1つ目の“すごい”「宇宙探査技術」
一つは宇宙探査の技術です。
去年9月と10月には相次いで小型の探査ロボットを小惑星に投下することに成功し観測を実施、岩に覆われる「リュウグウ」の地表の写真を地球に送り届けました。
そして、ことし2月、「リュウグウ」への最初の着陸を成功させ、小惑星表面の岩石採取に成功したとみられています。今回2回目の着陸は、より難しい小惑星内部の岩石採取を目指しました。
ことし4月に金属の塊を「リュウグウ」に衝突させて作った人工クレーターの近くに再び着陸を成功させ、地下にあるより変質が少ない岩石の採取に成功したとみられます。
2つ目の“すごい”「科学的成果」
「はやぶさ2」は科学的成果もあげています。
赤外線などを使った観測で「リュウグウ」の岩石の組成を調べたところ、中に水が存在する特徴的な反応が出たのです。
水は液体や氷の状態ではなく、岩石に取り込まれる形で存在しているということで、「含水鉱物」と呼ばれます。こうした岩石が「リュウグウ」にあることがわかったのです。
さ
らに「炭素」の存在も見えてきました。人をはじめ、地球上の動植物は「炭素」を成分とした有機物でつくられています。
リュウグウの表面を覆う岩石の色は全体的に黒く、これは有機物には不可欠な「炭素」が多く含まれている証拠とみられています。
学説の検証・解明につながる
こうした成果は、小惑星などの天体が地球にぶつかり、生命のもととなる水や有機物がもたらされたという学説の検証につながるのです。
また、重力やその形状を詳しく観測した結果、「リュウグウ」の密度は低く、内部は隙間が多いこともわかってきました。
こうした構造から「リュウグウ」は天体どうしの衝突でできた破片が再び集まって誕生した可能性が高いということです。その大もととなった天体は、火星と木星の間の小惑星帯にある小惑星「ポラナ」か、「オイラリア」とみられることもわかってきました。
地球などの惑星は、小惑星といった小さな天体が集まってできたとみられていて、小惑星の成り立ちを知ることは太陽系誕生の謎の解明にもつながるのです。