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投票前の報道が生む「アナウンスメント効果」の弊害

2017年10月18日 | 政治・経済

報道には、「アナウンスメント効果」というものがあると言われています。特に選挙の前に「アナウンスメント効果」があって、「報道をどのようにするか」ということが選挙民の心理を引っ張ります。

 

イギリスの昨年の問題、「EUから離脱するか、それとも残留するか」ということについても、結果は僅差でしたから、マスコミの報道によって、どうにかなる可能性はあったと思います。

 

この「アナウンスメント効果」の一つとして、「バウンドワゴン効果」、つまり「勝ち馬効果」というものがあります。

 

今回の衆議院選挙でも序盤でしたが、新聞には情勢の報道が早くも出始めていました。「○○県ではA候補が有力」と書いてありました。そして、「それを追っているのがB候補で、C候補とD候補は非常に苦しく、厳しい状況である」などと書いてあるのです。また、状況を書いてもらえない候補もいます。

 

そういうことを、選挙戦が始まった最初の何日目かぐらいで、もう書いてあります。これは「バンドワゴン効果」「勝ち馬効果」を狙っているのかもしれません。「この人が当選しそうだな」と思うと、「そちらに入れろ」と言われているように聞こえる人が多いわけです。

 

週刊誌もそういうことをよくやっていて、「勝ちそうかどうか」ということについて、「◎」「〇」「△」「×」などを付け、予想しています。そうなると、自分が“賭けた”人が負けると損なので、“勝ち馬”に入れたくなります。

 

一方、「厳しい」「苦しんでいる」「支持が広がらない」などと書かれた候補者については、「この人は落ちるのだな」と思い、落ちる人に投票してもしかたがないので、勝つほうに投票するか、「投票所に行かない」という判断をするわけです(注。なお、「アナウンスメント効果」の一つとして、「アンダードッグ効果」「負け犬効果」というものもあり、「劣勢」と報じられた側に同情票が集まる場合もある)。

 

もちろん、個々の人には、「どうなるか、早めに知りたい」という気持ちがあることは分かります。

 

しかし、日本国憲法は、各人が自由な判断によって投票できる権利を保障していますし、「誰が誰に投票したか」ということは、分からなくてもよいというか、分かるべきではないことであり、「秘密投票」も保障され、公正が保たれているわけです。

 

ところが、事前に千人ぐらいに訊いて、「誰が勝つ」というようなことを報道すると、極めて歪んだ未来をつくる可能性が高いのです。

 

それを書いてもよいのですが、書くなら、各候補の政策の中身についても書くべきです。それぞれの人が言っていることと、それに対する批判のようなものをビシッと書いてくれれば、公平だと思うのですが、「誰が当選するか、しないか」というようなことばかり報道されても、全然面白くないというか、「国民をバカにしているのではないか」と思うところもあります。

 

国民にも、このあたりをよく見破っていただきたいと思うのです。

 

---owari---

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