◎◎ だいち(ALOS-2)/社会経済活動の変化、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前後の空港の変化について
記事更新日: 2020/7/20
お知らせ
2020/07/20:観測結果に新千歳空港、仙台空港、福岡空港、鹿児島空港、那覇空港の結果を追加しました。 詳細はこちら
2020/06/25:記事を公開しました。
□□ 概要
合成開口レーダ(SAR)を用いると、地表面を昼夜ならびに天候を問わずに観測することができます。 JAXAのALOS-2搭載のL-band SARであるPALSAR-2と欧州のセンチネル1搭載のC-band SARを組み合わせることで、世界の代表的なハブ空港における飛行機の状況、特に駐機場での飛行機の新型コロナウイルス感染症の流行前後の変化などを観測しました。 同じ観測データからは、飛行場に隣接する駐車場の新型コロナウイルス感染症の流行前後の変化も確認することができます。
なお、晴天が続く地域においては、欧州の光学衛星であるセンチネル2の利用による観測も行いました。
□□ 観測結果
日本、アジア太平洋、米国、欧州等を対象として、2019年など過去の観測データと2020年における観測データを比較し、空港の飛行機、駐車場の車などの新型コロナウイルス感染症の流行前後での変化を観測しました。 ALOS-2、欧州のセンチネル1のSARで観測したデータをカラー合成したり、時系列的にアニメーションにすることで、この変化をわかりやすく可視化することができます。
ここで紹介するデータについては、2020年の新型コロナウイルス感染症流行後のデータを赤色、2019年など過去のデータに青と緑を割り当ててカラー合成したものです。そのため、2020年だけが明るく観測されたところは赤色、2019年だけが明るく観測されたところは青緑色に表示されます。(画像によっては色の割り当てが異なる場合があります)
◇◇ 例えば、空港によって差異がありますが、駐機場やそれ以外の場所で全般的に2020年の新型コロナウイルス感染症流行後は飛行機とみられる赤色が増えていることがわかります。 逆に空港のゲートは青色になっていることが多く、2020年には飛行機がゲートにいない、すなわち、飛行機の運用がされていないことがわかります。 同様に、飛行場に隣接する駐車場にも青色が多く、2019年に比べて、2020年には駐車している車の数も減少していることがわかります。
また、航空会社によっては、飛行機を保管・維持保守するために、違う空港に移動させているケースがあります。米国のBirmingham-Shuttlesworth international Airport (BHM)、オーストラリアのAlice Springs Airport (ASP)、フランスのChateauroux Centre Marcel Dassault Airport (CHR)、イギリスのBournemouth Airport (BOH)などについては、2020年に飛行機の数が増えたことがわかりました。
Alice Springs Airport (ASP)については、晴天が継続しているため、欧州の光学衛星であるセンチネル2を使って、同様の比較を行いました。 光学画像では一目で飛行機とそれ以外が識別でき、駐機場に飛行機が増えていることがわかります。
図1:ALOS-2による羽田空港の2019/11/28(赤)、2020/03/19(緑)、2020/05/14(青)のカラー合成画像
(駐機場において青、緑、水色に見える部分(画素)は2020年に増加した航空機を表す)
図2:ALOS-2によるBournemouth Airport (BOH)の2019/05/22(緑、青)と2020/05/20(赤)の観測画像
(赤く表示された部分(2020年のデータに対応)に駐機された航空機が増加している)
図3:センチネル2によるAlice Springs Airport (ASP)の2020/03/09(上)と2020/05/28(下)の比較
(下の画像では駐機された航空機が増加している)
※※ JAXAホームページの画像はコピー出来ませんでした。