―― 日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載します ――
ところで、中国が妙な自信をつけてしまった責任の一端は、実はアメリカにあります。
米ソの冷戦が終わったとき、アメリカが仮想敵国を持たない国に生まれ変わればよかったのですが、やっぱりないと困るという人がたくさんいました。いわゆる産軍複合体です。軍事予算がカットされたら困るから、どうしても仮想敵国が必要です。
そのとき彼らは、かつての敵国である日本を仮想敵国にしようと、チラリと思ったに違いありません。ところが日本はすっかりいい子になっていて何もしない。それで「中国こそ仮想敵国だ」と言い出したのです。
そこで中国が大国意識に目覚めてしまった・・・・・。そして中国は急激な軍備増強に走り出した。
なにしろ金は日本が貸してくれますし、日本人を騙(だま)すのは簡単でした。日本が中国に供与してきたODA(政府開発援助)だけでも総額3兆円以上に上ると言われています。
一方、アメリカの産軍複合体にとって、中国の軍備増強は大歓迎でした。中国を牽制(けんせい)するという口実で大きな予算が取れるようになった。よかった、よかったというわけです。
ところで、日本は実はそのまま中国に対してもいい子でいたかった。なにしろ、13億人という市場です。多少お金を出してもいいから、中国と仲良くして共に成長していけばいいじゃないかと思ったのは相手のことを知らなかったからです。
中国が日本を攻撃するたびに日本はいろいろ援助したところ、中国は味をしめて反日教育を始めてしまったのです。それによってついに日本人が目を覚ましてしまった。それは長い目で見れば中国にとっては大きなマイナス以外の何物でもないでしょう。
---owari---
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