夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「恋する魔法使い」-12-

2017-03-31 11:15:15 | 自作の小説
船を逃げ出し言葉の分からない身で安全な場所を求めて・・・・・屋根のあるところー紛れ込んでも人目につきにくい出入りがある・・・
怯えながらファナクはそうした場所を何故か城に定めた

お城なら人の出入りがあるし食べ物もあるはず

父親が攻めようとした国の城が何故か安全な場所に思えた

それほど気持ちがはっきりしている時には将軍リシュウライが恐ろしかった
自分を見るリシュウライのギラギラした眼
人を操るようなところがある
ファナクも自分が思うと異なる言動をとっていることに 意識がはっきりしている時には気づくことがあった

ひどくぼんやりした気分になり 行こうなどと思っていないレイダンドとの戦いについてきてしまっていた

父親の皇帝コキンタクの言動もどこかおかしい

自分が男達に与えられようとしていると知ってファナクは恐怖と嫌悪から逃げ出した

ぼろ布で全身を包み姿を隠して人々に紛れ込み どうにか食べ物のある場所を見つけると 隠れ場所を捜して昼間はじっと潜んでいるようにした

鼠にでもなったような気分だったが仕方がない
空腹は耐え難かった
それに何処かに行くのは それはそれで恐ろしい

数夜 過ごして とうとう見つかってしまった
異国の若い男達につかまり暴れたけれどー

ファナクのような娘が暴れても若い男二人は笑うばかり
相手にもしていなかった

「ほら 言葉が分かるかもしれない人間の所へ連れていくから」
「何かしようとするんじゃない じっとしてろ」
意味は分からなかったが 声の穏やかさはファナクを少しだけ安心させた
それでも恐ろしかったけれど


連れていかれた部屋で見たのは くるくる金の巻き毛が乱れて額に落ちる若者が寝台から起き上がりかけている姿
すぐに力なくクッションにもたれかかったけれど

泣いている不思議な髪の色の娘
その娘はかいがいしく寝台にいる若者の世話をしていた

ファナクを捕まえた男二人と話していたその若者は ファナクに眼をむけると
「こんな格好で失礼ー」とファナクの国の言葉で言った

「通じてますか? 僕の育った領域では貴女の国の言葉も覚えるんです
今 ちょっと僕は弱っていますが・・・ああ そうだ自己紹介が先ですね
僕はベルナー
僕を看病してくれていた優しい女性はこの城の女官のロズモンド
貴女を見つけたのはブロディルの王子のリトアール様とダンスタン様

ああ この国の言葉が分かるように話せるようにしてほしいですか」

ベルナーと名乗る若者はとても優しい笑みを浮かべる
少し窶れているが とても美しい若者だった

ひどく豪華な金の髪 海のような色の瞳 整った顔立ちの

「あ・・・ファナク・・乗って来た船に居られなくなって逃げてきた
言葉が分かるようになれたら有難い
御願いする」

「じゃ ちょっとだけ魔法を使いますよ
暫くは保(も)つはずです」
ベルナーはファナクに向けて指を振った

ベルナーはファナク以外の人間に向けて言った「アクシナティの船に居られなくなり逃げてきたーと話しています 
名前はファナク 今 こちらの言葉が使えるようになる その場しのぎの術をかけました」

「死にかけたばかりなのよ もう使っても大丈夫なの」
心配そうなロズモンド

ロズモンドの指に手を添え微笑んで見上げるベルナー「有難う ずっと声が聞こえてた 君の声が僕を戻した
君のおかげだー
こういう小さなモノなら大丈夫
甘い飲み物かスープかもらえる
そうしたら もっと元気になれそうだ」

頷くと涙を指で拭いながらロズモンドは部屋を出て行く

「ああ 僕が一緒に行こう」とダンスタン
夜中など王様や姫君達がちょっとしたものを欲しがった時用の小さな台所が階段の反対側にある
ロズモンドはそこに向かった

部屋を出るとロズモンドはダンスタンに礼を言う
「すみません お気遣いいただいて・・・・・」

夜中の城で何かあってはとーダンスタンは護衛をかってでてくれたのだった

「趣味が料理でね 人が作る食べ物に興味があるんだ」

「簡単なスープと焼き菓子もどき 果物の絞り汁をあっためたのでもーと思っています」

「いいね」

野菜を刻み鍋に入れ煮ながら 卵と粉と蜂蜜を混ぜた中に刻んだ林檎を入れて鉄鍋で焼く合間に果物を絞り小鍋で温めるロズモンド
スープの仕上げに溶いた卵を流し入れ火を止める

脚に車のついた台にスープの入った鍋と果汁の入った小鍋を置き 焼き菓子は皿に盛り 幾つかの食器を盆に乗せて台に置く

ダンスタンが味見にと受け取った菓子は ひどく懐かしい味がした


「カズール・シャンデ将軍にはお世話になりました」
今更ながらロズモンドは思い出していた
シャンデ将軍は父親だと言ったのだ
今迄は考える余裕もなかったけれど どういう人なのだろう

ダンスタンは考え深げに顎をさする
「僕は将軍は女嫌いだと思っていた でなければ胸の中に誰か永遠の女性が棲みついているのかと
以前に妖艶な美女がシャンデ将軍に目を付けて かなり濃厚に迫ったことがあったのだけれどね
さも嫌そうに酷く冷たくあしらったことがある

それがこの城に着いたなり僕達に会うのは部下に任せて 
メリサンド女官長に言われるままにすっ飛んで君とベルナーを捜しに行った 

女官長を見るシャンデ将軍の眼がさ もう全然違う」


「そう・・・なんですか」
ロズモンドは父親は死んだと教えられていた





「恋する魔法使い」-11-

2017-03-31 00:10:18 | 自作の小説
ブロディルのリトアールは面倒くさがりだし退屈すると寝るし大体いつも何も考えていないように見える
そして退屈することに退屈するーつまりじっとしていると動きたくなるーただじっとし続けているのも飽きる
なんか面倒な人間だ

そういう人間なのでごくたまに自分でやりたい仕事を作る

城の人間が寝静まったであろう夜 
控えの間の従者ゲイルドが眠っていることを確かめ 静かに部屋を出る

城の階段をどんどん降りていく
ーと肩を叩かれた
「何 面白そうなことをしてるのかな」

「ダンスタンー」

すぐに前を向くと階段を降りながら ごくごく低い声で話す
「昼に庭から戻って来た時にちょっと聞こえてきた話があってね」

食べ物が消えるーとメリサンドが報告を受けていたとリトアールは話す
女官長はそういうことまで目を配らないといけないのかー

一緒にいたアシュレイン姫が言うには 王妃がいないからー城の内向きの管理は女官長とマルレーネ姫がしていると
食物庫の番人が夜通し見張ろうかと申し出たが 女官長は消える量を聞いて
「食事の量が足りない人間がいるのかもしれません 荒立てずに様子をみましょう」

リトアールは勘違いかもしれない量の食べ物が消える話が気になったのだった

もしも誰かが城に潜り込んでいるのだとしたらー
動くとしたら誰もいない夜なのではないか


「ふうん それでリトアールのお出まし? そもそも庭でアシュレイン姫と何してたのさ」


「木登り」

「へえ あのおとなしそうなアシュレイン姫が」

リトアールはちょっと笑った「このお城のお姫様は おとなしいとオテンバの意味が違うらしい
一番木登りがうまいのは女官のロズモンド 同じくらいなのが負けず嫌いのエルディーヌ姫
次がリザヴェート姫 アシュレイン姫は姉妹の中では一番下手なのだとか」

「どのくらい下手なのさ」とダンスタン

「僕は負けた 中庭に大きな木があるだろ ここの姫様達は子供の時からあの木を部屋から抜け出す時に使ってる」

「そりゃあ たいしたもんだ」
ダンスタンは笑う

いざとなるとよく動くリトアールの得意な物の一つが木登りであったから



話している間に城の台所に着く
リトアールとダンスタンは足音が立たないように歩いた

シャリシャリ何かを齧る音がする

こっそり近寄ったダンスタンがソレを羽交い締めにすると ソレは悲鳴をあげた

リトアールが灯りをつけてソレの姿を見るとー
少なくともこの大陸の人間ではなかった
異国の少女

「落ち着いて 君は誰?」
ダンスタンが話しかけても答えはない

「もしやアクシナティの人間か?」
リトアールの言ったアクシナティの言葉に少女は反応を見せた


「言葉が通じないのか」とダンスタン

「魔法使いのところへ行こう」

「まだ意識がないんだろ 役に立つのか」

「もう起きてもいい頃だ 魔法使いなら色んな国の言葉にも通じてるんじゃないか 言葉が分かるようになる魔法が使えるかも」
希望的観測のリトアール


魔法使いで歌うたいのベルナーはずっと夢を見ていた

自分の上に黒い厚い層があり その遥か上から声が聞こえてくる
声はずっと呼び続ける

ーベルナー ベルナー お願い 戻ってきて 起きて 目を開けて
ベルナー いっぱい名前を持っているのね 
どの名前で呼べばいいのか分からないけど

私にはベルナーだわー


ずうっと優しい声が呼んでいる 涙混じりの「ベルナー」
ああ・・・なんて・・・なんて

そうだ この声はロズモンドだ
一緒に歌った あの声だ

ベルナーの中で少しずつつながっていく

体の上の黒いものが消えて 白い靄か光めいたものが降りて来る

意識が浮かび上がり体に重なるような 不思議な感覚

「ベルナー」と呼ぶ声が 彼を呼び戻す

「・・・・・ド」
声が出たらしい

ロズモンドの指がベルナーの頬に触れる
「そうよ ロズモンドよ ベルナー 呼んだ? ねえベルナー」

ロズモンドの声は耳に優しい
ベルナーはずっと呼ばれていたくなる

ーそうか 僕はまだ生きているらしい
死ななかったのかー


ベルナーが瞼を開けようと試みていると 何やら騒がしくなった

「魔法使い殿は目を覚まされたか」

「ロズモンド 起こすならキスがいいよ 乙女のキスで目覚める魔法使い これぞおとぎ話」
楽し気な声のダンスタン

「どうなさったのですか リトアール様にダンスタン様 その少女はどなたですか」

「言葉が通じないのでね 魔法使い殿ならー」


「指が動いたわ! ベルナー ベルナー ねえベルナー 聞こえてる」

ぴくっぴくっ二度三度 瞼が痙攣し ゆっくりゆっくりー開く





最後まで役者ー名俳優さんの演技

2017-03-29 20:13:48 | テレビ番組
「二夜連続ドラマスペシャル アガサ・クリスティ そして誰もいなくなった」
2017年3月25日(土曜日)・3月26日(日曜日)放送

その島に集められた人間は 皆 過去の人生において罪を犯していた
建物の中で罪を糾弾され 一人一人殺されて行く

部屋に置かれた10人の兵隊の人形の死に方になぞらえて

最初は人気作家の若者(向井理)

元判事(渡瀬恒彦)も撃たれて死んでいると女医(余貴美子)が話す
その女医も行方不明になり
残った三人(仲間由紀恵 柳葉敏郎 國村準)は疑心暗鬼になり 互いに疑いあう

救助を求めて海岸に出るが 食事を作りに行った男も戻らず 二人が見に行くと 途中の道で殺されていた


怯えるふりをして抱きつき元傭兵だった男の持つ銃を奪った女は 男を射殺する

ただ一人になった女は最後の兵隊の人形の死に方を口ずさみ 部屋に下がっていた輪になったロープの中に首を入れる
ーと部屋に入って来た人間が 踏み台にした椅子を斃した

もがく体は やがて動かなくなる


みんな死んでから島に来た刑事(沢村一樹)は 全ての謎を解き 犯人の遺した画像も見つける


第一夜も第二夜も息詰まるような展開でした
原作を読んでいても・・・・映画化やドラマ化された作品を幾つか見ていてもー

原作通りの犯人だろうか

もしそうだとしてもー
現代のドラマとして変更部分もありましたがー

犯人の異常性 正義感もありながら 常識人として生きる顔を持ちながら 抑えきれない「殺す」衝動
自分の命が残り少ないことで 踏み切る
飛び越えてしまう

その犯人という人間を渡瀬恒彦さんが鬼気迫る演技で演じておられました
刑事役も多かった渡瀬恒彦さんだけにー
役柄に説得力が妙にあります
若い頃はごちゃな人間を演じられることもありましたから
二面性ーその恐ろしさが感じられました



ドラマの記者会見に参加できなかった渡瀬恒彦さんの寄せたメッセージです

「本日はこのような席に出る事が出来ず、本当に申し訳ありません。ひとクセもふたクセもある一騎当千のツワモノ達、中に置かれた高山の花、水辺の花、温室の花。
仕上がりはどうなっているのか、4時間、TVの前にお座り下さい。」


このドラマに関するサイトさん↓

http://www.tv-asahi.co.jp/soshitedaremo/

渡瀬恒彦さんは2017年3月14日に亡くなられました
病身を押しての出演
その素晴らしい演技に拍手を贈りたいと思います


「マラヴィータ」(2013年 アメリカ・フランス合作映画)

2017-03-29 19:43:41 | 映画
マーティン・スコセッシ総指揮
リュック・ベンソン監督

映画のタイトル「マラヴィータ」は主人公一家の犬の名前

ジョヴァンニ・マンゾーニ(ロバート・デ・ニーロ)はFBIの証人保護プログラムにより家族も名前を変えてフレッド・ブレイクー
ブレイク一家としてフランスの田舎町に引っ越ししてきた

マフィアだったフレッドはごくごく普通の人間として大人しく暮らすことができない
ジョヴァンニの言動にはロバート・スタンスフィールドFBI捜査官(トミー・リー・ジョーンズ)も どうにかならないかーと内心思っているよう
子供達もトラブルに巻き込まれる

息子ウォレンは「親父も13歳で仕事を始めた 俺も街を出て行く 一人で生きる」と姉ベル(ディアナ・アグロン)に告げる
ベルは初めてを捧げた男に冷たくあしらわれー飛び降り自殺をしようとする

街を出ようとしたウォレンは駅で父親を殺しに来た男達がおりてくるのを見る
家に電話するも誰も出ない

ベルも建物の屋上から追手の車を見る

ジョヴァンニに恨みを持つ一家の居所を知った男達は まず警察 消防署などを先に襲撃し皆殺しにする

帰宅したジョヴァンニの妻マギー(ミシェル・ファイアー)は「掟」で乱暴されそうになるが ジョヴァンニが助ける
家が爆破された時に傷ついた犬(マラヴィータ)を殺そうとする男だが 犬に逆襲される


ベルとウォレンも互いの危機を救い合う
いよいよベルが追う男に捕まりそうになった時 ロバート・スタンスフィールドFBI捜査官の車が追いかけていた男を刎ねて殺す


ぶっ壊れたというか 普通の人でないっぷりのデ・ニーロの演技が笑いを誘う

銃撃戦はあるけれど 終盤の一家の物騒なまとまり具合が これはファミリー映画だよねー
犬も死ななくて良かったね
(犬好きの私は思う)

人はいっぱい死ぬけれど 主人公一家は無事だから これはハッピーエンド(爆)


初めての男がひどかったベルは美人だけに 今後すごい悪女になるかもしれないし
ウォレンも長生きできる大人にはなりそうもないけれど

ちょっと ひねた笑いが好きな方におすすめです






いささか手抜きな感想で^^;

2017-03-29 15:21:00 | 映画
「隠し砦の三悪人」(1958年 日本映画)
黒澤明監督

詳しいことはWikipediaさん参照で(手抜き・笑)↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%81%97%E7%A0%A6%E3%81%AE%E4%B8%89%E6%82%AA%E4%BA%BA

秋月藩のお姫様16歳の雪姫(上原美佐)を助けて知恵しぼり山名の追手をかわし秋月藩の再興の為に早川領まで届けようとする
真壁六郎太(三船敏郎)は 姫と同じ16歳の小冬を姫の身代わりとして その命も犠牲にする
忠義の為に

そのことを知った雪姫は怒り嘆くがー
目力も強く存在感ありすぎる姫を守る為に口がきけないとか周囲をたばかる六郎太
強欲な太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は分け前の金(秋月再興の隠し金)を信じて同行もしじゅう裏切るし信用ならない

あと少しで早川領と目前にしたところで 遂に捕えられる六郎太と雪姫 と秋月の者と知り雪姫買い戻すように言った百姓の娘
雪姫の顔を知る田所兵衛(藤田進)が現れる

この逃避行の最中に田所と1体1で戦い勝った六郎太だが 敗北し逃がした田所には仕える主人により傷つけられたバツ印のような傷が
顔一面にある

百姓娘(樋口年子)は逃亡途中 傷の手当までしてもらったことなどから「自分が雪姫だ」と身代わりになろうとするがー
雪姫はそれを止める

逃げる途中で参加した火祭りも楽しかったと 聞き覚えの祭りの歌を歌い
世で人の醜さも美しさも知ったなどと
六郎太にも感謝し 凜としながらも美しい心映えを見せる

それを聞く田所の表情に変化がー


いよいよ処刑されるために両手を縛られ馬に乗り覚悟の雪姫と六郎太の前に姿を見せた田所は「裏切り御免!」と叫ぶ

そして山名側の侍たちに斬りかかり 雪姫と六郎太の縄を切り逃げるように言う

でもって何に感心したかと言えば

この時に六郎太は馬を走らせながら片腕だけで百姓娘を馬の上に引っ張り上げて乗せるんです

その腕の力に「すごい!」と思いました

斬り合いの場面でもかなり㋔速度で走りながら両手を馬から放し闘うのです

伝統行事の流鏑馬でも相当 馬に乗るのが上手でなければ無理でしょう

どれだけ馬に乗るの上手なん
人ひとり片手で引き上げる力ってー
この一場面だけでも 三船敏郎さん凄い・・・・と そのすごさに驚きました

で この映画の後味の良さは田所も死なずに二人のあとを追いかけていくんです

助けたけど 助けた人間は犠牲になって死ぬーってありがちな展開なのですけどね

秋月の隠し金をとりあっていた太平と又七は 侍に取り囲まれて連行されてー
これは首を刎ねられるのかーと思っていたら
現れたのは きちんとお姫様らしい姿となった雪姫さんと侍大将らしいいでたちの六郎太

でもって褒美のお金をもらって 欲深の憑き物が落ちたように二人仲良く去っていきます


私のいい加減感想よりも きっちりした記事あるブログさん↓

 http://movie.hix05.com/kurosawa/kurosawa09.toride.html

http://www.japanimafrance.com/entry/kakushitoridenosanakunin

http://eigamove.blog.fc2.com/blog-entry-252.html

http://white-knight.blog.so-net.ne.jp/2007-01-25

https://flourella.wordpress.com/2016/01/03/hidden-fortress/



「武士の献立」(2013年 日本映画)
朝原雄三監督

春(上戸彩)の実家は火事で奉公に出ていた彼女以外の家族は皆死んだ
実家の商売は料理に関係しており そこで春の舌は確か
出戻りの春だが お貞の方(夏川結衣)からも可愛がられている

使われた料理の素材から出汁までも悉く的中させたために舟木伝内(西田敏行)に息子の嫁にと望まれる
出戻りでもあることから断る春だがー

頼りになる兄が亡くなり 急きょ家を継がなくてはならなくなった安信(高良健吾)は武芸で身を立てようと道場に通い 
そこの娘の佐代(成海璃子)に想いを寄せていた

しかし世はままならぬもの
それでも包丁侍ーと台所方の仕事には身が入らぬ

伝内の言動に心に来るものあり 安信の嫁となる春は 安信に料理を教えていく
そこに反発やらなにやらあるし
安信が文庫に大切に仕舞っていたかんざしが誰のものかー安信の想いなど知り 心痛めることも多いが

自分を嫁にと願ってくれた伝内の為にも その心にこたえようと姑の満(余貴美子)には仕え
気を張って頑張る

その甲斐あって安信もお城から認められるようになっていくがー

藩内の争いで
安信も参加しようとしていることを知る
下手すればー

春は刀を持って逃げる

前田(鹿賀丈史)を暗殺しようとした安信の友人達は死亡

倒れた伝内の代わりに饗応料理を作るための商材探しの旅に安信と春は出ることになる

旅の途中 疲れても足を傷めても 文句ひとつ言わない春の姿は安信の心をうつ

見事な料理を出し藩の面目も保った安信だがー

春は姿を消した

もう大丈夫ーと身を引いたのだ
夫が死んで今は後家となった佐代と 好きだった女性を妻にしてほしい

そんな書置きを残して春はいなくなった

海女たちの為に料理を作る春を見つける安信

家族はいないひとりぼっちの春
安信を一人前にするために憎まれ口も言い やる気を出させ
時にはその命も守り
自分は斬られてもいいから
安信さえ無事なら

安信の幸せの為なら また独りぼっちになってもー

そんな健気な春に やっと愛が 幸福が訪れる

もっと詳しく正しい筋が知りたい方は こちらWikipediaをどうぞ↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%8C%AE%E7%AB%8B

 この映画の感想あるサイトさん↓

http://www.sakawa-lawoffice.gr.jp/sub5-2-b-14-5businokondate.html

http://hm-hm.net/drama/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%8C%AE%E7%AB%8B

これも 映画に出てくる料理からみで面白い記事なので↓

https://news.cookpad.com/articles/23

http://guide.travel.co.jp/article/3180/

「恋する魔法使い」-10-

2017-03-29 11:46:42 | 自作の小説
カズール・シャンデ将軍とロズモンドが城に戻るのと同じくして 海岸守備に就いていた兵からの報告も届いた
アクシナティ船団の姿が消えたと

ロズモンドは意識の無いベルナーの傍を片時も離れない

アンドールは本の間の隣の部屋にある壁一面のレイダンドの地図と 歩いて見て回り自分で描いた城の図面など見ながら考えをめぐらしている
そっと覗きこんだマルレーネは城の図面の抜けてるところを時々教える

侍女に運ばせたお茶をアンドールに勧めた
「ロズモンドだと こっそり焼き菓子とか持ってきてくれるのだけど」

「魔法使いの看病にかかりきりだね」

「あんなふうに一途で必死な様子を見るといじらしくって」

「恋ーなのかな」

「どうなのでしょうね もしも恋なら叶うといいけれど」
思慮深げなマルレーネの様子を見ていると時々 アンドールはその落ち着きを崩してやりたい気持ちに襲われる
何かに心乱し夢中になっている姿が見たいと苛立つような思い
そうした激情を押し殺すように深い吐息

話題を変える

「僕達兄弟の誰かが あなたの姉妹と一緒になることがあるかどうかは別として 兄弟4人揃っての旅は初めてで楽しかった
国境の小競り合いの戦いがあっても大抵は半分は留守番してるからね

レイダンドへの旅と この城での滞在はいい想い出になると思う
たぶん4人揃って何かする最後のことになるだろうからー」

「アンドール様はいつかお国を継がれますのでしょう 良い王様になられるでしょうね」

「どうかな あんまり王になりたいと思ったことはないんだ たまたま長男ってだけで 自分が王に向いているかも考えたことはない」

「いかにも王になる為に生まれてきた方のように見えますのに」

「弟たちみたく羽目を外せたらいいなと思うことはあるけれどね」

なにしろ一番上ってことはーこれはマルレーネも同じだった 長男と長女 下のきょうだいへの気持
どうしても責任を負ってしまう
甘えることが苦手になるのだ それがいい事なのか 悪い事なのかは別として


ロズモンドを一番案じているのは 母親のメリサンドだろう
ロズモンドを見つけて連れ帰ってきてくれたカズールに「有難うー」
礼を言ったものの あれこれ片付けなくてはならない用事も多く むしろ用を楯に取って カズールと向き合うことを避けていた
若い日の向こう見ずな恋

それから長い年月が経って カズールだって新しい恋 結婚だってしているかもしれない

カズールが遠くから何か言いたげに自分を見ていることは知っていた 気付いていた
それなのにカズールと話すことが まるで若い娘のように恐ろしかったのだ

幾度かロズモンドの様子を見にいってー少しずつベルナーの顔色が良くなっていることを確かめる
とうとうロズモンドは座ったまま上半身をベルナーの横たわる寝台に載せた形で眠っていた
疲れが出たのだろう
この娘(こ)はいつの間にこんなにこの男のことを気にかけるようになっていたのだろう
ほんの短い時間で

そう ほんの短い時間で自分も恋をしたのだった
ロズモンドの肩に毛布をかけて部屋を出ると カズールが立っていた

「話せるかな」

とんーと背中が壁につく
確かにいつまでも逃げてはいられないー自分は爆弾(あなたの娘よ)を落としたのだしー
ベルナーの隣の部屋は丁度空いていた

頷いてカズールを室内に招くメリサンド


カズールが部屋に入ってきてドアを閉めると 覚悟を決めたようにメリサンドは尋ねた「何から話せばいい?」

「一つだけ」とカズールは言った「君は現在(いま)も独身(ひとり)か?」

「・・・ええ・・・」

がばっとカズールはメリサンドを抱きしめた「良かった 誰かいたらそいつを殺すところだった」

メリサンドは泣きそうになる
カズールが傍にいたら心が若い娘の頃に戻ってしまう

乳母としてお城に上がる時 名前をメリサンドに変えたこと 約束の場所には母親に閉じ込められてて行けなかったことを話す

カズールは右目の怪我で約束の日時には行けず 傷が癒えてから「アイーシャ」という名前を頼りに探して「死んだ」と教えられたことを話す
「妻にしようと思った娘も お腹の子ごと死んだって聞いた」

互いに知っていたのは「カズール」と「アイーシャ」と名前だけ

その名前すら捨てて変えてお城に上がったメリサンド

「母だわ 母は自分の跡を継いで女官長にしたがってたからー許せなかったのでしょう」

「レイダンドのお城の有能な女官長メリサンドの名前は聞くことがあったが まさか君とはー」

「わたしをアイーシャと呼んでいいのは ただ一人・・・カズールだけだもの」

二人は離れて過ごした長い時間のことを語り合い埋めることとなる








「恋する魔法使い」-9-

2017-03-27 23:53:33 | 自作の小説
ロズモンドが見つけた時 ベルナーは聞いたことがない言葉を両手を広げ空に向かって歌っていた
その不思議な旋律

ベルナーの周囲にだけ風が烈しく吹き荒れている

やがて・・・大きく足を拡げて立っていたベルナーの体が揺れて乱れ ゆっくりと倒れる

ロズモンドが海に目をやると 異国の船団が沖へ向かって流れている
馬を降りてロズモンドはベルナーに駆け寄った

ベルナーはまだ呟いていた「レイダンドの王ランデールとクリスタベルの息子リオデールにして魔法使いのアスタリオンが命じる
・・・・・・行け!疾く去れアクシナティの船団よ 海よ 波よ こやつらを運べ 運び去れ」

瞼は閉ざされ意識も無いようなのに  体もぐったりとして冷たく肌は蒼ざめている

「ベルナー ベルナー」
ロズモンドはベルナーの頭を胸に抱える
「ああ・・・ ベルナー」

ロズモンドにとっては「ベルナー」だった 歌うたいのベルナー
いつも明るい笑顔の・・・

「だめよ 死んじゃ・・・・・ だめよ・・・
笑ってよ いつもみたいに・・・お願いよ・・・」

ベルナーの体を抱いて泣いているロズモンド

メリサンドに教えられた場所に駆け付けたカズール・シャンデ将軍が見たのは そんなロズモンドの姿だった

馬の蹄の音にロズモンドが目を上げる

「君が ロズモンドか」

「あなたは?」
確かに 確かにその瞳は・・・・金色の中に緑の破片がちらばり輝くようなーシャンデ将軍と同じものだった

「多分 君の父親だ」


倒れて動かないベルナー
不意に現れた自分の父親だと名乗る男

ロズモンドからは いつものキレが失われていた 当意即妙の受け答えはできない
それにこんな時に何を言うのが正しいのだろう

「これがベルナーなの 死んだら嫌なの」

まるで幼い子供のような頼りない声しか出ない
ロズモンドは繰り返した「死んだら嫌なの」


人形を受け取るかのようにシャンデ将軍は腕を伸ばした
「なら お医者様にみせなきゃね  大切なベルナーは馬に乗せて運ぼう
さあ お医者様のいるお城へ戻ろうか」

受け取ったベルナーの体を自分が着ていたマントで包み馬に乗せる
それを見てロズモンドは自分の馬に乗った

カズール・シャンデは自分の胸の中で渦巻く疑問はひとまず棚上げにする

アイーシャはロズモンドが自分との娘だと言った
彼女の言葉を疑う理由はない
ロズモンドの瞳を見たからにはー



そんなアイーシャことメリサンドは城の中で四人の王子と姫君達に囲まれていた


「男に縋って泣いていたでしょ メリサンド」
「隻眼ーシャンデ将軍とはどういう御関係なんです」
中々にうるさい

ただカズール・シャンデを見送り城門から城の中へ入るまでの間に もうメリサンドは外見は落ち着いていた
「昔 知っていた人に久しぶりに思いがけず会ったから 気が緩んだだけです」

「だって あんなふうに男の人に縋って泣くメリサンドって初めて見たもの」
諦めないエルディーヌは追及するがー

メリサンドはにっこり微笑む「勿論 わたしだって女ですから 殿方に頼りたい時だってありましてよ」

「でも 長いこと会ってなかった人なのにー」
誤魔化されないという表情のエルディーヌだけれど しれっとメリサンドは答えるのだった

「たとえ百年会えなくてもー信じられる間違いのないお方ですから」

「確かに シャンデ将軍は素晴らしい軍人です」とアンドールが話を引きとる
「父上から聞いたことがあります 将軍の右目はレイダンドで刺客に襲われて失われたと
それから人が変わったと 昔は厳しいところもあるがもっと明るい人柄であったと」

「さあ わたしの事などより なさるべき事があるのではありませんか」
するべき事を思い出させるメリサンド


敵に襲われるのを ただじっと待ち守られるだけよりも できるなら積極的に役に立ちたいお姫様達は
いつ何処で襲われても丸腰でなく さっと身を護る為に使う武器をあちこちに隠しておく手伝いで城を案内している
それぞれに護衛と荷物持ちの王子と従者などを従えて
そういう話になっているのに 自分でも両手いっぱいに武器を持って運んでいるエルディーヌは迷惑そうにロブレインを見る

「いちいち ついて来なくても」

もうエルディーヌの毒舌には馴れたのか涼しい顔のロブレイン「一応 あなたはわたしの担当なのでね」

「一応・・・ね 却って鬱陶しいこと」

「わたしはあなたのそういう歯に衣を着せぬところは嫌いじゃない」口の端だけで笑うロブレイン

どぎまぎしながらも言葉だけは冷たいエルディーヌ「変わった人だこと」

少し離れて後ろを歩くロブレインの従者のアリストは はらはらしながら二人の会話を聞いている

「だから わたしも率直に言うのだが 隠し子なんていないぞ 
そんなヘマはしない」

あんのォと小さく唇を噛んでエルディーヌ「全くメリサンドったら・・・・・盗み聞いていただけてー光栄ですわ」

「このグサグサ刺さる ちょっとした刺激が楽しくなってきたよ」と全然こたえないロブレインは今にも大声で笑いだしそうだ

言い合いかじゃれ合いか分からない会話をしながら あちこちに武器を隠していく

本の部屋でエルディーヌは懐かしそうに一冊の本を手に取った

「それは?」

尋ねるロブレインにこれは珍しく素直なエルディーヌ
「レイダンドはフレイダから分かれた国なの ううんフレイダから始まったというか
これはそのフレイダの物語なの

フレイダのアデリス 不敗の処女王 数々の冒険をした
髪は輝く黄金の波 時に燃える炎のような黄金の瞳
艶やかに赤い唇
それはそれは美しくて強い
レイダンド国の始まりの物語

当時のフレイダは周囲の国との戦い絶え間なく

アデリスは行方不明の身内を捜し隣国へ
そのいきがかりで女性らしく美しく装ったアデリスの顔半分を覆うほこりよけの薄布が風で飛んでー行き合わせた隣国の王子は
アデリスの顔を見たの

旅する彼女を追いかけ 自分の身分を隠してアデリスを助けてー
アデリスが何者かを知るの

敵国同士

でも他の国の陰謀やらに手を取り共に戦うこともあり 多くの命がけの冒険や戦いを経て 遂に王子はアデリスと結ばれるの
そして平和が訪れる

おとぎ話だけれどね 憧れたわ
繰り返し読んだものよ

だから あたくしもアシュレインを笑えないわね
夢見がちな可愛いアシュレイン」


さっき一番メリサンドにもむきになってたエルディーヌ

昔の物語に憧れるエルディーヌ

ひどく美しくて冷たそうに見えるのにーその心は 中身はー
夢見る若い娘

得意のキザな言葉も出せずにロブレインはただ言った
「やるべき事を済ませてしまおうか」

3月最後の週 始まりました

2017-03-27 13:01:04 | 子供のこと身辺雑記
二カ月に一度くらいの長男の内科受診の日でした
診察が終わってから一緒に墓掃除に行って
(お彼岸とかは 人が多いから避けて行きます 道が狭いので)
昼食とってから 研究室が部屋替えになったので荷物の引っ越しだけしてくるという長男を駅まで送ってきました



和食がいいと言ったのに何故か揚げ物を選んだ長男
「ちゃんとした和食やろ」と言い張って食べておりました
季節の筍ご飯のセットとか色々ある中で 私のブログネタにしてほしくて一番「和食」より遠いものを選んだ?!のかしらん・笑





「和食のさと」のローストビーフ丼 和風のタレをかけて食べるようになっていて ご飯には細い海苔など混ぜてあります


昨日の夕方は大相撲の千秋楽でもあったのですが 日馬富士との対戦で肩を負傷した稀勢の里
休場かと思ったら ニュースで休まないーと
でも鶴竜との対戦で力が入らないーように見える負け方で もう休んで治療に専念すればいいいのにーと
思っておりました

だから千秋楽は恐ろしくて見られなかったのですが
長男は懸命に応援していて
「勝った 」

千秋楽前日 鶴竜に負けた稀勢の里は2敗
照乃富士は1敗

千秋楽に稀勢の里が勝って相星に

でも二番続けては勝てないだろうーと思っていたら 主人から電話がありました
「勝った!優勝」

長男も隣の部屋から来てー

左肩をいためていた稀勢の里
頑張りました

日馬富士との対戦のあと 左肩を押さえて立てなかった 動けなかった稀勢の里

すっごいなあ
まるで奇跡のようにも思える勝ちでした


2場所連続優勝

次の場所までに怪我を治して 十分養生して無理はしないでほしいと思います

「恋する魔法使い」-8-

2017-03-26 21:04:06 | 自作の小説
ー戻ってきた この大陸にー
アクシナティのリシュウライ将軍は来し方を思い返していた
思いも寄らぬ郷愁の念はどうしたことだろう
憎悪と苦しみから離れた・・・出て行った土地であったものを
レイダンドを目茶目茶にしたいという宿願がやっと叶えられる

もうランデールもクリスタベルもーアスザールもいないがー
俺を拒否したクリスタベル

長い年月の間には新しい野心ができた

皇帝コキンタクがレイダンドを手に入れたいなら それも良し
そのあとで俺はコキンタクの娘を貰う
それで全部を手に入れる


これだけの兵がいて破れることはないがー俺にはその上に礼の領域で身に着けた術がある
いざとなれば その力を使ってコキンタクに恩を売り ついでに武大臣も内大臣も消してやる

そうすれば皇后を片付けるだけ

アクシナティの儀式だの わけのわからん先祖代々のあれこれも ぶっ壊してやる
あの面倒な国の全部が嫌いだ わずらわしい

このリシュウライという名前にも飽きた


急に船に振動が走りーリシュライは船室の窓から外を見た

アクシナティの船の周囲の波ばかりが泡立ち逆巻き始めている
用心の為にリシュウライは自分の乗艦の周囲にのみ結界を張った


船の兵達がうろたえ騒いでいる
甲板に出ると

他のアクシナティの船はレイダンドの国の港とは逆方向へ流れていく

船団の周囲の海だけが何かの容器のように変化し 海が割れるような激流が船団を押し包み一気に運び去る

リシュウライと名乗る男が結界を張った皇帝や重臣らの乗る船のみ残してー


ーレイダンド側に魔法使い それもこんな強大な術が使える男がいる
レイダンドに肩入れしていたアスザールは死んだはずだ

何者だ?!

思案めぐらすリシュウライを皇帝からの使者が呼びに来た

ーさあ どうしてやろうかー

皇帝の居室では武大臣モウトウゲンも内大臣ボクグジンも皇帝コキンタクも怯えていた
何が起きたのか理解できずにいる
これからどうしたらいいのかも判断できなくなっている
バカの集まり
良識的に考えれば 国に逃げ帰ればいいのだ
嵐にでもあったと言えば それなりの名分は立つ

大国の権威で実力も無いのに威張っているから 自分達にこんな事が起きるはずがないと 事態をあるがままに受け入れられない

3人の様子をリシュウライは内心あざ笑う

「あなた方は!」リシュウライは声を張った
「戦う為に海を渡ってきたはずだ そうではないのか 
なのに こんな事くらいで逃げ帰るのか
アクシナティの人間は そんな意気地なしなのか」

「な・・・何を!」
「この異様さがわからないのか」
モウトウゲンもボクグジンも口々に怒りの声をあげる


「ならば!」更に大きな声をあげるリシュウライ
「あなた方に策はあるのか!」


モウトウゲンもボクグジンも黙り込む


「わたしにはある! もちろん偉大なる皇帝コキンタク様にも深い大いなる考えがあられる
皇帝閣下とわたしはそれについて更に深めねばならん
武大臣も内大臣も思案を取る為に お一人になられた方がいいのでは?
いかがでしょう 皇帝閣下」


コキンタクはリシュウライの術にかかり人払いをする

「現在 起きていることは・・・・・レイダンドの魔法使いの術のせいです
しかしこれだけの術を使ったからには 暫くは身動きできないはず
そしてわたしも多少 術は使えます
ご存知でありましょう 偉大なる皇帝閣下ならば
わたしはこれまでこの力を惜しみなく偉大なる皇帝閣下の為に使ってまいりました

消えた船団はこのわたしが呼び戻してみせましょう
魔法には魔法を
術には術を

しかし その前に約束していただきたい

おおいなる勝利の前に 命も賭けて全力を尽くすこのわたしめにこそ
おそれながら ファナク様を賜ると・・・・・
その御約束が欲しゅうございます!何卒」

リシュウライの術にかかったコキンタクは約束を書いて印を押したものを渡した
皇女ファナクをリシュウライの妻にすると


「有難きしあわせ! では わたしはこれからレイダンドの城に向かい 国王の首を取り 皇帝への忠誠の証として姫達を攫ってまいりましょう」

ここでリシュウライの術にかかっているコキンタクは言った
「わしも行くぞ わしも行く わしが指揮をとる!」

船に残った兵ではたいしたこともできまいに
「御意 ではしばしお待ちを 出撃の準備をしてまいります」

部屋を出たリシュウライは ふふん・・・と鼻先で笑う
皇帝の書状さえ貰えば こちらのもの

皇帝からだとモウトウゲンとボクグジンに じわじわ効く毒杯を部屋に届けさせると皇女ファナクの部屋に向かった

ーが皇女は部屋に居ない
部屋の様子から逃げたと気付くとリシュウライはひどく嫌な笑みを浮かべた

ー役にも立たん皇帝コキンタクと残ったアクシナティの兵を連れレイダンドの城で遊ぶのも悪くない
皇女の代わりにレイダンドの姫達の体をいたぶるのも一興ー




高校野球の中継で

2017-03-26 15:14:31 | スポーツ
滋賀学園が1点先制し その後福岡大大濠が追いつき同点となり 1-1で延長戦に入り12回表の福岡大大濠の攻撃で一塁にランナー
ノーアウト1塁の場面でー監督の指示はバント

この時の放送の解説者とアンウンサーの反応が面白かったです
聞いてて ずっこけましたもん
「先程もバントを失敗しましたよね」(いかにも意外そうに)
なんて指示だーとか このバントはお笑いコントなのか?!と聞いてて思うほどに
アナウンサーと解説者の反応がね ひどい!(笑)と思いました
その打者はまず1球目のバント失敗で
アナウンサーと解説者「さきほども こういった形でバント失敗してました」

フォローするように「しかし〇〇に選ばれた選手ですから」(優秀な選手のはずーと言いたいらしい)

でも確かに バントめちゃ下手ーって思いました
3球とも失敗でアウト

監督めげずに 次の打者にもバントを指示

次の打者もバントの構え

気のせいか おびえて?!聞こえるアナウンサーと解説者の声
1球目は失敗
でも次でバント成功

2アウトで 次の打者はデッドボールで出塁

が得点には至りません


滋賀学園は宮城投手が8回途中まで投げて 棚原投手に代わります

福岡大大濠は三浦銀二投手が196か197球 確か200球近く投げて15回裏もランナーは出しながらも押さえて
再試合となりました

延長戦に入ってからは特に痺れる展開でした
どちらも譲らず 

特に三浦投手
もう気力も体力も尽きないかとー

入りそうで入らない得点・・・・
味方のチャンスが実らない
自身の安打も報われず

15回裏サヨナラ負けかとー思いました
しかし!押さえきりました

再試合 肩が心配です


あれこれ^^;気になって・笑

2017-03-25 23:39:08 | 子供のこと身辺雑記
思いついた話など書いて遊んでおりますがー

他の話が浮かんでーしかも半時間ほどで頭の中では終わりまでまとまってしまった
こちらは江戸時代の世話物みたいなささやかなお話ですが^^;
ただ主人公の男性以外の名前が決まってないから 1・2・3と番号つけておおまかなメモをカレンダーの裏に書いています
(ノートじゃないところがせこい・笑)

新聞に入る広告の裏の白いのを畳んで置いてて それに買い物メモとか あれこれ思いついたことは書いています

基本5~10行ほどメモしといたのをパソコンに打ち込んでいって後は考えながらブログの新規投稿に入れていっています


で 今 楽しんで書いている話が何故とまっているのか

私の頭の中ではーもう物語が終わったあとのロズモンドが ベルナーにこう文句を言っていちゃついています
「恋に落ちた原因が 魚を焼いてくれたから? そんなの全然ロマンチックじゃない」


あと起きる前に観ていた夢で
病院らしい建物であちこち移動してて 
覚えてる会話が 歯の治療がそんなに痛くないー方法でしてくれるとかでほっとしている人物がいて
場面が変わると 緑色の液体ある中に浸かっている男達が4~5人いてね

その中の一人がその液体の中に潜ったかと思うと得意げに緑色の髑髏をかかげるの
何かいわくつきの品(力が得られるとか 秘密が隠されているとか)らしくって

髑髏を持った男は権限がありそうな老人たちの首をしめて殺すの

別な人物がそれを止めようとして戦いになるー

夢の中とはいえ ずうっと続きが起きてからも気になっています
夢の続きが見られたらーいいのに・・・・・

いや なんかヘンテコな話ができそうで これもメモ「緑のドクロ」って

メモだけして しばらくたって何でメモったか思い出せないものいっぱいあります



おかずから

2017-03-25 23:34:18 | 子供のこと身辺雑記


鯵を開いて骨とか取ってから 味醂・醤油・酒・砂糖・すり胡麻などを混ぜたタレに漬けておいて 小麦粉をまぶして
薄く油を引いたフライパンで焼きます

使う魚は鰯でもいいです
小麦粉にカレー粉や粉チーズを混ぜたりして変化つけて気分で遊べます

食べたいモノは日々刻々と(笑)変わります

2017-03-24 12:19:37 | 子供のこと身辺雑記
運転していて何かの弾みに「あれ食べたい」と思うことがある
車だから ちょっとお店に寄って買えばいいのだがー

そういう時に限って 「でも おかず作ってきたよね」「他に買うものあるし 帰り道にあちこち寄るのも面倒」
「雨も降ってきたし しんどいなあ」
いろんな理由で「明日 買おう」とか思い
で その明日になると「今日は食べる気分じゃない」

うん だけど「食べたい気持ちだけ」残っていたりしてね(笑)

朝 子供を駅まで送っていったついでに(昨夜遅くまでー朝にかけてというかサッカーの試合を観てて 少し遅くに出た長男)
食糧品を買って クリーニング店に寄って 花屋さんに寄って
ーああ そうだった カレーパンが食べたいと思っていたんだったー

と思い出して買ってきたパン









このパン屋さんのカレーパンが好きなんです
(姑の家とは反対方向になるから 滅多に行かないけれど^^;)
朝は焼き立てがありますし

他は牛乳にあるきな粉まぶしの揚げパン つぶあんのアンパン クリームパン



パン屋さんといえば駅前のパン屋さんが閉店
ちくわパンとか変わったパンもあるパン屋さんだったから残念です
比較的近くのイトーヨーカドーも閉店でイトーヨーカドーの中にあったパン屋さんも無くなるし
(好きなパンが食べられなくなるのは寂しいです)







ついでに作っておいた姑に届けるおかず

焼き餃子
連子鯛の煮たの
南瓜の煮たの




「恋する魔法使い」-7-

2017-03-24 00:11:56 | 自作の小説
「ところでその防御の用意とは具体的にはー」
攻撃を受けた場合の行動についての話し合いが一段落すると 海岸の最前線の守備についてのアンドールの問いにディスタン王は逡巡の色を見せる
王はベルナーに口止めをされていた
しかし・・・・・

室内を四人の姫と四人の王子にロズモンドだけを残し 見張りとして室外にメリサンドのみを立たせる
既にメリサンドはベルナーが誰なのか また彼がしようとしていることも知っている

「今から話すことは他者の前では話さないと誓ってほしい」
守備隊と共に歌うたいのベルナーが海に向かったことを王は話す

「何故 ただの歌うたいが?」
皆の気持を代表するロブレインの当然の問い

「ただの・・・ではない 彼は例の領域で育ち
その力をアクシナティの大軍を止める為に使う」

「幾ら魔法使いでもそれは命がけの術ではー」とダンスタン

「この日の為にアスザールは先代のランデール王から その王子を預かり育てた
ベルナーはレイダンドの有事に備えて修業を積み アスザールに鍛えられたー

そうベルナーは言った

その為に戻ってきたと
レイダンドを守る為に

例の領域もこの大陸の危機に際し ベルナーが使う力については了承していると」


ディスタン王が言葉を切ると 室内に沈黙が広がった

それが事実ならベルナーは王子
彼こそがレイダンドの真の王

ーそんな決意でレイダンドへ来ていた?!
では 彼は今何処に・・・何処から・・・その力を使おうとしている?
胸の動悸が激しくなる
ロズモンドはそれ以上 話を聞いてはいられなかった
ー一人前の女官でなくていい!-
必死にそういう力を使えそうな場所を考える
海に近くて 人目につかなくて ある程度はお城に近くて
そうした場所はそんなに多くは無いはず

ベルナーに生きたベルナーにもう会えなかったらどうしよう

それはいや・・・そんなのは嫌! 絶対にいや!


末席に控えていたロズモンドが真っ青な顔をしてぶるぶる震えていることにリザヴェートが気付く
「ロズ・・・」

「姫様 ごめんなさい 失礼します!」
ロズモンドは扉の外のメリサンドを押しのけるようにして室外へ飛び出して行った

「何処に行くのですロズモンド」

母親の声にも振り向かず 得意の弓矢と剣だけを掴み愛馬に飛び乗り凄まじい勢いで城を出て行くロズモンド


部屋に残る四人の王子と四人の姫君はそれぞれに作戦と話し合いを続けー王に許可を得てからメリサンドは城の入り口へ向かった
落ち着いて振る舞ってはいるものの何処にアクシナティの兵が来ているか分からない状況での娘の見境ない行動は案じられる
心配でしょうがない

城門でメリサンドが見たのは 案内を乞い入って来るブロディルの旗を掲げた兵士たち
中でも目立つ見事な漆黒の馬に乗った隻眼の人物・・・・・
斜めの黒い眼帯

残る一つの左目の・・・その鋭い眼差しが立つメリサンドに止まる 留まる


カズール・シャンデ将軍は半ば硬直するように・・・ぎこちない動きで馬を降りた

メリサンドもシャンデ将軍の眼に視線を当てたまま動かない

将軍が目の前まで来ると漸く小さく呟いた「カズール?」

忘れられないその瞳 娘のロズモンドと同じ金に緑の破片が混じったように輝く不思議な色の・・・・・
厳しい顔立ちなのに笑うととても優しくなる顔

「ああ・・・」

「カズール カズール!」急にメリサンドが泣き出したのでカズールは面食らう

とても「死んだんじゃなかったのか 生きていたのか」と尋ねられなかった

ただ「アイーシャ」とその名を呼ぶ

訪ねあてた館の冷たい表情の女性は「娘は腹の子ごと死んだ お前のせい!」とカズールを罵ったのだ

「娘をロズモンドを助けて! あの娘を見つけて 緑かかった栗色の髪で貴方と同じ色の目をしているわ
ベルナーと名乗る歌うたいを助けに行ったの
ベルナーはアクシナティの船団退治の術をかけにー」

ベルナーが向かった場所を言うメリサンド「嘘じゃない 貴方の子供よ お願い・・・」
それまでの気丈さが嘘のようにメリサンドは泣き伏した

ぽんぽんとその背中を叩いてー「必ず見つけてくるから」

部下に幾つかの指示を出すと数名引き連れシャンデ将軍は城を出て行く


騒ぎに外を眺めた姫達は驚いていた
「あのメリサンドが男に縋って泣いていたわ」

「ブロディルの人間よね 何者なのかしら」

同じく様子を見た王子達も戸惑った表情だ
「あれはカズール・シャンデ将軍ー」