(30メートル望遠鏡) Wikipedia
[1](さんじゅうメートルぼうえんきょう)は、アメリカ合衆国、カナダ、中華人民共和国、インド、日本の5か国共同で米ハワイ島マウナケア山頂に建設中の超大型光学赤外線望遠鏡である。略称TMT (Thirty Meter Telescope[2])。その名の通り有効口径が30メートル (m) の巨大な望遠鏡となる。
① ""すばるコミュニティーの皆様へ””
2019年7月27日 (ハワイ現地時間)
ハワイ先住民の復権を求める一部の人々によって、マウナケアへのアクセスが困難となっている状況につき、コミュニティーの皆様には大変なご心配をいただいていることと存じます。このために観測がキャンセルとなった方々もいらっしゃいます。皆様のご協力とご支援に心から感謝するとともに、皆様に現在の状況をお伝えしたいと思います。
ご存知の通り、現地時間7月15日 (以降、日付はすべてハワイ現地時間) から現在に至るまで、マウナケア・アクセス道路がハワイ先住民の復権を求める一部の人々によって封鎖されています。このため、すばる望遠鏡を含むマウナケアの全望遠鏡が運用を停止しており、ハレポハクより上には天文台職員が誰もいない状態が続いています。
ハワイ観測所では職員・観測者の安全を第一に考え、他のマウナケア天文台群と協調して、7月16日に山頂作業職員・観測者をすべてヒロに下ろしました。観測は7月16日から7月21日までキャンセルとなりました。7月22日からはドーム・メインシャッター工事のため、そもそもダウンタイム期間 (9月8日まで) となっていたため、共同利用観測への影響はありませんが、昼間の作業員も上がれない状態なので、工事やその他の保守作業、装置試験などはすべて停止しております。
現在は、山頂での緊急作業を要する場合のみ、一天文台に対して一台だけ、時間を区切って山頂で保守作業を行うという暫定ルールに従って、山頂アクセスをしています。ただし、ハワイ先住民の復権を求める一部の人々は、上がれるのは技術者のみという制限を付けています。緊急作業の必要が生じた場合には、マウナケア管理オフィスを通じて州の警備部隊およびハワイ先住民の復権を求め道路を封鎖している人々と交渉し、山頂アクセスの許可を得ています。これまでに、ケック、ジェミニがそれぞれの装置の緊急保守のために上がりました。すばる望遠鏡では、7月24日にドーム空調が全停止してしまい、その復旧のために7月25日に5名の技術者が上がって作業をしました。7月16日の退避以来、すばるではこれが唯一の山頂アクセスとなっています。
ハワイ州は、7月17日にマウナケアに非常事態宣言を行いました。これによって、ダニエル・K・イノウエ・ハイウェイ (サドルロード) より上のマウナケアには、許可無しでは徒歩でも上がることができなくなりました。これを機に事態収拾のために州兵を動員するのではないかという予測もありましたが、現在に至るまでそうした動きはなく、にらみ合いが続いています。州知事のデビッド・イゲ氏は7月24日に、ハワイ郡長のハリー・キム氏に、事態の収拾を委任しました。キム氏は7月25日に道路のコントロールの確保が第一優先であるとの声明を発表しましたが、7月27日現在、まだ具体的な動きがありません。
マウナケア天文台群では、協調してこの問題に対応しており、毎日所長会議を開いて、ハワイ大学やマウナケア管理オフィスとも連絡を取り合い、状況の把握と対応の協議を行っています。ハワイ州やハワイ郡長へ、事態好転に向けての働きかけも行っています。ただし、事態は流動的で、我々にできることはかなり限られている状態です。情勢を観察していますと、数日のタイムスケールで解決に向かう可能性は大変低いと思われます。
コミュニティーの皆様にはさらなるご心配とご迷惑をおかけすることになるかもしれませんが、事情をご理解の上、ご支援いただけますとさいわいです。
国立天文台ハワイ観測所長 吉田道利