① ""新星爆発は宇宙のリチウム合成工場だった””
2015年2月18日 |研究成果
国立天文台、大阪教育大学、名古屋大学、京都産業大学などの研究者からなる研究チームは、2013年8月に現れた新星爆発をすばる望遠鏡で観測し、3番目に軽い元素であるリチウム(Li)(注)がこの新星で大量に生成されていることを突き止めました。
リチウムはビッグバン時に生成されるとともに、恒星のなかや新星、超新星、星間空間などさまざまな場所でつくられると推定されており、宇宙における元素の起源や物質進化を探る試金石となる元素ですが、
リチウムを生成・放出している天体が直接的に観測されたのは今回が初めてです。新星爆発が現在の宇宙におけるリチウムの主要な起源であることが明らかになったことにより、宇宙の物質進化の理解が大きく進むことが期待されます。
注:リチウムには6Liと7Liの2つの同位体があり、太陽系では7Liが約92パーセントを占めています。この文章ではリチウムは7Liのことをさします。
新星爆発の想像図:新星爆発(古典新星)は白色矮星(図中央右側)と伴星(同左:太陽のような主系列星もしくはそこから進化した赤色巨星)からなる連星系で起こる爆発現象だと考えられています。
この2つの星の距離が非常に近い場合(近接連星とよびます)、伴星表面にあるガスが白色矮星に向かって流れ込み、降着円盤を形成しながら白色矮星の表面に降り積もるようになります。
この降り積もったガスの層が次第に厚くなってくると温度と密度が上昇し、核融合が発生します。星の内部では核融合反応によって中心部で発生したエネルギーは周囲のガスが膨張することにも使われるため安定した核融合となりますが、白色矮星表面の薄いガス層ではそうはいきません。核融合は一気に暴走し、発生したエネルギーによって白色矮星の表面に薄く降り積もったガス層が吹き飛ばされる爆発現象を起こすと考えられています。 オリジナルサイズ(4.6MB)
この研究成果は、2015年2月19日発行の英国の科学雑誌「ネイチャー」に掲載される予定です。 Tajitsu et al. 2015, "Explosive Li production in the classical nova V339 Del (Nova Delphini 2013)", Nature, Volume 518, Number 7539
② リチウム (Wikipedia)
リチウム(新ラテン語: lithium[1]、英: lithium [ˈlɪθiəm])は、原子番号3の元素である。元素記号はLi。原子量は6.941。アルカリ金属元素のひとつ。
リチウムは標準酸化還元電位が3.03Vともっとも低いため電池の負極材料として適しており[99]、金属リチウムを負極材料、正極材料としてフッ化黒鉛や二酸化マンガンなどを用いた一次電池がリチウム電池として実用化されている。
リチウム電池はエネルギー密度が高いため小型化に向いており、また自己放電が少ないため電池寿命が長いといった特徴を有している。そのため、小型・軽量・長寿命といった機能が要求されるメモリバックアップなどの用途で利用されている[100]。これらの一次電池の多くは定まった用途にのみ用いられるものであるため、需要は一定であるが、エレクトロニクス機器や測定機器の電源などに用いられる塩化チオニルリチウム電池は需要が増加している[101][102]。
二次電池[編集]
二次電池用途でのリチウム需要は2004年から2008年の間で年間20パーセントを越える伸び率を示しており[74]、この用途におけるリチウムの需要は将来的にも増加し続けると予測されている[91]。
リチウムイオン二次電池は正極材料としておもにコバルト酸リチウムが、負極材料としては炭素が用いられており、電解質の支持塩には六フッ化リン酸リチウムが使用されている[103]。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高い、動作電圧が3.7V[103]と高い、自然放電が少ない、メモリー効果がないといった有用な特徴を有しており[104]、携帯機器用の小型電池から車載用、産業用の大型電池まで幅広く使われている[103]。