ふろむ播州山麓

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津波の歴史 12 「浜岡原発全停止」

2011-05-07 | Weblog
 日本一危険であると不安視されてきた浜岡原発が、急きょ全面停止することになった。本当にいいことだが、あまりに急な首相判断の背景には、何があったのか。
 「30年以内にM8程度の東海地震が起きる可能性は87%と極めて切迫している」、「東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要だ」などと菅首相は5月6日の記者会見で発表した。「唐突な発表に首をかしげた国民もいるのではないか」(日経新聞5月7日)

 地震学の石橋克彦先生(神戸大学名誉教授)は、福島原発の事故直後から、つぎのように語っておられる。
 何よりも、東海地震の想定震源域の真上の中部電力浜岡原発を止めるべきだ。これが原発震災を起こすと、最悪の場合、南西からの卓越風によって首都喪失に到る。また、在日米軍の横田・横須賀・厚木・座間などの基地も機能を失い、国際的に大きな軍事的不均衡が生じる。すでに米国からの強い要請が来ているかもしれないが、日本政府が自国民と世界のために決断を下すべきである。

 あまりにも急な浜岡「全原発停止」の理由は、この指摘の通り、おそらく米国からの外圧であろう。この国は、外圧を受けねばなかなか変わらない。しかし、好転する変化であれば、わたしは外でも内でも歓迎である
 だが日本国民よりも、首都圏の在日アメリカ人と進駐軍の心配ばかりを、総理大臣が優先しているのであれば情けない。国民の安全と国益、そして世界平和への貢献を考えるのが、国家のトップの仕事であるはずだ。占領期の進駐軍に対するような行動では、この国の国民はあまりにも惨めである。

 「もう汚染されてしまったけれども、美しい日本列島をこれ以上穢さないために、この時代の暗がりを抜け出したいと思う。日本人がそう決意することこそ、今回の災害に温かい救援の手を差し伸べてくれた国際社会にたいする感謝と責任のしるしであろう」。石橋先生は述べている。

参考書 石橋克彦氏寄稿
○「世界」5月号 「まさに『原発震災』だ 根拠なき自己過信の果てに」
○「中央公論」5月号 「首都圏直下地震、東海・東南海・南海巨大地震の促進も否定できない」
<2011年5月7日>
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