このように世界は日本に頼りがちだが、そこで日本はどのように対応するのか、である。
戦略とは「誰に寄り添えばよいのかではなく、相手を自ら望むところに誘導すること」であるのだから、相手が擦り寄ってくるときはチャンスであり、こちらの言い分をどんどん主張すればよい。まずは救済融資の担保には何を取ればよいかを、あらかじめ考えておく。先の例でいえば、中国に対しては、「技術がそんなにほしいのであれば相応の支払いを」とスマートにいえばよい。
そういうと、「そんなことが本当に通用しますか?」といった反応が日本国内から返ってくる。あるいは、「中国が反発する」と心配する人もいる。劣位戦の習い性で、実際にやってみる度胸がないのが「戦後派」の特徴である。その「戦後派」は大震災を機に日本社会から後退していくから、これからの日本は優位戦を戦える人材が出てくる。これは日本にとって明治開国以来初といってもいい。
そもそも日本は、世界第一位の軍事大国アメリカの同盟国である。そのうえ経済大国なのだから、主張が通らないと考えるほうがおかしい。むしろこれまでも、世界からは「なぜ日本は国力に見合う主張をしないのか」と思われていたのである。
しかし、それが「戦後派」の日本人にはわからなかった。国土の狭小さゆえにか、あまりにも自身を小さく見せる癖があった。謙虚にすぎるのである。私にいわせれば、それは冷静な分析に立ったものではなく、一種の趣味のような態度で、ドイツやフランスなどのヨーロッパの列強が、相互の国力比較をまず領土面積から始めたのを見習ったにすぎない。
東西南北に広がる海洋は広大な勢力圏で、進出可能な領域はとても広い。日本は「海洋国家」として見れば、もともと大国なのである。
(日下公人著書「『超先進国』日本が世界を導く」より転載)
---owari---
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