(県民衛星)
① ""福井県民衛星」、宇宙へ””
2019年7月10日 15時19分
始動!「県民衛星」
(超小型衛星のモデル機)
縦横10センチ、長さ30センチとコンパクトなこの衛星の最大の売りは、費用が安く短期間で製造できるため、産業用としての利用に適していること。
この技術を生かして、今、福井県が県内の中小企業11社や大学などと協力して開発しようとしているのが「県民衛星」です。
(「県民衛星」)
縦横60センチ、長さ80センチと一回り大きい小型衛星で、宇宙から地上を撮影し、精度の高い画像データを送る機能を備えます。
なぜ福井で人工衛星?
福井県の伝統的な基幹産業は繊維業ですが、事業所の数はこの20年で5分の1に減少しました。
(眼鏡フレーム)
(福井県新産業創出課の堤宗和参事)
福井県新産業創出課の堤宗和参事も「経済が縮小に向かうおそれを感じている中で、新産業を立ち上げていく必要があると考えたのが発端」と、宇宙ビジネス創出にねらいを定めた理由を説明します。
県を挙げて宇宙産業を支援
(県内産業の生き残りをかけて「宇宙」にねらいを定めた福井県。)
そこで福井県は約4億円の費用を投じて、県の施設「福井県工業技術センター」内に衛星の開発に必要な性能試験ができる新たな設備を整備しました。
(太陽電池評価装置)
「太陽電池評価装置」と呼ばれる設備は、1800ワットもの強力な光を当てて、衛星のソーラーパネルが宇宙で太陽光に耐えられるか確かめることができます。
ロケット打ち上げの際の衝撃に耐えられるかどうか、あらゆる方向から激しい振動を与えて確かめる「振動試験機」も備えられました。
(振動試験機)
開発の担い手は伝統産業から
参加するのは、県内の企業や大学などから10人ほど。この中に、福井の伝統産業「繊維」や「眼鏡フレーム製造」に関わる地元中小企業で働く人たちの姿があります。
大久保さんは、日頃の業務でも求められる精密な組み立ての技術が衛星の組み立てにも生かされていると感じています。
(大久保清吾さん)
「実際に衛星の仕事に携われているのが不思議な気分。全体で取り組む中で、チームに貢献できた時にやりがいを感じます」(大久保さん)
従来は宇宙専用の部品が使われてきた人工衛星ですが、「県民衛星」ではそうした部品は使わずに中小企業が使い慣れた民生部品を使い、コストを削減します。
衛星の心臓部分となる基盤の製造に携わる地元の繊維メーカー「セーレン」の荒井肇さんは「使い慣れた民生品を使って量産する技術はわれわれはたけてますので、ノウハウをいかすことで衛星を量産につなげられるのではないかと思っています」と意気込みます。
(荒井肇さん)
“宇宙ビジネス大競争時代”に
(宇宙ビジネスを支援する予算)
『県民衛星』が地域の課題解決に?
目指すのは、衛星から撮影した画像データを利用した地域の課題解決です。
(大雪による渋滞)
こうした大雪で地上からの状況把握が難しい場合でも、衛星からの画像データがあれば、渋滞のおそれがある道路などを随時把握して優先的に除雪できる可能性があります。
さらに県独自の衛星であれば衛星のデータを利用する際の費用も格安になり、今より大幅に使いやすくなる見込みです。
全国初の“県独自衛星”に
(県独自衛星)
いつの日か全国各地の県が自前の人工衛星を持ち、産業育成や地域の課題解決に取り組むような日が来るのでしょうか。福井のものづくりの技術を結集した「県民衛星」が切り開く地方発の宇宙ビジネスの可能性に期待が寄せられています。
(福井放送局記者 植田祐)
福井放送局記者 植田祐
平成24年入局 山形局、福島局を経て 現在は福井県政などを担当
☆彡 ぜひとも成功して欲しいです。