水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

忘れるユーモア短編集 (39)意識

2020年05月23日 00時00分00秒 | #小説

 同じ物事でも意識していると忘れることがない。好きな人を意識している場合は当然、意中の人を忘れるはずはないだろうが、まあ、そういうことだ。^^
 とある大富豪の邸宅である。母親が子供に何やら言っている。
「ママ、これからお知り合いとお食事会なの。だから、ママの書いておいた物、買っておいてねっ! 分かった、麗(れい)ちゃん!」
「はぁ~~~いっ!」
 今年、小学二年になった麗(れい)は、この大富豪の一人息子である。そんなもの、執事の爺(じい)やか婆やに買わせりゃいいのに…と麗は思ったが、ここは敢(あ)えてコトを荒げることもないか…と、強(したた)かに思い返し、可愛いい返事で応じた。ママの美和は、いい子だわ…と納得しながら、高級外車の後部座席に乗った。お抱(かか)え運転手はエントランス前に駐車させた車を慣れた手つきで静かに発進させた。美和の言葉を余り意識していなかった麗は、テレビゲームに夢中になり、すっかり美和の言葉を忘れてしまっていた。いや、のだろう? さあ、大変っ! と気づいたときは、すでに夕暮れが迫(せま)っていたのである。
「婆や! あのさ…。コレ、買ってきてくんないっ?」
「あらまあ! こんなものを奥さまが坊っちゃまにっ?」
「まあ、そんなとこだね、ははは…」
 こんなものとはナニである。^^
 皆さんの想像力を駆使(くし)して、このナニを当てて欲しい。国家試験より難(むずか)しい三択である。^^

 [1]焼き芋
 [2]ピザ
 [3]フライドチキン

 では、正解を…。^^
 正解は[1]だった。買うのが恥ずかしいものは、意識していても忘れるのである。^^

                                   



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