※※ 本日、最後の記事です。
◎ 緊急事態宣言で感染抑制期待-欧米死者減り株大幅高、円と債券は下落
浅井真樹子
2020年4月6日 7:40 JST
更新日時
2020年4月6日 15:40 JST
TOPIXは6日ぶり反発、日経平均は4%超上昇し1万8000円回復
ドル・円相場は109円台に乗せる場面-3月27日以来
欧米で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している国・地域で1日の死者数が減少し、不安一辺倒だった投資家心理に明るさが出てきた。国内では政府が緊急事態宣言を近く発令する見通しになり、感染拡大に歯止めがかかるとの見方もあった。アジア時間6日の米国株先物が大幅高となり日経平均株価の上昇率は4%を超えた。ドル・円相場は約1週間ぶりに1ドル=109円台に乗った。国内債券は下落。
TOPIXの終値は前日比51.17ポイント(3.9%)高の1376.30
日経平均株価は同756円11銭(4.2%)高の1万8576円30銭
ドル・円相場は1ドル=109円台前半、一時109円13銭と3月27日以来の水準まで上昇
長国先物は下落、44銭安の152円17銭-長期金利は一時0.005%に上昇
米国のニューヨーク州で新型コロナウイルスの1日当たりの死者数が減少し、トランプ米大統領とペンス副大統領は5日、感染拡大について横ばいか安定化が始まっている兆候があると述べた。欧州でもイタリアやスペインなどで減少している。
東洋証券の大塚竜太ストラテジストは感染拡大に安定化の兆しとの発言に加え、トランプ大統領が追加的な景気刺激策に賛成と述べるなどの好材料で米株先物が急上昇した流れを受けて、日本株も明確に上昇しているとの見方を示した。アジア時間6日の米株価指数先物は一時4%超上昇し、アジアの株式は軒並み高。株式への投資が見直されている。
国内では東京の新規感染者数が最多となるなど依然拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が出されるとの観測が強まっている。宣言は経済の落ち込みをもたらすとみられるものの、行動などが規制されやすくなり感染拡大を「抑えられるとの期待があるのではないか。落ち着かない限り経済対策を打っても意味がなく、早めに収束する方が経済的には良いだろう」と水戸証券投資情報部の岩崎利昭情報課長は話した。
外国為替市場でドル・円相場はドル買い・円売りが先行。新型コロナウイルス感染拡大に関連して、欧米でやや落ち着きがみられていることや日本の緊急事態宣言が近く発表されるとの観測を背景とした株高が支えとなり、相場は徐々に水準を上げた。
バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは、欧州の一部などで新型コロナウイルスの感染者や死亡者の増加が鈍ったことが株などリスク資産の下支えになったと指摘したうえで、米金利の上昇もあってリスクオンの円売りが優勢だと話していた。
日本の債券相場は下落。長期国債先物6月物の終値は前週末比44銭安の152円17銭。債券市場の流動性が低下する中、あすの30年国債入札に対する警戒感や日本株高・円安を背景に売りが優勢となった。日本銀行が実施した国債買い入れオペで需給の緩みが示されて売りに拍車がかかり、一時は152円03銭まで下げた。長期金利は1ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.005%で開始し、午後は0.005%まで上昇した。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は債券市場について、「日本の緊急事態宣言は米国のロックダウンとは異なるとの見方から、リスク回避の動きにはなっていない」と指摘。30年債入札については「基本的にはあまり在庫リスクが取れず、弱気な見方が優勢」との見方を示した。
<きょうのポイント>
【新型コロナ】
米正副大統領、新型コロナの感染拡大に「安定化」の兆し
ニューヨーク州で1日当たりの死者数が減少
トランプ米大統領、追加的な小切手による刺激策に賛成
伊仏スペインで1日の死者数減少
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