

犯人が抱えた心の闇は とけはしない

逃げの部分がない作品です

以前に映画化もされました


「女王陛下のえんま帳 薬師寺涼子の怪奇事件簿ハンドブック」

2007-02-21 00:04:56 | 本と雑誌

「女王陛下のえんま帳  薬師寺涼子の怪奇事件簿ハンドブック」
「女王陛下のえんま帳  薬師寺涼子の怪奇事件簿ハンドブック」
「女王陛下のえんま帳  薬師寺涼子の怪奇事件簿ハンドブック」
「女王陛下のえんま帳  薬師寺涼子の怪奇事件簿ハンドブック」
田中芳樹の小説に 垣野内成美の絵が好評なシリーズのさし絵いっぱい漫画つき

作者と漫画家さんの対談 小説の裏世界 いろいろ楽しい一冊です

これ実は数年前に発行されたもの 再読です

ちょっと落ち込んだ時に読むと元気の出る本です

ドラキュラも避けて通る―と言われる 「ドラよけお涼」 スーパー美人にして 常識外のお金持ち

理不尽なまでの強(凶暴)さ

唯一の弱みは部下(下僕)の泉田さんかもしれない

物語の語り手 泉田警部補は 本人が自覚してない滅多にいないいい男

もしこのシリーズに終わりがあるのなら 気付かぬうちに新郎の場に立っているかも

ナカナカ新作が出ないシリーズではあります ま 竜の兄弟シリーズも だけど

あれ どうなってます?聞きたい話が片手では足りない作家さんです


「しんしんと・・・―聡―1」

2007-02-20 21:34:58 | 自作の小説

自覚しない恋というものが あるのだろうか しかも気付いた時には手遅れだった

間抜けな話だ まったく

悪友達が続けて結婚した時代があった

とびきり美しい珠洲香さん

くるくるした目がなんとも愛らしい美智留さん

軽くみせかけ すっとひいたところ 踏み込めないもの持つ早智子さん

それぞれに幸福な恋に落ち みんな幸せになるのだと思っていた

だが 小松早智子さんの恋人は 殺された

早智子さんは教師を辞め 学習塾を始めた

大山隆史 その人の忘れ形見を育てる為に

その凜とした生き方が 心に響いた

最初は恋ではなかった 気になり様子を見にいくうち この女性が欲しくなったのだ

40を前にして さすがに親達は結婚をせかしてくる

でも孫なら妹が4人産んでる

俺は 俺は 相手にもしてもらえないのに 早智子さんが好きなんだ それに早智子さんの娘 史織さんも可愛いんだよ

俺の片思いは 栄三郎と仁慶には バレバレだった

だが十年越しの初恋がやっと叶い さあ結婚という直前 恋人に死なれた女性 しかもお腹に赤ちゃんがいた

そんな相手に 好きになりました 付き合ってください なんて無神経に言えやしない

俺にできるのは 見てること せいぜい何かの保証人になってやる事くらいだった

いつか彼女が誰かに心向ける時 その相手が俺であれば―と願いはするが

三年前 塾の講師仲間と結婚したフランツ・シュタイン 彼も早智子さんの事は気にかけ 仕事上の良い友人となっているらしい

死んだ大山さんの両親である寿司屋さんも 暖かく早智子さんを見守っていた

一生 片思いかもしれないなぁ とも情けなく思う

今日も余分に揚げたコロッケやトンカツ差し入れに持ってきた

勿論顔見る口実だ

と出てきた顔が青い

「どうした小松さん」 「史織の熱が下がらないの 日曜日だし」

「おじいちゃん先生なら家にいるな 行こう!」

俺達兄妹が子供の時から診てもらった先生が 同じ町内にいる 若先生にゆずった形になっているが 経験豊富 腕も確かだ

早智子さんは史織ちゃん抱えて後ろの座席に乗った

「すぐ着くからね」

「有難うございます 助かりました」

途中で電話して頼んでおいたので 先生は用意して待っていてくれた

しばらくして 「心配ない 肺炎になりかけの風邪 薬出しておくから」

早智子さんは 見るからにホッとした様子だった

先生に礼を言って また車へ

「何か史織ちゃんの好きなものでも買って帰ろうか?」

薬屋とスーパーマーケットに寄ることにした 早智子さんが買物する間 後部座席に移り 史織ちゃんを抱いて待つ 「肉屋のおじ・・・おにいちゃん」 弱っているのに史織ちゃんはニッコリ笑う

黒目勝ちの大きな瞳

花びらみたいな唇

史織ちゃんは綺麗な子だった

「しんどくないか 何か食べたいものは?」

「プリン! とね~ババロア 」

「じゃそれも買って帰ろうな」

「うん!」 おじちゃんでなく お父さんと呼ばれる身分になりたいぞ

早智子さんが戻ってくると 運転席に戻り 美味しいと評判の 値段も張る 洋菓子店に寄った

迷ううち色々買ってしまい デカ箱3段重ねになった

早智子さんの住まいは一階が塾 二階が二間 それに台所と風呂がついている トイレは一階まで降りるのだ

史織ちゃんを寝かせてすぐ 熱を計った

「よかった 少し下がっています」 早智子さんの声が弾む 「史織ちゃん何か食べれそうか」

「ケーキ!」

「どれがいいかな~ホットミルクも飲むんだぞ」

「は~い」

「わ豪華ね~」

早智子さんが お皿とフォークをお盆に乗せ運んできた

すぐさまホットミルクとコーヒーも

苺と生クリームのケーキを史織ちゃんは 嬉しそうに食べた

うがいして薬を飲み 横になるや すぐに寝息をたてる

枕元片付けて隣りの部屋へ

新しくいれたコーヒーを小さなテーブルに置いて早智子さんが礼を言う 「今日は有難うございました」

「何かあったら どんな事でも電話してもらっていいんだ 遠慮はいらない」

「何かあると オタオタしてしまって 駄目ですねぇ」

寂しそうに早智子さんが微笑む

前は三人の中で一番屈託なく見えたのに 月日は彼女を静かな女性に変えてしまっていた 明るく笑う人だったのに

「俺はチョンガーだけどさ 頼ってもらうと嬉しいよ」

「頼りにしてますわ 」

「そりゃ有り難い

じゃそろそろ帰るよ また様子見にくる 小松さんも看病で倒れないように」

彼女は笑顔で見送ってくれた

そう 早智子さんには ずっと笑顔でいてほしいんだ

家に戻ると丁度妹と一緒になった 四階を両親と半分こして暮らしている

「さっき見たわよ 兄さん」

「なに」

「早智子さんと 家族みたいだった

申し込めばいいのに―」

「ふられる自信なら あるんだけどね」 笑って答えると 「情けないな~しっかりしろ」どんと背中を叩かれた

ま 援軍は一人でも多いほうが有り難いのだけどね


つばす(ハマチの小さいのかな)

2007-02-20 14:28:01 | 食・レシピ

つばす(ハマチの小さいのかな)
つばす(ハマチの小さいのかな)
つばす(ハマチの小さいのかな)
つばす(ハマチの小さいのかな)
つばす(ハマチの小さいのかな)
ニラの卵とじ

蕗 タケノコ ひろうず(がんもどき)の煮たの

これとツバスを煮魚に

昨日は母が夜になり西瓜を食べたがったので 捜して近所のお店を駆け回りました

で ついでに食材あれこれ買い込んでしまい 冷蔵室も冷凍室も溢れそうです

大きめのイカナゴを焼いてだしたのは 旬の味 母に好評でした

でもって 知人からおみやげに卵60個

何 作りましょうか^^; 嬉しいけど 思案中です