【AFP=時事】中国国防省は3月31日、南シナ海(South China Sea)では「用心する」よう米海軍に警告するとともに、米国とフィリピンが先月合意に達した米比防衛協力強化協定を批判した。
米国は昨年10月以降、南シナ海で「航行の自由作戦(Freedom of Navigation)」を展開中。米比防衛協定では米軍にフィリピン国内5か所の基地使用を認めており、中国が領有権を主張する南シナ海の係争海域に近いパラワン(Palawan)島の空軍基地も含まれている。
中国国防省の楊宇軍(Yang Yujun)報道官は記者会見で、米艦隊が南シナ海で警戒監視活動を開始したとの報道について問われ、「やってきた米艦隊に関しては、用心するほうがいいとしか言えない」と答えた。
さらに、米比防衛協定をめぐる質問に対しては、「軍事同盟強化というのは冷戦(Cold War)時代の考え方だ」「平和、発展、協調という時代の潮流に逆行する」と批判。2か国間の軍事的協調が「第三者の利益を損なうことがあってはならない」とくぎを刺した。
【ソウル=藤本欣也】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と中国の習近平国家主席は3月31日(米東部時間)、ワシントンで首脳会談を行い、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備をめぐり協議、習主席は改めて配備に反対の意思を表明した。
習主席は一方で、国連安保理の北朝鮮制裁決議を「完全かつ厳格に履行すべきだ」とも主張しており、朴大統領に対し、「THAAD導入」か「強力な対北制裁の履行」かの「選択を迫った」(韓国紙、文化日報)との見方が出ている。
韓国大統領府の説明によると、「双方がTHAADの配備問題で意見を表明し、今後も話し合っていくことで一致した」という。朴大統領は、「安保と国益の観点」から配備の必要性を強調したとみられる。
THAADの韓国配備に関しては、米韓側が「北朝鮮のミサイル防衛の一環だ」と主張しているのに対し、中国側は(1)自国のミサイルなども監視される(2)東アジアの戦略的均衡が崩れる-として強く反対。北朝鮮問題などで中国の協力が必要な米国と、最大の貿易相手国が中国である韓国は対応に苦慮している。