しようとしていた物事を忘れるのと遣(や)りきるのとでは雲泥(うんでい)の差がある。忘れるというのは、心がどぉ~~でもいい…と思っている状態で、物事は達成されにくい。そこへいくと遣りきる方は、心が何が何でもっ! と意気込んでいるから達成されやすくなる。いや、意気込みが強ければ、恐らく達成されるに違いない。^^ 世の中でコトを成すには、この遣りきる心が大事ということになる。^^
選挙戦、真只中(まっただなか)のとある選挙事務所である。
「いやいや、何が何でもこの区画(くかく)の票を取り崩(くず)すには無理を押して回りましょう、先生! ここは、遣りきるしかありませんっ!」
「…君がそこまで言うなら、回るとするかっ! あの店の美味(うま)い定食が食べたかったが…。まっ! 当選すれば、いくらでも食べられる訳だ。ははは…」
「そうですともっ! 今、食い気は忘れましょう! ここ三日ばかりが正念場(しょうねんば)ですっ! 家(うち)のカミさんに作らせた魔法瓶のポタージュスープとサンドウイッチがあるじゃないですかっ!」
「ああ…アレは美味(うま)いっ! 君もいいのをもらったなっ!」 「いやですよ、先生! からかいっこなしにしましょう」 「ははは…悪い悪いっ! それじゃ、もうひと踏ん張り、遣りきるかっ!」
「はいっ!」
昼食休憩は急遽(きゅうきょ)、対立候補の選挙地盤取り崩しに切り替えられた。
この効あってかどうかは分からないが、見事、この候補は当選を果たしたのである。
忘れることなく継続して遣りきる力こそが真の実力なのだ。^^
完