今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。
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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
今世界でもっとも注目されている人権問題は、いうまでもなく「ウイグル問題」です。
新疆ウイグル自治区では、ウイグル人が100万人以上強制収容されている。
そこではウイグル女性に不妊手術が強制され、事実上の「民族絶滅政策」が実施されている。
強制収容所に両親が入れられた子供たちは、孤児院に送られ、イスラム信仰やウイグル語で話すことを禁止され、過酷な同化政策が行われている。
それで、アメリカのポンペオ国務長官は1月19日、「ウイグルで行われていることはジェノサイドだ」と認定。
ブリンケン新国務長官も、この見解に同意しました。
3月22日、アメリカ、イギリス、カナダ、EUは、ウイグル問題で、中国に制裁を科すことを決定した。
日本は・・・・。
茂木さんなどが、「深刻な懸念をもっている」という。
すると王毅さんなどから「内政に干渉するな!」と叱られだまってしまう。
公明党の山口代表は、ウイグル問題について、こんなことを言っています。
<公明党の山口那津男代表は30日の記者会見で、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害をめぐり、日本が対中制裁に踏み切る欧米諸国と足並みをそろえるべきかについて慎重な考えを示した。
「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べた。>(産経新聞3月30日)
要は、「本当に中国がウイグル人を弾圧しているかわからない」ということでしょう。
ですが、この件は、国連も認めている事実です。
<国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判BBC NEWS JAPAN 2018年09月11日
中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めている。
国連人種差別撤廃委員会は8月末、最大100万人のウイグル人住民が刑事手続きのないまま、「再教育」を目的とした強制収容所に入れられているという指摘を報告した。
8月半ばにスイス・ジュネーブで開かれた同委員会の会合では、信頼できる報告をもとに中国政府が「ウイグル自治区を、大規模な収容キャンプのようにしてしまった」と委員たちが批判。>
日本は「国連ファースト」で国連が大好き。
ですが、都合の悪い時は、国連のことを完全スルーして、
「人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ」などというのです。
▼KY日本の危険性(場の雰囲気・状況を察することが出来ない日本)
日本が欧米よりも「人権を重視しない」とはいいません。
ウイグルの人権侵害は、大昔から行われていました。
新疆ウイグル自治区では、1960年代から46回も核兵器実験が行われた。
習近平政権になって、ウイグル弾圧は、さらに過酷さを増していった。
ですが、欧米がウイグル問題を大騒ぎしはじめたのは、ここ3年ほどです。
その主な理由は、「米中覇権戦争」がはじまり、アメリカがウイグル問題は、
「中国悪魔化に使えるぞ!」
「情報戦最大の武器になる!」と考えたことでしょう。
そういう「リアリズム的背景」があったとしても、中国がウイグルにしているジェノサイドを止めるよう働きかけるのは、
「とてもいいこと」に違いありません。
ところが、日本政府は、そういう大局とか戦略的理由とかを全然理解できていない。
それで、過去に二回大失敗しています。
一回目は、ユダヤ人を大虐殺していたナチスドイツの同盟国になってしまったこと。
二回目は、天安門事件の重大性を認識できず、世界一速く中国との和解に動いてしまったこと。
既述のように、日本は欧米より人権を重視しないわけではありません。
しかし、KYで、「人権を重視すべきタイミングで、全然人権を重視しない」のはその通りです。
米中覇権戦争に勝ちたいアメリカの呼びかけで、世界的にウイグル問題が盛り上がっている。
そして、「ウイグルでジェノサイドが行われている」のは事実なのです。
だから日本は、当然アメリカ、イギリス、カナダ、EUに追随し、中国に制裁を科すべきです。
日本ウイグル協会のアフメッド副会長は、日本政府の弱腰を嘆き、いいます。
<アフメット氏は同自治区での弾圧を米政府、カナダ下院、オランダ下院が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定し、中国を非難したことに触れ、
「あと半年すればジェノサイドと認定する国が間違いなく増える。
そうした中で日本だけが何もしないのは、私たちが見たくない光景であり、多くの日本人の国民が見たくない光景だと思う」と述べ、出席した議員らに具体的な行動を求めた。>
私たちにとっても「見たくない光景」ですね。
ちなみに、日本の中には、
「19世紀はイギリスの時代、20世紀はアメリカの時代、21世紀は中国の時代。だから中国についていこう!」などと主張する人がいます。
そうなったら、ウイグルで起こっていることが日本でも起こると思った方がいい。
・中国政府を批判する人は、強制収容所送り
・言論の自由は消滅
・神道、仏教、キリスト教、その他の宗教は禁止
・天皇陛下は亡命(ダライラマのように)
・日本語教育は禁止され、中国語での教育が行われるようになる
・日本人女性は、ウイグル女性と同じで不妊手術を強制される
・結果、日本人という民族は消滅する
これは、「過激すぎる意見」と思いますか?
ですが、チベットやウイグルで実際に起こっていることです。
どうして、反日中国が、日本に対しては、ウイグル、チベットより優しくなると思えるのですか?
日清戦争、日中戦争の敵国日本に対しては、「もっと過酷な政策が行われる」と思うべきでしょう。
だから、ウイグル、台湾、香港などの問題は、日本にとって「死活問題」なのです。
---owari---
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